Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

天啓は突然降りてきました。長いこと彼女と一緒でしたが、どうして今までこの発想に至らなかったのか。きっと彼女が可愛すぎたからです。そうに違いありません。

2010/12/12 03:10:39
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「ナズりんナズりん」

突然星の声でそんな台詞が発せられたものだから、私はまったく私を呼んでいるとは思わずに、うっかりスルーをきめてしまった。

「あっ、いるじゃないですかナズりん。また頼みたい事があるのですが」

「君が無くしたであろう宝塔は洗い場の籠の中に紛れ込んでいたのを回収していたからいいとして、その妙な呼び名はなんだい?星。」

図らずも最速失くし物発見記録を更新してしまった。新記録、マイナス12分35秒。

さて、既になくし物が私の手元にあった事に驚いている様子の星だったが、すぐに私の方を向いて、こう言ってきた。

「何って、貴女の呼び名ですけど……何か問題でもありました?」
「問題と言うか、…その、どうして突然呼び名を変えようだなんて思ったのかも問いたいし、…………まずその…ナ……ナ、、ナズりんなんて呼び名は……か、可愛らしすぎるじゃ、ないか。」
「それでいいんですよナズりん。現にナズりんは可愛いのですから、全くもって問題はありません。」
「私が恥ずかしくて大問題だよっ!」
まさかこの天然!タイガー娘は私を辱めるためだけに私の事を”ナズりん”だなんて呼んだのだろうか。そうなら一刻も早く考えを改めさせないと。というかそうでなくても、この命蓮寺はノリが良すぎるから瞬く間に私は寺の誰も彼もから”ナズりん”と呼ばれてしまう。なんだそのアイドルみたいな呼び名は。「みんなの幸せダウジング☆小さな賢将ナズりんです♪」ってか?!冗談じゃない!と言うかもはやそんなの賢将じゃない。

落ち着け。まず私の妄想がおかしな事になっているぞ。
そうだ、独白している暇があったら星を説得しないと。

「――とにかく、頼むからその呼び名はやめてくれ。背中がむずがゆくて困る。」
「最初はそうかもしれませんけど、じきに慣れますって。というか私はもう慣れました。」
「対応力よすぎじゃないかな?!」
「むしろしっくり来すぎてこれが世のあるべき姿なのだとまたひとつ真理を悟るに至りました。」
「悟らないで!というか真理じゃないからそれ!本人間違いなくしっくり来てないから!」
「そうですか?………こう、いつもと違う新たなナズーリンを皆様に――」
「お届けしないからね?!」

そんな本気で残念そうな顔をしないでくれ星よ。むしろそんな星の方が可愛いじゃないかとかなんだか悪い事をしてしまったかなとかいろいろ余計な事を考えてしまうじゃないか。というかむしろそれを狙ってるだろう。狙ってるんだろうご主人?!

「と、とにかく!私は今の私で十分だから、そんなカワイイとか目指したりしないから、そんなこっぱずかしい呼び名はやめてもらえるかな?」
「はい、ダウトー」
「一輪?!」

突然後ろから一輪が現れた。どこで聞いていたんだということも気になるが、ダウトってどういうことだ。

「あら。だって貴女、あれだけ小傘ちゃんのこと羨ましがっておいて、『カワイイとか目指してない』は無いんじゃないかしら?」
意味が分からない。どうしてそこで小傘が出てくるんだ。確かにあの化け傘はやたらと間抜けでドジで可愛いけれど。私が羨ましがっている、だって?
「どうしてそういう風に思うんだね」
「あら、そんなの。小傘ちゃんと話してるときの貴女の目を見ればニブチンのムラサだって分かるくらい明らかよ?」
「目、だって?」
「あら気づいてない?貴女、自分が思ってるより顔に感情が出てるのよ。」
何だって!!
思わず両手で自分の顔をぺたぺた触ってしまったけれど、そんな事をしても何にもならなかった。若干の恥ずかしさとともに腕を下ろして冷静になると、『ニブチン』扱いされた村紗が怒ってるのを雲山に抑え込められているのが見えた。うん、スルーだ。

そして星、我慢するくらいなら声に出して笑ってくれ。どっちにしろ恥ずかしいんだ。

「っ……ごほん。とにかく、可愛くなりたいと思うことは悪などではないのですから、ナズりんも隠したり照れたりしなくていいのですよ?」
話を戻しやがったな。
しかし、だからといってこのまま星に篭絡されるわけには行かない。さっきから動揺しかしていない心を鎮めようとしつつ、私はなんとか言葉をつなげた。
「ま、まあ、もしかしたらちょっぴりあの傘おばけを可愛いなあと思った事があったかもしれないけど、私は今こうしているのが自然なんだ。無理に可愛さを付け足しても、逆に不自然じゃあないかね?」

「…なにも多々良さんを目指そうって言うのじゃあないのですから。」
ナズりんはやっぱり真面目ですね、と言われてしまった。むう。真面目で何か悪いか。
「そんなご大層なものじゃなくていいのですよ。日常の些細なところでちょっと素直に笑うだけでも、かわいいかわいいナズりんはもっとかわいいナズりんになるのですよ?」
「ちょ、ちょっと星――」
―――あまりにもかわいいかわいいと連呼されて、顔が物凄く火照ってしまった。
恥ずかしさでもう何も言えなくなって、前も向けなくなってしどろもどろになったそのとき。

「えいっ!」
「ナズッ?!?!」
脇腹を突付く者の来襲。ぬえだった。

「『ナズッ?!?!』なんて声上げやがってー可愛いなーこんちくしょー!」
「ちょ、やめっ……お腹とか、普通にダメだか…ひゃうぅっ!」
「うっせーナズりん!なんだその呼び名は!反則じゃないかこのやろー!」
「ですよね!やっぱりそう思いますよね!」
どこに食いついているんだこのハングリータイガー。
しかし、その言葉に残りの面子が反応しだした。

一輪が
「ええ。しっくり来すぎて危うくナズりん元の名前を忘れるところだったわ。」
村紗が
「真顔で冗談を言うのは止しなさいな。それともナズりんの為にボケてるの?」
そして、最後に堂々の登場を見せた聖も
「今までよりも心の距離が近しくなるのは良い事ではありませんか。ねえ、ナズりん?」

もう私は同意するしかなくなっていた。
そうして私は「ナズりん」と呼ばれるようになった。







結論から言えば、このやり取りの最中に、すでに「ナズりん」という呼称が全く違和感なく私の中に受け入れられてしまっていたのが事実だ。
小さく口の中で繰り返して見るのだが、びっくりするほど違和感が感じられない。あの日以来寺のみんなは自分のことを「ナズりん」としか呼ばなくなったし、寺の外でも、白黒だとか小傘だとか、「ナズりん」の浸透率は相当なものであった。やめろと言われてやめるような連中じゃないから、こうなってはもはや諦めるしかないのだけれど、…………それ以上に、可愛いと言われて悪い気はしないのだ。
そして、「ナズりん」という言葉――――可愛いじゃ、ないか。


「ナズりん!申し訳ありません折り入って頼みごとが!」
「なんだい星?どうせまた失せ物なんだろうけど、聞いてやろうじゃないか。」
しかし、呼ばれるたびに頬が緩んでしまうのは、さすがにすこしどうかしたほうがいいか、な?
ナズりんなずなず!!(ぇ
かなり大真面目に作品を練っていたら軽く一ヶ月過ぎてたってどういうことなの!?
普通に遅筆です。ええ。
それまでの乱発ぐあいから一転、ぱたりと発表をやめたものですから、「なんでもいいから発表したい病」を発病しました。
と言うわけで三日くらいでさくさくっと仕上がったこの作品、とりあえずナズりんは可愛いということしか言ってませんが。

でもとにかくナズりんは可愛いんです!
ナズりんだって女の子なんです!(←失礼
皆の幸せダウジング☆(ナズーリンペンデ゙ュラーム

…深夜3時のハイテンションですいません。読んでくださってありがとうございました。喇叭吹きは休日でした。
喇叭吹きは休日
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ナズりんなずなず!!
2.名前が無い程度の能力削除
いぃ~いハイテンションいただきました。
ナズりんナズりん!
3.奇声を発する程度の能力削除
ナズりんなずなず
なずなずナズりん!
4.名前が無い程度の能力削除
おお、毘沙門天よ、私を萌え殺そうというのですか!!
5.名前が無い程度の能力削除
きゃーナズりん!
6.名前が無い程度の能力削除
ナズりんなずなず!ナズりんなずなずッ!!
7.名前が無い程度の能力削除
なずなずナズりん!