それは、一匹の傷ついた鶉のお話
何時の頃だろうか、紅魔館の門番が傷ついた鶉を助けた事があった
最初は食べる為にと近づいたのだが傷ついていたので思わず治療してしまった、そうすると折角治したのに食べるのは馬鹿げていると思った
数日程その鶉は門番の帽子の上で傷ついた身体を癒し、治ると何処から持ってきたのか林檎を一個置いて去っていった
門番は少し嬉しそうに食後の林檎を食べていた
其れから幾日たったある晴れた日、何故か傷ついた別の鶉が果物を銜えてやってきたのだ
驚いた門番だがコレは面白いと感じたのか、果物を受け取って鶉の傷を癒してやった
その鶉も傷が治れば魚を置いて去った、門番は笑いながら其の日の晩飯に焼き魚を追加した
其れから幾日も経たぬうちの雨の降る日、夫婦であろう傷ついた二匹の鶉が魚を銜えてやってきた
勿論傷を治してやれば、二匹の鶉は傷が治った後に卵を置いて去って行った
門番は困った風に悩みながら、結局次の日の朝食に苦笑しながら目玉焼きを追加した
それからも何度か鶉を助け続けて幾年過ぎた雪の降る日、傷ついていない鶉がやって来た
何処か見覚えのある鶉は、一番最初に助けた鶉だった
「ウズラー! 」
「ウ、ウズラー? 」
少し大きくなっていたが、確かにあの鶉だった
背丈だけ見ても自分の3倍以上はあるだろうし鳴き声が何か可笑しくても、何か頭の上に王冠なんて乗せていても
その巨大鶉、門番の前で羽を前に出し頭を下げるようにしてこう言った
「ウズラー」
「いや、分かりませんから」
「ウズラー?」
「えっと、ほんとに分かりません」
不思議そうに首を傾げる巨大な鶉、しかし小鳥がやると可愛いその仕草も其の巨大さでやられると少し怖い
門番の返答に鶉は悔しそうに羽ばたき嘴を食いしばる
「ウラ・・・・・・・ウズズズズ! 」
「ごめんなさい、怖いから止めてください」
勿論会話など不可能だった
しかしこの鶉 (仮) 、何を思ったのか右羽を曲げるようにして身体の前に出し左羽でその右羽を叩いた
ピキーンとポンッと言う音が同時に聞こえ、何故か鶉の頭上になぞの発光物体が現れて消えた
いわゆる何か思いついた状態、この巨大な鶉大きい割りに芸が細かい
「ウー、ズー、ラー!! 」
そう叫んだ巨大鶉の頭に乗っている王冠が光を放つ
あまり眩しくないので見えたのだが巨大鶉の後ろから『ジジジー』と不思議な音を立てて、其の後巨大鶉の背後から何か出てきた
王冠の光が収まったのではっきり見えるようになり、しぼんだ巨大鶉が丁寧に折り畳まれた後に残っていたのは一人の美しい少女だった
「十六夜咲夜にございます」
「咲夜さん、何してるんですか」
なんと巨大鶉の正体は知り合いだった、と言うか最初から気がついていた門番は少し呆れたように笑った
「それにしても、その着ぐるみどうしたんですか? 」
「今日は、昔助けて頂いた恩を返しに来ました」
「あの、咲夜さん? 」
「返しに来ました」
「何を」
「返しに来ました」
「い、いらないかなーなんて」
「返しに来ました」
永遠と続きそうな会話、選択肢で『はい』を選ばない限り続くのだ
「それではお返しします」
しかも最近ではこちらの選択肢を無視して話は進められるらしい
そう言って鶉 (メイド) が渡したのは小さな鶉の羽根と小さな種
「これは小さな春の欠片、この冬の寒さで困っている貴女への小さな贈り物」
「えっと、こっちは? 」
受け取った門番が不思議そうにメイド (鶉) を見つめれば、小さな羽をを持つ手を両手で優しく包み込む
「そしてこれは小さな羽、小さな鶉が貴女への恩を返そうとした証」
「・・・・・・・あぁ、そっか」
門番は嬉しそうに笑う、そして其の羽を帽子の上に乗せる
恩を返しに来た元鶉は、それを見た後に微笑を残してその場から去った
「ありがとう」
門番は手に暖かさを伝える、小さな春の欠片を見つめながら呟いた
「ありがとう、またおいで」
小さな鶉の羽が、小さな春を置いて溶けるかのように空へと消え去った
門番は嬉しそうに笑った
何時の頃だろうか、紅魔館の門番が傷ついた鶉を助けた事があった
最初は食べる為にと近づいたのだが傷ついていたので思わず治療してしまった、そうすると折角治したのに食べるのは馬鹿げていると思った
数日程その鶉は門番の帽子の上で傷ついた身体を癒し、治ると何処から持ってきたのか林檎を一個置いて去っていった
門番は少し嬉しそうに食後の林檎を食べていた
其れから幾日たったある晴れた日、何故か傷ついた別の鶉が果物を銜えてやってきたのだ
驚いた門番だがコレは面白いと感じたのか、果物を受け取って鶉の傷を癒してやった
その鶉も傷が治れば魚を置いて去った、門番は笑いながら其の日の晩飯に焼き魚を追加した
其れから幾日も経たぬうちの雨の降る日、夫婦であろう傷ついた二匹の鶉が魚を銜えてやってきた
勿論傷を治してやれば、二匹の鶉は傷が治った後に卵を置いて去って行った
門番は困った風に悩みながら、結局次の日の朝食に苦笑しながら目玉焼きを追加した
それからも何度か鶉を助け続けて幾年過ぎた雪の降る日、傷ついていない鶉がやって来た
何処か見覚えのある鶉は、一番最初に助けた鶉だった
「ウズラー! 」
「ウ、ウズラー? 」
少し大きくなっていたが、確かにあの鶉だった
背丈だけ見ても自分の3倍以上はあるだろうし鳴き声が何か可笑しくても、何か頭の上に王冠なんて乗せていても
その巨大鶉、門番の前で羽を前に出し頭を下げるようにしてこう言った
「ウズラー」
「いや、分かりませんから」
「ウズラー?」
「えっと、ほんとに分かりません」
不思議そうに首を傾げる巨大な鶉、しかし小鳥がやると可愛いその仕草も其の巨大さでやられると少し怖い
門番の返答に鶉は悔しそうに羽ばたき嘴を食いしばる
「ウラ・・・・・・・ウズズズズ! 」
「ごめんなさい、怖いから止めてください」
勿論会話など不可能だった
しかしこの鶉 (仮) 、何を思ったのか右羽を曲げるようにして身体の前に出し左羽でその右羽を叩いた
ピキーンとポンッと言う音が同時に聞こえ、何故か鶉の頭上になぞの発光物体が現れて消えた
いわゆる何か思いついた状態、この巨大な鶉大きい割りに芸が細かい
「ウー、ズー、ラー!! 」
そう叫んだ巨大鶉の頭に乗っている王冠が光を放つ
あまり眩しくないので見えたのだが巨大鶉の後ろから『ジジジー』と不思議な音を立てて、其の後巨大鶉の背後から何か出てきた
王冠の光が収まったのではっきり見えるようになり、しぼんだ巨大鶉が丁寧に折り畳まれた後に残っていたのは一人の美しい少女だった
「十六夜咲夜にございます」
「咲夜さん、何してるんですか」
なんと巨大鶉の正体は知り合いだった、と言うか最初から気がついていた門番は少し呆れたように笑った
「それにしても、その着ぐるみどうしたんですか? 」
「今日は、昔助けて頂いた恩を返しに来ました」
「あの、咲夜さん? 」
「返しに来ました」
「何を」
「返しに来ました」
「い、いらないかなーなんて」
「返しに来ました」
永遠と続きそうな会話、選択肢で『はい』を選ばない限り続くのだ
「それではお返しします」
しかも最近ではこちらの選択肢を無視して話は進められるらしい
そう言って鶉 (メイド) が渡したのは小さな鶉の羽根と小さな種
「これは小さな春の欠片、この冬の寒さで困っている貴女への小さな贈り物」
「えっと、こっちは? 」
受け取った門番が不思議そうにメイド (鶉) を見つめれば、小さな羽をを持つ手を両手で優しく包み込む
「そしてこれは小さな羽、小さな鶉が貴女への恩を返そうとした証」
「・・・・・・・あぁ、そっか」
門番は嬉しそうに笑う、そして其の羽を帽子の上に乗せる
恩を返しに来た元鶉は、それを見た後に微笑を残してその場から去った
「ありがとう」
門番は手に暖かさを伝える、小さな春の欠片を見つめながら呟いた
「ありがとう、またおいで」
小さな鶉の羽が、小さな春を置いて溶けるかのように空へと消え去った
門番は嬉しそうに笑った
…絶対翌日に響きますよ
メイドの鳴き声も教えてください
もちろん性的な意味で