注意点
*これは絵板[6190] 5面ボス(中略)夏休み~夕食~を勝手にSSに仕立て上げたものです。セットでお楽しみください。
*これは第三話です。序章と第一話、第二話を先に読んで貰えると嬉しいです。
*前回がいろいろ過剰だった為、今回は控えめです。
*前回のお話で不快感を覚えた方がいましたら、深く謝罪させていただきます。
*EKIさん、もう何度目かのネタの無断使用並びに台詞の無断使用、しつこいですが本当にすいません。。
いろいろありながらもなんとか旅館へと戻ってきました従者様ご一行。
現在、彼女達は昨夜脱いだ後、畳んで置いたままになっていた服に着替えておりますので少々お待ちください。
少女着替え中
覗いちゃダメですよ?
今回は実況レポートもありませんので、悪しからずご了承ください。
十六夜咲夜は困っていた。
理由はいくつかあるのだけれど、今一番問題なのは・・・。
「お腹すいたね」
「うん・・・」
それが問題だ。
隣に座っている2人の声も、そして表情にもあまり元気がない。この子達がこんな顔をするなんて、この旅行が始まってから初めてじゃないかしら?
「咲夜さん、お昼どうしましょうか?」
「咲夜、どうしよう?」
「そうねぇ」
何故かこの旅行の保護者的立場になっている私は、この状況をどうにかしなければと頭を悩ませる。
食べない、という選択肢は却下。だったらどこかお店を探すしかない。でも、夕食の事もあるし・・・。
「お昼も大分過ぎたし、夕食が食べれないといけないから軽いものでも食べにいきましょうか?」
「お任せします」
「私も~」
私の意見に快く賛成してくれる2人。それはいいのだけれど、少しは貴方達も考えなさいよ・・・。
「じゃあ適当に食べるところを探しましょう。それでいいわね?」
「賛成です」
「私も~」
だから少しは自分で考えなさいよ
そんな事を考えながらも、すんなりと賛成を貰った事に安心しつつ、私は先頭を切って部屋を出る。そしていかにも観光地と言った趣の景色の中を、私達は食事の出来る場所を探して歩いた。
「私はキャロットケーキとキャロットジュースと野菜スティックで」
「それじゃあ私は抹茶のシフォンケーキと白玉ぜんざいの桜ソフトクリーム乗せをお願いします。あ、それとほうじ茶も」
「・・・貴方達、これが昼食代わりだってわかってるの?」
2人が頼んだ品物に呆れつつも、私は自分の前に回ってきたメニューへと視線を落とした。
ここは旅館から少し離れた所で見つけた『甘味所彼岸花』。軽食も在ります、という看板を見てここに決めたはずなのだけど・・・。
「お勧めケーキと紅茶のセットを頂くわ」
「かしこまりました」
くすくす笑う和装のウェイトレスさんを少しだけ恨みながら、私は突き刺さるようなウドンゲの視線から逃れるために窓の外へと視線を向けた。
「へー、咲夜。ふーん」
「はは。鈴仙さん、いいじゃないですか」
フォローしてくれている妖夢に感謝しつつ、私は心の中だけで言い訳をする事にした。
だっておいしそうだったんだもの・・・。
その後、ウドンゲがカキ氷を、妖夢がみつまめを、そして私がチーズケーキと苺大福、ところてんをおかわりしたのはどうでもいい事だ。
昼食(?)を終えた3人は、そのままの勢いで付近を観光しようという事になり、辺りを徘徊し始めた。
途中、買い食いをするたびに「幽々子様、ちゃんとご飯食べたかな」と呟く妖夢を見て2人が苦笑するという光景が見られたが、概ね平和に時間は過ぎていった。
「そろそろ戻りましょうか?」
「ぇー、もうちょっとだけ」
「あぁ、心配だなぁ」
また自分の世界に入ってしまった妖夢は無視し、鈴仙と咲夜は最後にお土産物屋さんを見てから帰ると決め、旅館にほど近い場所にあるお土産物屋さんへ向って歩き始めていた。
「ほら、妖夢。行くよ」
「あ、はい」
「食べ物を見るたびに思い浮かぶっていうのも、ちょっとあれよね」
「確かにそうだよね」
「う・・・」
2人の言葉に妖夢は言い返すことが出来ないようだった。
彼女は主の普段の行いを、一番身近で見ていたからこそいい返せなかった訳で、彼女に罪はない。しかし律儀な妖夢は「幽々子様、すいません」と心の中で謝っていたりする。
「そういえば、ウドンゲ」
「ん?」
「妖夢ってお昼、というか彼岸花でいろいろ食べていた時には何も言ってなかったわよね?」
「そういえばそうだったかも」
「それは、そのう」
遊びまわってすごく空腹だったので。
そう口に出そうとした言葉は、されど妖夢の口から放たれる事はなかった。そして、自分の事情で主人を蔑ろにするなんて従者失格だ、などと考えていたりする。真面目というには度が過ぎる思考である。
「ふふ。妖夢をからかうのはこのくらいにして、そろそろ行きましょうか?」
「うん、そうだね」
「からかう? って、あぁ。待ってくださいよぉ」
こうして3人はお土産物屋さんへと向って、再び歩き出したのだった。
魂魄妖夢は悩んでいた。
その理由はと言うと、幽々子様へのお土産を食べ物にするか、それとも食べ物以外にするかと言う事だった。
ちなみに他のお二人とは別々に探しており、たまに
「これとかどう思う?」
と、聞きに来る以外は別行動です。
・・・お二人ともいの一番に自分の主――レミリアさんと永琳さん――へのお土産を探しているようでした。人の事言えないじゃないですか。
「妖夢妖夢」
「はい、なんでしょう?」
咲夜さんが手に持っている玩具のナイフを差し出しながら「これどうかしら」といいながら私の腕に突き刺した。どうやら刺すと刃が引っ込む玩具らしい。
「・・・いいんじゃないですか?」
「そう? じゃあ1つ買っていこうかしら」
咲夜は「ありがとね」と言い残してまた別のお土産物を探す為に、別の棚へと行ってしまいました。そのお土産の用途がすごく気になるのですけど・・・。
それよりも今はこっちの問題を片付けなければと、私は慌てて元の思考へと戻りました。食べ物にすれば喜んでくれる事は間違いないですが、あっさりと、その場で、しかも一瞬で食べ終えてしまう幽々子様のお姿が容易に想像出来ます。別にいいんですけど、それはちょっと味気ない気もするんです。
だったら食べ物以外、たとえば置物や小物の類にすればいいと思われるかもしれませんが、それだと喜んで貰えるかが心配なんです。そもそも幽々子様にかかればそれすらも食べられてしまいそうな気がするので・・・。いえ、さすがの幽々子様もそんな事はなさらないと思うのですが。たぶん。
「妖夢、決まった~?」
「あ、もうちょっと待ってください~」
その後20分程悩んだのですが、結局は両方共買っていく事にしたのでした。
3人が旅館へ到着すると、そこにはいつもの女性が立っていた。
「おかえりなさいませ。どうでしたか?」
「ただいまー」
「はい。とても楽しかったです」
女性に答える鈴仙と妖夢。その隣にいる咲夜は何故かそれには答えず、彼女達よりも一歩、女性へと近づいた。
「すいません。ちょっとお願いがあるのですが」
「何でしょう?」
そして咲夜はちょっと失敗してしまい、自分達の服がびしょ濡れになってしまった事を話し、出来れば洗濯させて貰えないかと頼んだ。女性は「こちらで洗っておきましょうか?」と言ってくれたのだが、そこまで甘える訳にはいかないと咲夜は断り、洗濯の道具だけを貸してもらえる事になった。
「好きな時に使っていいから」
洗濯場の場所を聞いた3人は、そう言う女性にお礼を言ってから、とりあえず洗濯物を取ってこようと自分達の部屋へ戻った。
部屋は先ほど出た時のままだったが、唯一違うのは生乾きの洗濯物の匂いがしている事だった。
「ねぇ咲夜」
「何?」
「私は別に洗濯しなくても平気だから、ここで待ってていい?」
そう言う鈴仙は、濡れていない自分の着替え一式を指差している。濡れた服が部屋のあちらこちらに干してある中で唯一綺麗なままなその服を。
何故そんなものがあるのかと言うと、鈴仙が出かける時に遊び道具以外の物を「重い」と言って部屋に置いて行ったからに他ならない。その時は「散らかしちゃダメでしょ」と注意した咲夜だが、今は自分もそうすればよかったと後悔していた。
「そうね。私達も明日着る用の服だけにしましょうか」
「そうですね」
こうして3-1人は洗濯をする為、洗濯場へと向った。
それから少し経ち、洗濯もほぼ終わりに近づき、後は干すだけとなった頃。洗濯場には先ほどの女性の姿があった。
「干す場所も必用でしょ?」
彼女はそういって物干し竿のある場所へと案内してくれた。
2人はそこに1組づつ服を干し、彼女にお礼を言う。さすがに下着は部屋干しする事にしたのだけれど。
「そろそろ食事も出来てる頃ね。お腹すいてるでしょ?」
「「はい」」
昼食が遅かったし、買い食いもしたのだけれど2人は本当に空腹だった。一仕事終えた充実感が、空腹を呼んだのかもしれない。そういうところは根っから従者な二人なのだった。
「ふふ。食事、部屋に持っていってあげるから、部屋で待っててね」
その言葉に対して、2人から出たのは「え、でも・・・」という遠慮の言葉。鈴仙がいたならば「本当? ありがと!」で終わっていた事だろう。
しかし女性はそんな事は気にせず、朗らかに笑った。
「遠慮しないの。あんな大きな部屋に3人じゃ、ちょっと寂しいでしょ?」
結局女性の好意で食事は部屋で食べる事が決まり、お礼をいいながら2人が立ち去る事となった。
残された洗濯物を見下ろす月が「私に乾かせと?」と言っていたかどうかは定かではない。
鈴仙・U・イナバは喜んでいた。
目の前にはおいしそな料理の数々。昨日と違って1人ずつの膳に分けられておらず、大きめのお皿や器にたくさん盛られている。嬉しかったのはそこじゃない。嬉しかったのは。
「あつあつだ~」
「本当。出来立てみたいね」
そう、昨日準備されていた料理は少し冷めていたので、あつあつ出来立ての料理はすごく嬉しい。
「よし、さっそく食べよう」
「そうね」
「いっただっきま~す」
「いただきます」
「・・・いただきます」
目の前の料理を一口頬張る。うーん、出来立てのお料理ってやっぱりおいしいよね!
更にもう一口頬張っていると、私はもう1つのいつもよりおいしく感じる理由を思いつき、それを口にした。
「んー、運動の後のご飯はおいしいねー」
咲夜が「そうね」と返してくれたので、私はもっとに嬉しくなってしまう。彼女も同じ事を考えていたという、それだけの事が何故だかむしょうに嬉しかった。
私がもう一口食べようと箸を伸ばした瞬間、先ほどからまたぼぅっとしていた妖夢から反応が返ってきた。
「そうですね。…幽々子様、お腹空かせてないかなぁ…」
・・・どうやら妖夢はまた自分の世界、というか幽々子の心配に没頭しているらしい。
そんな彼女の様子に、私は少し呆れてしまう。
「もぅ、妖夢は朝からそんな事ばっかりね」
「いいのよ、ウドンゲ」
そんな不満げな私に向って、咲夜は悪戯っぽく微笑みながらウィンクして見せた。
ん? 合わせてって、何をだろ?
「それなら私達だけで楽しみましょう? はい、あ~ん」
その行動に一瞬虚をつかれてしまった私だが、何かが起こる事が知らされていたおかげですぐに立ち直る事が出来た。そしてにやりと笑ってそれに合わせ、口を開いた。
「そうね! あ~ん♪」
次の瞬間、トリップしていた妖夢は大きく目を見開き、こちらを見ていた。ふふ、反応としては上々ってとこかな?
「えっ!? あっ、今のウソ…じゃないけどっ…。 私も仲間に入れてください~!」
咲夜の摘む料理が私の口までやってくる。私はそれを、ぱくっ、と口に入れ、出来るだけ美味しそうに、そして幸せそうに食べた。
「はい、ウドンゲ。もう一口」
「あっ、あ~」
「妖夢はだ~め」
「えぇ、そんな!」
料理が零れんばかりの勢いでテーブルへと身を乗り出す妖夢。そんな可愛い反応が、すごく楽しく感じてしまう。その、もっと苛めたくなっちゃうというか・・・。
そんな微妙に危ない思考に、自分はそういう趣味はないはずなんだけどと思いながら、私は咲夜の方へと向き直る。わ、なんかすごい笑顔だし。
「妖夢は幽々子がいいんでしょ? ほら、ウドンゲ。早く口あけて」
「は~い。あ~ん」
「うぅ~。う~う~」
更にもう一口、ぱくっと咲夜の箸に食らいつく。もちろん、これも出来るだけ美味しそうに食べる事を忘れない。
それを見ている妖夢の反応があんまりにも可愛くって、私はついつい更に苛めたくなってしまう。もしかして、私も咲夜と同じ様な顔してるのかな?
「次は私のも食べてね。はい、あ~ん」
「あ~ん」
近くにあった料理をひとつ掴み、私はお返しにとばかりに咲夜の口へと運ぶ。
・・・そういえば咲夜は箸を持っていない方の手を添えて差し出してたっけ。そんな事も思いつかなかった私って、お行儀悪い?
「あぅ。意地悪しないで私も入れてくださいよ~」
「だ~め。ね~咲夜」
「ね~」
私の少し横に逸れた思考は長続きせず、私達はその後も妖夢をからかいながら楽しく食事を続けた。
その後、すっかり拗ねてしまった妖夢に2人で同時に「あ~ん」をしてまた困らせたりしながらも、私達は楽しく食事をしたのだった。
*これは絵板[6190] 5面ボス(中略)夏休み~夕食~を勝手にSSに仕立て上げたものです。セットでお楽しみください。
*これは第三話です。序章と第一話、第二話を先に読んで貰えると嬉しいです。
*前回がいろいろ過剰だった為、今回は控えめです。
*前回のお話で不快感を覚えた方がいましたら、深く謝罪させていただきます。
*EKIさん、もう何度目かのネタの無断使用並びに台詞の無断使用、しつこいですが本当にすいません。。
いろいろありながらもなんとか旅館へと戻ってきました従者様ご一行。
現在、彼女達は昨夜脱いだ後、畳んで置いたままになっていた服に着替えておりますので少々お待ちください。
少女着替え中
覗いちゃダメですよ?
今回は実況レポートもありませんので、悪しからずご了承ください。
十六夜咲夜は困っていた。
理由はいくつかあるのだけれど、今一番問題なのは・・・。
「お腹すいたね」
「うん・・・」
それが問題だ。
隣に座っている2人の声も、そして表情にもあまり元気がない。この子達がこんな顔をするなんて、この旅行が始まってから初めてじゃないかしら?
「咲夜さん、お昼どうしましょうか?」
「咲夜、どうしよう?」
「そうねぇ」
何故かこの旅行の保護者的立場になっている私は、この状況をどうにかしなければと頭を悩ませる。
食べない、という選択肢は却下。だったらどこかお店を探すしかない。でも、夕食の事もあるし・・・。
「お昼も大分過ぎたし、夕食が食べれないといけないから軽いものでも食べにいきましょうか?」
「お任せします」
「私も~」
私の意見に快く賛成してくれる2人。それはいいのだけれど、少しは貴方達も考えなさいよ・・・。
「じゃあ適当に食べるところを探しましょう。それでいいわね?」
「賛成です」
「私も~」
だから少しは自分で考えなさいよ
そんな事を考えながらも、すんなりと賛成を貰った事に安心しつつ、私は先頭を切って部屋を出る。そしていかにも観光地と言った趣の景色の中を、私達は食事の出来る場所を探して歩いた。
「私はキャロットケーキとキャロットジュースと野菜スティックで」
「それじゃあ私は抹茶のシフォンケーキと白玉ぜんざいの桜ソフトクリーム乗せをお願いします。あ、それとほうじ茶も」
「・・・貴方達、これが昼食代わりだってわかってるの?」
2人が頼んだ品物に呆れつつも、私は自分の前に回ってきたメニューへと視線を落とした。
ここは旅館から少し離れた所で見つけた『甘味所彼岸花』。軽食も在ります、という看板を見てここに決めたはずなのだけど・・・。
「お勧めケーキと紅茶のセットを頂くわ」
「かしこまりました」
くすくす笑う和装のウェイトレスさんを少しだけ恨みながら、私は突き刺さるようなウドンゲの視線から逃れるために窓の外へと視線を向けた。
「へー、咲夜。ふーん」
「はは。鈴仙さん、いいじゃないですか」
フォローしてくれている妖夢に感謝しつつ、私は心の中だけで言い訳をする事にした。
だっておいしそうだったんだもの・・・。
その後、ウドンゲがカキ氷を、妖夢がみつまめを、そして私がチーズケーキと苺大福、ところてんをおかわりしたのはどうでもいい事だ。
昼食(?)を終えた3人は、そのままの勢いで付近を観光しようという事になり、辺りを徘徊し始めた。
途中、買い食いをするたびに「幽々子様、ちゃんとご飯食べたかな」と呟く妖夢を見て2人が苦笑するという光景が見られたが、概ね平和に時間は過ぎていった。
「そろそろ戻りましょうか?」
「ぇー、もうちょっとだけ」
「あぁ、心配だなぁ」
また自分の世界に入ってしまった妖夢は無視し、鈴仙と咲夜は最後にお土産物屋さんを見てから帰ると決め、旅館にほど近い場所にあるお土産物屋さんへ向って歩き始めていた。
「ほら、妖夢。行くよ」
「あ、はい」
「食べ物を見るたびに思い浮かぶっていうのも、ちょっとあれよね」
「確かにそうだよね」
「う・・・」
2人の言葉に妖夢は言い返すことが出来ないようだった。
彼女は主の普段の行いを、一番身近で見ていたからこそいい返せなかった訳で、彼女に罪はない。しかし律儀な妖夢は「幽々子様、すいません」と心の中で謝っていたりする。
「そういえば、ウドンゲ」
「ん?」
「妖夢ってお昼、というか彼岸花でいろいろ食べていた時には何も言ってなかったわよね?」
「そういえばそうだったかも」
「それは、そのう」
遊びまわってすごく空腹だったので。
そう口に出そうとした言葉は、されど妖夢の口から放たれる事はなかった。そして、自分の事情で主人を蔑ろにするなんて従者失格だ、などと考えていたりする。真面目というには度が過ぎる思考である。
「ふふ。妖夢をからかうのはこのくらいにして、そろそろ行きましょうか?」
「うん、そうだね」
「からかう? って、あぁ。待ってくださいよぉ」
こうして3人はお土産物屋さんへと向って、再び歩き出したのだった。
魂魄妖夢は悩んでいた。
その理由はと言うと、幽々子様へのお土産を食べ物にするか、それとも食べ物以外にするかと言う事だった。
ちなみに他のお二人とは別々に探しており、たまに
「これとかどう思う?」
と、聞きに来る以外は別行動です。
・・・お二人ともいの一番に自分の主――レミリアさんと永琳さん――へのお土産を探しているようでした。人の事言えないじゃないですか。
「妖夢妖夢」
「はい、なんでしょう?」
咲夜さんが手に持っている玩具のナイフを差し出しながら「これどうかしら」といいながら私の腕に突き刺した。どうやら刺すと刃が引っ込む玩具らしい。
「・・・いいんじゃないですか?」
「そう? じゃあ1つ買っていこうかしら」
咲夜は「ありがとね」と言い残してまた別のお土産物を探す為に、別の棚へと行ってしまいました。そのお土産の用途がすごく気になるのですけど・・・。
それよりも今はこっちの問題を片付けなければと、私は慌てて元の思考へと戻りました。食べ物にすれば喜んでくれる事は間違いないですが、あっさりと、その場で、しかも一瞬で食べ終えてしまう幽々子様のお姿が容易に想像出来ます。別にいいんですけど、それはちょっと味気ない気もするんです。
だったら食べ物以外、たとえば置物や小物の類にすればいいと思われるかもしれませんが、それだと喜んで貰えるかが心配なんです。そもそも幽々子様にかかればそれすらも食べられてしまいそうな気がするので・・・。いえ、さすがの幽々子様もそんな事はなさらないと思うのですが。たぶん。
「妖夢、決まった~?」
「あ、もうちょっと待ってください~」
その後20分程悩んだのですが、結局は両方共買っていく事にしたのでした。
3人が旅館へ到着すると、そこにはいつもの女性が立っていた。
「おかえりなさいませ。どうでしたか?」
「ただいまー」
「はい。とても楽しかったです」
女性に答える鈴仙と妖夢。その隣にいる咲夜は何故かそれには答えず、彼女達よりも一歩、女性へと近づいた。
「すいません。ちょっとお願いがあるのですが」
「何でしょう?」
そして咲夜はちょっと失敗してしまい、自分達の服がびしょ濡れになってしまった事を話し、出来れば洗濯させて貰えないかと頼んだ。女性は「こちらで洗っておきましょうか?」と言ってくれたのだが、そこまで甘える訳にはいかないと咲夜は断り、洗濯の道具だけを貸してもらえる事になった。
「好きな時に使っていいから」
洗濯場の場所を聞いた3人は、そう言う女性にお礼を言ってから、とりあえず洗濯物を取ってこようと自分達の部屋へ戻った。
部屋は先ほど出た時のままだったが、唯一違うのは生乾きの洗濯物の匂いがしている事だった。
「ねぇ咲夜」
「何?」
「私は別に洗濯しなくても平気だから、ここで待ってていい?」
そう言う鈴仙は、濡れていない自分の着替え一式を指差している。濡れた服が部屋のあちらこちらに干してある中で唯一綺麗なままなその服を。
何故そんなものがあるのかと言うと、鈴仙が出かける時に遊び道具以外の物を「重い」と言って部屋に置いて行ったからに他ならない。その時は「散らかしちゃダメでしょ」と注意した咲夜だが、今は自分もそうすればよかったと後悔していた。
「そうね。私達も明日着る用の服だけにしましょうか」
「そうですね」
こうして3-1人は洗濯をする為、洗濯場へと向った。
それから少し経ち、洗濯もほぼ終わりに近づき、後は干すだけとなった頃。洗濯場には先ほどの女性の姿があった。
「干す場所も必用でしょ?」
彼女はそういって物干し竿のある場所へと案内してくれた。
2人はそこに1組づつ服を干し、彼女にお礼を言う。さすがに下着は部屋干しする事にしたのだけれど。
「そろそろ食事も出来てる頃ね。お腹すいてるでしょ?」
「「はい」」
昼食が遅かったし、買い食いもしたのだけれど2人は本当に空腹だった。一仕事終えた充実感が、空腹を呼んだのかもしれない。そういうところは根っから従者な二人なのだった。
「ふふ。食事、部屋に持っていってあげるから、部屋で待っててね」
その言葉に対して、2人から出たのは「え、でも・・・」という遠慮の言葉。鈴仙がいたならば「本当? ありがと!」で終わっていた事だろう。
しかし女性はそんな事は気にせず、朗らかに笑った。
「遠慮しないの。あんな大きな部屋に3人じゃ、ちょっと寂しいでしょ?」
結局女性の好意で食事は部屋で食べる事が決まり、お礼をいいながら2人が立ち去る事となった。
残された洗濯物を見下ろす月が「私に乾かせと?」と言っていたかどうかは定かではない。
鈴仙・U・イナバは喜んでいた。
目の前にはおいしそな料理の数々。昨日と違って1人ずつの膳に分けられておらず、大きめのお皿や器にたくさん盛られている。嬉しかったのはそこじゃない。嬉しかったのは。
「あつあつだ~」
「本当。出来立てみたいね」
そう、昨日準備されていた料理は少し冷めていたので、あつあつ出来立ての料理はすごく嬉しい。
「よし、さっそく食べよう」
「そうね」
「いっただっきま~す」
「いただきます」
「・・・いただきます」
目の前の料理を一口頬張る。うーん、出来立てのお料理ってやっぱりおいしいよね!
更にもう一口頬張っていると、私はもう1つのいつもよりおいしく感じる理由を思いつき、それを口にした。
「んー、運動の後のご飯はおいしいねー」
咲夜が「そうね」と返してくれたので、私はもっとに嬉しくなってしまう。彼女も同じ事を考えていたという、それだけの事が何故だかむしょうに嬉しかった。
私がもう一口食べようと箸を伸ばした瞬間、先ほどからまたぼぅっとしていた妖夢から反応が返ってきた。
「そうですね。…幽々子様、お腹空かせてないかなぁ…」
・・・どうやら妖夢はまた自分の世界、というか幽々子の心配に没頭しているらしい。
そんな彼女の様子に、私は少し呆れてしまう。
「もぅ、妖夢は朝からそんな事ばっかりね」
「いいのよ、ウドンゲ」
そんな不満げな私に向って、咲夜は悪戯っぽく微笑みながらウィンクして見せた。
ん? 合わせてって、何をだろ?
「それなら私達だけで楽しみましょう? はい、あ~ん」
その行動に一瞬虚をつかれてしまった私だが、何かが起こる事が知らされていたおかげですぐに立ち直る事が出来た。そしてにやりと笑ってそれに合わせ、口を開いた。
「そうね! あ~ん♪」
次の瞬間、トリップしていた妖夢は大きく目を見開き、こちらを見ていた。ふふ、反応としては上々ってとこかな?
「えっ!? あっ、今のウソ…じゃないけどっ…。 私も仲間に入れてください~!」
咲夜の摘む料理が私の口までやってくる。私はそれを、ぱくっ、と口に入れ、出来るだけ美味しそうに、そして幸せそうに食べた。
「はい、ウドンゲ。もう一口」
「あっ、あ~」
「妖夢はだ~め」
「えぇ、そんな!」
料理が零れんばかりの勢いでテーブルへと身を乗り出す妖夢。そんな可愛い反応が、すごく楽しく感じてしまう。その、もっと苛めたくなっちゃうというか・・・。
そんな微妙に危ない思考に、自分はそういう趣味はないはずなんだけどと思いながら、私は咲夜の方へと向き直る。わ、なんかすごい笑顔だし。
「妖夢は幽々子がいいんでしょ? ほら、ウドンゲ。早く口あけて」
「は~い。あ~ん」
「うぅ~。う~う~」
更にもう一口、ぱくっと咲夜の箸に食らいつく。もちろん、これも出来るだけ美味しそうに食べる事を忘れない。
それを見ている妖夢の反応があんまりにも可愛くって、私はついつい更に苛めたくなってしまう。もしかして、私も咲夜と同じ様な顔してるのかな?
「次は私のも食べてね。はい、あ~ん」
「あ~ん」
近くにあった料理をひとつ掴み、私はお返しにとばかりに咲夜の口へと運ぶ。
・・・そういえば咲夜は箸を持っていない方の手を添えて差し出してたっけ。そんな事も思いつかなかった私って、お行儀悪い?
「あぅ。意地悪しないで私も入れてくださいよ~」
「だ~め。ね~咲夜」
「ね~」
私の少し横に逸れた思考は長続きせず、私達はその後も妖夢をからかいながら楽しく食事を続けた。
その後、すっかり拗ねてしまった妖夢に2人で同時に「あ~ん」をしてまた困らせたりしながらも、私達は楽しく食事をしたのだった。
ちょwwww一人だけやけに多いですよ咲夜さんwwwwwww
>上場
上々だったような気が致します
ところで師匠あんた何作ったw
とりあえず全部読ませていただきました。
あささん、もっとやって下さい。
そしてついにEKIさん公認です! どうもありがとうございます。
ちなみに続編はEKIさんの温泉絵に期待しつつ、数日間ストップです(笑