Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

家族が増えました

2006/07/22 11:33:14
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ある曇りの日
アリス・マーガトロイドという名の人形遣いは、珍しく家から出ていた
向かう先は図書館では無く香霖堂、珍しい人形が入ったとの知らせを受けての事である
外の世界では大変高価なはずの人形が何故か打ち捨てられていた、どちらかといえば引き取り願いのようなものだった

香霖堂への道中、人形遣いは打ち捨てられたと言う人形の話に少し前に知り合った人形を思い出す
自分は人形達を捨てる気など一欠けらも無いが中には捨てる者もいる、それに怒りを覚える彼女は正しい
人形の悲しみと怒りは人形にしか分からない、それなら自分が引き取るより彼女に任せたほうが良いのかもしれない
其の方が人形にとっても幸せなのか、そんな取り止めの無い事を考えながら香霖堂へ到着

「やぁ、良く来てくれたね」

「・・・・人形は? 」

多少無愛想な対応だが香霖堂の店主は気にせず人形を取り出す
彼にとっては無愛想ぐらい可愛いもの、ツケと言っては強奪していく巫女に比べれば普通に代価を払うお客様である

「これだよ」

「・・・・・・・・これ? 」

それは異様な人形だった
黄色いピーマンのような形をしていながら虚ろな眼と大きな口と鋭い歯、手なのか角なのか白い突起物
極端な話で、可愛くなかった

「スプー人形と言うらしい、僕は知らないが同じ名前の人形があるらしいけど」

「スプー? 語源は何かしら? スプール、それともスプーン? spu、spoo、スポーン? 集合存在? スプーが名前と言う可能性も」

「考えているのを邪魔するようで失礼だが、ちょっと落ち着いてくれないかな」

「え? あ・・・・・・・ごめんなさい」

人形遣いは見た事も無い人形に興奮して取り乱したのが恥ずかしかったのか、顔を紅く染めて素直に店主に謝った
それに大して店主は気にしていないように頷いて、人形の珍しさについての説明を始める

「このスプー人形が何故捨てられていたかは知らないけど、捨てられたせいか変な力が働いているんだ」

「どんな? 呪いの人形になったの? 」

「それが本当に変わっていてね、嫌な過去を見せる程度の力が働いているんだ」

「過去を? 嫌な? 何でこの人形が? 普通は鏡や水晶球に宿る力なのに」

「本来は音楽で植物を成長させる程度の能力が宿っていたらしいが、何故能力が変わったのかは残念ながら分からない」

植物を成長させる程度の能力も凄いが、何故過去を見せるようになったのか人形遣いは凄く気になった
そしてどのような過去を見せるのかも気になる、基本的に好奇心が刺激された魔法使いと言う存在は止まらない

「嫌な過去、人形にとって嫌な過去なのか私にとって嫌な過去なのか。過去を見るには・・・・・うん、分かる。こうね」

「あ、ちょと待ってくれ! どんな危険があ




・・・・・・何も聞こえなくなった
人形遣いの意識が漂う、灰色の世界の中で自分と言う存在が曖昧になりながらも情報が飛び交うのを見る
此処は何処? 過去? どれくらい前?
場所は変わっていない、香霖堂で其処には変わらない店主と知り合いの白と黒がアクセントの魔法使いが何かを喋っている
魔法使いの姿もあまり変わっていない事からそれほど過去ではない事が分かる、それよりも二人は何を喋っているのだろう
何を喋っているのか気になって、人形と言う単語が聞こえると意識がはっきりとしてきた
なれない過去視に戸惑いながらも近づく、そして聞こえた

『そうか、さもしい一人芝居だな』

あ、そんなかすれる様な声が漏れるのを止めれなかった
賢い彼女は過去を見せる人形が見えない事からこれが自分にとって嫌な過去だと分かってしまう、だからこの言葉は彼女に言った言葉なのだろう
そう思われてたんだ、自分では分からない感情と共に納得する
魔法使いの眼から視れば、自分の操る人形も一人、独りのさもしい芝居のようなものだったのだろう

私は母のようになりたかった、一生懸命勉強して作った人形達を大切にした
母が私に優しくしてくれたように、人形達にも優しく出来るように頑張った
何を言われても別に悔しくなんか無い、私が人形達を大切に思っている事は間違っていない
そう自分に言い聞かせながら、拳を強く握る

涙で、視界が歪んだ




 るか分からないんだ! あまり不用意に使うのはやめておいたほうが良い! せめて何かしら準備を」

「・・・・・・・・・あ」

「してから・・・・・・・其の様子だと、何か見えたんだね? 」

人形遣いは、気がつけば泣いていた
足元では2体の人形が心配そうに人形遣いの足の裾を引っ張っている、涙を拭って笑顔で人形達を抱きしめた
そんな人形遣いを見ていた香霖堂の店主は、この人形が危険だと判断する

「この人形は、こちらで処分しておくよ」

「待って! 」

それを人形遣いが止める

「嫌な過去を見たいと思ったのは私、その人形はそれを実行しただけ。だから悪いのは私で、その人形は悪くないの」

「・・・・・大丈夫なのかい? 」

店主は人形遣いの心配をしていた、たとえ立派な魔法使いだろうと自分より小さな少女なのだ
心配しないはずが無い、代価を払ってくれるお得意様でもあるし

「大丈夫、この人形は私が受け取るわ」

「手に負えないと感じたら、返しに来てもいいから」

そう言いながらも、店主はそれは無いだろうと思っていた
人形遣いの眼に強い輝きを見たのだ、そんな眼をする少女達は絶対に諦めたりしない事を知っているから

こうして、スプー人形がアリス・マーガトロイドの手に渡ったのであった
本人の与り知らぬ所で、一つの恋が終わりを告げたから今日はスプー記念日
根っこ
コメント



1.名無し妖怪削除
ちょwwwwwスプーwwww
しかもなんか凄い能力に目覚めてるしwwww
2.名無し妖怪削除
スプーで爆笑すればいいのか、アリスの小さな成長で感動すればいいのかさっぱりわからねぇ!!
3.名無し妖怪削除
幻想郷逝き早いなスプーw
4.廿四削除
スプーー!?w
この調子だと次辺りはW杯のマスコットが来そう。