「親愛なるお姉さま。
Merry Christmas.
地下の暗い部屋にいても、この日だけはわかります。
上から、とっても楽しそうな、ピアノの音やみんなの声が、聞こえてくるのだもの。
そしてこの日だけ、渡される飲み物が人間ではなく、ワインになるのだもの。
同じ赤い色でも、いつもよりとっても甘くて、すっぱくて。
特別な気分には、なれるのだけど……。
ねぇ、お姉さま。
私は、まだ、上に行っちゃあ……ダメですか?
私は、まだ、アブないですか?
私も、お姉さまや咲夜、パチュリーや美鈴と一緒に、Christmasを過ごしたいよ。
ねぇ、まだ?
お姉さま……
まだ、ここを出ちゃダメ?
お外に行っちゃダメ?
みんなと、楽しく遊んじゃダメ……?
いつかみんなと遊ぼうと思って、ひとりでずっと研究していた弾幕は、もうお姉さまでも避けられなくなっちゃった。
暇潰しにと思って、研究していた魔法の威力は、地下室の壁を壊すほどになって、パチュリーの手を煩わせることになってしまった。
そしてその研究の結果、すべてを壊してしまう、禁断の魔法を生み出してしまった……
……私は、イケナイ子ですか?
……私は、ダメな妹ですか?
……私は、もう、外に出てはイケナイのですか……?
ねぇ、お姉さま……
……今年も、Merry Christmasを、暗い地下室から。
来年は、明るい会場で、手紙を渡せるといいな。
495回目の、私の願い。
From your sister,Frandle Scarlet.」
今年も、Christmasに妹が手紙をくれた。
しかし、その内容はいつもと違い、悲痛な叫びに満ちていた。
いつもなら、最近の研究の進み具合とか、いついつにまた遊んでくれる?とか書いてあるのに。
……こんなにも、追い詰めていたのか。
妹は、よっぽどでない限り、理性を保てている。
なのに、もしもを心配し、閉じ込め続けた。
知らず知らずのうちに、妹に辛い思いをさせていた。
そんな自分に、深い憎悪を感じた。
……できるだけ早く、地下室から出してやろう。
きっともう、あの子は大丈夫だ……。
翌年の始め、紅魔館にいる人間や妖怪のメイド(咲夜を除く)を、全員解雇し、メイドは妖精だけで揃えた。
妹と遊んでも誰も死なないように。
もちろん、解雇したメイドたちは、戻った先で差別されないよう、運命をいじっておいた。
彼女たちは元気でやっているようで、たまに手紙なども来る。
こっちのわがままで追い出したも当然なのに、それを責められたことは、誰からも、一度もない。
感謝している。
春が来て、館内だけではあるが、妹の自由行動を許してあげた。
妹の喜び方を見ていると、今まで自分なりに妹を愛してきた、その方法はやはり間違っていたのではないか、と自責の念にかられる。
でも、とにかく今は、妹に本当の幸せを与えることだ。
春も終わりになると、妹は窓から外を眺めていることが多くなった。
やはり外の世界も見たいのだろう。
とはいえ、屋敷のなかとは勝手が違う。
外には人間もいるし、日光か雨かが降りそそいでいることも多い。
殺してしまうかもしれないし、死んでしまうかもしれない。
いくらなんでも、危険が過ぎる。
……では、それらを無くせばどうか?
私なら、できる。
私の力で、妹に外を見せてやろう。
今まで閉じ込めていて、ごめんなさい。
贖罪の意味も込めて。
あなたにとって、安全な外にしてみせる。
私が。
そして夏。
私は、幻想郷を紅く染めた。
Merry Christmas.
地下の暗い部屋にいても、この日だけはわかります。
上から、とっても楽しそうな、ピアノの音やみんなの声が、聞こえてくるのだもの。
そしてこの日だけ、渡される飲み物が人間ではなく、ワインになるのだもの。
同じ赤い色でも、いつもよりとっても甘くて、すっぱくて。
特別な気分には、なれるのだけど……。
ねぇ、お姉さま。
私は、まだ、上に行っちゃあ……ダメですか?
私は、まだ、アブないですか?
私も、お姉さまや咲夜、パチュリーや美鈴と一緒に、Christmasを過ごしたいよ。
ねぇ、まだ?
お姉さま……
まだ、ここを出ちゃダメ?
お外に行っちゃダメ?
みんなと、楽しく遊んじゃダメ……?
いつかみんなと遊ぼうと思って、ひとりでずっと研究していた弾幕は、もうお姉さまでも避けられなくなっちゃった。
暇潰しにと思って、研究していた魔法の威力は、地下室の壁を壊すほどになって、パチュリーの手を煩わせることになってしまった。
そしてその研究の結果、すべてを壊してしまう、禁断の魔法を生み出してしまった……
……私は、イケナイ子ですか?
……私は、ダメな妹ですか?
……私は、もう、外に出てはイケナイのですか……?
ねぇ、お姉さま……
……今年も、Merry Christmasを、暗い地下室から。
来年は、明るい会場で、手紙を渡せるといいな。
495回目の、私の願い。
From your sister,Frandle Scarlet.」
今年も、Christmasに妹が手紙をくれた。
しかし、その内容はいつもと違い、悲痛な叫びに満ちていた。
いつもなら、最近の研究の進み具合とか、いついつにまた遊んでくれる?とか書いてあるのに。
……こんなにも、追い詰めていたのか。
妹は、よっぽどでない限り、理性を保てている。
なのに、もしもを心配し、閉じ込め続けた。
知らず知らずのうちに、妹に辛い思いをさせていた。
そんな自分に、深い憎悪を感じた。
……できるだけ早く、地下室から出してやろう。
きっともう、あの子は大丈夫だ……。
翌年の始め、紅魔館にいる人間や妖怪のメイド(咲夜を除く)を、全員解雇し、メイドは妖精だけで揃えた。
妹と遊んでも誰も死なないように。
もちろん、解雇したメイドたちは、戻った先で差別されないよう、運命をいじっておいた。
彼女たちは元気でやっているようで、たまに手紙なども来る。
こっちのわがままで追い出したも当然なのに、それを責められたことは、誰からも、一度もない。
感謝している。
春が来て、館内だけではあるが、妹の自由行動を許してあげた。
妹の喜び方を見ていると、今まで自分なりに妹を愛してきた、その方法はやはり間違っていたのではないか、と自責の念にかられる。
でも、とにかく今は、妹に本当の幸せを与えることだ。
春も終わりになると、妹は窓から外を眺めていることが多くなった。
やはり外の世界も見たいのだろう。
とはいえ、屋敷のなかとは勝手が違う。
外には人間もいるし、日光か雨かが降りそそいでいることも多い。
殺してしまうかもしれないし、死んでしまうかもしれない。
いくらなんでも、危険が過ぎる。
……では、それらを無くせばどうか?
私なら、できる。
私の力で、妹に外を見せてやろう。
今まで閉じ込めていて、ごめんなさい。
贖罪の意味も込めて。
あなたにとって、安全な外にしてみせる。
私が。
そして夏。
私は、幻想郷を紅く染めた。
…昨日だったけど