※この作品は、私がこれまでに投稿した拙作の設定の一部を引き継いでいます。これ単品で読んでも問題はありませんが、「さとられいむ」前提という事を念頭に置いてください。それでもよろしければ、どうぞ↓
私、博麗の巫女こと博麗霊夢は、これまで様々な異変を解決してきた。そのどれもが奇怪な物ばかりだったし、多少の事では動じない自信もある。しかし、これは・・・・・
「霊夢、何とかしてください」
「いや、何とかって言われても」
「巫女なんだから何とかして!」
「まあまあ落ち着いて。とりあえず触って良い?」
「だ、駄目っ」
さとりに猫耳(ついでに尻尾も)が生えた
「何でこんな事になったのよ」
「私だって知りませんよ。朝起きたらこうなってて、お燐達も私の姿を見るなり『我が人生に一片の悔いなし』とか言いながら倒れるし」
「ああ、そう」
まあ、無理もないか。物凄く可愛いし。何か、第三の眼もなんか猫っぽくなってるし。あれじゃあ、にゃあどあいね
「あまり変な事を考えないで下さい・・・そんなに似合ってますか?」
「うん、かなり」
「うう」
霊夢にそういう事を言われるのは嫌ではありませんが、複雑な気分です
「あのさ」
「何ですか?」
「『にゃあ』って言ってもらって良い?」
「嫌です!」
「んじゃ触る」
「それも駄目って言いました」
「わがままねえ」
「霊夢の要求の方が理不尽です」
うーん、頑固ねえ。よし、あれを試すか
「霊夢?」
「確かこの辺に・・・お、あった」
「そ、それは」
The、猫じゃらし
みょいん、みょいん
「ほーれほーれ」
「なっ!?馬鹿にしないでくださいっ」
みょいん、みょいん
「・・・・・・・」
うずうず
「あら」
やってみるもんね。反応したわ
「か、体が勝手に」
「かなり猫っぽくなってるのね」
みょいん、みょいん
「れ、霊夢。止めて下さい」
「そうね。『にゃあ』って言ってくれたら止めるわ」
「ええっ!?うう、霊夢のドS。い、一回だけですよ」
「うんうん」
「に」
「おっ」
『にゃ、にゃあ』
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「霊夢?」
「さっ」
「?」
「さとりいいいい!!」
がばっ
「きゃああああ!?」
ガラっ
「邪魔するぜー・・・そんなに離れて何やってんだお前ら」
『べ、別に』
「ま、良いや。ん?さとり、お前」
「あっ。こ、これは」
「ぷっ。ぎゃはははは!なんだそれ」
「れいむー」
「おー、よしよし。あいつにはこの良さが分からないのよ」
「ぎゃははは、ひー」
「で、なんの用よ」
「あー、おかし。いや、実はな、折り入って相談が」
「あんたが悩み事?珍しいわね」
「うっせ、それでな」
「ふむ、パチュリーさんの事ですね」
さて、反撃開始です
「うっ」
「ああ、なるほど」
「なんで知ってる!?あっ」
あの祭りの時か
「ええ、その通りです」
「あんたも大概鈍いわよねえ」
「う、うるせー!とにかく私の話を聞けー!」
『はいはい』
「という訳なんだが」
「ふーん。ほー。へー」
「そこまで行ったのに逃げたと。ヘタレですねえ」
「うぐっ。と、とにかく、どうすりゃ良いか分からないんだよ!」
「どうするって。ねえ」
「ええ。本人に直接聞くしかありませんね」
「なっ!?」
「それに、うじうじ悩んでるなんてあんたらしくないわよ」
「・・・・・」
そう、だよな。悩んでるなんて私の性に合わないな
「よし、行くか。あ、パチュリーに会いに行くんじゃないぜ?帽子を返してもらいに行くだけだぜ?」
『はいはい』
「ほ、本当だからな」
『はいはい』
「ち、ちくしょー」
ガラっ
「魔理沙さんって打たれ弱いんですね」
「ええ、かなりね。さて、私達も行きましょうか。これの解決法、調べないと」
「あっ、そうでした」
「な、なんで付いてくるんだよ」
「さとりのこれの解決法、調べないといけないから」
「・・・・お前ら、絶対やじ馬しようとしてるだろ」
「はて。何の事やら」
「うう。さ、さ、寒いい」
「ちょっと、大丈夫?ああ、感覚も猫っぽくなってるのか」
「は、はい。そうみたいですううう」
うーん、どうしようかしら。あ、そうだ
スルッ
「霊夢?」
「あー、えーと。ほら、二人で一本のマフラー巻けば、くっつけるから少しは暖かいし」
「えと、はい・・・ふふっ」
「なによ」
「いえ、何でも。あの、どさくさに紛れて耳とか尻尾、触っちゃ駄目ですよ?」
「分かってるわよ」
「お前ら、本当仲良いよなあ」
「そうかしら」
「そうでしょうか」
「無自覚ってこえー」
<<<>>>
「ふう、図書館の中は暖かいわね。ん?魔理沙は?」
「まだ心の準備が出来てないみたいです」
「あのヘタレめ」
「あら、珍しいわね」
「こんにちは」
「こんにちはー」
「お邪魔してるわ。あのさ、猫耳の本ってある?」
「はあ?猫耳の本?」
「という訳なのよ」
「ふーん、なるほどね。そういう事なら、小悪魔」
「はい」
「この二人に、まじないとか、そういった系統の本の案内をしてちょうだい。出来れば猫耳の」
「はあ、了解しました」
「ああ、そうだ。実は、後もう一人きてるのよ。ちょっと待ってなさい」
『?』
―ほら、さっさと来いこのヘタレ!わ、私はヘタレじゃねー。そ、それにまだ心の準備がだな。うるさい。こんな時ぐらい、男らしく決めなさい。なっ!?私は女だ!はいはい。なら、あんたらしく決めなさい。逃げるんじゃないわよ。お、おう―
「連れて来たわ。たくっ、世話の焼ける」
「!!?」
魔、魔理沙!?
「あら。あらあら。魔理沙さんじゃないですか。良かったですね、パチュリー様」
「う、うるさい」
「さて、邪魔者は退散しますか。小悪魔、よろしく」
「はい、こちらです」
『・・・・・・』
『どうしよう、何を話そう』
「・・・よ、よう」
「・・・なによ、また来たの?」
ああ、違う。今言いたいのはそんな事じゃなくて
「おう、また来たぜ」
良かった、いつものパチュリーだ。ん?
「髪、切ったのか?随分短くしたな」
「魔法でやろうとして、少し失敗したのよ・・・悪い?」
「いや」
サラっ
「ちょ、ちょっと」
「似合ってると、思うぞ」
な、何言ってるんだ!?私は
「そ、そうかしら?」
「おう」
サラサラ
「い、いつまで触ってるのよっ」
「あっ、す、すまん」
「で、今日は何の用?」
「あー、その、何だ。帽子、返してもらいに来たんだが」
「ああ、それなら私の部屋にあるわ。ちょっと待ってなさい」
「おう」
「だああ。じれったいわねえ」
「二人とも奥手ですね」
「なぜそこで『一緒に、来る?』って言わないんですか、パチュリー様」
「こりゃ今回も駄目ね。やじ馬はこれぐらいにして、本、捜しますか」
「あ、そうでした」
「はいはい、了解しました」
「はあ」
あの時は素直になれたのに、今回は全然駄目だわ
―似合ってると、思うぞ―
「ああ、もう」
あの時は言えたのに、ありがとうの一言も、言えなかった
「・・・・・・」
これ、返したら、帰っちゃうのかしら。いや、逃がさないわ。絶対答えを聞くんだから
「確かに、猫耳の本とは言ったけどさあ。これ、猫の本じゃないの・・・」
「え、違うんですか?」
「違うわよ、たくっ。他に無いの?」
「それじゃあ、先ほどパチュリー様が言っていた、まじないとか、そういった関係の方に行ってみますか」
「ああ、そっちの方がそれっぽいわね。さとり、行くわよ」
「・・・・・・」
「さとり?」
あら、猫の本に夢中になってるわね。耳なんかも動かしちゃって。よーし
さわっ
「にゃうん!?」
「あら、敏感ね」
「霊夢!い、今、触りましたね!?」
「さーて、何の事かしらー」
「とぼけないでっ!」
「あのさ」
「なんですか」
「そんな状態で怒られても、全然怖くないんだけど?むしろ、可愛いわ」
「にゃっ!?ば、馬鹿っ」
「ごめんごめん。からかい過ぎたわ」
ナデナデ
「んん・・・・・。な、なにをっ」
「んー。お詫び?」
ナデナデ
「にゃうう・・・・・」
「可愛いわあ。和むわあ」
「・・・・・れいむ」
「あ、嫌だった?」
「・・・もうちょっと、優しく、お願い」
「へっ?あ、あー、うん」
あれ?私、忘れられてます?とりあえず
「なにこのバカップル」
「はい、持って来たわよ」
「お、サンキュー」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・ねえ、魔理「さ、さーて。帰るかなー」
「あっ。ま、待ちなさい」
きゅっ
「は、離せよ」
「・・・また」
「えっ?」
「また、逃げるの?本当はあの時、私が何て言おうとしたか、知ってるくせに」
「うっ。いや、これは、戦略的撤退というか」
そ、そんな泣きそうな目で私を見るな。ドキドキするだろ!
「お願いだから、答えを聞かせて。この気持ち、どうすれば良いか、分からないのよお・・・・・」
「お、おい。泣くなよ」
「うるさい、馬鹿魔理沙っ」
「・・・あー」
―なら、あんたらしく決めなさい。逃げるんじゃないわよ―
「・・・・・」
私らしく、か・・・・・・だな。今のこの気持ちに、嘘は付けない
「そう、だな。お前がいつも『本を持って行くな』って言うから」
「え?」
ぎゅっ
「ちょ、ちょっと。魔理沙!?」
「あー、その。何だ」
『お前の心ごと、持っていく事にするぜ』
「・・・・・・」
「べ、別にお前の心なんか欲しくもなんともないけどなっ!!」
「・・・・・プッ」
「なっ!?わ、笑うこたないだろ」
「ふふっ、ごめんなさい。でも、素直じゃない貴女らしいと思うわ」
「うるせー。要するに、だ。お前の事が好きなんだよっ!・・・こ、これで良いだろ」
「魔理沙」
「なんだよ」
ちゅっ
「!!?」
「・・・・・改めて、よろしくね」
「・・・・・お、おう」
「疲れたー。骨折り損ね」
「やっぱり、そう簡単には見つかりませんね」
「さて、次はどうしようかしら。ん?」
「どうかした?あら」
「ええー。こっちもですかあ」
「よう。お前ら」
「あら。もう良いの?」
「ええ、他を当たってみるわ。二人の邪魔するのも悪いしねえ」
「か、からかうなよ」
「むきゅ・・・」
「ま、二人とも、お幸せにー」
「では、失礼します」
「おう。またな」
「またね。世話焼きのお二人さん」
<<<>>>
「結局、あいつらをくっつけにいっただけね。損したわ」
「ふふっ、最初からそれが目的だったくせに。やっぱり世話焼きですね」
「うっさい。あんたもでしょうが」
「ええ、否定はしません。それで、次はどうするの?」
「うーん。可能性があるとすれば、永琳かしらねえ」
「・・・ああ。お医者様なんですね」
「医者というか薬師というか。まあ、とても迷いやすい所に住んでるんだけれど」
「ええ!?大丈夫なんですか?」
「ま、私の勘を信じなさい」
「うう。不安です」
「本当に着いちゃった」
「よし、流石私の勘ね。さ、行くわよ」
「あ、はい」
ガラっ
「おーい、誰かいるー?」
「はいはい、どちら様・・・あれ?あなた達、珍しいわね」
「ああ、実は」
「という訳よ」
「はー。それはまた随分奇怪な」
「で、永琳ならなんか知ってると思って。今、居る?」
「ああ、師匠ならこっちよ。付いてきて」
「へーい」
「ここで待ってて。師匠に事情を伝えて来るから」
「わかったわ」
「・・・まだ、鈴仙さんは、気持ちを伝えられていないようですね」
「ああ、やっぱり?」
「アプローチはしている様ですが、全く駄目みたいです」
「まあ、そういうの鈍感そうだもんねー、永琳って」
「さとりさん、だっけ。師匠が診てくれるそうよ」
「はい、分かりました・・・霊夢」
「ん?」
「鈴仙さんに、アドバイスをしてあげて下さい」
「ええー。めんどいわねえ」
「鳴きまね一回でどうですか?」
「よし。私にどんと任せなさい」
「・・・・・・」
「うっ。ジ、ジト目が痛い」
「はあ。まあ、良いです。お願いしますね」
「オーケーオーケー。鈴仙」
「何かしら?」
「ちょっと付き合いなさい」
「?うん」
「まだ永琳に、気持ちを伝えられてないんだって?」
「・・・ええ、そうよ。そうなのよ。家の師匠は本当に鈍感で」
「ああ、やっぱり」
「色々アプローチを掛けてはいるんだけど全く効果がなくて。しまいには、『熱でもあるの?』なんて言われちゃって」
「ははは・・・・・」
「笑い事じゃないわよ」
「ああ、ごめん。うーん。やっぱ、直接聞くしかないんじゃない?」
「ええっ!?む、無理よ。そんな勇気、無いわ。私は臆病者だもの」
「・・・・・さとりは、『恋は攻め』なんて言ってたけどさあ」
「うん」
「まあ、それもあるけど。私は、恋に必要なのは『度胸』だと思うのよね」
「・・・・・」
度胸、か。私には一番、縁遠い物かもなあ
「まあ、私から言えるのはそれだけよ」
「霊夢、終わりました」
「おっ。で、どうだった?」
「駄目でした。彼女にも分からないそうです」
「あらら、仕方ないわね。次、行きましょうか」
「はい」
「・・・鈴仙」
「なに?」
「あー、まあ、頑張んなさい」
「では、また。あの、頑張ってください」
「・・・・・・うん」
「師匠」
「あら、うどんげ。さっきの方はもう帰ったの?」
「はい」
「うーん、惜しい事をしたかしら。もっと、じっくりねっとり、調べたかったわ」
「・・・何でこんな人を好きになったんだろう」
「何か言った?」
「いえ、なにも」
―私は、恋に必要なのは、『度胸』だと思うのよね―
「・・・・・・」
恋に必要なのは度胸、か。ありがとう、霊夢
「あ、あの、師匠」
「ん?なに?」
「ちょっと、お話が」
「?」
「あの二人、上手くいくかしら」
「ええ、多分」
「何でよ」
「永琳さんの心は、とても深くて複雑でしたが、鈴仙さんに対する確かな思いは、あった様な気がします」
「ふーん」
「そ、それよりも」
「?」
ぎゅっ
「さとり?」
「あ、あの薬師様、私にあんな事やこんな事をしようとか考えてました。こ、怖かったですう」
「あらら。よしよし」
「ううー」
<<<>>>
「落ち着いた?」
「はい。すみません、取り乱して」
「ああ、良いのよ。可愛かったし」
「・・・・・それで。次はどうするんですか?」
「うーん、そうねえ。あのさ」
「はい?」
「そのままでも良いんじゃない?」
「ええっ!?私は嫌ですっ」
「ええー。可愛いと思うんだけどなあ」
「絶対に嫌ですよ」
霊夢に可愛いって言われるのは、嬉しいですけど
「それに、このままじゃ、お嫁に行けません・・・」
「大丈夫よ」
「なぜ?」
「さとりは私の嫁だから」
「・・・・・・・・え?」
『さとりは私の嫁だから』『さとりは私の嫁だから』『さとりは私の嫁だから』
「ふえっ!?にゃっ!?え!?」
『さとりは、私の、嫁だから』
ボンっ
「なんて、じょうだ・・・さとり?」
「は、はうう・・・・・」
「あー。ちょっと刺激が強すぎたかしら。ん?」
ポロっ
「おっと。嘘、取れた?あれ?何か書いてる」
―河城製の特製猫耳!色々猫っぽくなるこれで、君もあの子のハートをゲット!なお、解除方法は、過剰な熱量を与える事。そう!君の熱い恋の炎の様な!製作、河城にとり 説明文、古明地こいし―
―追記。これで、お姉ちゃんと霊夢の距離も更に縮まるね!―
「・・・・・・・」
ブンッ
「おー、飛んだ飛んだ。なんか、どっと疲れたわ」
くいっ、くいっ
「れいむ」
「あっ、すっかり忘れてた。良かったわね、取れて」
「うん。あの」
「何?」
「その。さっきのは、どういう、意味?」
「うえっ!?あー。いや、あれは」
「・・・嘘なの?」
「うっ」
あ、やば。泣きそう
「さっきのは、その。あー」
「・・・ふふっ」
「あっ。か、からかったわね!?」
「ごめんなさい。でも、霊夢も悪いんですよ」
「・・・・・うん。それは、ごめん」
「はあ。まあ、良いです・・・・・・私は、霊夢となら、良いって思ったのに」
「え?何か言った?」
「いえ、何も」
私、博麗の巫女こと博麗霊夢は、これまで様々な異変を解決してきた。そのどれもが奇怪な物ばかりだったし、多少の事では動じない自信もある。しかし、これは・・・・・
「霊夢、何とかしてください」
「いや、何とかって言われても」
「巫女なんだから何とかして!」
「まあまあ落ち着いて。とりあえず触って良い?」
「だ、駄目っ」
さとりに猫耳(ついでに尻尾も)が生えた
「何でこんな事になったのよ」
「私だって知りませんよ。朝起きたらこうなってて、お燐達も私の姿を見るなり『我が人生に一片の悔いなし』とか言いながら倒れるし」
「ああ、そう」
まあ、無理もないか。物凄く可愛いし。何か、第三の眼もなんか猫っぽくなってるし。あれじゃあ、にゃあどあいね
「あまり変な事を考えないで下さい・・・そんなに似合ってますか?」
「うん、かなり」
「うう」
霊夢にそういう事を言われるのは嫌ではありませんが、複雑な気分です
「あのさ」
「何ですか?」
「『にゃあ』って言ってもらって良い?」
「嫌です!」
「んじゃ触る」
「それも駄目って言いました」
「わがままねえ」
「霊夢の要求の方が理不尽です」
うーん、頑固ねえ。よし、あれを試すか
「霊夢?」
「確かこの辺に・・・お、あった」
「そ、それは」
The、猫じゃらし
みょいん、みょいん
「ほーれほーれ」
「なっ!?馬鹿にしないでくださいっ」
みょいん、みょいん
「・・・・・・・」
うずうず
「あら」
やってみるもんね。反応したわ
「か、体が勝手に」
「かなり猫っぽくなってるのね」
みょいん、みょいん
「れ、霊夢。止めて下さい」
「そうね。『にゃあ』って言ってくれたら止めるわ」
「ええっ!?うう、霊夢のドS。い、一回だけですよ」
「うんうん」
「に」
「おっ」
『にゃ、にゃあ』
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「霊夢?」
「さっ」
「?」
「さとりいいいい!!」
がばっ
「きゃああああ!?」
ガラっ
「邪魔するぜー・・・そんなに離れて何やってんだお前ら」
『べ、別に』
「ま、良いや。ん?さとり、お前」
「あっ。こ、これは」
「ぷっ。ぎゃはははは!なんだそれ」
「れいむー」
「おー、よしよし。あいつにはこの良さが分からないのよ」
「ぎゃははは、ひー」
「で、なんの用よ」
「あー、おかし。いや、実はな、折り入って相談が」
「あんたが悩み事?珍しいわね」
「うっせ、それでな」
「ふむ、パチュリーさんの事ですね」
さて、反撃開始です
「うっ」
「ああ、なるほど」
「なんで知ってる!?あっ」
あの祭りの時か
「ええ、その通りです」
「あんたも大概鈍いわよねえ」
「う、うるせー!とにかく私の話を聞けー!」
『はいはい』
「という訳なんだが」
「ふーん。ほー。へー」
「そこまで行ったのに逃げたと。ヘタレですねえ」
「うぐっ。と、とにかく、どうすりゃ良いか分からないんだよ!」
「どうするって。ねえ」
「ええ。本人に直接聞くしかありませんね」
「なっ!?」
「それに、うじうじ悩んでるなんてあんたらしくないわよ」
「・・・・・」
そう、だよな。悩んでるなんて私の性に合わないな
「よし、行くか。あ、パチュリーに会いに行くんじゃないぜ?帽子を返してもらいに行くだけだぜ?」
『はいはい』
「ほ、本当だからな」
『はいはい』
「ち、ちくしょー」
ガラっ
「魔理沙さんって打たれ弱いんですね」
「ええ、かなりね。さて、私達も行きましょうか。これの解決法、調べないと」
「あっ、そうでした」
「な、なんで付いてくるんだよ」
「さとりのこれの解決法、調べないといけないから」
「・・・・お前ら、絶対やじ馬しようとしてるだろ」
「はて。何の事やら」
「うう。さ、さ、寒いい」
「ちょっと、大丈夫?ああ、感覚も猫っぽくなってるのか」
「は、はい。そうみたいですううう」
うーん、どうしようかしら。あ、そうだ
スルッ
「霊夢?」
「あー、えーと。ほら、二人で一本のマフラー巻けば、くっつけるから少しは暖かいし」
「えと、はい・・・ふふっ」
「なによ」
「いえ、何でも。あの、どさくさに紛れて耳とか尻尾、触っちゃ駄目ですよ?」
「分かってるわよ」
「お前ら、本当仲良いよなあ」
「そうかしら」
「そうでしょうか」
「無自覚ってこえー」
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「ふう、図書館の中は暖かいわね。ん?魔理沙は?」
「まだ心の準備が出来てないみたいです」
「あのヘタレめ」
「あら、珍しいわね」
「こんにちは」
「こんにちはー」
「お邪魔してるわ。あのさ、猫耳の本ってある?」
「はあ?猫耳の本?」
「という訳なのよ」
「ふーん、なるほどね。そういう事なら、小悪魔」
「はい」
「この二人に、まじないとか、そういった系統の本の案内をしてちょうだい。出来れば猫耳の」
「はあ、了解しました」
「ああ、そうだ。実は、後もう一人きてるのよ。ちょっと待ってなさい」
『?』
―ほら、さっさと来いこのヘタレ!わ、私はヘタレじゃねー。そ、それにまだ心の準備がだな。うるさい。こんな時ぐらい、男らしく決めなさい。なっ!?私は女だ!はいはい。なら、あんたらしく決めなさい。逃げるんじゃないわよ。お、おう―
「連れて来たわ。たくっ、世話の焼ける」
「!!?」
魔、魔理沙!?
「あら。あらあら。魔理沙さんじゃないですか。良かったですね、パチュリー様」
「う、うるさい」
「さて、邪魔者は退散しますか。小悪魔、よろしく」
「はい、こちらです」
『・・・・・・』
『どうしよう、何を話そう』
「・・・よ、よう」
「・・・なによ、また来たの?」
ああ、違う。今言いたいのはそんな事じゃなくて
「おう、また来たぜ」
良かった、いつものパチュリーだ。ん?
「髪、切ったのか?随分短くしたな」
「魔法でやろうとして、少し失敗したのよ・・・悪い?」
「いや」
サラっ
「ちょ、ちょっと」
「似合ってると、思うぞ」
な、何言ってるんだ!?私は
「そ、そうかしら?」
「おう」
サラサラ
「い、いつまで触ってるのよっ」
「あっ、す、すまん」
「で、今日は何の用?」
「あー、その、何だ。帽子、返してもらいに来たんだが」
「ああ、それなら私の部屋にあるわ。ちょっと待ってなさい」
「おう」
「だああ。じれったいわねえ」
「二人とも奥手ですね」
「なぜそこで『一緒に、来る?』って言わないんですか、パチュリー様」
「こりゃ今回も駄目ね。やじ馬はこれぐらいにして、本、捜しますか」
「あ、そうでした」
「はいはい、了解しました」
「はあ」
あの時は素直になれたのに、今回は全然駄目だわ
―似合ってると、思うぞ―
「ああ、もう」
あの時は言えたのに、ありがとうの一言も、言えなかった
「・・・・・・」
これ、返したら、帰っちゃうのかしら。いや、逃がさないわ。絶対答えを聞くんだから
「確かに、猫耳の本とは言ったけどさあ。これ、猫の本じゃないの・・・」
「え、違うんですか?」
「違うわよ、たくっ。他に無いの?」
「それじゃあ、先ほどパチュリー様が言っていた、まじないとか、そういった関係の方に行ってみますか」
「ああ、そっちの方がそれっぽいわね。さとり、行くわよ」
「・・・・・・」
「さとり?」
あら、猫の本に夢中になってるわね。耳なんかも動かしちゃって。よーし
さわっ
「にゃうん!?」
「あら、敏感ね」
「霊夢!い、今、触りましたね!?」
「さーて、何の事かしらー」
「とぼけないでっ!」
「あのさ」
「なんですか」
「そんな状態で怒られても、全然怖くないんだけど?むしろ、可愛いわ」
「にゃっ!?ば、馬鹿っ」
「ごめんごめん。からかい過ぎたわ」
ナデナデ
「んん・・・・・。な、なにをっ」
「んー。お詫び?」
ナデナデ
「にゃうう・・・・・」
「可愛いわあ。和むわあ」
「・・・・・れいむ」
「あ、嫌だった?」
「・・・もうちょっと、優しく、お願い」
「へっ?あ、あー、うん」
あれ?私、忘れられてます?とりあえず
「なにこのバカップル」
「はい、持って来たわよ」
「お、サンキュー」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・ねえ、魔理「さ、さーて。帰るかなー」
「あっ。ま、待ちなさい」
きゅっ
「は、離せよ」
「・・・また」
「えっ?」
「また、逃げるの?本当はあの時、私が何て言おうとしたか、知ってるくせに」
「うっ。いや、これは、戦略的撤退というか」
そ、そんな泣きそうな目で私を見るな。ドキドキするだろ!
「お願いだから、答えを聞かせて。この気持ち、どうすれば良いか、分からないのよお・・・・・」
「お、おい。泣くなよ」
「うるさい、馬鹿魔理沙っ」
「・・・あー」
―なら、あんたらしく決めなさい。逃げるんじゃないわよ―
「・・・・・」
私らしく、か・・・・・・だな。今のこの気持ちに、嘘は付けない
「そう、だな。お前がいつも『本を持って行くな』って言うから」
「え?」
ぎゅっ
「ちょ、ちょっと。魔理沙!?」
「あー、その。何だ」
『お前の心ごと、持っていく事にするぜ』
「・・・・・・」
「べ、別にお前の心なんか欲しくもなんともないけどなっ!!」
「・・・・・プッ」
「なっ!?わ、笑うこたないだろ」
「ふふっ、ごめんなさい。でも、素直じゃない貴女らしいと思うわ」
「うるせー。要するに、だ。お前の事が好きなんだよっ!・・・こ、これで良いだろ」
「魔理沙」
「なんだよ」
ちゅっ
「!!?」
「・・・・・改めて、よろしくね」
「・・・・・お、おう」
「疲れたー。骨折り損ね」
「やっぱり、そう簡単には見つかりませんね」
「さて、次はどうしようかしら。ん?」
「どうかした?あら」
「ええー。こっちもですかあ」
「よう。お前ら」
「あら。もう良いの?」
「ええ、他を当たってみるわ。二人の邪魔するのも悪いしねえ」
「か、からかうなよ」
「むきゅ・・・」
「ま、二人とも、お幸せにー」
「では、失礼します」
「おう。またな」
「またね。世話焼きのお二人さん」
<<<>>>
「結局、あいつらをくっつけにいっただけね。損したわ」
「ふふっ、最初からそれが目的だったくせに。やっぱり世話焼きですね」
「うっさい。あんたもでしょうが」
「ええ、否定はしません。それで、次はどうするの?」
「うーん。可能性があるとすれば、永琳かしらねえ」
「・・・ああ。お医者様なんですね」
「医者というか薬師というか。まあ、とても迷いやすい所に住んでるんだけれど」
「ええ!?大丈夫なんですか?」
「ま、私の勘を信じなさい」
「うう。不安です」
「本当に着いちゃった」
「よし、流石私の勘ね。さ、行くわよ」
「あ、はい」
ガラっ
「おーい、誰かいるー?」
「はいはい、どちら様・・・あれ?あなた達、珍しいわね」
「ああ、実は」
「という訳よ」
「はー。それはまた随分奇怪な」
「で、永琳ならなんか知ってると思って。今、居る?」
「ああ、師匠ならこっちよ。付いてきて」
「へーい」
「ここで待ってて。師匠に事情を伝えて来るから」
「わかったわ」
「・・・まだ、鈴仙さんは、気持ちを伝えられていないようですね」
「ああ、やっぱり?」
「アプローチはしている様ですが、全く駄目みたいです」
「まあ、そういうの鈍感そうだもんねー、永琳って」
「さとりさん、だっけ。師匠が診てくれるそうよ」
「はい、分かりました・・・霊夢」
「ん?」
「鈴仙さんに、アドバイスをしてあげて下さい」
「ええー。めんどいわねえ」
「鳴きまね一回でどうですか?」
「よし。私にどんと任せなさい」
「・・・・・・」
「うっ。ジ、ジト目が痛い」
「はあ。まあ、良いです。お願いしますね」
「オーケーオーケー。鈴仙」
「何かしら?」
「ちょっと付き合いなさい」
「?うん」
「まだ永琳に、気持ちを伝えられてないんだって?」
「・・・ええ、そうよ。そうなのよ。家の師匠は本当に鈍感で」
「ああ、やっぱり」
「色々アプローチを掛けてはいるんだけど全く効果がなくて。しまいには、『熱でもあるの?』なんて言われちゃって」
「ははは・・・・・」
「笑い事じゃないわよ」
「ああ、ごめん。うーん。やっぱ、直接聞くしかないんじゃない?」
「ええっ!?む、無理よ。そんな勇気、無いわ。私は臆病者だもの」
「・・・・・さとりは、『恋は攻め』なんて言ってたけどさあ」
「うん」
「まあ、それもあるけど。私は、恋に必要なのは『度胸』だと思うのよね」
「・・・・・」
度胸、か。私には一番、縁遠い物かもなあ
「まあ、私から言えるのはそれだけよ」
「霊夢、終わりました」
「おっ。で、どうだった?」
「駄目でした。彼女にも分からないそうです」
「あらら、仕方ないわね。次、行きましょうか」
「はい」
「・・・鈴仙」
「なに?」
「あー、まあ、頑張んなさい」
「では、また。あの、頑張ってください」
「・・・・・・うん」
「師匠」
「あら、うどんげ。さっきの方はもう帰ったの?」
「はい」
「うーん、惜しい事をしたかしら。もっと、じっくりねっとり、調べたかったわ」
「・・・何でこんな人を好きになったんだろう」
「何か言った?」
「いえ、なにも」
―私は、恋に必要なのは、『度胸』だと思うのよね―
「・・・・・・」
恋に必要なのは度胸、か。ありがとう、霊夢
「あ、あの、師匠」
「ん?なに?」
「ちょっと、お話が」
「?」
「あの二人、上手くいくかしら」
「ええ、多分」
「何でよ」
「永琳さんの心は、とても深くて複雑でしたが、鈴仙さんに対する確かな思いは、あった様な気がします」
「ふーん」
「そ、それよりも」
「?」
ぎゅっ
「さとり?」
「あ、あの薬師様、私にあんな事やこんな事をしようとか考えてました。こ、怖かったですう」
「あらら。よしよし」
「ううー」
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「落ち着いた?」
「はい。すみません、取り乱して」
「ああ、良いのよ。可愛かったし」
「・・・・・それで。次はどうするんですか?」
「うーん、そうねえ。あのさ」
「はい?」
「そのままでも良いんじゃない?」
「ええっ!?私は嫌ですっ」
「ええー。可愛いと思うんだけどなあ」
「絶対に嫌ですよ」
霊夢に可愛いって言われるのは、嬉しいですけど
「それに、このままじゃ、お嫁に行けません・・・」
「大丈夫よ」
「なぜ?」
「さとりは私の嫁だから」
「・・・・・・・・え?」
『さとりは私の嫁だから』『さとりは私の嫁だから』『さとりは私の嫁だから』
「ふえっ!?にゃっ!?え!?」
『さとりは、私の、嫁だから』
ボンっ
「なんて、じょうだ・・・さとり?」
「は、はうう・・・・・」
「あー。ちょっと刺激が強すぎたかしら。ん?」
ポロっ
「おっと。嘘、取れた?あれ?何か書いてる」
―河城製の特製猫耳!色々猫っぽくなるこれで、君もあの子のハートをゲット!なお、解除方法は、過剰な熱量を与える事。そう!君の熱い恋の炎の様な!製作、河城にとり 説明文、古明地こいし―
―追記。これで、お姉ちゃんと霊夢の距離も更に縮まるね!―
「・・・・・・・」
ブンッ
「おー、飛んだ飛んだ。なんか、どっと疲れたわ」
くいっ、くいっ
「れいむ」
「あっ、すっかり忘れてた。良かったわね、取れて」
「うん。あの」
「何?」
「その。さっきのは、どういう、意味?」
「うえっ!?あー。いや、あれは」
「・・・嘘なの?」
「うっ」
あ、やば。泣きそう
「さっきのは、その。あー」
「・・・ふふっ」
「あっ。か、からかったわね!?」
「ごめんなさい。でも、霊夢も悪いんですよ」
「・・・・・うん。それは、ごめん」
「はあ。まあ、良いです・・・・・・私は、霊夢となら、良いって思ったのに」
「え?何か言った?」
「いえ、何も」
顔面が崩壊したよ。うん。2828的な意味でね。
いいぞもっとやr……やってくださいお願いします。