*これは絵板[6212]『湯煙〇〇事件?』及び[6249]『湯煙〇〇事件 解凍編 レンジで2分』の始まりを勝手に想像したモノです。
*らいらっくさんのネタまで無断で使ってすいません。
*これは番外編ですが、『5面ボスの、5面ボスによる、5面ボスの為の夏休み』序章~第四話を読んでくれると嬉しいです。
これは表舞台に現れる事なく幕を閉じた、とても些細な事件の記録である。
紅魔館に程近い湖。そしてそこに住む氷精チルノ。
彼女はとても暇だった。
「大妖精もいないし、何しよう?」
湖に映る自分の影に話しかけながら腕を組み、う~んと唸りつつ悩むチルノ。程なくして、彼女には妙案が思い浮かんだようだ。
「ルーミアかリグルを誘って、屋台に殴りこみ。これよ!」
そんな氷精の上を、紅い館のお嬢様がふよふよと飛んでいたのだが、彼女がそれに気づく事はないのであった。
皆の晩御飯、ミスティアローレライ。彼女は今、大変な問題に直面していた。
理由は1つ。屋台で出す予定だった八目鰻がまったく取れなかったのだ。
「はぁ。しょうがない。今日はお休みにして歌でも歌お」
そう結論したミスティアは、水びたしの服を乾かす為に空へと舞い上がった。
高速で飛び回り、その遠心力で水を振り払いつつ、風で乾燥させるという荒業だ。
「あ~、ご飯が飛んでるわねぇ」
「えぇぇ!?」
そこに突如乱入してきたのは冥界の食いしん坊万歳。じゃなくて、亡霊の姫、西行寺幽々子だった。
「今夜は焼き鳥ね」
「いーやー」
こうしていつもの追いかけっこが幕を開けたのだった。
ショタ疑惑の少女(?)、リグル・ナイトバグは困っていた。
原因は一緒に遊んでいたルーミア。彼女がいきなり、
「兔が食べたい」
と言ったせいだ。
リグルは必死に止めているつもりなのだが、如何せん彼女は押しに弱くルーミアの歩みを止めるには至っていない。
「あ、いた」
「だから帰ろ・・・って、えぇぇ!?」
つられてリグルが空を見上げると、そこには詐欺兔と小難しい事ばかり言う薬師の姿。しかもまだこちらには気づいていない様子だ。
「う~ん。勝てるかなぁ?」
「無理だよ。だから諦めよ」
リグルの必死の説得は、されど叶う事はずもなく。どうせこういう役どころなんだと、リグルが拗ねていたとかいないとか。
「そーなのかー。じゃあ、こっそりついて行って隙を見て食べよう」
「えぇ!?」
どうやらルーミアは詐欺兔をとって食べるつもりらしい。
勝てる訳ないじゃないと考えるリグルは、彼女達の弾幕で撃墜される自分の姿を克明に思い浮かべていた。
「リグル~、おいてくよ~」
「あ、待って~」
嫌だと思いつつも、置いていかれないように必死でついていく。それが彼女(?)リグル・ナイトバグなのであった。
詐欺兔、因幡てゐ。彼女は数刻前、上司である八意永琳と共に温泉旅館に行かないかと誘われた。
鈴仙だけ休みを貰うという理不尽な状況に熱烈に意義を申し立てていた彼女は、すぐさまそれに飛びついた。
「永琳様、どんなところなんですか?」
「ん? 古くてぼろいけど、露天風呂が素敵なところらしいわよ」
「へぇ。楽しみですね」
「そうね」
実際は永琳が作った薬の副作用が心配で鈴仙の様子をこっそり見に来ただけなのだが、それは永琳だけが知っている事実だ。単に弟子が恋しくなったという理由もあったりするのだが、それは本人すら自覚していない事である。
「あれ、あちらから何か飛んできますよ?」
「本当。何かしら」
すごい勢いで飛んでくる未確認飛行物体。
その正体は、
「あら、偶然ね」
「本当に偶然だわ。まだ陽も高いと言うのに、どうしました?」
「ちょっとね」
レミリア・スカーレット。紅魔館の主にして、紅い悪魔。
「そういう貴方こそ、どうしたの?」
「ちょっとね」
偉い人どうしの会話など興味のないてゐは、そんな2人の会話など聞いているはずもなく、まったく関係のないほうを見ていた。
と、そこには2つに増えた未確認飛行物体がこちらへ向って高速接近中だった。
「た~す~け~て~」
「小骨が多くても我慢するから~」
てゐの姿を確認したらしいミスティアが、その背後へと隠れるべく、進路を変える。
そしてそのてゐもまた本能で危機を感じたのか、反射的に永琳の背中へと隠れていた。
「あらあら、今日は珍しい人のオンパレードね」
「私の晩御飯~」
間延びした口調とは裏腹に、目を狩人のように光らせている幽々子。そして後ろに隠れているてゐとミスティアを見て、永琳はくすくすと笑った。
その更に後ろでは、彼女たちの登場で忘れ去られたレミリアが少し拗ねていたのだが、誰も気づいていない。
「幽々子さん、この子たちを食べるのは勘弁してもらえませんか?」
「うぅ~。でもお腹すいたの~」
「だったら私達と一緒に来ませんか? ごちそうしますよ」
「じゃあいく~」
食べ物に釣られてあっさりついていく事を決めてしまう幽々子。その姿を彼女の従者がみたら、きっと呆れ返る事だろう。
「ん、もしかしてお前達もか?」
「あら、じゃあ貴方も?」
こうして5人になったご主人様ご一行は、温泉旅館、極楽亭へと向ったのだった。
宵闇の妖怪、ルーミア。彼女は今、とても上機嫌だった。
「ごはんが増えた~♪」
「うぅ、ますます勝ち目が・・・」
「大丈夫よリグル。あたいは最強だから」
途中で合流したチルノのはとても乗り気で、既にリグル1人ではどうしようもない状況に陥っていた。しかも仲間が増えた事でルーミアの頭の中では、この計画は完璧なものとなっていた。
「ん、あそこに入るみたいね」
チルノの指摘に2人は頷く。永琳の声が聞えたと同時に、3人は耳をすませた。
「すいません」
「はい。飛び入りのお客様ですか?」
「はい。あぁ、それとお願いがありまして」
事情を説明した永琳が今泊まっている人間の隣の部屋をとる事を承諾させ、更に彼女たちには内緒だとお願いする。
とはいえ、聞き耳を立てている3人はそんな後半部分は聞いていなかったのだけれど。
「畏まりました。えっと、5名様でよろしいですか?」
「はい。あ、もしかすると増えるかもしれないんですが・・・」
「はい。その時はお申し付けください」
「すいません」
そうして中へ入っていく5人。ちなみに永琳の言葉の意味は「もしかすると姫も来るかもしれない」という彼女なりの配慮である。
それが裏目に出る事は、この時点では誰も気づいていなかった。
「よし、あたいたちも行くわよ!」
「「うん」」
こうして3人は無事、5人組の隣の部屋を確保したのだった。
もちろん、永琳の払いで。
式の式、橙。彼女は現在、式を落とされて静かに眠っていた。いや、眠らされていた。
「おやつ~」
「って、猫!?」
そして幽々子の手の中にあった。
その経緯はこうだ。寝ていた橙を幽々子が見つけ、その時はお腹がいっぱいだった彼女は近くの湖で橙を水洗いしてから懐に放り込んだ。もちろん、式が落ちたのはその時である。
「にゃ~」
「ちょっと、こんなところで猫の解体はやめてくれないかしら?」
「・・・そういう貴方もこんなところで血を飲むのはどうなのかしら?」
レミリアの手にある紅いパックを見て、永琳は苦笑する。レミリアの手にあるのは自分が留守の間に人間が取れない可能性を危惧したメイド長が置いていった『輸血パック』と言う品物だ。
「あら、失礼ね。貴方だって植物の血を抽出した液体を飲んでいるじゃない」
「・・・なんかそう言われると嫌だね」
「うん」
あらあら、と言って笑う永琳の横で、ミスティアとてゐがそんな会話を交わしている。
何故か一緒に行く事になったミスティアは、縮こまりながらもなんとか逃げ出さずにこの場にいた。幽々子から一番遠い場所にいる事は、まぁ仕方の無い事だろう。
「まぁいいわ。とりあえずあの子達は出かけてるみたいだし、今のうちに温泉でも入らない?」
そんな永琳の提案は、案の定あっさりと通るのだった。
そして温泉では日傘を差したまま温泉に浸かる吸血鬼や、一足早く尻尾をふかふかされている兔などが見られたのだが、それはまた別のお話。
ちなみになんとか逃亡した橙は、部屋の隅で丸くなっていたりする。
彼女たちが温泉から戻った時、それは始まる事だろう。数年後『幻想郷の物置』と称され、幻想郷中の謎を解き明かそうとした、迷探てゐの初めての物語が。
こうして事件は幕を開けた。
*らいらっくさんのネタまで無断で使ってすいません。
*これは番外編ですが、『5面ボスの、5面ボスによる、5面ボスの為の夏休み』序章~第四話を読んでくれると嬉しいです。
これは表舞台に現れる事なく幕を閉じた、とても些細な事件の記録である。
紅魔館に程近い湖。そしてそこに住む氷精チルノ。
彼女はとても暇だった。
「大妖精もいないし、何しよう?」
湖に映る自分の影に話しかけながら腕を組み、う~んと唸りつつ悩むチルノ。程なくして、彼女には妙案が思い浮かんだようだ。
「ルーミアかリグルを誘って、屋台に殴りこみ。これよ!」
そんな氷精の上を、紅い館のお嬢様がふよふよと飛んでいたのだが、彼女がそれに気づく事はないのであった。
皆の晩御飯、ミスティアローレライ。彼女は今、大変な問題に直面していた。
理由は1つ。屋台で出す予定だった八目鰻がまったく取れなかったのだ。
「はぁ。しょうがない。今日はお休みにして歌でも歌お」
そう結論したミスティアは、水びたしの服を乾かす為に空へと舞い上がった。
高速で飛び回り、その遠心力で水を振り払いつつ、風で乾燥させるという荒業だ。
「あ~、ご飯が飛んでるわねぇ」
「えぇぇ!?」
そこに突如乱入してきたのは冥界の食いしん坊万歳。じゃなくて、亡霊の姫、西行寺幽々子だった。
「今夜は焼き鳥ね」
「いーやー」
こうしていつもの追いかけっこが幕を開けたのだった。
ショタ疑惑の少女(?)、リグル・ナイトバグは困っていた。
原因は一緒に遊んでいたルーミア。彼女がいきなり、
「兔が食べたい」
と言ったせいだ。
リグルは必死に止めているつもりなのだが、如何せん彼女は押しに弱くルーミアの歩みを止めるには至っていない。
「あ、いた」
「だから帰ろ・・・って、えぇぇ!?」
つられてリグルが空を見上げると、そこには詐欺兔と小難しい事ばかり言う薬師の姿。しかもまだこちらには気づいていない様子だ。
「う~ん。勝てるかなぁ?」
「無理だよ。だから諦めよ」
リグルの必死の説得は、されど叶う事はずもなく。どうせこういう役どころなんだと、リグルが拗ねていたとかいないとか。
「そーなのかー。じゃあ、こっそりついて行って隙を見て食べよう」
「えぇ!?」
どうやらルーミアは詐欺兔をとって食べるつもりらしい。
勝てる訳ないじゃないと考えるリグルは、彼女達の弾幕で撃墜される自分の姿を克明に思い浮かべていた。
「リグル~、おいてくよ~」
「あ、待って~」
嫌だと思いつつも、置いていかれないように必死でついていく。それが彼女(?)リグル・ナイトバグなのであった。
詐欺兔、因幡てゐ。彼女は数刻前、上司である八意永琳と共に温泉旅館に行かないかと誘われた。
鈴仙だけ休みを貰うという理不尽な状況に熱烈に意義を申し立てていた彼女は、すぐさまそれに飛びついた。
「永琳様、どんなところなんですか?」
「ん? 古くてぼろいけど、露天風呂が素敵なところらしいわよ」
「へぇ。楽しみですね」
「そうね」
実際は永琳が作った薬の副作用が心配で鈴仙の様子をこっそり見に来ただけなのだが、それは永琳だけが知っている事実だ。単に弟子が恋しくなったという理由もあったりするのだが、それは本人すら自覚していない事である。
「あれ、あちらから何か飛んできますよ?」
「本当。何かしら」
すごい勢いで飛んでくる未確認飛行物体。
その正体は、
「あら、偶然ね」
「本当に偶然だわ。まだ陽も高いと言うのに、どうしました?」
「ちょっとね」
レミリア・スカーレット。紅魔館の主にして、紅い悪魔。
「そういう貴方こそ、どうしたの?」
「ちょっとね」
偉い人どうしの会話など興味のないてゐは、そんな2人の会話など聞いているはずもなく、まったく関係のないほうを見ていた。
と、そこには2つに増えた未確認飛行物体がこちらへ向って高速接近中だった。
「た~す~け~て~」
「小骨が多くても我慢するから~」
てゐの姿を確認したらしいミスティアが、その背後へと隠れるべく、進路を変える。
そしてそのてゐもまた本能で危機を感じたのか、反射的に永琳の背中へと隠れていた。
「あらあら、今日は珍しい人のオンパレードね」
「私の晩御飯~」
間延びした口調とは裏腹に、目を狩人のように光らせている幽々子。そして後ろに隠れているてゐとミスティアを見て、永琳はくすくすと笑った。
その更に後ろでは、彼女たちの登場で忘れ去られたレミリアが少し拗ねていたのだが、誰も気づいていない。
「幽々子さん、この子たちを食べるのは勘弁してもらえませんか?」
「うぅ~。でもお腹すいたの~」
「だったら私達と一緒に来ませんか? ごちそうしますよ」
「じゃあいく~」
食べ物に釣られてあっさりついていく事を決めてしまう幽々子。その姿を彼女の従者がみたら、きっと呆れ返る事だろう。
「ん、もしかしてお前達もか?」
「あら、じゃあ貴方も?」
こうして5人になったご主人様ご一行は、温泉旅館、極楽亭へと向ったのだった。
宵闇の妖怪、ルーミア。彼女は今、とても上機嫌だった。
「ごはんが増えた~♪」
「うぅ、ますます勝ち目が・・・」
「大丈夫よリグル。あたいは最強だから」
途中で合流したチルノのはとても乗り気で、既にリグル1人ではどうしようもない状況に陥っていた。しかも仲間が増えた事でルーミアの頭の中では、この計画は完璧なものとなっていた。
「ん、あそこに入るみたいね」
チルノの指摘に2人は頷く。永琳の声が聞えたと同時に、3人は耳をすませた。
「すいません」
「はい。飛び入りのお客様ですか?」
「はい。あぁ、それとお願いがありまして」
事情を説明した永琳が今泊まっている人間の隣の部屋をとる事を承諾させ、更に彼女たちには内緒だとお願いする。
とはいえ、聞き耳を立てている3人はそんな後半部分は聞いていなかったのだけれど。
「畏まりました。えっと、5名様でよろしいですか?」
「はい。あ、もしかすると増えるかもしれないんですが・・・」
「はい。その時はお申し付けください」
「すいません」
そうして中へ入っていく5人。ちなみに永琳の言葉の意味は「もしかすると姫も来るかもしれない」という彼女なりの配慮である。
それが裏目に出る事は、この時点では誰も気づいていなかった。
「よし、あたいたちも行くわよ!」
「「うん」」
こうして3人は無事、5人組の隣の部屋を確保したのだった。
もちろん、永琳の払いで。
式の式、橙。彼女は現在、式を落とされて静かに眠っていた。いや、眠らされていた。
「おやつ~」
「って、猫!?」
そして幽々子の手の中にあった。
その経緯はこうだ。寝ていた橙を幽々子が見つけ、その時はお腹がいっぱいだった彼女は近くの湖で橙を水洗いしてから懐に放り込んだ。もちろん、式が落ちたのはその時である。
「にゃ~」
「ちょっと、こんなところで猫の解体はやめてくれないかしら?」
「・・・そういう貴方もこんなところで血を飲むのはどうなのかしら?」
レミリアの手にある紅いパックを見て、永琳は苦笑する。レミリアの手にあるのは自分が留守の間に人間が取れない可能性を危惧したメイド長が置いていった『輸血パック』と言う品物だ。
「あら、失礼ね。貴方だって植物の血を抽出した液体を飲んでいるじゃない」
「・・・なんかそう言われると嫌だね」
「うん」
あらあら、と言って笑う永琳の横で、ミスティアとてゐがそんな会話を交わしている。
何故か一緒に行く事になったミスティアは、縮こまりながらもなんとか逃げ出さずにこの場にいた。幽々子から一番遠い場所にいる事は、まぁ仕方の無い事だろう。
「まぁいいわ。とりあえずあの子達は出かけてるみたいだし、今のうちに温泉でも入らない?」
そんな永琳の提案は、案の定あっさりと通るのだった。
そして温泉では日傘を差したまま温泉に浸かる吸血鬼や、一足早く尻尾をふかふかされている兔などが見られたのだが、それはまた別のお話。
ちなみになんとか逃亡した橙は、部屋の隅で丸くなっていたりする。
彼女たちが温泉から戻った時、それは始まる事だろう。数年後『幻想郷の物置』と称され、幻想郷中の謎を解き明かそうとした、迷探てゐの初めての物語が。
こうして事件は幕を開けた。
そして皆様、感想ありがとうございます。
>温泉は流水
温泉は突き詰めれば熱い湧き水なので流れでなく滞留しているという解釈です。他にも血という液体がOKなのだから水でなくお湯ならOKという解釈、温泉の成分により純粋に水でないから良いという解釈からこの作品内では『入れる』という設定になっています。2つ目はちょっと強引かもですが。
どれも納得いかない! と言う方は病は気からといいますし、呪いのような弱点なんてその程度には曖昧なのだという事にしておいてください。
リグル…がんばれ!
あとはらいらっくさんの公認を頂けたら完璧ですね!
えっと気付くのが大分遅れて何ていうかとても申し訳ないです
公認も何もネタなんか勝手に使って頂いて結構なのでw
EKIさんの藍橙編のSSとかも(勝手に)期待してますw
期待に答えられる様にがんばりますので、よろしくお願いします。
ちなみに続きは幻となりました。じゃなくて、続くか未定です。