Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

水着での弾幕バトルはお控えください

2006/07/23 02:31:51
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注意点

*これは絵板[6141] 5面ボス(中略)夏休み~水遊び~を勝手にSSに仕立て上げたものです。セットでお楽しみください。
*これは第二話です。序章と第一話を先に読んで貰えると嬉しいです。
*EKIさん、三度無断でネタを使ってすいません。台詞まで無断で使用して本当にごめんなさい。













 夜が明け、朝が訪れる。
 ここは温泉旅館極楽亭の一室、四季の間。そこでは3人の少女達がすやすやと寝息を立てていた。

「ん~、お嬢様。むにゃ」

 寝言を呟いたのは、自称完全で瀟洒な従者、他称悪魔の狗の十六夜咲夜。
 今はそのどれもが似合わない幸せそうな寝顔ですやすやと寝息を立てている。

「・・・ぅ”-」

 続いて苦しそうに唸っているのは、冥界の庭師にして半人半霊の半人前でもある、魂魄妖夢。
 1人用の布団に2人で眠っており、しかもその相手に抱きつかれているせいか寝苦しそうだ。

「・・・すー」

 そして妖夢に抱きついている張本人こと、月の兔、鈴仙・U・イナバ。
 彼女は妖夢の腰に足を、首に腕を回して抱きついて幸せそうにしている。

 さて、これだけならば単なる幸せそうな風景なのだが、実はここ、現在男子禁制状態なのである。え、何故かって?

ばさっ

 そう、問題はこれ。
 今は夏。そして夏は暑い。そして暑かったらどうするか。答えは簡単。布団なんて被っていられないし、出来る限り風が通るように無意識に服をはだけてしまう訳で。

ごろん

 ついでなので現在四季の間で眠っている3人の様子をもう少しだけ詳細に描写しておこうと思う。
 咲夜は布団を蹴り飛ばし、浴衣の前がはだけ、さらには裾もかなり捲くり上がって太ももが見えている。薄っすらとかいている寝汗がなんだか色っぽい。
 妖夢の方は鈴仙に、ぎゅっ、と抱きつかれており、布団は鈴仙の寝相によって遥彼方。ついでに裾も蹴り飛ばされており、かろうじて帯で止まっている状況。すらりと伸びている足がとても健康的。
 その鈴仙はというと、妖夢を足でホールドしている為、足は開いており、当然下着ほぼ丸見え状態。上のほうは妖夢にぴったり抱きついているせいで見えないのが残念、もとい、あまり乱れていない。

「ん・・・ふあ」

 おっと、誰かが起きだしてきたようなので今回のレポートはこの辺りで終了です。










 鈴仙・U・イナバは目を覚ました。

 目の前には困った様子の妖夢。そして背後から聞える声は咲夜のものだ。寝ぼけた頭をフル回転させ、ようやく私は師匠から夏季休暇貰って旅行に来ているのだという事を思い出した。

「ん。おはよ」
「おはよう。やっと起きたわね」
「鈴仙さ~ん、離してくださいよぉ」

 どうやら目の前の妖夢は動けないらしい。しかも私のせいで。
 何故こうなっているのかと言うと、それは昨日の夜にまで遡る事になる。

「妖夢~、一緒に寝よ♪」
「あ、はい」

 とまぁ、そんな訳で同じ布団に入った訳で。で、その結果、私が妖夢を抱き枕代わりにしてしまった、という感じ。

「ゴメンごめん。でも、もうちょっとだけ」
「ちょ、鈴仙さん、どこ触ってるんですか!」
「・・・仲がいいわね」

 うーん、妖夢の肌ってすべすべで気持ちいいなぁ。

「鈴仙さん、ホントにやめてくださいって。咲夜さんも見てないで助け、って、あふ」

 とまぁ、しばらくそんな風にじゃれあった後、私達は朝食を摂る為に昨日の大部屋まで移動していきましたとさ。










 拗ねてしまった妖夢をなんとか宥め、3人は昨夜と同じ大部屋で食事を摂っていた。

「・・・」
「妖夢、まだ怒ってる? 謝るから機嫌なおして、ね?」
「私も謝るから、許してあげて。ね、妖夢」
「・・・」

 しかし妖夢はというと、まともに返事も返さない。というか、なんだかぼぅっとしていた。

「・・・妖夢、どうかしたの?」
「もしかして、熱でもあるのかしら?」
「へ? いえ、そんな事は」

 2人が心配し始めた頃、妖夢からやっとまともな言葉が返って来た。
 しかしまたすぐにぼぅっとしてしまい、鈴仙と咲夜の心配は更に募ってしまう。

「妖夢、本当に大丈夫なの?」
「妖夢、変だよ。どこか具合でも悪いの?」
「いえ、そういう訳ではないんですけど・・・」

 じゃあどうしたの、という2人の視線に晒され、妖夢は恥ずかしそうに俯いた。

「ちょっと、幽々子様の事が心配になりまして」

 なんだそんな事か、と2人は思ったのだが、よく考えてみれば2人の主と違い、妖夢の主には彼女以外の従者はいないのだ。しかもその主人は・・・。

「えーっと、きっと大丈夫よ。うん」
「そうそう。あの人だって子供じゃないんだし」
「・・・子供の方がまだ安心出来る様な気もするんですけどね」

 ぽつりと呟かれた妖夢の言葉に、場が凍った。先ほど頭の片隅で考えていた事を、2人は同時に思い返す。
 あの人なら何があってもおかしくない。

「・・・このお魚、美味しいわね」
「・・・うん」
「・・・はぁ」

 当の主は食事をたかって幻想郷中を練り歩いている真っ最中なのだが、それは彼女達の知るところではない。
 そんな事がありながらも無事朝食を終え、彼女達は部屋へと戻る廊下を歩いていた。すると、正面からいつもの女性が歩いてくるのが見えた。 

「あら、お食事は済みましたか?」
「はい。とてもおいしかったです」
「うん、おいしかった!」
「ごちそうさまでした」

 礼儀正しく、もしくは元気に返された返事に、女性は「それはよかったわ」と笑顔で返した。
 3人そのまま一礼して立ち去ろうとしたのだが女性の口から零れた「そうだわ」と呟きによって引き止められてしまう。

「皆さん、これからどうなさるのかしら?」
「遊ぶ!」

 鈴仙の元気な返事に、女性は更に嬉しそうな笑顔を浮かべ「そう。よかったわね」と言って鈴仙の頭を撫で始めた。
 撫でるたびに長い耳が揺れ、咲夜は気が気でなかったのだが、それはきっと些細な事だ。

「何をするのかは決めてあるの?」
「いえ、今から相談する予定です」

 そう答える妖夢の姿は凛としており、浴衣は眠っている時とは正反対にびしっと着こなされている。そして先ほどの情けない顔とは大違いの、きりっとした表情を浮かべている。

「あら、それならこの旅館の裏にある山がお勧めよ。広い水場があるから涼しいわよ」
「そうなんですか?」
「えぇ。旅館の入り口を左に出ると裏に入っていく道があるから。後は道なりにいけば大丈夫だから」
「わざわざ親切にありがとうございます」

 3人で女性にお礼を言ってから別れ、部屋へと戻ると、そこには何故か3つの包みが置かれていた。
 その包みの中央にはそれぞれエプロンと一輪の花、赤い瞳が描かれていた。

「えーっと、これは何かしら?」
「さぁ? 妖夢、わかる?」
「いえ、さっぱりです」

 3人はそうしてあれこれと話し合うも、結局は「開けてみればわかる」という結論に達する。

「じゃあ、私はこれにしますね」

 最初に手を出したのは妖夢。手に取ったのはエプロンが描かれている包み。

「じゃあ、私はこれにするわ」

 次に手を出したのは咲夜。選んだのは赤い瞳が描かれた包み。

「残り物には福がある、かな?」

 そして最後に残った一輪の花が描かれた包みを鈴仙が手に取った。

「じゃあ、同時に開けるわよ。いい?」
「「うん」」

 咲夜の「はい」の合図と共にそれぞれがそれぞれの包みの中身を取り出す。

「布?」
「というか、水着ね」
「水着・・・そういえば持って来ていませんでしたね」

 何故こんな物があったのだろう。
 親切な誰かが買って置いておいてくれたのだろうか? いや、そんな都合のいい話がある訳がない。

「わかった!」

 唐突に大声を上げたのは、一輪の花が描かれた包みを捨て、水着だけを抱えていた鈴仙だった。

「これで泳げって事なんだよ!」
「「えぇぇ!?」」
「だからとりあえず着てみようよ」

 余りに短絡的な思考。
 しかし旅行と言うイベントに気分が高揚していたのか、それとも余りの鈴仙の勢いに押されたのか。理由は不明だが、とりあえず着てみるという鈴仙の提案に2人は頷いてしまった。

「ん・・・ちょっときついかも」

 一番最初に着替え終わったのは鈴仙。咲夜と「はしたないわよ」「いいじゃない、女の子しかいないんだし」という会話を交わす程に豪快に浴衣を脱ぎ去って着替え始めただけあってすごい速さだった。

「私もちょっとキツイかしら?」

 次に着替え終わったのは咲夜。で、残りの妖夢はというと。

「どうしたの、妖夢。着替えないの?」
「・・・これを見てもそういいますか? 鈴仙さん」

 妖夢が差し出したのは、先ほど包みから取り出した水着。正確に言えば、黒いビキニ。

「あー、うん。ゴメン」

 しかも、どこからどう見ても妖夢には会わないサイズなのだ。特に胸周りとか。

「うーん。もしかして間違えたかな?」
「そうかもね」

 緑色のワンピースを着ている鈴仙と、ピンクのビキニを着ている咲夜。二人とも少し窮屈そうだ。特に胸周りとか。

「えっと、交換してみよっか?」

 鈴仙の提案で交換してみると、妖夢には緑のワンピースが、鈴仙にはピンクのビキニが、そして咲夜には黒のビキニがぴったりだった。しかも各自の為にオーダーメイドされたかのように寸分の狂いもなく。

「私はぴったりで鈴仙さんはキツイ。キツイんだ。うぅ」
「あ、あはは。とりあえず支度して出発しようか? 折角水着も手に入ったんだし」
「そ、そうね。ほら、妖夢。準備するわよ」
「はい。しくしく」

 こうして妖夢の心に更なるダメージを与えつつ、3人は遊びに出かける準備を始めたのだった。










 魂魄妖夢は開き直っていた。

 胸の大きさなんて人それぞれで、気にしていたらきりがない。私だってそのうち育つもん。

「水着、下に着てきて正解だったわね」
「うん。着替える場所なんてないみたいだし」

 うん。だから咲夜さんの胸とか鈴仙さんの胸とかを見て落ち込むのはもうやめよう。うん。プラス思考プラス思考。

「とりあえず荷物はその辺りの木陰に置いておきましょうか?」
「うん。うー、早く泳ぎたいよ」
「妖夢、何してるの?」

 私が自分に色々と言い聞かせいている間に、鈴仙さんは既に服を脱ぎ始め、半ば水着姿になっていました。

「すいません。すぐ行きます」

 私は急いで合流し、少しだけ――本当にちょっぴりですよ?――2人の視線を気にしつつ、服を脱ぎ、水着姿になりました。

「わー。よし」

 何かを見つけたのか、鈴仙さんは水には入らず向こう岸へと走っていってしまいました。大きな岩のせいで姿は見えなくなってしまいましたが、鈴仙さんも子供ではないので大丈夫でしょう。

「あれ、ウドンゲは?」
「あ、何故かあちらに向って走っていきました」
「そう。とりあえず私達は入りましょうか?」
「はい」

 私達は手で水を掬い、水辺の岩――その中でも木陰になっている部分――に水をかけます。そうして座れるほどに冷えた事を確認してから腰掛、まず足の先だけを水につけました。

「んー。気持ちいいわね」
「そうですね」

 夏の強い日ざしの中で冷たい水に足を浸すのは、本当に気持ちがよかった。ん? 強い日差し?

「あー、咲夜さん」
「何かしら?」
「日焼け止め、持ってましたよね?」
「あ、えぇ。忘れてたわ」

 そういって咲夜さんは荷物の方へと戻っていき、日焼け止めを持って再び水辺へと戻ってきました。

「はい」

 咲夜さんは日焼け止めを私に手渡し、岩の上に寝転がろうとしたのですが。

「あつっ」
「だ、大丈夫ですか?」
「えぇ。平気よ」

 咲夜さんの下にある、人一人が寝転がるのに丁度良い大きさの岩。その一部分は木陰が途切れ、夏の日差しを直に浴びていてよく熱されているようです。私は周りを見回し、他に寝転がれそうな場所を探しますが、生憎木陰には手ごろな大きさの岩はありませんでした。

「水をかけても・・・文字通り、焼け石に水って感じね」
「そうですね。あ、そうだ」

 私は思いついた事を実行する為に、半身をむんずと掴み、咲夜さんへと手渡す為、彼女の目の前へと差し出しました。
 咲夜さんはその行動を訝しげな目で見ています。私、何か変な事をしたでしょうか?

「これ、使ってください」
「・・・いいの?」
「えぇ。幽体はさほど熱さを感じませんから」

 咲夜さんはおずおずと私の半身を熱された岩の部分へと置き、私のほうへと振り返りました。私が笑顔で返すと、咲夜さんは半身へと体を預け、岩の上へとうつ伏せに寝転びました。

「水は冷たくて気持ちいいし、静かでいい所ね」

 私が咲夜さんの背中に跨り、日焼け止めを手に出していると、下のほうから少し弾んだ声が聞えてきました。
 最初は少し不機嫌、というか嫌そうだった咲夜さんですが、今はとても楽しそうにしています。

「そうですね。でも日焼け止めはちゃんと塗らないと」
「ええ、念入りにお願いね」

 咲夜さんが笑顔になったのだと、雰囲気で伝わってきます。
 楽しそうに笑う咲夜さんは、とても綺麗で、でもどこか可愛くて。それだけでも羨ましいのに、私より胸も大きくて。なのにしかも

「鈴仙・U・イナバ!いっきまーす♪」「……咲夜さんって綺麗な身体してますよね…」

ザッパーン

「…ウドンゲの声でよく分からなかったけど、何か言った?」
「いえ? 別に」

 羨ましいな。
 少しべたつく日焼け止めを、咲夜さんのご注文どおり念入りに塗りながら、私はそんな事ばかり考えていたのでした。










 水遊びを満喫した従者様ご一行。
 彼女達は今、持参したタオルで体を拭きながら、楽しそうにおしゃべりをしていた。

「でも、妖夢の飛び込みにはびっくりしたよ」
「えへへ」
「咲夜の水着が流されそうになった時もびっくりしたけどね」
「・・・それはもう言わないで頂戴」

 水遊びを始めて数時間、太陽はほぼ真上へと登っていた。お昼時は過ぎてしまったのだが、昼食の事をすっかり忘れていた彼女達はとても空腹だった。それでも楽しそうではあるのだけれど。
 が、そんな3人の、いや、1人を覗いて2人の表情が翳ったのはそのすぐ後の事だった。

「そういえば、どこで着替えましょうか?」
「え、ここでいいんじゃない?」
「・・・あのね、貴方も一応女の子なんだから、少しは気にしなさいよ」

 人気が無いとはいえ、ここは野外。しかも障害物は木くらいしかない。さすがにそんな場所で着替えるのに抵抗を覚えるのは、女の子として当然の事。とはいえ、鈴仙はまったく気にかけてないようなのだが。

「じゃあ、水着のまま帰る?」
「それも却下。なんだか恥ずかしいし」
「そうですよね」

 むー、我侭だなぁと呟く鈴仙に、妖夢と咲夜は小さく溜息を吐いた。そして同じような事を考えていた。
 確かに3人とも女ばかりの家、もしくは館に住んでいる。だからといってこれはちょっと開けっ広げすぎでは?

「じゃあ、あっちの岩陰で着替える? 人が来るとしたらこっちの道からだろうし」
「そうですね。それなら」
「えぇ。私も構わないわ」

 妖夢の視線に答え、咲夜もまたそれに同意する。
 そして3人は荷物を持ち、岩陰へと移動を始めた。

「ふ~んふふんふふ~ん♪」
「ご機嫌ね、ウドンゲ」
「うん。楽しいもん。妖夢もそう思うでしょ?」
「うん」
「はいはい。でも、荷物を振り回すのはやめなさい」
「えー」
「危ないでしょ」

 しかし鈴仙は鞄を回すのをやめる気配はない。
 さすがにこれは、と思った咲夜がそれを止めるべく手を出し、鈴仙がその手をかわそうと鞄をひっこめる。そう、それが悪夢の始まりだった。

「えっ」
「いたっ」
「あ」

 鈴仙が咲夜の手から逃げようと動かした鞄に、妖夢の鞄が激突する。鈴仙が慌てて鞄をひっこめるが、妖夢の鞄は既に飛ばされ、空を舞っていた。更に鈴仙の鞄は咲夜の鞄に激突し、咲夜の鞄もまた、宙を舞った。

ぼちゃ、ぼちゃん。

「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

 その結果、鞄は見事、水の中へと飛び込んだ。

「あ、あははは。ご、ごめん」
「うーどーんーげー」
「鈴仙さん・・・」

 咲夜はもちろん、普段は温厚な妖夢もさすがに怒ったらしく、2人がじりじりと鈴仙へと詰め寄る。その形相は彼女達の名誉の為に黙秘しておく事にする。

「ゴメンってばー」
「待ちなさい。あんたの鞄も放り込んであげるわっ」
「うぅ、鈴仙さんのばかー」

 この追いかけっこは弾幕バトルにまで発展し、更に甚大なる被害が出たんだとか。










 十六夜咲夜は反省していた。

 いくら頭に血が上っていたとはいえ、さすがにやりすぎた。今思えば、せめてウドンゲの服が無事ならばこんな姿になることはなかったのだと思うと、更に落ち込んでしまう。

「ごめんなさい」
「あの、そんなに落ち込まないでください。私も共犯なんですし、咲夜さんだけのせいじゃないんですから」
「そうそう。元はと言えば私が悪いんだし。ごめんね?」

 現在の状況を説明すると、鞄は水浸し。当然中の服も水浸しで、唯一無事だったのは3人が首からかけていたタオルのみ。弾幕バトルなんてやったものだから、水着の方の被害も甚大だ。

「そうね。落ち込んでばかりいても仕方ないわ。とりあえず対策を考えましょ」
「そうですよ」
「うん。そうしよ」

 今無事なのはタオル3枚。水に沈んだ荷物を引き上げる為に再びびしょ濡れになった体を拭いたせいで、いくばくかは湿っているのだけれど。

「あー、ゴメン。私のはあんまり使えないかも」
「え?」

 そういってウドンゲは体に巻かれているタオルに触れるよう、促した。それに従って触れてみるとほとんど水浸しと言っていい常態だった。えーっと、なんで?

「えっと。私、髪長いから。それに2回も拭いたし」

 なるほど、それは盲点だった。とはいえ、今も体を隠すために使っているのだから、当人が使う分には問題はないだろうと私は思いなおす。

「じゃあ。それは貴方が使うって事でいいわね?」
「うん」
「私もかまいません」

 そして次に、私は自分の胸に巻かれいているタオルへと視線を向け、一言。

「とりあえずこの1枚私が使うのは問題ないわよね?」
「「もちろん」です」

 まぁ、当然だろうと咲夜は思う。弾幕ごっこの最中、肩紐が切られてしまい、私の水着は行方不明になってしまったのだから。念のためいっておくと、無くなったのは上だけで、下は健在よ?

「服も夏物ですし、濡れているのを着るのはちょっと嫌ですよね」
「そうね」

 妖夢の意見は当然だ。夏物の衣類は薄手で、薄手の布は濡れれば透ける。そんな服を着るのは勘弁してもらいたい。それがたとえ水着の上からであっても。

「で、妖夢。貴方はそのままでもかまわないかしら?」
「あ、はい。お二人に比べれば全然平気ですから」
「ごめんね~、妖夢」

 かといって妖夢の被害が小さい訳ではなく、ワンピースの水着は、今やワンピースでなくなっている。おへそが丸見えだし。

「えーっと、じゃあどうぞ」
「うん。ありがと」

 妖夢がウドンゲからタオルを渡され、私と同じように胸へと巻きつけた。ちなみに先ほどお風呂上りのように巻いていた自分のタオルは、今は腰に巻かれている。

「本当にごめんなさいね、ウドンゲ」
「大丈夫。ほら、これで大丈夫でしょ?」

 そう、一番被害が甚大だったのはウドンゲなのだ。
 2対1の集中砲火で水着はボロ布状態。だったら下着だけでも濡れているのを我慢して着ればいいと提案したのだが、なんと彼女は下着の替えを持っていなかったのだ。本人曰く「忘れたみたい」だそうだ。一応下は貸してあるのだけれど、上は私のじゃ大きすぎて着られないし、妖夢のに至ってはサラシなので透ける事間違いなし。

「じゃあ、帰ろっか」

 そんな一番悲惨な状況にあるウドンゲの、しかし一番元気な声で私達は旅館へ戻る道を歩き出した。
 部屋までの道中、誰にもあわなかった事に、私はまた信じてもいない神に感謝したのだけれど、それはきっとどうでも良い事だ。
 夜明け前、紅魔館内ヴワル魔法図書館。

「春の事件の時も思ったけど、咲夜がいないと暇ねぇ」

「あら、だったらどうしてお休みなんて出したの?」

「甘いわね、パチェ。そんなの思いつきに決まってるじゃない」

「はぁ、しょうがないわね」

「あ~、本当に暇だわ。門番でも呼んでからかって遊ぼうかしら?」

「その時には私も呼んでね」

「わかったわ」

「パチュリー様。お茶のおかわりはいかがですか?」

「お願いするわ。そうそう子悪魔」

「なんでしょう?」

「例の魔法の準備、よろしくね」

「畏まりました」

「ふぅん。新しい魔法?」

「いいえ。単なるおせっかいよ。あぁ、私もなんだかあの白黒に似てきたみたい。嫌だわ」

「よくわからないけど、楽しい事なら私も混ぜてくれなきゃダメよ?」

「もちろんよ、レミィ」

「うふふ。あら、そろそろ寝る時間だわ。またね、パチェ」

「そう。おやすみ、レミィ」
あさ
コメント



1.名無し妖怪削除
これはとても健康的なエロスですね
2.名無し妖怪削除
(*´Д`)ハァハァ ハァハァ ノ)ァノ)ァ ノ \ア ノ \ア・・・
咲夜さんの水着(上)が無くなった時系列がおかしい気がするけど(゚ε゚)キニシナイ!
3.名無し妖怪削除
おかしいな…とてもエロい光景のはずなのに読み終わったあと
とても爽やかな気分になるのは何故なんだ。
4.名無し妖怪削除
咲夜さんは半霊を抱き枕にしていると脳内変換
5.あさ削除
皆さん感想ありがとございます。
が、しかし1つだけ反論させて貰います。
この作品は別にえちくないです。女の子達が戯れる女子風呂や女子更衣室のように男の浪漫と夢が詰まっているだけです。たぶん。