Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

それはとてもまよいひ

2006/07/12 15:00:34
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※ちょっと途中にエロ・グロい表現が入ります




幻想郷にて終わり無く続く宴会、その宴会が開かれて何回目だったろうか
巫女は連日開かれる宴会の後片付けの疲労と持ち込まれ残される食料や酒による今までに無い贅沢な毎日の食事を比べて苦悩していた
疲れて美味しいものと疲れないで質素な食事、コレをどうにかして疲れないで豪華な食事にしようと悩んでいて其れが視界に映る
珍しく呼ばれていないのに起きて出てきた胡散臭い妖怪が、酒の肴に何かをかけていたのを目撃したのだ
それは黄色い固体のように見えながらにゅるりと艶かしく肴の上に踊り落ち、まるで水のように溶け染み広がる不思議な物だった

「紫、何それ? 」

「これ? マヨネーズよ」

「まよねーず」

まよねーず、巫女にとって聞いた事も食べた事も無い名前だった
普段なら其処で何も無かったかのように淡白な返答を行うのだが巫女の勘がまよねーずを前に激しく訴えている
曰く『コレハウンマァーイ、ウマスギルゥー』と
何処から流れてきた電波かは知らないが巫女の勘は大概と言うか今まで一度も外れた事も無く其れを使って生きてきた
だから巫女は其れが美味すぎるほど美味いのだと確信してどうしても其れが食べたくて仕方が無くなってきている
これが顔見知りの白黒魔法使いであれば勘が囁いた瞬間に気がつけば口の中にまよねーずが入っているのだが、今回の相手は無意識に食べれるほど柔な相手ではなかった

流石ね紫! でも絶対そのまよねーずは頂くわ!
袖に隠し持っているスペルカードを確認、流石の紫でも不意打ちで夢想封印を正面から当てられて無事ではすまないだろう!

そんな物騒な事を考えている巫女のやけに力の篭った視線がマヨネーズに突き刺さっているのに気がついた妖怪は、不思議そうにたずねる

「かけたいの? 」

「・・・・・・・・な、何を? 」

「マヨネーズ」

「いいの!? 」

「何で其処まで驚くのかしら? でも珍しいわね、私が食べている物で霊夢が良く知らない物を食べたいだなんて」

「別に良いじゃない、それって私にも食べれそうだし」

妖怪はうふふと本人的には慎ましく、周りか見れば胡散臭く笑いながら巫女の前に置かれた肴にマヨネーズをかけた
にゅるりと艶やかにマヨネーズをかけられた肴は太陽の光を浴びて不思議な色彩を醸し出し巫女の勘を激しく揺さぶり続ける
はやる気持ちを抑えていたが抑えきれず箸を肴に突き刺しそのまま一口で口内にて噛み砕き蠢く舌で嘗め尽くした

密かに巫女の行動を見ていた者達、つまり宴会に来ていた全員だがその全員の動きが止まった

喧しい位だった宴会に静寂が舞い降りる、その亡霊顔負けの豪快な喰いっぷりに皆の脳裏にある想いが浮かんだのだ
く、喰われる!?
自分がまるで巫女に食われた肴のような錯覚を受けて心胆を寒からしめる、特に夜雀など恐怖のあまり泡を吹いて気絶していた
そんな周りの様子などお構い無しに巫女はマヨネーズのかかった肴を味わいしゃぶり尽し飲み込んで

「 UMAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!! 」

と叫んだ後に続けて『うっほほーい! 』等と奇声を発しながら空を舞い始めた
巫女が狂った、それを見ていた殆ど全員の意見は一致して原因であろう妖怪に視線が集まる
注目された妖怪も驚いた、何でマヨネーズが人を狂わせるのか狂わせるのかマヨネーズ
しかし本当にマヨネーズが人を狂わせるかどうか分からないというか信じられない、でも万が一と言う事もある
なので小さなスキマを使って丁度口を半開きにして空を見上げているモノクロ魔法使いの口内に肴と一緒にぶちこんだ

「もごっ!? 」

口の中に突如現れた異物に驚いて吐き出そうとする魔法使いだが、それを察知したとあるメイドが手で口を押さえ込んで非情にも顔を上に向かせる
その時点で誰もが何が起こったのか気がついて興味深そうに魔法使いに注目し始める、魔法使いは懸命に口に広がり伝わり始めた味を無視して吐き出そうとした
だが非情なメイドはさらに目隠し、耳栓、鼻を摘まむ等残虐な行動に出る
感覚の3つを封じられた魔法使いは肌にあたる風と首筋にあたるメイドの生暖かい息と口に広がる未知の味が無視できない事を悟ってしまった
一旦知覚してしまえばそれは彼女の脳へと伝わり彼女の嗜好と照らし合わせて複雑怪奇な命令を繰り出す

「ぶぐべぁ! 」

吐き出せ、と
押さえ込んでいたメイドは咄嗟に離れ、支えを失った魔法使いは自ら噴出したマヨネーズと肴の中にべちゃりと倒れこむ
その目隠し耳栓の彼女がマヨネーズと肴の破片まみれで倒れている姿は何と言うかアレっぽくて悪戯に皆の疚しい心を刺激した

だが唐突に誰もがついていけない気がつかない速度で空を何処までも飛んでいった巫女が帰ってきた、魔法使いの上に

まるで舞い落ちた羽毛の布団のように魔法使いの上に覆いかぶさった巫女は、マヨネーズにまみれた魔法使いを何の躊躇も無く貪りはじめた
舐め、吸い、舌を這わせ、正気に戻った魔法使いが逃げ出そうとするのを押さえ込み口内に残っているマヨネーズを己の舌で一滴一欠けら残さんと執拗なまでに掻き回
~少女マヨネーズ中~


巫女に押さえ込まれた魔法使いの喘
~少女マヨネーズ中~

服に染み込んだマヨネーズを吸う振
~少女マヨネーズ中~

ついに服を邪魔だと言わんばかりに
~少女マヨネーズ中~


~少女マヨネーズ終了~


後に残ったのはまるでソレっぽい後のような魔法使いの無残な姿だけ、既に巫女はマヨネーズの持ち主である妖怪の前に無言で立っていた
ついていけない速度で展開される何か理解できない流れに、誰もが黙って巫女を見つめる
そして色々な視線を独占する巫女が見つめるのは妖怪の持つ其れ、マヨネーズ
巫女が普段の動きなど比較にならないほどの速度で妖怪に迫る、妖怪は考える前に己の本能の命じるままにマヨネーズを突き出した

ぐぼっ! ジュル! ジュブジュブジュチャジュルルルルルルル!

誰も聞いた事が無い未知なる音を巫女が繰り出しながらマヨネーズを吸いだす
其の姿は赤ん坊が母の母乳を飲む姿に似ていながら、見た者に与える印象は全く別の理解し難い恐怖に順ずる何かであった

ジュルルルル・・・・・・・ッポン!

・・・・・・・・・終わった、全てが終わった
巫女を狂わせた分からないものが無くなり終わったのだと誰もがそう思っていた
だが、まだ終わっていない事に巫女に見つめられる妖怪だけが気づいていた

この眼、霊夢の眼はまだ足りないと訴えている!
無ければ次はお前だと無言のままに訴えている!

妖怪は恐怖に後ずさりする、巫女は無言のままに妖怪との間合いを詰める
その動きに、察しが良い者達はまだ巫女の狂乱が終わっていないことを知ってしまった
そして逃げようと決心する、このままでは自分達の身が危ない
だが其の場にいた誰よりも速く動いたのは追い詰められている妖怪であった

弾幕結界、そう呼ばれる奥義がある
妖怪はその奥義をつかって、マヨネーズをばら撒いたのだ

確かにそれは正しい、自分の持つ餌を目当てに獣が追いかけてくればその餌を遠くに投げ捨ててやれば良い
確かに正しい、正しかった
だが惨劇が始まった

奇しくも弾幕の代わりに撒かれたマヨネーズを運が悪いのか良いのか口内に摂取してしまった者達がいた
数名が微妙な顔をした、数名が不思議そうな顔をした、数名が顔をしかめた

「「「「「「「「「「 UMEeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!! 」」」」」」」」」」 

そして数名がそう叫んだ後に更なるマヨネーズを求めて近くにあるマヨネーズへと襲い掛かった
狂乱が、始まる


幻想郷に、マヨラーと呼ばれる者達が誕生した日であった



そんな事があって数日後、何事も無かったかのように宴会は続いていた
ただ少し違うのは、宴会の中頃になると自然と宴会に来た全員があつまり話し合いをする事だろう

「それでは、第16回『幻想郷に必要なもの』会議を始めます」

『幻想郷に必要なもの』会議
それはあのマヨネーズ事件を切っ掛けとして、幻想郷にもっと必要とするものがあるのではないかと数人が思った故の行動だった
特に外との境界を守るはずの巫女が率先してマヨネーズを幻想郷に流通させる事を宣言した事が大きい
ちなみに記念すべき第一回は誰よりも速く誰よりも明確にとある悪魔の従者が足りないモノを答えたと言う

『幻想郷には ネチョ が足りないと思います! 』

一部の者が『やりやがったなパーフェクトメイド! 』とか言う表情で従者を見つめる中、大部分の者達が理解できていなかった
『何其れ美味しいの? 』みたいな表情で疑問符『ネチョ って何よ?』を掲げながら足りないものを調達する胡散臭い妖怪を皆が見つめる
妖怪は黙って皆の前にスキマから出した人数分のご飯茶碗を置き、己の式にこれまたスキマから出したお櫃を出して『盛れ』と言った
悪魔の従者は『ご飯プレイだと!? 』と言う一部の者にしか理解できない叫びと共に妖怪の式からお櫃を奪い一瞬で全員のご飯を盛り付けた
そしてそのご飯の上に妖怪は豆と思しき物と山芋と醤油を混ぜ込んだものを投下し『混ぜて喰え』と普段出す事の無いカリスマを全開に言い放った
豆と思しき物の放つ異臭に幾人かは顔をゆがめながら混ぜ込み食べた、流石カリスマ
それを口にした誰もが驚く中、此処で一番に叫んだとある吸血鬼

『ねばねばとまるで運命のように糸を引いていた豆が口の中で ネチョネチョ と未知の食感を与える!
 これは何だ? 芋? サクサクと瑞々しい歯ごたえなのにヌルヌルしているというアンバランスさが何とも言えない!
 そして何より味わい深い何か、ソースか! それがこの腐っているとも思える豆を芋と掛け合わせて美味しいと思わせる!
 それが何の変哲も無い炊かれた米と食べれば・・・・・・・これは、これを何と言う!? 』

『これの名前は納豆、一緒に出したのは幻想郷にもある山芋と醤油よ』

『素晴らしいぞ咲夜! これがネチョか! これが納豆か! 流石は外から来ただけあって此処幻想郷に無いが必要な物を知っているな! 』

・・・・・・・・・・・・・・・・・己の主からお褒めの言葉を頂き、従者は血の涙を流していたそうな



そんな感じで方向性は食べ物が大半ながらも悪魔の従者が懲りずに繰り出す『萌え』だの『パンチラ』だの必要な物は多数発見された
どちらも大変美味しい食べ物であった
時々優しさが足りない、真面目さが必要などと会議に関係なくヒートアップする事もあるが大変微笑ましい弾幕ごっこである
それで今回もまた、瀟洒な従者が足りないものを述べる

「渋さが足りないわ! 柿とかの渋さじゃなくて雰囲気的に! ハードボイルドが足りないの! 」

ちなみにこのメイド、いつも簡潔にかつ此処幻想郷に必要不可欠、食べねば生まれてきた事を後悔するであろう食べ物ばかりを的確に述べるので皆からの信頼は厚い
しかも会議が始まる前に『今日は食べ物じゃないの行くわよ! 』と言っていたので周りの皆も期待していた
そして出てきたのが渋さ

「渋さ? それってどんな感じよ? 」

「つまりアレね、ダンディーよダンディー。壮年の男」

「成る程、確かに幻想郷には男少ないもんな」

「そーなのかー! 」

そんなちょっと関心気味の周囲をぶった切る勢いでメイドは叫ぶ

「足りないのは、髭よ! 」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 髭!? 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

メイドの脳裏に付け髭をつけて自分を見上げる己の主人が浮かび上がる、最近自分の空回りっぷりに酒も入って混乱中
髭 髭? 髭よね? なんで髭? 髭って? ここら辺に生える毛の事だぜ へぇ~確かに無いわね なんだかねー
そして周りの大部分は『幻想郷に足りないとメイドが言う事は正しい』と言う変な認識から髭が足りないのだと納得する

「じゃ、髭を生やしましょう」

まず最初に髭を生やし始めたのが永遠亭の者達だった
我らがえーりんが取り出したるは毛生ゑ薬『青髭』、兎達に立派なハンドルバーアンドチンパフな髭が生えた
勿論髭の色は青い

次に紅魔館の面々が負けじと髭を生やした
紅魔館の主が運命操作全開で髭の生える運命を操り、己と親友にカイゼル髭を
門番に立派な顎鬚を、メイドにはお洒落なちょび髭を生やした
勿論髭の色は紅い

他にも魔法の薬や『生えている髭と生えていない髭の隙間』を操ってもらったりと全員に髭が生えたところで皆が髭を生やす必要性を理解した


そうして弾幕少女ならぬダンディー少女達の物語が、ハードボイルドに始まる
たとえどんなに美しく輝く珠でも、磨かなければいつか曇ってしまうのです
磨いたら髭が生えました


誤字を教えて下さり、有難う御座います
あとマヨネーズは入れ物がキュー○ーだったでの誰もそれがマヨネーズだと気
がつかず味もやはり違っていたり似ている物はあるけど名前も違っていたり
納豆は普通にレミリア様が知らなかっただけでしたとネタバレ(言い訳)

結構修正
根っこ
コメント



1.名無し妖怪削除
マヨネーズってのはココまで人を狂わせるのか…
2.名無し妖怪削除
幻想郷が隔離された時代的に納豆は普通にあるんじゃ・・・
3.名無し妖怪削除
マヨネーズも西洋にはありますな。
時代的にマヨネーズの存在を知らない場合、近現代の西洋料理もその多くを知らないということになります。
4.名無し妖怪削除
無茶と知りつつ美髭公を期待してしまうのであります。
5.ABYSS削除
どーでもいいけど、マヨネーズ一本で遭難した人は月単位で生き残れるらしい。カロリー的に。
つまりその事実から……神社にマヨネーズがあれば、霊夢は餓死しなくて済むんだよ!

な、なんだtt(ry
6.名無し妖怪削除
ネタとしてはとても面白かったのですが、
感→勘
です。
ちなみに私は最近マヨネーズが好きになりました。
7.名無し妖怪削除
レミリアお嬢様が霊夢の目の前で、自分からマヨネーズかぶったりしないか心配です。全裸で。
ネチョー ネチョー
8.ムク削除
そういえば最近やったゲームで拳銃娘(ツンデレ)がコーヒーにまでマヨネーズかけてたな。
9.名前が無い程度の能力削除
確かにこれはマヨい日だw