Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

やきもち一輪さんと甘えん坊なこいしちゃん

2010/12/19 19:11:36
最終更新
サイズ
7.97KB
ページ数
1

分類タグ


 このお話は創想話ジェネリック作品集78「さとり妖怪は恋をする」の続きでございます。単体でも楽しめる仕様にはなってると思いますが、よろしければそちらにも目を通していただけると嬉しいです。

 この話から入った方への簡単なあらすじ 

 命蓮寺に遊びにいったこいしちゃんを探していたさとりは、みょんなところで村紗と出逢い、イチャイチャ状態であった!そしていつまでたってもさとりを連れてこない村紗に痺れを切らした一輪とこいしは、二人を探すべく命蓮寺を飛び出した!






月が顔を覗かせ多くの星々が夜空に瞬く中、私とこいしちゃんはさとりさんを探しに行って中々帰ってこない村紗を見つけるべく空を奔っていた。
「まったく、村紗ったら何をやってるのかしら」
「ちょっと遅すぎだよね。それにしても、命蓮寺楽しかったなぁ。一輪お姉ちゃん、また遊びに行ってもいーい?」
「いいわよー。どんどん来ちゃって頂戴。貴女みたいに可愛い子なら大歓迎よ」
「えへへ、可愛いだなんて嬉しいなあ」
 そう言うとこいしちゃんはにへら、ととろけるような笑みを浮かべる。あまりに可愛いのでくしゃりと頭をなでるとくすぐったそうにまた微笑んだ。
 
 やだ、何この子可愛い

「駄目よ一輪!貴女には村紗がいるじゃない。帰ってくるのよ一輪!」
 思わず骨抜きにされてしまいそうなところをなんとか私は踏み止まる。そう、今は一刻も速く村紗を見つけるべきなのだ。少女に見とれている場合ではない、断じてない。
「あ、一輪お姉ちゃん! あそこにお姉ちゃんとゆーれいさんが――」 
「見つけたのね。凄いわこいしちゃん。まったく、村紗ったら今まで何をしてたんだか……」
「抱き合ってるよ!」
「なんですってえええぇえ!?」

 その言葉を聞いた刹那、私は天を駆ける稲妻のような速さで村紗に向かって突撃していった。あまりの私の剣幕にこのままでは姉も巻き添えをくってしまうと思ったのか、こいしちゃんは無意識を操りあわてて村紗の腕からさとりさんをひっぺがしていた。
「ナイスよこいしちゃん、後でいっぱい頭をなでなでしてあげるわ」
 主にそれはこいしちゃんのためでなく自分が美少女の笑顔を見たいがための行動なのだが、今はそんな小さなことに突っ込んでる暇はない。それにしても村紗ったら、昔は「あのね、私大きくなったら一輪のお嫁さんになる」って言って無邪気な顔で私に微笑んでくれたのに、くれたのに!あんな美少女に手を出して……許せんっ!
 飛べ一輪、一刻も速く。殴れ一輪、一発でも多く。嫉妬と憤怒の感情に支配された私はそんな思いを胸に秘め、さとりさんがいきなりいなくなったことに慌てふためいてる村紗の元へすぐに辿りついた。

「村紗」
「一輪……さん」
「やだなあ、さんだなんて。私と村紗の仲じゃない」
「で、ですよねー。私と一輪さんの仲なんだから、まさか後ろにいる闘志ムンムンな雲山を私にけしかけたりとかはしないですよね?」
「そんなことするわけないじゃない。まったく村紗ったら早とちりなんだからあ」
 今持てる全ての顔の筋肉を総動員して私はにっこりと笑顔を作る。しかし村紗はどうしてか必死でこちらに目を会わせない。もう、村紗は恥ずかしがり屋さんね。
「なんだ私のはやとちりか。よかったー」
「ええ、早とちりよ。ところで――」

「さっき貴女が女の子と抱き合ってたのが見えた気がしたのだけれど、気のせいかしら」

「…………」


 途端村紗の表情はピシッと強張る。冷や汗が滝のように噴出し、目線がそこらを行ったり来たりしている。

 世界はまるで停止してしまったかのように、笑顔な私とぎこちない表情の村紗は一言も喋らぬまましばし対峙する。あるのはシュッ!シュッ!っと後ろで雲山が虚空にジャブを放ち続ける音だけである。
 そしてそんな空気に耐えられなくなったのか、村紗はおどおどしながら話を切り出した。


「あ、あのー一輪? 実はこれには海より深い訳がありまして」
「へえ、雲山すごいわ。ワンツーができるようになったのね」
「何かさとりさんがいきなり貧血をおこしてしまって。ああやって支えるしかなかったんです!」
「え、新技があるって? いいわ雲山、見せてみなさい」
「不可抗力と言いますか、何と言いますか、あの時はああするしかなかったんです!」
「オラオラも覚えたなんてやるじゃない! 私、貴方のこと見直したわ!」
「~~ッ! どうしたら、どうしたら許してもらえますか」
 
 言い訳をするのを諦めたのか、村紗は半ば自暴自棄になって私に問いかける。村紗は軽く涙ぐんでいて、その可愛らしい泣き顔は私の嗜虐心をくすぐる。ああ、今すぐにでも虐めたい。でも、そうすると村紗も抵抗しちゃうだろうしどうしようかな。

 あ、そうだ

「そうねえ、じゃあ『私、村紗水蜜と申します。西に行きましても東に行きましてもとにかく迷惑をかけがちな幽霊でございます。以後見苦しき面体おみしり置かれまして恐慌万端ひきたって宜しくお願いします』って噛まずに言えたら許してあげてもいいわよ?」
「言えたらちゃんと、許してくれる?」
「ええ。でも」
「でも?」
「言えなかったら今日は村紗を私の好きにさせてもらうわよ」
「わ、わかったわ。でもちゃんと言えたら許してくれるんだよね?」
「ええ、もちろんよ」

 そこで私はにっこりと聖母様も顔負けの笑みを浮かべる。それを見て村紗は安心したのか涙を袖で拭ったあと、すうっと深呼吸をした後……言う。


「わひゃくしっ……!」


「…………」



 私はその夜ぼろぼろになった村紗を抱き枕にして、幸せな気分で眠りにつくことができた。
 

◆◆◆◆
 
 なんとか荒ぶる一輪お姉ちゃんからのとばっちりを避け気絶しちゃってるお姉ちゃんを手に入れた私は、無事地霊殿に帰ってくることができた。
 そして地霊殿に入るや否やおなじみの二人、お空とお燐が元気よく私達を出迎えてくれた。
「たっだいまー」
「こいし様おかえりなさいませ。もう、どこにいってたんですか? さとり様が心配してましたよ。ってあれ、どうしてさとり様をおんぶしてるんですか?」
「こいし様お帰りー! うにゅ、さとり様どうかしちゃったの? なんか顔がまっかっかだよー」
「えへへー、秘密だよ。でも、体調が悪い訳じゃないから安心していーよ」
 私はそこでにへら~と気の抜けた笑いを浮かべると、二人は不思議そうな顔をしつつもそれ以上追及はしてこなかった。
「でもちょっと私を探すために歩き回って疲れちゃったと思うから、お姉ちゃんの部屋に寝かせて来るね」
「あ、じゃあ私も行くー!」
「こらお空! 駄目だよ、あんたお風呂の用意するって言ってたじゃないか」
「ぽっかり忘れてた!」
「まったく、鳥頭なんだから」
 そこでお燐はにゃーん。と溜息をつきつつお空をお風呂場へ押しやった後、チラッとこちらを見てにやりんと口角を上げて笑みを浮かべる。
「ふふ、じゃあ行って来るね」   
「行ってらっしゃいませ。お空は私が見ておきますので」
「ありがとお燐、明日にでもまたたびいっぱい買ってあげるね!」
「にゃ、にゃーん。感謝の極みっ!」  
 
 お燐はズパッっという効果音とともに恭しく礼をした後、スキップしながらお風呂場へ向かって行く。

「じゃあ、さっそく準備にとりかかろうかなっ」
 私はお燐たちが風呂場へ消えて行ったのを確認した後、相変わらず気付かないお姉ちゃんをおぶったまま、部屋へ向かった。





 場所は変わってお姉ちゃんの部屋、私はお姉ちゃんの服をパジャマに着替えさせてベッドに寝かせ布団をかけた後、ぽいぽいっと服を脱ぎながら一人で呟く。

「よっし、準備かんりょー! まったくお姉ちゃんったら、いつも『忙しいから、今日は一緒に眠ることなんてできません』って言うんだもん。せっかくの機会なんだし、今日くらい一緒に寝ようとしてもバチはあたらないよね?」
 ジャキーン。と効果音を言いパジャマに着替え終わった私はもそもそと布団の中に潜り込み、ぷはっと頭を布団から出してお姉ちゃんと一緒の枕に頭を預ける。
「それにしても、お姉ちゃんの部屋に入るのも久しぶりだよね。最近お姉ちゃんったらいっつも忙しそうにしてるんだもん」
 お姉ちゃんが気が付いてないからなのかはわからないけど、私は無意識の内にいつも胸の内に秘めてることを小さな声で呟き始めていた。
「私だって、いつもふらふら外に行ってるけど何も考えてないわけじゃないんだよ? おうちだとお姉ちゃんは仕事ばっかりしてて、私にかまってくれないんだもん。だからお外によく出かけたら少しはかまってくれるかな、と思ってたんだけどごめんね。心配、かけちゃった。でも今日は嬉しかった。だってお姉ちゃんが自分で私を探しに来てくれたんだもん。色々忙しいはずなのに、私の為に……」
 
 自分でも驚くくらいに口は動き、回り、語る。無意識は止まらない――

「昔はお姉ちゃんあんまり笑わなかったけど、最近は笑うようになったよね。私、見ちゃったんだ。ゆーれいさんに抱き締められて幸せそうな顔をするお姉ちゃんを。その顔は嬉しかったし、可愛かったし、綺麗だった。やっぱり私はお姉ちゃんのことが好きなんだなって思ったよ。お姉ちゃんがどこの誰を愛しても私は嫉妬なんかしないよ。その人にめろめろになってもいい。でも――」 
 そこで私はハッ!っと我に返る。まったく何を口走ろうとしていたんだろう。こんなことお姉ちゃんに聞かれたら引かれちゃうよ。
 恐る恐る私はお姉ちゃんの顔を見てみたけど、お姉ちゃんはまだ気がつかないのかすうすうと規則正しい寝息をたてている。ふう、よかった。


「大好きだよ、お姉ちゃん」


 寝てるのをいいことに、私はすりすりとお姉ちゃんの柔らかいほっぺに頬ずりをした後、ぎゅっとお姉ちゃんに抱きついて幸せな気分で眠りについた。

 
翌日 私が日課である朝の体操をしていると、こいしが眠そうに目をこすりながらベッドから起きてきた。

「あ、お姉ちゃんおはよー!」
「おはようこいし。よく眠れましたか?」
「うん! お姉ちゃんこそ疲れてない?」
「疲れが全く残ってないかと聞かれれば嘘になるけど、今はとっても機嫌がいいから大丈夫ですよ」
「へえ~。何で?」
「ある甘えん坊な女の子にね、元気を貰ったおかげ……ですかね」
「ふーん。まあなんにせよ私はお姉ちゃんが元気で嬉しいよ!」
「ええ、私もこいしが元気だと嬉しいわ。そういえば、今度命蓮寺のナズーリンさんにお礼を言いに行く予定なんだけど、一緒に来ますか?」
「行く行くー!」
「じゃあ決まりですね、今日の午後にでも出発しましょう」
「わーい!」

 こいしは向日葵のような笑顔をぱあっと私に向ける。その眩しく輝いてる笑顔に応えるように、私もにっこりと微笑みを返した。

 私も大好きですよ。こいし


   
 ほぼ一カ月ぶりですが続編、完成いたしました!今回は村紗とさとりの恋愛関係でなく、こいしとさとりの姉妹関係などを書かせていただきました。へたれな村紗や、甘えん坊なこいし、元気な一輪にジャブを放つ雲山を書けて本当に満足です。
 それでは皆さん、またいつの日か!

>1 そう言っていただけると嬉しいです。貴方様のコメントで私も幸せな気持ちになりました。
>2 こいいち……だと……!!また新たな世界が開けそうな予感ですね
>3 はい。皆仲良しが一番ですね。可愛い子達がほわほわ和んでいるのは心が洗われるようです。
>4 その2つのシーンは、私も書いててすごく楽しかったので、喜んでいただけて嬉しいです!
>5 やきもち焼いてる一輪は良いですよね!私も大好きです    
まんた
[email protected]
https://twitter.com/#!/kuronukodeath
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
何だか幸せな気持ちになりました!
2.名前が無い程度の能力削除
むらさとがあるならこいいちがあってもいい…今後も期待してます!
3.名前が無い程度の能力削除
確かにこいいちパートは、頼りがいのあるお姉さん一輪と無邪気な妹こいしという、二人の魅力が相乗効果で高まることを発見して目から鱗でした。
むらいち、こいさとそれぞれ単品でも素敵だけど、この4人が仲良くしてると眼福です。
4.名前が無い程度の能力削除
なるほどなあ
古明地姉妹と星組は地底時代以外では関係ないはずなのに、こう見てみるとなかなかどうして、良いじゃない…
とりあえず無意識に喋りまくるこいしちゃんと即効で噛むムラサがツボった
5.名前が無い程度の能力削除
やきもち一輪かわいいなぁ