藤原妹紅は机の上にある上白沢慧音の日記帳を覘きこんだ。
そこにはこう綴ってあった。
=
九月五日。
早くも日記帳の頁が無くなってしまったので、新しく日記帳を買ってきた。
これはその第一日目である。
さて、最近妹紅が人里や寺子屋に来てくれるようになった。
妹紅は他人との接触を拒みがちなので、とても喜ばしいことだ。
今日も妹紅は我が寺子屋を訪問して生徒たちと様々に遊んでいってくれた。
男子生徒も女子生徒も妹紅に懐いているし、妹紅も多少不器用ながらも生徒たちと接してくれている。
今夜は二人で煎り銀杏を肴に酒を呑みながら、他愛も無いことを語り合った。
妹紅は笑うことも多くなった。
月の朧げな光の中微笑む妹紅は、女の私でも思わず見とれてしまうほどに美しかった。
その後妹紅は酔いつぶれて寝てしまったが、その寝顔は先ほどの美しい微笑みとは打って変わって、とてもあどけ
ない可愛らしいものだった。
もう時間も遅いようなので、今日はここまでとしよう。
=
九月十二日。
妹紅は朝から不機嫌だった。
前日、輝夜と酉の刻から亥の刻まで戦っていたそうだが、その戦績があまりふるわなかったそうだ。
妹紅はこう言うが、妹紅は以前一日中戦っていることもざらにあった。
それに比べると、今では随分と短くなった。
「そのことが嬉しい」と妹紅に告げると、妹紅は釈然としないような表情をしていた。
今日は寺子屋も休みの日であったので「景気付けにどこかへ食べに行こう、私がご馳走するよ」と誘った。
すると妹紅は「そうね、どこかへ食べにそうしましょう」と屈託無く笑った。
その眩しい美しい笑顔に、何故か私の胸は高鳴った。
今夜は焼き茄子を肴に酒を呑んだのだが、今日は二人とも酔いが回るのが速く、特に妹紅は「暑い、暑い」と言っ
てもう酔い潰れてしまっている。
その時妹紅が肌蹴させたブラウスの胸元が白く光って、この日記を書いている今も……
私は一体何を書いているのだろう。
こんな酔った頭では、これ以上まともに活動できそうもない。
寝よう。
=
九月十九日。
最近何かがおかしい。
妹紅がいっしょにいるだけで、妹紅の言動ひとつひとつにときめいてしまう。
もこうが非常に魅力的に見えるのだ。
てら子やのじゅぎょうだって、まともにできていたかどうか分からない。
あたまの中までもこうのことで一ぱいなのだ。
もこうがわたしのつくったものをたべてわらう。
よっぱらってわたしによりかかってくる。
それだけで、むねがはりさけそうなくらいにたかなる。
もこうは今ねて る。
ねているもこうにさわりたい。
口づけしたい。
なめたい。
でも、もこうは……今日はもうねよう。
一たいわたしはどうしたというんだ。
もしかしたらこいかもしれない。
=
くがつにじ うろくにち。
もこう ことで、あたまい ぱいだ。
まともにじ ぎようできそうもなか たから、やすんだ。
ひるもこう きてくれた。
かぜなの、て、おかゆつく てくれたでもそうじゃないんだもこう。
おまえにさわりたいなめたいといううか、いろいろしたい。
わたし い たいどうな て。
=
じうが 。
もこう。
もこう。
もこう。
もこう。
もこう。
もこうもこうもこうもこうもこう。
もこもこもこもこもこもこ(このまま、頁が終わるまでこんな調子で続く)
=
十月十日。
私としたことが、最近取り乱し気味だったようだ。
今、日記を読み返してみると良く分かる。
自分で読んでいて苦笑してしまうほどだ。
どれもこれも、妹紅が可愛過ぎるのがいけないのだ。
今日一緒に妹紅と団子を食べた時も、妹紅は美味しそうに顔を綻ばせていた。
その時の妹紅の表情といったら、小動物のような、思わず自分だけの物にしてしまいたくなるような、殺人的な、
世界三大美女もかぐや姫もかくや、といった可愛らしさも美しさも一緒くたになった、いわば魅力のかたまりとで
も表現すべきものであった。
それだけではない。
妹紅は顔だけでなく、とても美しい体をしているのだ。
妹紅の桃の果実のような艶やかで瑞々しい肌の前では、どんな玉でも輝きの無い石ころのようにしか見えないほど
だろう。
体のつくりだって、どんな絵画も彫刻も、ここまで官能的で扇情的な曲線を生み出すことはできないはずだ。
肩も背中もふくらはぎも、手首から指先、足首からつま先に至るまで、撫でても舐めてもしゃぶっても、百八の愛
で方をしてもまだ足りないはずだ。
その上である。
妹紅は私に「病み上がりみたいだけど、もう大丈夫なのね。よかった、元気になって」と言ってくれたのだ。
私の病状を案じてくれていたのである。
何という心の美しさであろう。
まるで釈迦やイエス・キリストといった聖人のようではないか。
いや、そんなものとて、妹紅の前ではどれほどのものであろうか。
(この辺りから文字の判別が難しくなってくる)
妹紅は~~であり、もこうは……で……そうだ……けっこんをもうしこもう…~~…かわいすぎ……~…だいすき……~~…~あいして……もこう…~もこうは~~~~
(ここから先は血で汚れて読めないが、かろうじて所々「あいして」「なめたい」「たべたい」といった単語を確認できる)
=
藤原妹紅は日記帳を閉じると、鼻血を吹いて失神している上白沢慧音の顔をハンカチで拭いてやった。
そして手頃な毛布を上白沢慧音にかけてやると、何も言わずに上白沢慧音宅から出て行った。
そして翌日上白沢慧音と会った時も、日記のことなど全く口に出さなかった。
これもまた愛の形である。
そこにはこう綴ってあった。
=
九月五日。
早くも日記帳の頁が無くなってしまったので、新しく日記帳を買ってきた。
これはその第一日目である。
さて、最近妹紅が人里や寺子屋に来てくれるようになった。
妹紅は他人との接触を拒みがちなので、とても喜ばしいことだ。
今日も妹紅は我が寺子屋を訪問して生徒たちと様々に遊んでいってくれた。
男子生徒も女子生徒も妹紅に懐いているし、妹紅も多少不器用ながらも生徒たちと接してくれている。
今夜は二人で煎り銀杏を肴に酒を呑みながら、他愛も無いことを語り合った。
妹紅は笑うことも多くなった。
月の朧げな光の中微笑む妹紅は、女の私でも思わず見とれてしまうほどに美しかった。
その後妹紅は酔いつぶれて寝てしまったが、その寝顔は先ほどの美しい微笑みとは打って変わって、とてもあどけ
ない可愛らしいものだった。
もう時間も遅いようなので、今日はここまでとしよう。
=
九月十二日。
妹紅は朝から不機嫌だった。
前日、輝夜と酉の刻から亥の刻まで戦っていたそうだが、その戦績があまりふるわなかったそうだ。
妹紅はこう言うが、妹紅は以前一日中戦っていることもざらにあった。
それに比べると、今では随分と短くなった。
「そのことが嬉しい」と妹紅に告げると、妹紅は釈然としないような表情をしていた。
今日は寺子屋も休みの日であったので「景気付けにどこかへ食べに行こう、私がご馳走するよ」と誘った。
すると妹紅は「そうね、どこかへ食べにそうしましょう」と屈託無く笑った。
その眩しい美しい笑顔に、何故か私の胸は高鳴った。
今夜は焼き茄子を肴に酒を呑んだのだが、今日は二人とも酔いが回るのが速く、特に妹紅は「暑い、暑い」と言っ
てもう酔い潰れてしまっている。
その時妹紅が肌蹴させたブラウスの胸元が白く光って、この日記を書いている今も……
私は一体何を書いているのだろう。
こんな酔った頭では、これ以上まともに活動できそうもない。
寝よう。
=
九月十九日。
最近何かがおかしい。
妹紅がいっしょにいるだけで、妹紅の言動ひとつひとつにときめいてしまう。
もこうが非常に魅力的に見えるのだ。
てら子やのじゅぎょうだって、まともにできていたかどうか分からない。
あたまの中までもこうのことで一ぱいなのだ。
もこうがわたしのつくったものをたべてわらう。
よっぱらってわたしによりかかってくる。
それだけで、むねがはりさけそうなくらいにたかなる。
もこうは今ねて る。
ねているもこうにさわりたい。
口づけしたい。
なめたい。
でも、もこうは……今日はもうねよう。
一たいわたしはどうしたというんだ。
もしかしたらこいかもしれない。
=
くがつにじ うろくにち。
もこう ことで、あたまい ぱいだ。
まともにじ ぎようできそうもなか たから、やすんだ。
ひるもこう きてくれた。
かぜなの、て、おかゆつく てくれたでもそうじゃないんだもこう。
おまえにさわりたいなめたいといううか、いろいろしたい。
わたし い たいどうな て。
=
じうが 。
もこう。
もこう。
もこう。
もこう。
もこう。
もこうもこうもこうもこうもこう。
もこもこもこもこもこもこ(このまま、頁が終わるまでこんな調子で続く)
=
十月十日。
私としたことが、最近取り乱し気味だったようだ。
今、日記を読み返してみると良く分かる。
自分で読んでいて苦笑してしまうほどだ。
どれもこれも、妹紅が可愛過ぎるのがいけないのだ。
今日一緒に妹紅と団子を食べた時も、妹紅は美味しそうに顔を綻ばせていた。
その時の妹紅の表情といったら、小動物のような、思わず自分だけの物にしてしまいたくなるような、殺人的な、
世界三大美女もかぐや姫もかくや、といった可愛らしさも美しさも一緒くたになった、いわば魅力のかたまりとで
も表現すべきものであった。
それだけではない。
妹紅は顔だけでなく、とても美しい体をしているのだ。
妹紅の桃の果実のような艶やかで瑞々しい肌の前では、どんな玉でも輝きの無い石ころのようにしか見えないほど
だろう。
体のつくりだって、どんな絵画も彫刻も、ここまで官能的で扇情的な曲線を生み出すことはできないはずだ。
肩も背中もふくらはぎも、手首から指先、足首からつま先に至るまで、撫でても舐めてもしゃぶっても、百八の愛
で方をしてもまだ足りないはずだ。
その上である。
妹紅は私に「病み上がりみたいだけど、もう大丈夫なのね。よかった、元気になって」と言ってくれたのだ。
私の病状を案じてくれていたのである。
何という心の美しさであろう。
まるで釈迦やイエス・キリストといった聖人のようではないか。
いや、そんなものとて、妹紅の前ではどれほどのものであろうか。
(この辺りから文字の判別が難しくなってくる)
妹紅は~~であり、もこうは……で……そうだ……けっこんをもうしこもう…~~…かわいすぎ……~…だいすき……~~…~あいして……もこう…~もこうは~~~~
(ここから先は血で汚れて読めないが、かろうじて所々「あいして」「なめたい」「たべたい」といった単語を確認できる)
=
藤原妹紅は日記帳を閉じると、鼻血を吹いて失神している上白沢慧音の顔をハンカチで拭いてやった。
そして手頃な毛布を上白沢慧音にかけてやると、何も言わずに上白沢慧音宅から出て行った。
そして翌日上白沢慧音と会った時も、日記のことなど全く口に出さなかった。
これもまた愛の形である。
もこけい きた きた ので しお たべた
とても おもしっろか です
かゆ うま
かゆ
うま
かゆ うま
輝夜の奴、やたら戦績が良かったようだがきっといかさまにちがいねェ。
もこたんをばかにしやがって。
それから、もう私は弁当箱を被らなくていいと医者がいった。
おかげで今夜はハッスルできそうだぜ。