ココは永遠亭。
いつもどうりに自室で引きこもり状態の輝夜が通常日課のアンリアルトーナメントを終え、珍しく勝利して帰ってきたそんな日のこと。
気分良くネット探索を続けていた彼女の目に、一つの気になる噂が飛び込んできた。
『眼鏡っ娘になれば頭がよく見え、更に人気も上がる』と言うそんな根も葉もない噂だったが、博麗霊夢やチルノといった幻想郷の住人達がかけはじめたのは間違いないらしく、信憑性も高い。
そこで輝夜は早速人気獲得作戦パートⅡ。
正式名称『眼鏡っ娘になって知的な私を大胆アピール、いつもの3倍増しに可愛くなった私にファンの視線は釘付けよ作戦』略して『眼鏡っ娘作戦』を開始した……。
――昼のこと。
みんなで昼食を食べた後、隣に座っていた永琳に声を描ける輝夜。
「前回の人気獲得作戦だけど、きっと涼宮ハルヒと言うキャラにこだわったのがいけなかったと思うの。先ほどの失敗を元に、今度は眼鏡をかけていつもの私とは違う所を見せようと思うんだけど、どう?」
「良い考えです。ですが、紅魔湖のチルノをはじめとして、博麗神社の霊夢。紅魔館のパチュリー、更には人気投票に関係など無いはずの香霖までもが眼鏡をかけてアピールし始めている昨今。姫様が眼鏡をかけていったところで、流行に乗ってやってきただけと取られかねません」
「永琳、こういう時こそ貴方の知恵が役に立つ時。私が紅魔湖のチルノや博麗神社の霊夢に勝てる方法を考えなさい」
「簡単です。姫様一人ではなく私、それにてゐやうどんげも含めた永遠亭メンバー全員で眼鏡っ娘になり、皆の前にあらわれればよいかと。一人では駄目でも複数なら通常の数倍のパワーを発揮すると言うのは昔からの常識。かの名将毛利元就もこういっておられます。1本の矢では簡単に折れてしまうが、3本の矢となれば簡単に折ることは出来ない。即ち……」
永琳が姫に長々と語っている間に、ちょこんと紛れ込んでいたてゐが言葉を挟む。
「前回は輝夜ばかりが目だってて楽しそうだったし私達も混ぜろ~~ってことよ」
「姫様がハルヒをやった隣でみくるや長門をやって一緒にならびたいな~とか横で見ながら考えてましたし、今回は一緒にやりたいです」
てゐの隣にはいつの間に来たのやら鈴仙までもがいる。
「そう、実はみんな人気獲得に意欲を燃やしていたのね」
……実際の所人気獲得に意欲を燃やしているのは輝夜ただ一人で、てゐや永琳は単純に楽しそうだから、鈴仙は輝夜がやるなら一緒にやりたいという別の思惑を持っているのは公然の秘密である。
とはいえ、眼鏡っ娘作戦の幕が切って落されたのである。
――眼鏡っ娘作戦その1 眼鏡選び。
眼鏡っ娘作戦の火蓋が切って落された次の日。
皆で昼飯を食べた大広間で、輝夜が手をパンパンと叩くと何処から出てきたのか香霖が現れた。
「眼鏡をご所望とのことですが、一体どのような物をご所望で?」
と、商人らしいスマイルを浮かべて手に持ったカバンを開く香霖。
香霖のカバンをゆっくり覗き込んでいた輝夜は鈴仙に話を振る。
「そうね~……どんなのが似合うと思う? 鈴仙」
「えっ、私が選んで良いんですか?」
急に話を振られてびっくりしたような顔をした鈴仙が恐る恐る輝夜の眼鏡を選ぶ。
「……姫様にはこのでっかくて丸いのが似合うと思います」
鈴仙の勧めに従い、でっかい丸眼鏡をかけてみる輝夜、その前にさっと鏡を用意する香霖。
香霖の用意した手鏡から覗いた自分の姿を確認した輝夜、その姿を確認して満足げに頷くと、自分は永琳に眼鏡を選んでやることにしたようだ。
カバンの中からじっくりと吟味すると、永琳に手渡す。
「あの……この眼鏡はさすがにどうかと思うのですが……ですが、姫様から見た私に似合う眼鏡、ありがたくかけさせてもらいます」
「あはは……ホントよくにあって(笑」
掛けさせた当人はお腹を抱えて笑っている。
「意外と似合ってるわね……楽しすぎるくらい」
おなじくてゐが容赦ない言葉をかける。
鈴仙は流石に笑っちゃいけないと思っているのか声を出さないが、顔は笑いをこらえるのに必死だった。
そう……輝夜が永琳に渡した眼鏡は鼻眼鏡、パーティーの宴会に使うようなヒゲとかデカ鼻とかついたアレである。
流石にそんなものが永琳に似合うなどとは当人も思っては居ないだろうが、ここら辺はきっと長年の付き合いからの冗談なのであろう。
ひとしきり笑った後、輝夜は永琳に別の眼鏡を渡した。
「……あぁホンっとーに楽しかったわ。さんざ笑ったことだし、本命はコレ。掛けてみてくれる?」
輝夜の手から一つの眼鏡が手渡される。
先ほどの輝夜に渡された眼鏡のレンズの部分が小さくなったタイプの眼鏡。
どちらかと言うとファッション用とも言うべきその眼鏡をかけた永琳は、香霖の用意した鏡を覗く。
ひとしきり見て満足した永琳。今度は鈴仙の方を向くと、そこではてゐがあれでもないこれでもないと鈴仙の眼鏡を選んでいる最中だった。
「鈴仙ちゃんの眼鏡難しいなぁ……。鈴仙ちゃん元が良いからホント、どんなのも似合っちゃうのよね~」
「この眼鏡……いやいや、この眼鏡も捨てがたいわね~~」
「てゐ。私はどんなのでも良いよ」
色々と悩んでいるてゐに声をかける鈴仙。
元が良いのにあんまりファッションにこだわらない鈴仙を弄るのは楽しいのだろう。
永琳は眼鏡を色々選んでいるてゐの傍に寄ると、悩んでいる中からそっと一つ選んで、鈴仙に手渡した。
「てゐ。永琳様、ありがとう」
渡された眼鏡は薄緑色のモノアイ。鈴仙の赤い目を薄緑色にする片眼鏡。
かけると、いつもより神秘的な雰囲気が増すその眼鏡をかけた自分の姿を確認するとニッコリと微笑む鈴仙。
鏡を見て確認するとてゐに振り向いた。
「さて、てゐ。後は貴方だけね」
「どんな眼鏡を探してくれるのか楽しみね~~」
鈴仙がてゐの眼鏡を探しに香霖のカバンをあさること数分。
鈴仙の手にはでっかい、雪の日に描けるような大型の眼鏡。
彼女から眼鏡を頭に乗っけると鏡を確認するてゐ。
なかなか様になっている姿に満足すると、
「なかなか似合ってるわ~。ありがと、鈴仙ちゃん♪」
と、元気そうに答える。
こうして、自分たちの眼鏡を決めると香霖を返し、眼鏡選びを終了したのだった。
――眼鏡っ娘作戦その2 アピール場所選び。
眼鏡を選んで服も整えた4人は永遠亭の広間に集まると、アピールする場所を探す事にした。
もっとも、最初に眼鏡を選んだときに普段着ている服に合わせたので、服自体は変更されていないのだが。
「それでは、会議を始めます。意見のある方は挙手の後、発言をお願いします」
永琳の声と共に会議が始まる。
「んーー、紅魔湖の近くなんてどうかな? あそこなら天気も良いし、ピクニックにはもってこいだと思うわ」
会議が始まって最初に意見を出したのはてゐ。
輝夜&自分たちの眼鏡お披露目会と言うのをすっかり忘れているのかいないのか、楽しそうな発言をするそのてゐをキッチリ無視する輝夜。
「ピクニックはおいといて……お披露目会に良い場所はないかしら?」
輝夜の発言に対して鈴仙が答える。
「博麗神社なんてどうでしょうか? あそこなら宴会時に沢山の妖怪達が来ますよ」
「宴会時以外は魔理沙と霊夢しかいないじゃない」
輝夜が鈴仙の発言を却下すると、今度は永林から意見が出た。
「いっそのこと萃香に頼んで人を萃めてもらうのはどうでしょうか?」
「わざわざこんなことのために萃香に頼むのはイヤだし、何より萃香にたのんで妙な勝負挑まれるのはもっとイヤよ」
と永琳の意見も却下する。
3人とも意見を却下され、当人もあまり良い案が出ない……静かな重い空気が流れる中、鈴仙が再度手を上げると発言した。
「博麗神社で宴会をやるようもちかけて宴会にあわせてお披露目するのはどうでしょうか?」
「それなら問題はないわ。でも、宴会をやるとして何か理由が欲しいわね」
鈴仙の意見をとって宴会をやることにした輝夜、だが宴会をやるとなれば一応の大義名分と言う物が必要。
彼女が大義名分を考えていると今度は永琳が一計を案じた
「宴会の理由……そうですね。花火大会をやるのでというのはどうかしら?」
「花火大会? それはいいけど、花火なんてここら辺にあったのかしら?」
「姫様、私を誰だと思ってます。花火の調合法などとうの昔に習得済み、材料もそれなりには残っていますし、足りない分は配下に集めさせれば花火大会には事足りると思います」
「わかったわ、永琳。後のことはよろしくね」
こうして、眼鏡っ娘作戦第二段、盛大な宴会で眼鏡っ娘を盛大にアピール作戦も無事終了。
いよいよ後は本番を残すのみ……。
――眼鏡っ娘作戦その3 本番デビュー
本番。
それから数日、研究室に永林が篭り、時々配下のウサギたちを使って材料をかき集めたり、鈴仙を呼んで材料の調合を進めたりと忙しい日々を過ごし、ついにその日がやってきた。
眼鏡っ娘デビューとしてはかなり遅くなった4人は眼鏡に浴衣のいでたちで宴会場に到着。
花火大会の報道用と証して文まできっちり呼び、ステージまで用意して主催者挨拶の舞台まで用意して、いよいよスタートだ。
開始時間は6時……と書いて配下のウサギたちに配らせておいた訳なのだが。
「何よコレは」
6時きっかりに会場に入った4人は呆然とした。
というのも、スタートの合図も待たずに霊夢たちは宴会を開始していたからだ。
「霊夢たちが何もせずに素直にまってる訳は無いわね」
輝夜が残念そうに言うと、てゐがちょこんとでてきて突っ込みを入れる。
「特に魔理沙とかチルノとか待ってないわよね~」
「うう……うっかりしていたわ」
本格的にしょぼんとしていた最中、良く通る声で文が元気良くアナウンスを始める。
「さて、主催者からの挨拶です、輝夜さんどうぞ」
「本日は、永遠亭主催の花火大会にお集まりいただき、ありがとうございます……」
輝夜がキッチリとした態度で眼鏡をきらりと輝かせ、会場にアナウンスを始める。
その態度はいかにも美人生徒会長とかそんな風貌でカッコイイのだが……。
――見てる人は少ないわね
こちらの方を注目してみてくれているのも居るには居るのだが、見ているのは永遠亭連中とか慧音やら香霖やら霊夢やらの比較的真面目でこちらを良く知っている連中。
そんな連中にアピールしたところで輝夜たちの人気がうなぎのぼりに上がるはずも無い。
「今回は月に住むウサギたちに対するねぎらいと、幻想郷に住む人々に対する感謝の気持ちを……」
とは言え、月の長としての役目をキッチリ行っていく輝夜。
彼女がひとしきりアピールを終え、舞台の後ろに控えていた永琳や鈴仙と共に戻ると永琳からねぎらいの言葉がかけられた。
「姫様、ご苦労様です」
「見てるのは少なかったけどね。あーあ、今回の計画も失敗だったかな」
「霊夢達が見ていましたし、まだ失敗とは決まっていませんよ。宴会は始まったばかり、一緒に楽しみましょう」
「人気投票だけが結果じゃないし、面白かったからいいわね」
「私やてゐにとっても楽しいイベントでしたよ♪」
輝夜が永琳と今回の舞台について話していると遠くから呼ぶてゐの声が聞こえた。
「輝夜~、永琳~~テーブルは確保したわ~、一緒に飲も~」
「てゐが呼んでるわね」
「まったく、あの子はいつになっても元気ね」
「それがあの子の良いところ、待たせても悪いし、いきましょうか」
「そうしましょう」
宴会は始まったばかり。人気が上がったかどうかは当人達にもわからないそんな出来事。
いつもどうりに自室で引きこもり状態の輝夜が通常日課のアンリアルトーナメントを終え、珍しく勝利して帰ってきたそんな日のこと。
気分良くネット探索を続けていた彼女の目に、一つの気になる噂が飛び込んできた。
『眼鏡っ娘になれば頭がよく見え、更に人気も上がる』と言うそんな根も葉もない噂だったが、博麗霊夢やチルノといった幻想郷の住人達がかけはじめたのは間違いないらしく、信憑性も高い。
そこで輝夜は早速人気獲得作戦パートⅡ。
正式名称『眼鏡っ娘になって知的な私を大胆アピール、いつもの3倍増しに可愛くなった私にファンの視線は釘付けよ作戦』略して『眼鏡っ娘作戦』を開始した……。
――昼のこと。
みんなで昼食を食べた後、隣に座っていた永琳に声を描ける輝夜。
「前回の人気獲得作戦だけど、きっと涼宮ハルヒと言うキャラにこだわったのがいけなかったと思うの。先ほどの失敗を元に、今度は眼鏡をかけていつもの私とは違う所を見せようと思うんだけど、どう?」
「良い考えです。ですが、紅魔湖のチルノをはじめとして、博麗神社の霊夢。紅魔館のパチュリー、更には人気投票に関係など無いはずの香霖までもが眼鏡をかけてアピールし始めている昨今。姫様が眼鏡をかけていったところで、流行に乗ってやってきただけと取られかねません」
「永琳、こういう時こそ貴方の知恵が役に立つ時。私が紅魔湖のチルノや博麗神社の霊夢に勝てる方法を考えなさい」
「簡単です。姫様一人ではなく私、それにてゐやうどんげも含めた永遠亭メンバー全員で眼鏡っ娘になり、皆の前にあらわれればよいかと。一人では駄目でも複数なら通常の数倍のパワーを発揮すると言うのは昔からの常識。かの名将毛利元就もこういっておられます。1本の矢では簡単に折れてしまうが、3本の矢となれば簡単に折ることは出来ない。即ち……」
永琳が姫に長々と語っている間に、ちょこんと紛れ込んでいたてゐが言葉を挟む。
「前回は輝夜ばかりが目だってて楽しそうだったし私達も混ぜろ~~ってことよ」
「姫様がハルヒをやった隣でみくるや長門をやって一緒にならびたいな~とか横で見ながら考えてましたし、今回は一緒にやりたいです」
てゐの隣にはいつの間に来たのやら鈴仙までもがいる。
「そう、実はみんな人気獲得に意欲を燃やしていたのね」
……実際の所人気獲得に意欲を燃やしているのは輝夜ただ一人で、てゐや永琳は単純に楽しそうだから、鈴仙は輝夜がやるなら一緒にやりたいという別の思惑を持っているのは公然の秘密である。
とはいえ、眼鏡っ娘作戦の幕が切って落されたのである。
――眼鏡っ娘作戦その1 眼鏡選び。
眼鏡っ娘作戦の火蓋が切って落された次の日。
皆で昼飯を食べた大広間で、輝夜が手をパンパンと叩くと何処から出てきたのか香霖が現れた。
「眼鏡をご所望とのことですが、一体どのような物をご所望で?」
と、商人らしいスマイルを浮かべて手に持ったカバンを開く香霖。
香霖のカバンをゆっくり覗き込んでいた輝夜は鈴仙に話を振る。
「そうね~……どんなのが似合うと思う? 鈴仙」
「えっ、私が選んで良いんですか?」
急に話を振られてびっくりしたような顔をした鈴仙が恐る恐る輝夜の眼鏡を選ぶ。
「……姫様にはこのでっかくて丸いのが似合うと思います」
鈴仙の勧めに従い、でっかい丸眼鏡をかけてみる輝夜、その前にさっと鏡を用意する香霖。
香霖の用意した手鏡から覗いた自分の姿を確認した輝夜、その姿を確認して満足げに頷くと、自分は永琳に眼鏡を選んでやることにしたようだ。
カバンの中からじっくりと吟味すると、永琳に手渡す。
「あの……この眼鏡はさすがにどうかと思うのですが……ですが、姫様から見た私に似合う眼鏡、ありがたくかけさせてもらいます」
「あはは……ホントよくにあって(笑」
掛けさせた当人はお腹を抱えて笑っている。
「意外と似合ってるわね……楽しすぎるくらい」
おなじくてゐが容赦ない言葉をかける。
鈴仙は流石に笑っちゃいけないと思っているのか声を出さないが、顔は笑いをこらえるのに必死だった。
そう……輝夜が永琳に渡した眼鏡は鼻眼鏡、パーティーの宴会に使うようなヒゲとかデカ鼻とかついたアレである。
流石にそんなものが永琳に似合うなどとは当人も思っては居ないだろうが、ここら辺はきっと長年の付き合いからの冗談なのであろう。
ひとしきり笑った後、輝夜は永琳に別の眼鏡を渡した。
「……あぁホンっとーに楽しかったわ。さんざ笑ったことだし、本命はコレ。掛けてみてくれる?」
輝夜の手から一つの眼鏡が手渡される。
先ほどの輝夜に渡された眼鏡のレンズの部分が小さくなったタイプの眼鏡。
どちらかと言うとファッション用とも言うべきその眼鏡をかけた永琳は、香霖の用意した鏡を覗く。
ひとしきり見て満足した永琳。今度は鈴仙の方を向くと、そこではてゐがあれでもないこれでもないと鈴仙の眼鏡を選んでいる最中だった。
「鈴仙ちゃんの眼鏡難しいなぁ……。鈴仙ちゃん元が良いからホント、どんなのも似合っちゃうのよね~」
「この眼鏡……いやいや、この眼鏡も捨てがたいわね~~」
「てゐ。私はどんなのでも良いよ」
色々と悩んでいるてゐに声をかける鈴仙。
元が良いのにあんまりファッションにこだわらない鈴仙を弄るのは楽しいのだろう。
永琳は眼鏡を色々選んでいるてゐの傍に寄ると、悩んでいる中からそっと一つ選んで、鈴仙に手渡した。
「てゐ。永琳様、ありがとう」
渡された眼鏡は薄緑色のモノアイ。鈴仙の赤い目を薄緑色にする片眼鏡。
かけると、いつもより神秘的な雰囲気が増すその眼鏡をかけた自分の姿を確認するとニッコリと微笑む鈴仙。
鏡を見て確認するとてゐに振り向いた。
「さて、てゐ。後は貴方だけね」
「どんな眼鏡を探してくれるのか楽しみね~~」
鈴仙がてゐの眼鏡を探しに香霖のカバンをあさること数分。
鈴仙の手にはでっかい、雪の日に描けるような大型の眼鏡。
彼女から眼鏡を頭に乗っけると鏡を確認するてゐ。
なかなか様になっている姿に満足すると、
「なかなか似合ってるわ~。ありがと、鈴仙ちゃん♪」
と、元気そうに答える。
こうして、自分たちの眼鏡を決めると香霖を返し、眼鏡選びを終了したのだった。
――眼鏡っ娘作戦その2 アピール場所選び。
眼鏡を選んで服も整えた4人は永遠亭の広間に集まると、アピールする場所を探す事にした。
もっとも、最初に眼鏡を選んだときに普段着ている服に合わせたので、服自体は変更されていないのだが。
「それでは、会議を始めます。意見のある方は挙手の後、発言をお願いします」
永琳の声と共に会議が始まる。
「んーー、紅魔湖の近くなんてどうかな? あそこなら天気も良いし、ピクニックにはもってこいだと思うわ」
会議が始まって最初に意見を出したのはてゐ。
輝夜&自分たちの眼鏡お披露目会と言うのをすっかり忘れているのかいないのか、楽しそうな発言をするそのてゐをキッチリ無視する輝夜。
「ピクニックはおいといて……お披露目会に良い場所はないかしら?」
輝夜の発言に対して鈴仙が答える。
「博麗神社なんてどうでしょうか? あそこなら宴会時に沢山の妖怪達が来ますよ」
「宴会時以外は魔理沙と霊夢しかいないじゃない」
輝夜が鈴仙の発言を却下すると、今度は永林から意見が出た。
「いっそのこと萃香に頼んで人を萃めてもらうのはどうでしょうか?」
「わざわざこんなことのために萃香に頼むのはイヤだし、何より萃香にたのんで妙な勝負挑まれるのはもっとイヤよ」
と永琳の意見も却下する。
3人とも意見を却下され、当人もあまり良い案が出ない……静かな重い空気が流れる中、鈴仙が再度手を上げると発言した。
「博麗神社で宴会をやるようもちかけて宴会にあわせてお披露目するのはどうでしょうか?」
「それなら問題はないわ。でも、宴会をやるとして何か理由が欲しいわね」
鈴仙の意見をとって宴会をやることにした輝夜、だが宴会をやるとなれば一応の大義名分と言う物が必要。
彼女が大義名分を考えていると今度は永琳が一計を案じた
「宴会の理由……そうですね。花火大会をやるのでというのはどうかしら?」
「花火大会? それはいいけど、花火なんてここら辺にあったのかしら?」
「姫様、私を誰だと思ってます。花火の調合法などとうの昔に習得済み、材料もそれなりには残っていますし、足りない分は配下に集めさせれば花火大会には事足りると思います」
「わかったわ、永琳。後のことはよろしくね」
こうして、眼鏡っ娘作戦第二段、盛大な宴会で眼鏡っ娘を盛大にアピール作戦も無事終了。
いよいよ後は本番を残すのみ……。
――眼鏡っ娘作戦その3 本番デビュー
本番。
それから数日、研究室に永林が篭り、時々配下のウサギたちを使って材料をかき集めたり、鈴仙を呼んで材料の調合を進めたりと忙しい日々を過ごし、ついにその日がやってきた。
眼鏡っ娘デビューとしてはかなり遅くなった4人は眼鏡に浴衣のいでたちで宴会場に到着。
花火大会の報道用と証して文まできっちり呼び、ステージまで用意して主催者挨拶の舞台まで用意して、いよいよスタートだ。
開始時間は6時……と書いて配下のウサギたちに配らせておいた訳なのだが。
「何よコレは」
6時きっかりに会場に入った4人は呆然とした。
というのも、スタートの合図も待たずに霊夢たちは宴会を開始していたからだ。
「霊夢たちが何もせずに素直にまってる訳は無いわね」
輝夜が残念そうに言うと、てゐがちょこんとでてきて突っ込みを入れる。
「特に魔理沙とかチルノとか待ってないわよね~」
「うう……うっかりしていたわ」
本格的にしょぼんとしていた最中、良く通る声で文が元気良くアナウンスを始める。
「さて、主催者からの挨拶です、輝夜さんどうぞ」
「本日は、永遠亭主催の花火大会にお集まりいただき、ありがとうございます……」
輝夜がキッチリとした態度で眼鏡をきらりと輝かせ、会場にアナウンスを始める。
その態度はいかにも美人生徒会長とかそんな風貌でカッコイイのだが……。
――見てる人は少ないわね
こちらの方を注目してみてくれているのも居るには居るのだが、見ているのは永遠亭連中とか慧音やら香霖やら霊夢やらの比較的真面目でこちらを良く知っている連中。
そんな連中にアピールしたところで輝夜たちの人気がうなぎのぼりに上がるはずも無い。
「今回は月に住むウサギたちに対するねぎらいと、幻想郷に住む人々に対する感謝の気持ちを……」
とは言え、月の長としての役目をキッチリ行っていく輝夜。
彼女がひとしきりアピールを終え、舞台の後ろに控えていた永琳や鈴仙と共に戻ると永琳からねぎらいの言葉がかけられた。
「姫様、ご苦労様です」
「見てるのは少なかったけどね。あーあ、今回の計画も失敗だったかな」
「霊夢達が見ていましたし、まだ失敗とは決まっていませんよ。宴会は始まったばかり、一緒に楽しみましょう」
「人気投票だけが結果じゃないし、面白かったからいいわね」
「私やてゐにとっても楽しいイベントでしたよ♪」
輝夜が永琳と今回の舞台について話していると遠くから呼ぶてゐの声が聞こえた。
「輝夜~、永琳~~テーブルは確保したわ~、一緒に飲も~」
「てゐが呼んでるわね」
「まったく、あの子はいつになっても元気ね」
「それがあの子の良いところ、待たせても悪いし、いきましょうか」
「そうしましょう」
宴会は始まったばかり。人気が上がったかどうかは当人達にもわからないそんな出来事。
怒りを通り越して殺意が沸いてきます。
うどんげが永琳様はアリエナイ・・・
あと、てゐの呼び捨ても。
前の方の指摘したとおり鈴仙は永琳の事を様付けではなく師匠と呼んでます。
この辺は展開云々のレベルじゃないですよね?
東方についてしっかり勉強した上で書いてほしいものです。
もう一つ言えば、何でもかんでも萌を詰め込めばいいわけじゃないってことも併せて理解してほしいですね
顔見知りのように扱ってて、なおかつそれを違和感を
持たせるような形で描写しては……
さすがに鈴仙の永琳様は少し……。
でも話自体は面白いと思います。
四人のやり取りの中にとても温かいものを感じました。
鈴仙のことはともかくとして、ネタにけちをつけるのはいかがなものかと……
いいじゃないか、ハルヒとかアンリアルとかあったって。
誰もが知ってるネタなんてそうそう無いぞ。
てか、知らないなら調べるぐらいの気概を見せても良いと思うよ。
SSの感想だが、良いと思うよ。面白い。
特に出だしが良いよ。ネット上で人気を得るための輝夜にハァハァするわー
下の方の言うとおり積極的に調べて楽しもうとしてもいいと思いますよー
まあ、お堅い話はおいといて
私としては逆にてゐの呼び方気に入りましたw
あと、自分がネタ解らないからって叩くのは勝手すぎます。
キャラの呼び方がバグってるのはまあ、今後の課題で良いと思いますし。
そんなにキツく言わなくても。
あと、どうでもいいかもしれないこと。
>>渡された眼鏡は薄緑色のモノアイ。鈴仙の赤い目を薄緑色にする片眼鏡。
片眼鏡はモノクルだったような。モノアイはジオニックなあれだったような。