Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

妹紅さんはスペル製作の時、名前から入ります

2006/07/17 21:33:32
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幻想郷には歴史が在る。
歴史というのは積み重ねだ。
其れは決して大小を問うモノではない。
例えば先の永夜異変も、博麗の巫女が飢餓感のあまり自室の畳を貪り食っていたのも、歴史と云う観点から観れば何ら大差はないのだ。
勿論、其の重要性に関しては別の話になる。

おっと、自己紹介が遅れた。
私の名は上白沢 慧音。
此の幻想郷の歴史を司る半獣だ。
と、云っても別段「えらいんだぞー。キモいとか抜かしたら歴史書き換えて性格反転とかしちゃうぞー」とかは言わない。
面白そうではあるのだが。

「ねーねーけいねー」

「何だ妹紅?」

此処は私の家だ。
近くには人里が存在している。
私が此処に居を構えているのは、偏に人間が好きだからだ。
妖怪が里を襲おうとしていれば撃退し、また里の人間が困っていれば手を貸す。
そうやって私は生きてきた。
うむ、話が逸れた。
今、私に話しかけてきたのは藤原 妹紅と云う。
此れがどうにも放っておけない性格で、私はついつい手を出してしまう。
妹紅もそんな私を気に入ってくれているのか、一緒に行動する事が多い。

「輝夜との殺し合いもそろそろマンネリだから」

「うむ?やめる気になったのか」

それは素晴らしい事だ。そも殺し合いなど何も生まない。
誰も救われないのだ。
得られるモノなど血に染まった手と、もう戻れない道。
結末は一面の紅。修羅。心が上げる悲鳴。
そんな道に、私は妹紅を歩かせたくはない。

因みに輝夜と云うのは月の姫。そう、あの月だ。
禁忌とされる蓬莱の薬に手を出し、不死となってしまった存在。
妹紅もこの禁忌に手を出し、不死を手に入れた。
輝夜と妹紅は互いを憎みあい、暇さえあれば殺し合いをしている。

出来れば、妹紅には幸せになって貰いたいのだ。

「そんな訳ないじゃない。新スペル考えようと思って」

「ああ、成る程」

とは云うモノの、最近は妹紅も落ち着いてきている。
私が無理に止めても聞かないのだし、時間を掛けて道を示していけばいい。
何せ、時間だけなら腐る程にあるのだから。

「で、ね。フジヤマヴォルケイノの流れを汲んだスペルを考えてて」

「ほうほう」

おっと、折角妹紅が相談してくれているのだ。
しっかりと聞いてやらねばなるまい。

「サクラジマヴォルケイノとかどうかな?」

サクラジマ?島か。名は体を表す、とは云うが流石に情報が足りないな。

「いや、どうかなと言われても」

「小弾をランダム生成。ばら撒き型で本命は速めの櫻島大根弾」

……いかん、耳が遠くなったらしい。

「済まない。本命は何だって?」

「櫻島大根弾」

さくらじまだいこんだん?

「……いや、意味が良く解らないんだが」

「だからちょっと無骨な大き目の大根型の弾」

妹紅はにこやかに話してくれているが、いかんせんセンスがいけない。
と、いうか妹紅が大根飛ばしていたら貴族の娘というより百姓の娘だ。
モンペだし。

「それは……どうなんだろうなぁ」

「むー、折角考えたのに慧音はお気に召さないみたいね」

「いや、流石に大根云々っていうのはな」

色々と心の琴線に触れる。

「ならオソレヤマヴォルケイノならいいんでしょ!」

妹紅が猛る。余程大根を撃ちたかったのか。

「いや、ちょっと待て。先ず何でキレたのか解らん」
「でも私の前にイタコとかが使ってそうかな」

いかん、妹紅が壊れた。
OK,落ち着け私はハクタク。歴史の調停者。この程度の異変で頭を抱える訳にはいかない。

「妹紅、イタコはスペルなど使わないぞ」

いや、しかし昨今は巫女が空飛んで針やら札やら飛ばしたり結界張ったりする時代だからなあ。

「えー、そんな事ないと思うけど。想像してみてよ。イタコがスペル使うところ」

想像してみた。
吹いた。

イタコがスペル宣誓。
両の眼を見開いて何やら怪しげな呪言を紡ぎながらスペル発動。
霊を身体に降ろしトランス状態で弾幕操作。
口寄せで霊を召喚。髪を振り乱しながら、現れた霊を標的に射出。
速い小弾ばら撒きと霊に依る多段弾幕。
更にイタコビームとか叫びながら、怪しげな光線を標的に向かい的確に発射。
やっとの思いで倒したと思えば次のスペルだ。
ゲラゲラ嗤いながら「イタコヴォルケイノ」を発動。
待て、イタコがヴォルケイノしてどうする。
と、いうかどんなだ。気になる。気になるから早く発動しろ。
御託とかはいい。発動するんだ。

……恨めしい。
この溢れんばかりの想像力が恨めしい。
もう私の脳内ヴィジョンはイタコしか映していない。
止め処なくイタコ。イタコ一色。
違う、イタコはそんな事しない。
楽園の素敵なイタコなんて悪夢だ。
いや、別にイタコと巫女を置き換えろなどと条件を出された訳ではない。
落ち着け。
落ち着くのだ上白沢慧音。
イタコイタコ連呼して何になると云うのだ。

…………いや、イタコもアリ、か?

「けーね?」

はっ、いかんいかん。
イタコに洗脳されかけていたようだ。
恐るべしイタコ。そうか、これは強力な精神攻撃だな?
そうだ、そうに決まっている。
危うく乗っ取られる処だった。

「いや、助かったぞ。妹紅」

「? うん、どういたしまして?」

「しかしだな、矢張りイタコは危険だ。洒落じゃ済まない」

「えー、そうかなぁ」

「実際身を持って体感した私の云う事だ。別の案を考えた方がいい」

「実際?」

「うむ、流石はイタコと云う処か。里を襲ったりしなければいいが……」

「や、イタコは里を襲ったりしないと思う」

「楽観は出来ん!そうだ、今からでも里に注意を投げかけてこよう!」

「え、ちょ、けーね!?」

「妹紅は待っていてくれ!イタコが来ても無茶をするんじゃないぞぉぉぉぉぉ…………!」

私は言いながら、里に向かって駆け出した。
イタコなどに、私の愛する人間を手に掛けさせるものか!
いざとなれば歴史を食ってどうにか対処すればいい。
待っていろ里の人々よ!今私が行くからな!





私の家にぽつんと残された妹紅が、ぽかんと口を開けている事など知りもしなかった。
○月×日 天気:晴れ 記録者:妹紅

けーねにスペル製作の相談をしてから、けーねの様子がおかしい。
事ある事に「イタコの襲来か!?」とか「イタコが枕元に立つんだ」とか、おかしな事を繰り返すようになった。
まともなけーねは何処に行っちゃったんだろう。
あれ、けーね?どうしたの?
え?「イタコに対抗するにはイタコ」?
ちょ、修行に行くから里は任せたって、けーね!?
あ、行っちゃった……。
本当、どうしちゃったんだろ。
言乃葉
コメント



1.名無し妖怪削除
けーね想像力逞し過ぎwwwww
2.煌庫削除
先生、けーねさんが激しく妄想しすぎちゃってますがどうしましょうか?
それよりイタコが段々恐ろしくなってきたんですかどうしたらいいでしょうか!?
3.名無し妖怪削除
櫻島大根弾を想像して吹いた
イタコ想像して吹いた
むしろけーね壊れすぎw
4.翔菜削除
イタコやべぇええええぇwww
5.名無し妖怪削除
櫻島大根弾で筋肉番長思い出して噴いたwww
6.削除
駄目だ…ツボに入り過ぎちゃって、夜中なのに我慢が限界越えそうだ…いかん、夜中に大声はいかん…くくっ…
7.名無し妖怪削除
最初は妹紅が壊れる話なのかと思ってたら・・・
けーねがwwwwwwwwww
8.言乃葉削除
おかしなコトもあるもので、最初は至って普通のスペル製作のお話だったのに。
何処をどう間違えたのかイタコの話になりました。うぅん、不思議。

因みにこの物語はフィクションです。
実在するイタコや櫻島大根とは何ら関係はありません。

ってけーねが言ってた。口寄せしながら。
9.変身D削除
慧音は根が真面目だから、真面目過ぎるからッ!(w
10.名無し妖怪削除
イタコ想像してみた。
なんとかうまくイメージできた。
初期ポケモンのポケモンタワー?に出てくる、きとうしだった…
カッカッカナシバリ…
11.卯月由羽削除
けーねの想像力に嫉妬