星蓮船から命蓮寺に姿を変えたこの寺が軌道に乗るのに時間はかからず、参拝客は人妖を問わず集まり毎日のように賑やかだった。最近になってその勢いもようやく落ち着いてきて、聖の言葉を借りれば毎日が平和に、私の素直な感想では退屈に毎日が過ぎ去っていく。名目上はご主人様である寅丸星の監視も、不謹慎な言い方だけど、あの人も真面目すぎて監視のしがいというものがないほどだ。
飛倉の破片や宝塔以降、特に大きな探し物や用事を頼まれる事も減った私は子鼠たちに適当に命令を与えて探し物をさせる日々を過ごしていた。これはまあ、彼らに対するいわゆる休暇というヤツだけど、とりあえず人間に迷惑をかけるような事だけはないように命令しておかないと、ご主人様や聖から長い長い説法を貰う事になる。そういうわけで人間にちょっかいを掛けられないのが退屈ではあるけど、あの二人を怒らせると後が怖いから仕方ない。
そして今日も、私はダウジングロッドを両手に携えて自由に空を飛んでいた。子鼠たちにも宝探しをさせているとは言ったけど大した期待はしていない。食料も勝手に探して食べるだろうからほとんど放任しているようなものだ。
しかしながら幻想郷をこんな風にのんびり回ってみる機会は、考えてみると中々なかったと思う。仕事のためにご主人様の元にいる事が多かったし、何より昔は妖怪に厳しかった時代だ。こんな風に暢気に出歩こうものなら躍起になった人間が我先にと退治へやって来る。今でもそんな人間を二人、いや三人ほど知っているけど、それでも昔に比べると大分平和になったものだと思う。
今日もまるで学習能力の向上を感じられない陽気な化け傘の妖怪を適当にあしらうと、私は森の近くに降りた。今日のお宝はこの辺にあるみたいだとロッドが反応している。
確か里の人間はここを「迷いの竹林」と呼んでいた。入り組んだ迷路のような竹林は歩けば歩くほどに方向感覚を失い、気付けば元の場所へ戻っているという不思議な竹林。だそうだけど、私にはこのロッドがある。まったく関係のない話だ。
そんな場所だからこそなのか、ロッドは迷うことなく竹林の奥を示すように反応している。まさか迷った人間の亡骸に反応するという誤作動が起こらないとは言い切れないけど、でもこんな場所だからきっと何かすごい宝があるに違いないと久しぶりに心が躍るのを感じていた。
「しかし、変だね」
どれだけ竹林を歩いただろうか。景色は相変わらずの深緑一色で、目的の場所に辿りつく気配はない。ロッドを頼りに歩いているのに目標に近づく事も遠ざかる事もなく、まるで目的の場所の周りをぐるぐると回っているだけのような不思議な感覚だった。いや、本当に不思議な話だ。まだ迷ったとは思えないけど、しかしそれにしてもこの竹林はこんなに広かっただろうか。
一旦引き返してみようかと思ったけど、「出口」は宝ではないだろうから恐らくロッドには頼れない。そうなると、どこから来たのか分からないくらい辺りが茂っているこの状況で、何にも頼らずに引き返すというのは自分から迷いにいくようなものだ。……ああ、最悪空を飛んで帰ればいいのかな。服に木々の枝や葉が付くのは忍びないけど本当に迷ったらそうは言っていられない。このまま宝探しを続けよう。それに噂の通りなら、迷っていれば勝手に入口へ戻してくれるはずだ。
鬱蒼と木々が生い茂っているせいか昼間だというのに竹林の中はどこか薄暗く、時折変な妖獣の類が思い出したように茂みの中から現れる。しかし相手は人間以外には興味がないのか、私を見るなりがっかりしたような様子で茂みの中へ消えていく。失礼な話だ。しかし相手の性格や体格によっては襲われる事も考慮しないといけないわけだから、敵わない相手のために逃げる算段だけは整えておかないといけない。
それからさらにどれほど歩いたのか。いつまで経っても何も進行しない現状に、私はいい加減、諦めにも似た苛立ちを感じ始めていた。空から見た所ではそんなに広くないと思った竹林。ロッドを頼りに一直線に目標まで歩いているのに一向に距離が縮まらない不思議な感覚。これではいよいよ宝の周りをぐるぐる回っているとしか思えない、そうでないなら見える範囲で何かあるはずだ。なのに景色は相変わらずだった。
……そういえば。聖が言っていたけどここには妖怪が住んでいるという話だ。さっきまでに見た獣の類ではなく、私たちのようにある程度の知能を持った妖怪だそうだけど、もしかするとその妖怪が宝に近づけさせまいとして竹林そのものに何か術を施しているのではないだろうか。
そんな可能性も全くないとは言い切れないけど、私ではなく竹林全体に及ぼさせる程の術を持っている妖怪がもしいるのだとすれば、恐らく私なんかじゃとても敵わない相手かもしれない。もしそんな奴が現れたら適当に相手をして逃げ出そう、宝よりも命の方が大切だ。
少し辺りを警戒しながら先へ進もうとすると、不意に何かの気配を感じて私は足をとめた。見れば右手の茂みが音を立てて揺れている。早速なのかと身構えたけど、茂みの揺れはそれほど大きくなく、何か小動物によるものであるように見えた私はそのまま成り行きを見守っていると、ややあってそこから一匹の白いウサギが飛び出した。そのウサギは私を一瞥すると左手の茂みへそのまま消えて行き、辺りはまた静まり返った。
そういえばここの妖怪はウサギを従えているとも聞いた。そうするとここに住処を構えているかもしれない妖怪は、さっきのようなウサギを手下に持つウサギの妖怪だろうか。どこにでもいそうな暢気で無警戒なさっきのウサギを見る限り脅威な姿がまるで想像できないけど、未だに目的地へ辿り着かない事を考えるとそれでも油断はできない。
しかし、と考える。仮にここへ来る事を拒ませる意味で迷わせているのなら、何か相当なお宝があっても不思議ではない。でもそれだと、同時にお宝を守る妖怪と対峙する展開は恐らく避けられない。出来る限り無用な争いは避けないと私自身の身の危険はともかく、あの二人がうるさいからね……。
気楽な宝探しを考えていたのに、どんどん難しい条件が増えて行く。あれこれ考えて危険を背負うより、もういっその事帰って別の宝を探しに行こうか。そんな事を考えながら足を踏み出そうとして、さっきと同じ茂みから、今度は勢いよく何かが飛び出した。
……今度も確かにウサギだったけど、私が一番警戒していた白い兎の妖怪だった。
「そうか、それで君の手下が逃げ出したんだね」
「だからペットだってば。意外とすばしっこい奴で困ってたのよねー」
茂みを掻き分けて隣を歩くその妖怪は、自分の事を因幡てゐと名乗った。この竹林に長く住むらしいこの妖怪は意外に社交的で私たちはお互いに簡単な情報交換をした。古くからこんな所に住んでいる割にはとてもそれを感じさせない言動や容姿が私の警戒心を強める。ある程度の素性を明かしはしたけど、この妖怪の他にも竹林に住む者がいて、その中にはここへ来る者を迷わせるほどの妖怪がいる話を聞けばあまり自分の事をべらべらと語るべきじゃないかもしれない。少し手遅れだったけど。
おまけに、彼女にしてみれば私はこの竹林を荒らそうとしている賊だ。宝探しを目的にやって来ていればそう思われてもおかしくはないこの状況で、この妖怪は私の経緯を知ってなお眉ひとつ動かす事なく、逆にその能力で手下を探してくれと頼んできた。何か意図があるのかもしれないと勘ぐったけど、表情や言動からはそんな様子を感じとれない。もしかするとこいつは相当の役者かもしれない。
「どしたの、そんなに身構えて。……何に警戒しているのか知らないけど、あんたあの宝船の野ネズミでしょ? 言わなくても知ってるよ、それくらい」
「野……! まあ、そうだけど。何だ、人間以外にもあれが宝船に見えていたのか。幻想郷は相変わらず欲深い者で溢れているんだね」
「そんな事よりいい案が思いついたんだけど、今度私もその宝船に乗せてみない? きっと儲かるわよー」
「生憎私の一存ではそんな胡散臭い話に乗れないんだ。でも残念ね、今は船じゃなくて寺になっているよ。この近くに命蓮寺という寺があるから、今度参拝にでも来るといい。あそこの僧侶は人間も妖怪も分け隔てなく受け入れてくれる、出来た心の持ち主だからね」
「妖怪も? とんだ変人がいるのね」
だけど寺かよー。と、不満そうな声を上げながら茂みを掻き分けて歩いていく白兎。その怪しい儲け話というのも全く興味がなかったわけではないけど、こういう典型的で古典的な方法で切り出してくるのは自分が詐欺師だと言っているようなものだ。聞けば最後、とんとん拍子に話は勝手に進んでいき、気付けば最終的に引き返せない場面まで来てしまっている。そんな古臭い詐欺に引っ掛かって、軌道に乗っている命蓮寺に損害を与えてしまえば私はきっとただではすまない。
「ところでそんな棒切れで本当にうさうさが見つかるの?」
「さっきから随分失礼な事を言うな、君は。大体ダウザーの私に探せない物なんてないよ。しかし『うさうさ』って、どうしようもなく変な名前をつけているんだね」
「そう? 私は面白いと思うけど。意外性があって」
意外性も何も、安直過ぎてくだらない。さっきのウサギの事を言っているのだろうけど、本当にセンスの欠片も感じられない名前だ。しかも本人は面白そうに言っているし、少なくともちゃんと考えて付けてあげた名前ではなさそうだ。
結局さっきまで私が追いかけていた宝の反応は、今は諦める事になってしまったけどこれはこれでいいだろうと思った。上手く依頼主の依頼が達成できれば、もしかすると命蓮寺の信仰にも繋がるかもしれない。まあ、こいつを見る限り過度の期待はしない方がいいだろうけど。
「ん、段々反応が強くなってきた。……さっきに比べて随分精度が高い気がするけど、とにかくもうそろそろその、うさ何とかが見つかるかもしれないね」
「うさうさだってば。たった四文字なんだから変な略し方しないでよ」
それから間もなくして、視界が割と開けた場所に出た。ロッドは目の前の大木に強く反応していて、見れば上の方の枝葉が小さく揺れている。ウサギがこの高さを登れるのは意外だったけど、間違いなくそのウサギはあそこにいる。
「あそこだね、あそこに君の探している手下がいる」
「だーかーらー、ペットだってばペット」
私たちの声に反応するようにぎしぎしと枝葉がさらに揺れる。まさかこんなに簡単に見つかるとは思っていなかったのか、この兎も隣でびっくり……ではなく、むしろ嬉々とした表情で私を見ていた。さっきの詐欺話を持ちかけようとした時と同じような笑みだった。
「ねえねえすごいじゃない。ぜひともその能力で私の」
「いいから、さっさと捕まえたらどうだい」
詐欺師の執念深さは折り紙つきだ。押してダメなら引いてみる。引いてダメならまた押してみる。とにかくどれだけ拒否しても諦めが悪い。
大体私がそんな胡散臭い誘いに乗ると本気で思っているのだろうか。私は呆れた声で木の上を指差しながら促すと、彼女は渋々ながら、しかしやっぱりというか諦めてはいない様子で木の根元から手下を見上げていた。手には握りこぶしを作っている。
「よーし、とりあえずペットを助け出してからまた誘ってやる。そして私たちは幻想郷を揺るがす程のコンビとして数多の金銀財宝を」
「はいはい」
「……ちぇー。……うさうさー、おいでー。可愛いてゐちゃんが迎えに来たよー」
「……」
ふくれっ面をしながらも名前を呼ぶその後ろで様子を見ていると、彼女の声に反応してさらに枝葉が小刻みに揺れる。何だかんだいって、たまには人や妖怪の役に立つのも悪くはない。聖が見返りを求める事なく誰彼構わず助けようとしていた意味が何となくわかったかもしれない。そんな風に思っていたけど、そこから顔を出した手下に私は思考を中断されて思わず目を見開いた。
「……!?」
「おーい、うさうさー。……あれは、ダメね。ねえ、ちょっと軽くあそこまで飛んで捕まえてきてくれない?」
「いや、いやいやいやいや冗談だろう? どうして私があんなのを捕まえないといけないんだ。アレは君の……そうだ、ペットなんだろう? ペットの不手際はその飼い主が拭うべきだ」
「えー」
えー、じゃない。大体話と全然違うじゃないか。私たちはウサギを探していたはずなのに、今あそこから顔を覗かせて鋭い牙で威嚇しているように見えるアレはどう考えてもウサギではなく獣、というより化け物という表現が一番しっくりくる薄気味悪い生物だ。あれでもう一回り大きかったら私の方が逃げ出したくなるのに、あんなのに不用意に近寄って噛みつかれでもしたらひとたまりもない。
「あーあ、あんなに怯えて……。あんな状態で捕まえに行ったら絶対に噛みつかれるからさ。だからお願い」
「あれで怯えて……。いや、それでも色々意味がわからないよ。それに話が違うじゃないか、私たちが探していたのはウサギであんな……」
いや、待て。ここまでの流れで彼女は「ペットを」探してくれと言っただけだ。てっきりあの白いウサギかと思っていたけど彼女自身はそんな事を一言も言っていないし、仮にも同胞であるウサギを「ペット」とは言わないはず。なぜ手下をペットと何度も訂正していたのか気にはなっていたけど、もしかしてそういう……。
まさか。はっと気づいて彼女を見ると、そいつはここぞとばかりに性質の悪い黒い笑みを浮かべていた。ぼそりと呟いたけど、私にははっきりと聞こえた。早合点しちゃったのかな? と。
その小馬鹿にしたような笑みに、悔しさで私は歯ぎしりしそうになるのを何とか堪えながら笑顔を浮かべる。
「あはは……そういえば、私も『探してくれ』と頼まれただけだったね。依頼は果たした事だし、後は君に任せるよ。それじゃあ」
「……あーあ、優しいネズミさんだと思ったのになー。こんなに優しい人が命蓮寺にいるんだよって、鈴仙とかお師匠さまに教えてあげようと思ったのになー。そうするとあらあら不思議とばかりに信仰も得られると思ったんだけどなー。でもしょうがないかー」
背中を向けて帰ろうとするとそんな声を投げかけられ、私も聞き流せばいいのに思わず足をとめてしまった。そのまま無視して飛び去っていればよかったのにと後悔するけど遅かった。
まるで隙ありとばかりに背中越しからこの黒い兎は次々と言葉を使って煽って来る。二言目には信仰信仰と馬鹿の一つ覚えみたいにそれに結び付けてくるが、今の私にはそれでさえ切り返せないほど冷静さを欠いていた。
信仰がいかに重要なのかは聖やご主人様から耳が痛くなるほどに語られたし、何より赤や緑の巫女を見ていれば十二分に理解できる。その重要さをこいつも知っているのか、その単語だけをやたらと強調しながら段々と距離を詰めてくる。
無視だ、無視。そう思っても、いつの間にか目の前に移動してにっこり笑いかける相手から出ている妙な圧力に、私は思考を中断されて苦虫を噛み潰す事しかできない。このまま帰れば後でありもしない噂を広められるかもしれないし、その結果命蓮寺に迷惑や損害を与える事になるかもしれない。もしかして相手はそこまで読んでいるから、こんな安っぽい挑発でも十分だと思っているのだろうか。
……さすがに悔しいが、そういうずる賢い計算はこの兎の方が一枚上手なのかもしれない。いや、私も本気を出せばこの程度は楽に切り返してみせられるけど、……今回は悪条件が重なりすぎた。きっとそうだ。
「……ああもう!」
一際大きな声を張り上げると、私はその化け物に向かって一直線に飛んだ。
「わぁ、どうもありがとう」
まるで感情のこもっていない棒読みでそう言いながら、黒い兎は奇妙な生物を両手に抱き締めて楽しそうに小躍りした。その生物も兎に甘えるように頬擦りのような事をしているけど愛らしさは微塵もない。
対して私は満身創痍だ。体中に噛まれた跡をつけながら、小一時間ほどでようやくその生物を救出する事に成功したものの、その報酬がこの傷跡だ。幸いにも鋭く見えた牙は見せかけだったからよかったけど、帰ったらみんなに何てからかわれるか。宝ではなく噛み傷を貰う事になるなんて何とも皮肉な話だと思う。
「これ、お師匠さまのペットなのよね。ほむ……何とかって名前だったけど長いからうさうさって私が名付けたのよ。うっかり逃がしちゃって、見つけられなかったらお仕置きされちゃうとこだったわー。……鈴仙が」
「……そう、とにかく見つかってよかったんじゃないかな……」
楽しそうに笑う姿は一見純粋無垢でうっかり騙されそうになったけど、こいつはこんな笑顔でこの私を手玉にとるペテン師なのだ。そのせいで私はこんなに傷だらけで骨折り損のくたびれ儲けという状態。
だけど、とにかく出来るだけの事はやった。直接信仰心に繋がる事はやっぱり期待できないけど、少なくとも命蓮寺のイメージアップには貢献したかもしれない。……そう思いたい。
「だけど、身のこなしも中々……。ねえねえ。冗談とかそんなんじゃなくてさ、私と一緒に」
「お断りするよ……」
だからそんな話に乗るはずが……。呆れた顔で彼女を見ると、さっきまでの詐欺師のような笑みとは違う、何か別の見たことのない笑みを浮かべていた。純粋に私を評価したうえでそんな顔をしているのかはわからないけど、突っぱねてしまえるような笑みではなかったので私も一瞬言葉を失ってしまう。
「ふふん、実はね。私も幸運を呼ぶ能力を持ってるのよ。そんな私と貴女が手を組めばきっと幻想郷中に名を馳せるコンビになると思うのになー」
「へえ、そんな能力が」
うん? もしかするとロッドが簡単にペットを探し当てたのはそれも絡んでいたからだろうか。そういえば彼女が出てきてからは道に迷うことなく目標までやって来る事ができた。
しかしそれはそれ。相変わらず何を考えているのかわからない胡散臭い兎だけど、少なくとも仲間を脅かすような悪い妖怪には見えない。それに、確かに手を組めば効率良く探し物が見つかるかもしれないし、別の事にも流用できるかもしれない。……私はともかく、相手が素直に協力してくれるとは思えないけど。
「そうだね。……まあ、悪くはないかもしれない。でも、それは私が君に仕返しをしてからだ」
「仕返し? ……ふふ、面白い事を言うのね」
彼女は一瞬目を丸くしてから、不敵に笑った。
くだらない事とはいえ、今日はうまいこと利用されたけど次は私の番だ。そんな風に宣戦布告のような挑戦的な言葉を投げかけると、てゐも対抗意識を燃やすように笑みを浮かべながら胸を反らせた。お互いさぞ不敵な笑みを浮かべている事だろう。
因幡てゐ。結局最後まで油断も隙もない奴だったし、おまけにこの私が一杯食わされるという、悔しい借りまで出来てしまったけど。
命蓮寺まで帰っている途中、私は自分の口元が薄く笑っている事に、言われるまで気付かなかった。
飛倉の破片や宝塔以降、特に大きな探し物や用事を頼まれる事も減った私は子鼠たちに適当に命令を与えて探し物をさせる日々を過ごしていた。これはまあ、彼らに対するいわゆる休暇というヤツだけど、とりあえず人間に迷惑をかけるような事だけはないように命令しておかないと、ご主人様や聖から長い長い説法を貰う事になる。そういうわけで人間にちょっかいを掛けられないのが退屈ではあるけど、あの二人を怒らせると後が怖いから仕方ない。
そして今日も、私はダウジングロッドを両手に携えて自由に空を飛んでいた。子鼠たちにも宝探しをさせているとは言ったけど大した期待はしていない。食料も勝手に探して食べるだろうからほとんど放任しているようなものだ。
しかしながら幻想郷をこんな風にのんびり回ってみる機会は、考えてみると中々なかったと思う。仕事のためにご主人様の元にいる事が多かったし、何より昔は妖怪に厳しかった時代だ。こんな風に暢気に出歩こうものなら躍起になった人間が我先にと退治へやって来る。今でもそんな人間を二人、いや三人ほど知っているけど、それでも昔に比べると大分平和になったものだと思う。
今日もまるで学習能力の向上を感じられない陽気な化け傘の妖怪を適当にあしらうと、私は森の近くに降りた。今日のお宝はこの辺にあるみたいだとロッドが反応している。
確か里の人間はここを「迷いの竹林」と呼んでいた。入り組んだ迷路のような竹林は歩けば歩くほどに方向感覚を失い、気付けば元の場所へ戻っているという不思議な竹林。だそうだけど、私にはこのロッドがある。まったく関係のない話だ。
そんな場所だからこそなのか、ロッドは迷うことなく竹林の奥を示すように反応している。まさか迷った人間の亡骸に反応するという誤作動が起こらないとは言い切れないけど、でもこんな場所だからきっと何かすごい宝があるに違いないと久しぶりに心が躍るのを感じていた。
「しかし、変だね」
どれだけ竹林を歩いただろうか。景色は相変わらずの深緑一色で、目的の場所に辿りつく気配はない。ロッドを頼りに歩いているのに目標に近づく事も遠ざかる事もなく、まるで目的の場所の周りをぐるぐると回っているだけのような不思議な感覚だった。いや、本当に不思議な話だ。まだ迷ったとは思えないけど、しかしそれにしてもこの竹林はこんなに広かっただろうか。
一旦引き返してみようかと思ったけど、「出口」は宝ではないだろうから恐らくロッドには頼れない。そうなると、どこから来たのか分からないくらい辺りが茂っているこの状況で、何にも頼らずに引き返すというのは自分から迷いにいくようなものだ。……ああ、最悪空を飛んで帰ればいいのかな。服に木々の枝や葉が付くのは忍びないけど本当に迷ったらそうは言っていられない。このまま宝探しを続けよう。それに噂の通りなら、迷っていれば勝手に入口へ戻してくれるはずだ。
鬱蒼と木々が生い茂っているせいか昼間だというのに竹林の中はどこか薄暗く、時折変な妖獣の類が思い出したように茂みの中から現れる。しかし相手は人間以外には興味がないのか、私を見るなりがっかりしたような様子で茂みの中へ消えていく。失礼な話だ。しかし相手の性格や体格によっては襲われる事も考慮しないといけないわけだから、敵わない相手のために逃げる算段だけは整えておかないといけない。
それからさらにどれほど歩いたのか。いつまで経っても何も進行しない現状に、私はいい加減、諦めにも似た苛立ちを感じ始めていた。空から見た所ではそんなに広くないと思った竹林。ロッドを頼りに一直線に目標まで歩いているのに一向に距離が縮まらない不思議な感覚。これではいよいよ宝の周りをぐるぐる回っているとしか思えない、そうでないなら見える範囲で何かあるはずだ。なのに景色は相変わらずだった。
……そういえば。聖が言っていたけどここには妖怪が住んでいるという話だ。さっきまでに見た獣の類ではなく、私たちのようにある程度の知能を持った妖怪だそうだけど、もしかするとその妖怪が宝に近づけさせまいとして竹林そのものに何か術を施しているのではないだろうか。
そんな可能性も全くないとは言い切れないけど、私ではなく竹林全体に及ぼさせる程の術を持っている妖怪がもしいるのだとすれば、恐らく私なんかじゃとても敵わない相手かもしれない。もしそんな奴が現れたら適当に相手をして逃げ出そう、宝よりも命の方が大切だ。
少し辺りを警戒しながら先へ進もうとすると、不意に何かの気配を感じて私は足をとめた。見れば右手の茂みが音を立てて揺れている。早速なのかと身構えたけど、茂みの揺れはそれほど大きくなく、何か小動物によるものであるように見えた私はそのまま成り行きを見守っていると、ややあってそこから一匹の白いウサギが飛び出した。そのウサギは私を一瞥すると左手の茂みへそのまま消えて行き、辺りはまた静まり返った。
そういえばここの妖怪はウサギを従えているとも聞いた。そうするとここに住処を構えているかもしれない妖怪は、さっきのようなウサギを手下に持つウサギの妖怪だろうか。どこにでもいそうな暢気で無警戒なさっきのウサギを見る限り脅威な姿がまるで想像できないけど、未だに目的地へ辿り着かない事を考えるとそれでも油断はできない。
しかし、と考える。仮にここへ来る事を拒ませる意味で迷わせているのなら、何か相当なお宝があっても不思議ではない。でもそれだと、同時にお宝を守る妖怪と対峙する展開は恐らく避けられない。出来る限り無用な争いは避けないと私自身の身の危険はともかく、あの二人がうるさいからね……。
気楽な宝探しを考えていたのに、どんどん難しい条件が増えて行く。あれこれ考えて危険を背負うより、もういっその事帰って別の宝を探しに行こうか。そんな事を考えながら足を踏み出そうとして、さっきと同じ茂みから、今度は勢いよく何かが飛び出した。
……今度も確かにウサギだったけど、私が一番警戒していた白い兎の妖怪だった。
「そうか、それで君の手下が逃げ出したんだね」
「だからペットだってば。意外とすばしっこい奴で困ってたのよねー」
茂みを掻き分けて隣を歩くその妖怪は、自分の事を因幡てゐと名乗った。この竹林に長く住むらしいこの妖怪は意外に社交的で私たちはお互いに簡単な情報交換をした。古くからこんな所に住んでいる割にはとてもそれを感じさせない言動や容姿が私の警戒心を強める。ある程度の素性を明かしはしたけど、この妖怪の他にも竹林に住む者がいて、その中にはここへ来る者を迷わせるほどの妖怪がいる話を聞けばあまり自分の事をべらべらと語るべきじゃないかもしれない。少し手遅れだったけど。
おまけに、彼女にしてみれば私はこの竹林を荒らそうとしている賊だ。宝探しを目的にやって来ていればそう思われてもおかしくはないこの状況で、この妖怪は私の経緯を知ってなお眉ひとつ動かす事なく、逆にその能力で手下を探してくれと頼んできた。何か意図があるのかもしれないと勘ぐったけど、表情や言動からはそんな様子を感じとれない。もしかするとこいつは相当の役者かもしれない。
「どしたの、そんなに身構えて。……何に警戒しているのか知らないけど、あんたあの宝船の野ネズミでしょ? 言わなくても知ってるよ、それくらい」
「野……! まあ、そうだけど。何だ、人間以外にもあれが宝船に見えていたのか。幻想郷は相変わらず欲深い者で溢れているんだね」
「そんな事よりいい案が思いついたんだけど、今度私もその宝船に乗せてみない? きっと儲かるわよー」
「生憎私の一存ではそんな胡散臭い話に乗れないんだ。でも残念ね、今は船じゃなくて寺になっているよ。この近くに命蓮寺という寺があるから、今度参拝にでも来るといい。あそこの僧侶は人間も妖怪も分け隔てなく受け入れてくれる、出来た心の持ち主だからね」
「妖怪も? とんだ変人がいるのね」
だけど寺かよー。と、不満そうな声を上げながら茂みを掻き分けて歩いていく白兎。その怪しい儲け話というのも全く興味がなかったわけではないけど、こういう典型的で古典的な方法で切り出してくるのは自分が詐欺師だと言っているようなものだ。聞けば最後、とんとん拍子に話は勝手に進んでいき、気付けば最終的に引き返せない場面まで来てしまっている。そんな古臭い詐欺に引っ掛かって、軌道に乗っている命蓮寺に損害を与えてしまえば私はきっとただではすまない。
「ところでそんな棒切れで本当にうさうさが見つかるの?」
「さっきから随分失礼な事を言うな、君は。大体ダウザーの私に探せない物なんてないよ。しかし『うさうさ』って、どうしようもなく変な名前をつけているんだね」
「そう? 私は面白いと思うけど。意外性があって」
意外性も何も、安直過ぎてくだらない。さっきのウサギの事を言っているのだろうけど、本当にセンスの欠片も感じられない名前だ。しかも本人は面白そうに言っているし、少なくともちゃんと考えて付けてあげた名前ではなさそうだ。
結局さっきまで私が追いかけていた宝の反応は、今は諦める事になってしまったけどこれはこれでいいだろうと思った。上手く依頼主の依頼が達成できれば、もしかすると命蓮寺の信仰にも繋がるかもしれない。まあ、こいつを見る限り過度の期待はしない方がいいだろうけど。
「ん、段々反応が強くなってきた。……さっきに比べて随分精度が高い気がするけど、とにかくもうそろそろその、うさ何とかが見つかるかもしれないね」
「うさうさだってば。たった四文字なんだから変な略し方しないでよ」
それから間もなくして、視界が割と開けた場所に出た。ロッドは目の前の大木に強く反応していて、見れば上の方の枝葉が小さく揺れている。ウサギがこの高さを登れるのは意外だったけど、間違いなくそのウサギはあそこにいる。
「あそこだね、あそこに君の探している手下がいる」
「だーかーらー、ペットだってばペット」
私たちの声に反応するようにぎしぎしと枝葉がさらに揺れる。まさかこんなに簡単に見つかるとは思っていなかったのか、この兎も隣でびっくり……ではなく、むしろ嬉々とした表情で私を見ていた。さっきの詐欺話を持ちかけようとした時と同じような笑みだった。
「ねえねえすごいじゃない。ぜひともその能力で私の」
「いいから、さっさと捕まえたらどうだい」
詐欺師の執念深さは折り紙つきだ。押してダメなら引いてみる。引いてダメならまた押してみる。とにかくどれだけ拒否しても諦めが悪い。
大体私がそんな胡散臭い誘いに乗ると本気で思っているのだろうか。私は呆れた声で木の上を指差しながら促すと、彼女は渋々ながら、しかしやっぱりというか諦めてはいない様子で木の根元から手下を見上げていた。手には握りこぶしを作っている。
「よーし、とりあえずペットを助け出してからまた誘ってやる。そして私たちは幻想郷を揺るがす程のコンビとして数多の金銀財宝を」
「はいはい」
「……ちぇー。……うさうさー、おいでー。可愛いてゐちゃんが迎えに来たよー」
「……」
ふくれっ面をしながらも名前を呼ぶその後ろで様子を見ていると、彼女の声に反応してさらに枝葉が小刻みに揺れる。何だかんだいって、たまには人や妖怪の役に立つのも悪くはない。聖が見返りを求める事なく誰彼構わず助けようとしていた意味が何となくわかったかもしれない。そんな風に思っていたけど、そこから顔を出した手下に私は思考を中断されて思わず目を見開いた。
「……!?」
「おーい、うさうさー。……あれは、ダメね。ねえ、ちょっと軽くあそこまで飛んで捕まえてきてくれない?」
「いや、いやいやいやいや冗談だろう? どうして私があんなのを捕まえないといけないんだ。アレは君の……そうだ、ペットなんだろう? ペットの不手際はその飼い主が拭うべきだ」
「えー」
えー、じゃない。大体話と全然違うじゃないか。私たちはウサギを探していたはずなのに、今あそこから顔を覗かせて鋭い牙で威嚇しているように見えるアレはどう考えてもウサギではなく獣、というより化け物という表現が一番しっくりくる薄気味悪い生物だ。あれでもう一回り大きかったら私の方が逃げ出したくなるのに、あんなのに不用意に近寄って噛みつかれでもしたらひとたまりもない。
「あーあ、あんなに怯えて……。あんな状態で捕まえに行ったら絶対に噛みつかれるからさ。だからお願い」
「あれで怯えて……。いや、それでも色々意味がわからないよ。それに話が違うじゃないか、私たちが探していたのはウサギであんな……」
いや、待て。ここまでの流れで彼女は「ペットを」探してくれと言っただけだ。てっきりあの白いウサギかと思っていたけど彼女自身はそんな事を一言も言っていないし、仮にも同胞であるウサギを「ペット」とは言わないはず。なぜ手下をペットと何度も訂正していたのか気にはなっていたけど、もしかしてそういう……。
まさか。はっと気づいて彼女を見ると、そいつはここぞとばかりに性質の悪い黒い笑みを浮かべていた。ぼそりと呟いたけど、私にははっきりと聞こえた。早合点しちゃったのかな? と。
その小馬鹿にしたような笑みに、悔しさで私は歯ぎしりしそうになるのを何とか堪えながら笑顔を浮かべる。
「あはは……そういえば、私も『探してくれ』と頼まれただけだったね。依頼は果たした事だし、後は君に任せるよ。それじゃあ」
「……あーあ、優しいネズミさんだと思ったのになー。こんなに優しい人が命蓮寺にいるんだよって、鈴仙とかお師匠さまに教えてあげようと思ったのになー。そうするとあらあら不思議とばかりに信仰も得られると思ったんだけどなー。でもしょうがないかー」
背中を向けて帰ろうとするとそんな声を投げかけられ、私も聞き流せばいいのに思わず足をとめてしまった。そのまま無視して飛び去っていればよかったのにと後悔するけど遅かった。
まるで隙ありとばかりに背中越しからこの黒い兎は次々と言葉を使って煽って来る。二言目には信仰信仰と馬鹿の一つ覚えみたいにそれに結び付けてくるが、今の私にはそれでさえ切り返せないほど冷静さを欠いていた。
信仰がいかに重要なのかは聖やご主人様から耳が痛くなるほどに語られたし、何より赤や緑の巫女を見ていれば十二分に理解できる。その重要さをこいつも知っているのか、その単語だけをやたらと強調しながら段々と距離を詰めてくる。
無視だ、無視。そう思っても、いつの間にか目の前に移動してにっこり笑いかける相手から出ている妙な圧力に、私は思考を中断されて苦虫を噛み潰す事しかできない。このまま帰れば後でありもしない噂を広められるかもしれないし、その結果命蓮寺に迷惑や損害を与える事になるかもしれない。もしかして相手はそこまで読んでいるから、こんな安っぽい挑発でも十分だと思っているのだろうか。
……さすがに悔しいが、そういうずる賢い計算はこの兎の方が一枚上手なのかもしれない。いや、私も本気を出せばこの程度は楽に切り返してみせられるけど、……今回は悪条件が重なりすぎた。きっとそうだ。
「……ああもう!」
一際大きな声を張り上げると、私はその化け物に向かって一直線に飛んだ。
「わぁ、どうもありがとう」
まるで感情のこもっていない棒読みでそう言いながら、黒い兎は奇妙な生物を両手に抱き締めて楽しそうに小躍りした。その生物も兎に甘えるように頬擦りのような事をしているけど愛らしさは微塵もない。
対して私は満身創痍だ。体中に噛まれた跡をつけながら、小一時間ほどでようやくその生物を救出する事に成功したものの、その報酬がこの傷跡だ。幸いにも鋭く見えた牙は見せかけだったからよかったけど、帰ったらみんなに何てからかわれるか。宝ではなく噛み傷を貰う事になるなんて何とも皮肉な話だと思う。
「これ、お師匠さまのペットなのよね。ほむ……何とかって名前だったけど長いからうさうさって私が名付けたのよ。うっかり逃がしちゃって、見つけられなかったらお仕置きされちゃうとこだったわー。……鈴仙が」
「……そう、とにかく見つかってよかったんじゃないかな……」
楽しそうに笑う姿は一見純粋無垢でうっかり騙されそうになったけど、こいつはこんな笑顔でこの私を手玉にとるペテン師なのだ。そのせいで私はこんなに傷だらけで骨折り損のくたびれ儲けという状態。
だけど、とにかく出来るだけの事はやった。直接信仰心に繋がる事はやっぱり期待できないけど、少なくとも命蓮寺のイメージアップには貢献したかもしれない。……そう思いたい。
「だけど、身のこなしも中々……。ねえねえ。冗談とかそんなんじゃなくてさ、私と一緒に」
「お断りするよ……」
だからそんな話に乗るはずが……。呆れた顔で彼女を見ると、さっきまでの詐欺師のような笑みとは違う、何か別の見たことのない笑みを浮かべていた。純粋に私を評価したうえでそんな顔をしているのかはわからないけど、突っぱねてしまえるような笑みではなかったので私も一瞬言葉を失ってしまう。
「ふふん、実はね。私も幸運を呼ぶ能力を持ってるのよ。そんな私と貴女が手を組めばきっと幻想郷中に名を馳せるコンビになると思うのになー」
「へえ、そんな能力が」
うん? もしかするとロッドが簡単にペットを探し当てたのはそれも絡んでいたからだろうか。そういえば彼女が出てきてからは道に迷うことなく目標までやって来る事ができた。
しかしそれはそれ。相変わらず何を考えているのかわからない胡散臭い兎だけど、少なくとも仲間を脅かすような悪い妖怪には見えない。それに、確かに手を組めば効率良く探し物が見つかるかもしれないし、別の事にも流用できるかもしれない。……私はともかく、相手が素直に協力してくれるとは思えないけど。
「そうだね。……まあ、悪くはないかもしれない。でも、それは私が君に仕返しをしてからだ」
「仕返し? ……ふふ、面白い事を言うのね」
彼女は一瞬目を丸くしてから、不敵に笑った。
くだらない事とはいえ、今日はうまいこと利用されたけど次は私の番だ。そんな風に宣戦布告のような挑戦的な言葉を投げかけると、てゐも対抗意識を燃やすように笑みを浮かべながら胸を反らせた。お互いさぞ不敵な笑みを浮かべている事だろう。
因幡てゐ。結局最後まで油断も隙もない奴だったし、おまけにこの私が一杯食わされるという、悔しい借りまで出来てしまったけど。
命蓮寺まで帰っている途中、私は自分の口元が薄く笑っている事に、言われるまで気付かなかった。
けど言われてみたら確かに、利害一致とかで組んでも違和感が無い二人かも。その距離感が、また心地良いなぁ。
この二人が組んで、何かをするお話とか読んでみたいなと思いました。
いろいろと可能性を感じる、良い組み合わせですね。
いやはや、楽しかったです。