Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

霊夢のお勉強

2010/12/08 22:52:37
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「……霊夢さん」
「……なに?」
「射命丸文」
「は?」
「射命丸文って、書いてみてください。漢字で」

いつものように縁側でのんびりお茶を飲んでいると、隣にいた文がそう言って、メモとペンをこちらに差し出してきた。
……いきなり何を言い出すのか、この天狗は。
思わず怪訝な顔になる。

「……何で?」
「理由はありません。ただの好奇心です」

毎度よく分からないことに興味をもつ天狗だ。
しかし、あいにく今はただのんびりお茶が飲みたい。

「…………面倒くさい」
「まぁまぁそう言わずに。後でお賽銭入れておきますから」
「え、ホントに?」
「ええ、ホントです」
「……しょうがないわね」

……まぁ、お賽銭が入るなら、買収されてやるのもやぶさかではない。


……で、なんだっけ。
しゃめいまるあや?

あやは……「文々。新聞」の「文」。
……だったと思う。
あれ?
でも文の読みって『ふみ』だったような……

しゃめいまる?
えーっと……写名丸?
……なんか違う。
あ、そういえばこの前、はたてとか言う天狗が「しゃめ」って言葉を使ってたような……
漢字でどう書くんだろ?


文は書き始めてからじーっとこちらを見ている。
……なんかやりづらい。



数分後、

「……こんなところ、かしら」

珍しく本気で考えてしまった。
自信は……正直あんまりない。
ただ惜しいところまではいってるはず。
博麗の勘によると。

「あ、できました?ていうかやけに時間かかりましたね」
「ええ、できたわよ……って?!」

いつのまにか文が煎餅をかじっていた。
しまった!没頭しすぎた!

もう遅いけど、とりあえず殴る。
不届きものには制裁が必要だ。

「痛っ!?」
「なに勝手に人の煎餅食べてるのよ!?」
「いや、ちょっと小腹が空いたので」
「だからって勝手に食べないでよ!」
「まぁまぁ、そんなことより見せてください」
「っとにもう……はい」

そう言ってメモを手渡す。

食べられた煎餅は見たところ1、2枚だけのようだ。
一発殴ったし、今はそれで許しておこう……
不粋なことをするより、今日はのんびりしたい気分なのだ。


ところで文はメモを見て固まっている。
なんでだろう?

『写目今流文』……そこまで大外れでもないと思うのだけど。

「……霊夢さん?」
「何?」
「……なんの冗談ですか?」

無表情のまま文が呟く。
冬の冷たい風がすうっと通りすぎた。

「……あれ?違った?」
「いや全然違いますよ!?」

……大外れらしい。
おかしいな、勘が鈍ったかな?

「……でも写目だし今流だし……」
「今流も微妙に意味が違ってる気がしますが、まず写目ってなんですか!?まさか写メのことですか!?」

まず『しゃめ』からして違うらしい。

「……結局しゃめって何なのかしら」
「知らないのに使ったんですか!?」
「はたてが言ってたのよ。しゃめって。天狗だし文もそうなのかなって」
「写メってのはケータイ特有の機能です!天狗の能力じゃないですよ!?」
「あ、そうなんだ」
「そうですよ!」

と言われてもそんなの知るわけがない。

「……これはちょっとショックだなぁ……はぁ」

大げさにため息をつく文。
さすがにちょっと罪悪感を覚える。

「……なんかごめん」
「……まぁ、この機会に漢字、覚えてもらいますか」
「え、面倒くさい」
「もう全てが面倒なんですね」
「今日はのんびりしたい気分なの。妖怪退治ならするけど」
「遠慮します……お賽銭に色つけておきますから」
「え、ホントに?」
「ええ、ホントです」
「……しょうがないわね」

……まぁ、お賽銭が増えるなら、買収されてやるのもやぶさかではない。

「えーっと。まず『射』。『射撃』の『射』ですね」
「はいはい『しゃげき』の『しゃ』……」

……ん?
ちょっとまって、えーっと……

「……霊夢さん?」
「え?」
「どうしました?『射撃』の『射』ですよ?」
「……どんな字だっけ?」
「……え?」

えーと、うーんと……

「んー、思い出せないわね……」
「……こうですよ?」

文はそう言って『射』と書く。

「あぁそうそうこれこれ。読めるけど書けない漢字の一つね」
「……霊夢さん?」
「ん?」

文は少し不安そうな目でこちらを見る。
……どうしたのだろう?

「……いえ、なんでもありません……じゃあ次。『命令』の『命』です」
「『めい』で一文字なのね。これは書けるわ」

『命』と書く。
……あれ?『命れい』のれいってなんだっけ……

「……はい、合ってます。最後。『丸』はまぁ普通に『丸』で」
「普通に?普通に……」

『○』

「いや違いますよ!?」
「っ、え?」

いきなり大きな声を出さないでほしい。
びっくりしてしまった。

「こっちですよ!」

文はそう叫んで『丸』と書く。

「あ、あぁ、そっちね」

いつになく必死な感じで言われてしまった。
……私何かまずいことしたかな?

「霊夢さん……漢字苦手なんですか?」
「は!?いや、そんなことないわよ!」

自分が漢字が苦手?まさか。

「……よく思い返してみると……私は霊夢さんが生まれた時からずっと見てきたわけですけど、霊夢さんが勉強してるところ、見たこと無いです」
「……」

……勉強?
紫に言われて結界の仕組みの書物を読むくらいはしたけど……

「ほら、例えば人里の寺子屋でやってるような、歴史とか計算とか漢字とか……」

……確かに寺子屋には行ってないし、そんな勉強もしていない。

「歴史は……幻想郷縁起くらいは読んだけど」
「計算は?」
「……できるわよ?」
「質問を変えます。計算練習は?」
「……したことないわね」
「……18÷3は?」
「え…………ちょっとメモ貸してくれる?」
「……暗算では?」
「…………9……?」
「うわダメだこりゃ」
「な、何?そんな練習してるわけないでしょ!?」
「練習してなくてもそのくらいは暗算できないと……」
「うるさい!そこら辺の天才と一緒にするな!」

生まれたときからずっと、結界と異変解決で生きてきた自分が、そんな勉強をしているわけがない。

「……『衝撃!博麗の巫女は低学力?!』」
「そんな記事書いたらソテーにするわよ」
「書きませんけど……霊夢さん、今からでも寺子屋とか行った方が良いんじゃないですか?」
「ええ?嫌よそんな、面倒くさいし……」
「……恥ずかしいし?」

見事に図星を指された。

「っ!もう!放っといて!」
「じゃあしょうがないですね。私が教えてあげます」
「は?」

またいきなり何を言い出すのか。
文は満面の笑みでこちらを見ている。

「なにも知らないうぶな霊夢さんに、この射命丸文が手取り足取りいろいろ教えてあげますよ」
「な、そ、そういう言い方をするな!」
「さーてじゃあまずは算術からー」
「ちょ、文!」

私の抗議を無視して文はメモにいろいろ書いていく。

「えーととりあえず四則演算をー」
「文!」
「……なんですか?」
「別にいいわよ。そんなことしなくても。これは私の問題でしょ?そもそも私はこれで不自由感じてないんだし……」
「じゃあ一つ言わせてもらいます」
「……何よ」
「大妖精さんは九九を暗唱できます」
「えっ……」

……なんですと。
当然、九九なんてやってないし、できない。

「さ、どうしますか?」
「…………お願いします」
「はいわかりましたー♪」

とたんに文はノリノリで解説を始めた。
さすがに妖精に頭で負けてては洒落にならない。
博麗のプライドは死守しなくては……。



文の講義は算術だけで小一時間続いた。
どうやら今やっている程度のことは8歳児でもできるそうだ。
自分の基礎知識の無さを初めて知った。

「ほら、霊夢さん、そこは繰り上がるから……ぷくく」
「ちょ、なに笑ってるのよ!」
「や、ごめんなさい。霊夢さんがこうも苦労してるのがあまりにかわいいものですから」
「ああもう、うるさい!!」

どうやら自分は本当に何にも知らなかったらしい。
今度人里に出たとき本屋で勉強系の書物を買ってこよう。
このままじゃいつまでも馬鹿にされたままだ。
あと後継博麗の為に「基礎的な知識は身に付けておけ」ってどこかに書いておこう……
その『きそてき』も漢字が分からないのだが。


その後も歴史だの漢字だので、お昼をまたいで夕方まで講義は続いた。

文の解説はそこそこ分かりやすかった。
自分が必死なせいもあるのかもしれないが、知識はすんなり頭に入っていった。

「そりゃそうですよ。今日やったところはとても単純な基礎の基礎ですから、すんなりわかるのは当然です」
「うう……」
「ま、もう暗くなりますし今日はこんなところですかねー」

鴉が鳴く外を見やって文が終了を告げる。
結局のんびりお茶を飲んでいたかった今日は、文の講義で終わってしまった。

「はぁ……ていうかあんた暇なの?」
「うーん、暇ではないかもですけど、とりあえず霊夢さんを教えるのが楽しいんですよ」
「あぁそう……」
「じゃ、明日も来ますねー」
「え、明日も!?」

そもそも今日もこんなに長くなるとは思ってなかったのに、文は明日もやると言う。
……どうやら本当に暇らしい。

「当然。今日でやっと妖精レベルですよ?人間の子供もまだ遠いです」
「……私も人間の子供だけど」
「霊夢さんはいろいろ特別なんで別枠ですよ」

確かに普通の人間とはいろいろ違うけど……

「私だって立派な人間よ!」
「最低限の知識を身に付けてから言いましょうねー」
「ぐぅ」

そう言われると言い返せない。

「ではまた明日♪」
「ちょっと!お賽銭は!?」
「授業料で帳消しですよー」
「あ、こら、待ちなさい!文!」

文の講義はしばらく続きそうだ。
霊夢はあまり常識知らなそうなイメージ
ケトゥアン
http://twitter.com/ketoxuan
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
漢字はガチで書けなくなった…
コンピュータの変換機能に頼りすぎてもうね
手帳に文字なんてもう書かなくなったからなあ…
2.名前が無い程度の能力削除
変換機能って便利だよな…
ちょっと勉強し直す
3.香霖堂本店削除
射命○にやられたwww
4.オオガイ削除
必死な霊夢さんも可愛いですね。