Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

朱鷺慧霖家族劇場『聖夜編』

2010/12/25 01:53:28
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※注意!
この作品は80%が作者の妄想、20%は願望で出来ています。つまりはオリジナル設定です。
その様な物に不快感を憶える方は、大至急戻るをクリックしてください。そしてご自身のお気に入り作家様の作品で気を紛らわせて下さい。
別に良いよと言う方だけご覧になってください。





警告はしました。中傷とかは無しでお願いします。


















































 もうすぐ年が切り替わる師走の終わり頃。申の刻ともなると日はすっかり落ち、辺りは暗くなっていた。
 しかし人里は提灯の光等で明るく、里から出ない限りは暗さで道に迷う事は無いだろう。そんな里の中を、僕は朱鷺子と一緒に歩いていた。
 外はすっかり寒くなり、もう防寒着無しでは出歩けない寒さとなっていた。現に今も、僕と朱鷺子は手袋にマフラーを着用している。これでも寒い方だ。普段からストーブがある環境で生活している所為だろう。矢張りあんな便利な……危険な道具は売り物には出来ないな。
 そんな僕に対し、朱鷺子はどちらかと言えば余り寒くはなさそうに見える。僕と違い普段から外で遊んでいるからなのだろう。この冬場に氷精と遊ぶなんて考え、僕には到底思いつかない。
 まぁ……こうして元気に育っているのを見ると、矢張り親としては嬉しく思う。反面、妙な知識を付けたりしないかと若干心配もするが……まぁ、その点は大丈夫だろう。間違っていたなら、慧音が頭突きで矯正するからだ。
 そんな事を考えながら里の中を進んでいく。目的地は朱鷺子の母であり僕の妻でもある慧音の住居だ。
 何故わざわざこんな寒い日に出かけたのかと言うと、今日は特別な日だからだ。

「おとーさん」

「ん?」

「今年も来たねー、クリスマス!」

「あぁ、そうだね」

 そう、今日は師走の二十五日。所謂『クリスマス』だ。
 クリスマスは家族と過ごす日、毎年この日は家族三人で過ごしている。

「しかし、今更言ったんだい?」

「んー……何となく。気分出るでしょ?」

「確かに、それはね……」

 呟き、辺りを見る。
 商店の前には飾り付けられたモミの木が置かれ、定食屋は一円均一のクリスマスディナーを始め、出張して来たのであろう夜雀の屋台ではミスティアがクリスマスソングを歌っている。
 既にこれだけで十分クリスマスなのだが、改めて言われると、それらが目に色濃く映る様に感じた。言葉とは不思議なものだ。

「ふふふ、本ありがとーね。おとーさん」

「うん? あぁ」

 朱鷺子が言う本とは、今朝クリスマスプレゼントとしてこの子が吊るした靴下に入っていた三国志全六十巻の事だ。因みに、入っていたのは一冊で、残りは脇に置いていた。
 クリスマスプレゼントと言う事は、それはサンタクロースが朱鷺子に渡した物という事になる。なら、何故朱鷺子は僕に礼を言うのか。

 答えは単純、僕は朱鷺子にサンタクロースは実在しないと教えたからだ。

 クリスマスは早苗君達やレミリア達が伝えたものであり、本格的に広まったのは早苗君達が広めた時だ。サンタクロースの事が伝えられたのもその時であり、つまりまだサンタクロースは外界で存在が確認されているという事である。
 幻想郷は幻想となったものや、忘れ去られたものが流れ着く。早苗君曰く外界で圧倒的な人気を誇るサンタクロースが二年やそこらで幻想入りするとは考えにくい。故に、僕は朱鷺子に『サンタクロースは幻想郷には存在しない』と教えている。

 ――いや、もしかするとその考えは間違いかもしれない。

 サンタクロースの元となった人物は、四世紀頃の東ローマ帝国小アジアの司教教父聖ニコラウスだ。
 彼は教会で聖人として列聖されている為、聖ニコラウスと呼ばれる。それを和蘭語にすると「シンタクラース」であり、これが後に「サンタクロース」として広まった。
 また僕がやった様に、サンタクロースが吊るした靴下の中にプレゼントを入れるという風習も彼の成した事から来ている。
 しかし、風習を作ったのは彼でも、今とは違う所が多々存在する。
 彼が送ったプレゼントは金貨であり、人助けの為に行った事だ。対して今のプレゼントは人助けの為ではなく、人を喜ばせるためのものと化している。外がどうなのかは知らないが、その外から来た早苗君がそう伝えたのだからそうなのだろう。
 そういう意味では本来のサンタクロースの意味は忘れ去られて、幻想郷へと流れ着いているのかもしれないが、早苗君が伝えた意味のサンタクロースは外で広く知られている為にまだ幻想郷へは来ないだろう。
 その考え方でいけば、サンタクロースは存在するのだろうが……確証の術が無い為に、結局は憶測の域を出ない。

「おとーさん?」

「ん、あぁ。何だい?」

 そんな事を考えていたが、朱鷺子に袖を引っ張られて思考の海から引き上げられた。

「どーしたの? 難しー顔してたよ?」

「いや……何、少し考え事をしていただけさ」

「何もここで考えなくてもいーでしょー」

「天才に必要なものは、99%の努力と1%のひらめきだよ。今の考えからその1%が生まれるかもしれないだろう?」

「その考え方は分からないでもないけどさぁ……おとーさん別に天才じゃないでしょ?」

 白黒に八卦炉渡すとか、天災起こすみたいな事はしてるけど。
 そう続けてけたけたと笑う朱鷺子の頭を、軽く小突く。

「みぎゃあっ!?」

「……そんな冗談でも、人を馬鹿にしてはいけないと教えた筈だよ」

「ぅ……ごめんなさい」

「ん、宜しい」

 そんなやり取りを交わしつつ、僕は慧音の家へと足を進めた。





***





「じんぐっべーる♪ じんぐっべーる♪ すーずーがーなるー♪」

「森にー♪ 林にー♪ 響きながら♪」

「やれやれ……随分と賑やかな事だ」

 慧音の家に着き数刻、朱鷺子は慧音と一緒に歌いながらツリーの飾りつけをしている。何とも微笑ましい事だ。
 僕はと言えば、勝手場にてクリスマスケーキの下準備をしている所だ。

 西洋の妖怪達はケーキを焼く方法や術を知ってはいるが、それらを里全てに普及は難しい。
 故にレミリア達はクリスマスの時期になると、ケーキ店『不夜店レッド』を里に構える。
 里の者の多くはそこで買うが、僕は自分で作れる為ケーキを買う事はしない。
 それに、自分で作った方が色々と温かみがあると言うものだ。自分はそういう経験が無い為にそうなのかどうかは分からないが、朱鷺子も喜んでくれているみたいだし何の問題も無いだろう。

「さて……そろそろか」

 オーブンの中から生地を取り出し、適当な所に置いて冷ましておく。

「慧音、生地の準備は出来たよ」

 勝手場から呼びかけると、直ぐに分かったという声が聞こえ、その後慧音が勝手場に姿を現した。

「おぉ、中々のものだな」

「あぁ。今年も上手くいったよ」

「後は冷めるのを待って、クリームで綺麗に整えるだけか」

「そうだね。だがその前に……」

「夕飯……だな」

「あぁ……頼んだよ」

「任せておけ!」

 そう言って張り切る慧音を勝手場に残し、居間へと足を進める。

「あ、おとーさん! 見て見て!」

「ほぅ、これは……」

 居間に戻ると、僕に飛びついた朱鷺子が部屋の一角を指差した。
 そこにあったのは、豪華に飾り付けられたクリスマスツリー。先程慧音と歌いながら飾り付けていた物だろう。

「どぉよ?」

「あぁ、綺麗にできたね」

 言って、朱鷺子の頭を撫でてやる。

「むふー……」

 目を細めて喜ぶ朱鷺子を視界の隅に残し、掘り炬燵へと足を入れる。

「はー……疲れた」

「……歩いてきただけなのに!?」

「それもあるけどね……」

 オーブンでケーキを焼くというのは結構疲れるのだ。外から流れ着いた電子オーブンが使える様になれば、調理もずっと楽になるのだが……

「ま、無い物を強請っても仕方が無いか」

「にゅ、何が?」

「ん……いや、こっちの話さ」

「ふーん」

 興味無さそうにそう言い、朱鷺子は僕と同じく掘り炬燵に入った。

「暖かい……」

 満足そうに呟き、朱鷺子は顎を机に乗せた。

「さて……朱鷺子」

「んぅ?」

「母さんの料理が出来るまでもう少し時間が掛かるから、大人しく待つとしようか」

「ん!」

 頷き、朱鷺子は再びふにゃあっとした表情になった。今にも寝てしまいそうな状態だが、大丈夫なのだろうか。
 ……まぁ、寝たら寝たで起こせばいいか。
 そんな事を考え、僕は慧音の料理を待つ事にした。





***





「出来たぞー」

「あぁ」

「ご飯ー!」

「こら、もう夜だ。声は押さえなさい」

「はーい……」

「ほら、大根の煮付けとほうれん草のお浸しだ」

「ほぅ、大根か」

「食べよ食べよ!」

「あぁ。では……」


「「「頂きます(まーす!)」」」


「ん……! おかーさん、大根おいしい!」

「ふふ、そうか。良かった」

「あぁ、中までしっかり出汁が染みている。美味しいよ、慧音」

「ん、そ、そうか……。な、何か照れるな……」

「暖かくて美味しい~……」

「ん……コラ朱鷺子。刺し箸は行儀が悪いから止めなさいと言っただろう」

「にゅ……でも、食べにくい……」

「駄目だぞ、朱鷺子? 箸をしっかり使えないと、将来恥ずかしいぞ?」

「ん……はーい」

………………

…………

……





***





「「ご馳走様(!)」」

「はい、御粗末様」

 食事を終え、慧音が食器を下げる。
 食後の余韻を堪能していると、勝手場へと向かう足音が途中で止まり、代わりに僕を呼ぶ声が聞こえてきた。

「あぁ霖之助」

「うん?」

「済まないが、一つ頼まれてくれるか?」

「何だい?」

「いや、風呂を沸かしてもらおうと思って……な」

「何だそんな事か。別に構わないよ」

「済まないな」

「気にしなくてもいいさ。夫婦なんだからね」

「ぁ……そ、そうだな」

「じゃあ、ちょっと行ってくるよ」

「あ……あぁ、頼んだぞ」

「ん、了解」

 会話を終え、風呂場へと向かう。
 浴槽は既に掃除されており、マメな慧音の性格が見て取れる。

「後は水を張って、沸かすだけ……か」

 そう呟き、言葉にした通りの事を行う。
 井戸から水を汲み浴槽に張った後、下の湯沸しに火を入れ薪をくべる。
 後は湯が沸くのを待つだけだ。

「さて、と……」

 居間に戻ると、洗い物を終えた慧音と朱鷺子が炬燵で話をしていた。

「あ、おとーさんお疲れさまー」

「今沸かしたから、もう少しすれば入れるよ」

「あぁ、有難う」

「別にいいさ」

 そんな会話を交わしつつ、自分も炬燵へと足を入れる。

「ん?」

 炬燵の暖かさを堪能しようとして顔を上げると、窓の向こうにある物が見えた。

「朱鷺子」

「にゅ?」

「外、見てみなさい」

「ん……!?」

 朱鷺子は僕に言われた通り外に目を向けると、その可愛らしい目を大きく見開いて窓の方へ駆けて行った。室内で走り回るなと何度……

「うわぁ……!」

 ……まぁ、純粋に楽しんでいる時にそう言う事を言われては面白くもないだろう。
 思い、朱鷺子の方へと歩み寄った。

「綺麗かい?」

「うん! だって、雪だよ!」

 そう。朱鷺子が言う様に、外には雪が降っていた。所謂ホワイトクリスマスだ。

「ん……雪か?」

「あぁ」

 炬燵で寛いでいた慧音も窓際にやって来て、家族三人窓際で雪を見つめる。

「随分激しいんだな」

「あぁ。この分だと、明日には結構な量が積もるだろうね」

「え……積もるの!?」

「ん?あぁ……この調子で降り続ければね」

「やったやったやった! 雪ー!」

「こら朱鷺子、嬉しいのは分かるがはしゃぎすぎだ」

「んぅ……はーい」

 はしゃぐ朱鷺子を宥めつつ、暫く三人で雪を見ていた。



「……さて、そろそろ風呂が沸けたか」

「ん、そうだな……」

「朱鷺子、先に母さんと入ってきなさい」

「分かった!」

「私が先でいいのか?」

「あぁ、別に構わないよ」

「それじゃあ……お言葉に甘えさせてもらうとするか」

「おかーさん! 早く早くー!」

「あぁはいはい、すぐ行くから……」

 そう言いながら、慧音は脱衣所の方へ歩いていった。
 そしてその直後、「服を脱ぎ散らかすなぁ!」という声と「にゅぅいっ!!?」という悲鳴、そして額同士がぶつかる様な音が聞こえてきたのは気のせいではないのだろう。





◆お風呂タイム(音声のみでお楽しみ下さい)◆







「ねーおかーさん」

「ん?」

「何で私はおっきくならないんだと思う?」

「成長期の問題じゃないのか?」

「ん……そーなんだけどね」

「うん」

「チルノちゃんとかもおっきくなったし……橙ちゃんだってちょっとずつだけどおっきくなってるよ?」

「そ、そうなのか?」

「うん……」

「そうか……」

「おかーさんも凄いし……」

「わ、私だってそんな急に育った訳じゃないからな!? 成長期に少しずつ……」

「分かってるけど……」

「ハァ……大人になるまでに嫌でも成長するさ。私の子供だからな」

「うん……そーだよね。おかーさんの子供だもんね!」

「そうだ。何事もネガティブに考えちゃ駄目だぞ!」

「うん!」

『……君達』

「ん、何だ霖之助」

「おとーさん、どうしたの?」

『声……外まで響いてるぞ?』

「「あ……」」

『もう戌の刻も過ぎた。静かに入ってくれ』

「済まない……」

「ごめんなさい……」

『分かればいいよ……』

「あぁ……ホラ、流すぞ」

「ん……ぷはぁ」






◆お風呂タイム終了◆






「はぁ……いい湯だった」

「ねー」

 湯から上がり、寝巻き姿で今へと進む。
 うぅ、今思うと朱鷺子を励ますためとはいえ、随分と大きな声で喋ってしまった……
 霖之助が何時も、湯浴み場では声が響くから静かにしなさいと朱鷺子に言っていたというのに……

「……おかーさん?」

 そんな事を考えていると、朱鷺子が自分を見上げていた。

「ん、どうした?」

「顔、赤いよ?」

「ぇ? あ、そ、それは……お風呂上りだからだ!」

「にゅ、そう?」

「あぁ。朱鷺子も赤いだろう?」

「んー……そっか」

「そうだ。さ、早く炬燵で温まろう。湯冷めするぞ?」

「そーだね」

 そんな話をしつつ、朱鷺子と一緒に居間へ向かう。

「……ん?」

「はれ?」

 居間に着くと、そこに霖之助の姿は無かった。

「おとーさん?」

 朱鷺子が不安そうに霖之助の名を呼ぶ。
 少ししても返事は無く、部屋は静寂に支配されたまま。
 本当に何処へ行ったのかと思った時、奥の方から声が発せられた。

「ん、何だい?」

 声の主は、私の最愛の夫霖之助。

「あぁ、何だそこにいたのか」

「おとーさん!」

 霖之助の声を聞き、朱鷺子がその方向へと走っていく。部屋は走るなと何回言って……
 そんな事を思いつつ、私も奥の方……勝手場へと足を進める。

「何をしてたんだ?」

 朱鷺子に抱きつかれた霖之助を見ながら訊ねる。

「いや……これを作ってただけさ」

 そう言って、霖之助は調理台の上を顎で指す。
 朱鷺子も気付いたらしく、霖之助の体をよじ登って肩から調理台を覗き見る。

「ほぉ……」

「わぁ……!」

 そこにあったのは、霖之助が先刻焼いていたケーキ。
 但し、その形はその時とは全く違っていた。
 白いクリーム、赤い苺、黒いチョコレート……
 立派なクリスマスケーキが、そこに堂々と鎮座していた。

「凄いなこれは……紅魔の店で売っている物と遜色ないじゃないか」

「凝る以上はとことん凝るのが僕だからね」

「おとーさん凄い! 売り物みたい!」

「はは、有難う朱鷺子」

 そう言って、霖之助は朱鷺子を抱きしめ軽く笑う。

「ね、食べよ食べよ!」

「駄目だよ」

「えー!? 何で!?」

「今日はもう遅い。明日にしなさい」

「ヤダー! 今食べるのー!」

「太るよ?」

「ぐ、それは……」

「嫌だろう?」

「……うん」

「なら、明日にしなさい」

「……はーい」

 そう言って、朱鷺子は霖之助から降りる。

「さて、慧音。外から雪を取ってきてくれないかい?」

「雪?」

「あぁ。雪でも六時間程なら持つ筈だしね」

 ……あぁ、そういう事か。
 冷蔵庫の氷の所に雪を入れてケーキを保存するんだな。

「分かった。直ぐに取って来る」

「えー!? 私が雪取って来たい!」

「ん? 朱鷺子がかい?」

「うん!」

「ハァ……分かったよ。行っておいで」

「はーい!」

「だから声が大きいと……」

 そう呟き、霖之助は朱鷺子の背中を見送った。

「さて……慧音。代わりに布団を敷いておいてくれるかい?」

「ん? あぁ、分かった。直ぐに整えよう」

「悪いね」

「気にするな。ふ……夫婦じゃないか」

 そう告げ、私は寝室へと少し早めに足を運んだ。





***






「布団敷いたぞー」

 寝室の方から慧音の声が聞こえる。どうやら準備が出来たらしい。

「あぁ。今行くよ」

「うぅ~……手が冷たい」

 横で手を擦りながら朱鷺子が呟く。手袋ぐらいはめていったら……いや、毛糸では逆効果か。

「布団で温めなさい」

「は~い……」

 そんな事を話ながら、僕と朱鷺子は寝室へと進む。

「ほら、早く寝るぞ」

「あぁ」

「んー……」

 寝室に入ると、慧音は既に布団に潜っており、後は僕達が布団に入って灯りを消すだけとなっていた。

「ほら、朱鷺子」

「ん……」

 朱鷺子を布団に寝かせ、灯りを消す。
 そして僕も慧音の隣りに横になり、ゆっくりと布団を被る。

「お休み」

「お休みー」

「おやしゅみ……おとーしゃん、おかーしゃん……」

 そう呟いて、朱鷺子は夢の世界へと旅立った。

「くぅ……くぅ……」

「可愛い寝顔だな……」

「あぁ、どんな夢を見ている事やら……」

 朱鷺子の寝顔を覗きながら、そんな話をする。

「おとー……さぁん……」

「ん?」

「くぅ……くぅ……」

「……寝言か」

「ハハ……」

 軽く笑った後、慧音は朱鷺子の髪をさらりと撫でた。

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

 どれ程の時間、そうしていただろうか。
 不意に慧音が口を開いた。

「……霖之助」

「ん?」

「私は……幸せだ」

「……どういう意味だい?」

「そのままの意味だ。お前と一緒になって……こんな可愛い子を授かって……どれもこれも、幸せだ」

「……そうかい」

「でも……時々、不安になるんだ」

「不安?」

「あぁ。何時までこんな風に平和でいられるのだろう、って……」

「………………」

「平和というのは、私の知る限り長くは続かない」

「………………」

「この平和もいずれ、消えてしまうんじゃないかって……」

「…………ハァ」

 ……呆れた。慧音はこんな事で悩んでいたのか。

「?……霖之助?」

「……慧音、君ともあろう者が何を言っているんだい?」

「え……?」

「今日君は朱鷺子に言ってたじゃないか、『ネガティブに考えてはいけない』と……」

「あ……」

「未来の事なんていくら考えても仕方が無いんだよ。明日僕が死ぬ事だってありうる訳だしね」

「それは、そうだが……」

「だろう? 明日死ぬかもしれないと毎回怯えていたら、得られるものも得られないよ」

「………………」

「どんな予測を立てようが、僕達が生きてるのは今だからね。先の事を考えてもしょうがないさ」

「……そう、だな」

「あぁ」

「そうだな、うん……私とした事が、変な考えを抱いてしまった」

 どうやら、立ち直ったらしい。全く、少し考えれば分かりそうなものだが……

「……それから、僕は断言するよ。この平和は長続きすると」

「ん……何故だ?」

「何故って……君は放っておくと、そんな小さな事でずっと悩んでそうだからね」

 言って、慧音を抱き寄せる。

「ゎ……」

「だから……





































 僕が一生、隣りで支えるよ……慧音」
 

クリスマスだぁ!

誕生日だぁ!

イイィィィィィィィィィィィィィィィィィイイヤッf
これは駄目だ。うん。

……はい。どうも、上記の通り、クリスマスの今日めでたく17回目の誕生日を迎えた唯です。
クリスマスが誕生日なんですよ、はい。だからちょっと誕生日でテンション上がって暴走してます。すいません。

自身の誕生日に自給自足プレゼントで朱鷺慧霖家族劇場を。何かもう慧霖から森近一家にジャスティスが変わりつつあります。どうしよう。

あぁ、お風呂は身長の話ですが何か?

深夜脳が後半辺りに多大に影響していますので、何時もの様にgdgdです。御免なさい。
特に本文の最後なんかは、展開とかが自分なりにしっかりしたつもりだけど心配です。
その辺りがおかしかったりしたらご報告お願いします。

今回も誤字脱字その他ありましたらご報告下さい。
ここまで読んで頂き有難う御座いました!







◆オマケ◆

「あぁ、そうだ霖之助」

「ん?」

「風呂の事で思い出したんだが……」

「何だい?」

「着替えてる時、朱鷺子が言ってたんだがな?」

「あぁ」

「実は、本当にクリスマスプレゼントに欲しかった物があったらしいんだ」

「本当に欲しかったもの?」

「あぁ」

「本じゃなかったのか……」

「あぁ」

「因みに、何だったんだい? そのプレゼントって」

「あぁ……」

「………………」


















「……弟が、欲しかったらしい」


「……え?」


「……なぁ、霖之助」

「……?」












「一日遅れだが……今からでも、遅くはないと思うぞ?」


「それ、って……」









続かない。

http://yuixyui.blog130.fc2.com/
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
さあ早く弟を作る作業に戻るんだ。
2.名前が無い程度の能力削除
続かない?

唯さんはジョークがお上手だなぁ~
3.名前が無い程度の能力削除
続けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
4.投げ槍削除
そうだよ、クリスマスってのはこうして家族で過ごすものですよ。
あぁそれから続き期待しますよ?
5.名前が無い程度の能力削除
森近一家は自分もジャスティス!
朱鷺子が可愛すぎです。

続き、待ってますよ?
6.奇声を発する程度の能力削除
さぁ!さぁ!続けるざますよ!
7.名前が無い程度の能力削除
息子さんはきっと草薙を扱えるですね
わかります。

そしてなぜか魔理沙とか霊夢とか紫とかにモテるんですね

だがしかしチルノは渡さねー(だめだこいつ)
8.名前が無い程度の能力削除
もし弟を作るのなら是非アッチのほうで書いて下さいお願いします!!
9.削除
コメント返信です

>>1 様
申し訳ありませんが、作業には戻りません。

>>2 様
周りには嘘が下手だって言われるんですけどねぇ……?

>>3 様
続きませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!

>>投げ槍 様
クリスマスの本当の過ごし方はこっちですよね!
だから続かないと(ry

>>5 様
森近一家の朱鷺子は子供で可愛いですよね!
いや、待たれてましても……

>>奇声を発する程度の能力 様
続けないでごわすよ!

>>7 様
いや、大人しい子に育つでしょうから霊夢や魔理沙というよりはアリスやパチュリーにモテそうな気がしますね。
チルノは……続かないって言ってるのに安易に想像できました。

>>8 様
私 は 17 歳 で す !

読んでくれた全ての方に感謝!
10.名前が無い程度の能力削除
バレンタイデーの日に仕込めば…イブの日にイケる!
11.削除
>>10 様
何がですかwww

読んでくれた全ての方に感謝!