初めて、彼女に触れた。
博麗神社で行われた宴会の後、珍しく酔っ払ってしまった彼女を送り届けるために、私は彼女を抱きかかえて飛んでいた。
魔法の森の前に着き、ここからは歩きだと思い彼女を自分の腕から下した。
「アリス、歩ける?」
「んー…えへへ」
顔を赤く染めながら、にこにこと笑う。
少しふらふらとしながらも、彼女は立つ事は出来た。
付き合ってから早半月。
私達は、何もしていなかった。
抱き合う事も、キスも、手を繋ぐ事さえも。
お互いに奥手なわけではない。
機会がなかった。
ただそれだけだ。
そもそも、逢う時間さえもとれなかった。
やる事があって。
忙しくて。
寝る時間を作るのが精一杯で。
私も、アリスも。
無理をしてでも逢いたいというタイプではないから。
機会さえあれば、とっくに寝ていただろう。
心の準備が…などと言う年でもキャラでもない。
私も、アリスも。
そもそも好き合っているのが分かっているのだから遠回しに手順を踏むのは面倒臭い。
衝動のままに相手を求めたかった。
しかしこの半月、機会がなかった。
「もう、大丈夫?」
「大丈夫よ、酔ってないもの」
酔っ払いはいつも酔っていないと言う。
つまり今アリスは完璧に酔っ払っているのだ。
面倒とは思わない。
好きな人の違う一面を見れるのは嬉しいし、なんだか可愛いし。
「顔真っ赤にしちゃって何言ってるの。肩、掴まって」
アリスが掴まりやすいように隣に立ち、少し膝を曲げる。
だがアリスが私の肩に掴まる事はなかった。
「これで充分」
笑顔は絶やさないまま、彼女は私の手をとった。
繋いだ指先の、余りの冷たさに驚いた。
「咲夜?どうしたの?」
変わらず、アリスは可愛い笑顔を向けてくる。
目をとろんとさせて、少し舌ったらずで。
心の動揺を、悟られてはいけないと思った。
「いいえ、行きましょう」
アリスと手を繋ぎ魔法の森の中を歩く。
歩きづらい森の中。
アリスの案内でひたすらに歩く。
私は動揺をしていた。
アリスと付き合うという事をどういう事か理解していなかったのではないか。
ただこれだけの事でこんなにも動揺するなんて覚悟が足りなかったのではないか。
でも、それでも。
彼女の事が好きで。
どうしようもなく好きで。
愛しくて、欲しくて、求めて、応えられた。
感じる温度。
私と彼女が絶対的に違うという証明。
アリスの家に着いた。
「送ってくれて、ありがとね」
「まさか送らせといて帰れなんて言わないわよね?」
「やだ、送り狼?赤ずきんちゃん食べられちゃうっ」
酔いの上での甘い軽口。
心臓の鼓動は鳴り止まない。
これからの事に早鐘を打っているのではない。
今までの事で怯えているのだ。
「待ってね、鍵開けるから」
離される彼女の指先。
そこで私は気が付いた。
アリスの指に、私の体温が移っていた。
私の温度に、近付いていた。
私達は違うものかもしれない。
けれど、希望が見えた。
「咲夜?早く入って」
アリスの呼びかけに私は歩を進める。
色々なこれからの事を胸に抱き家の中に入る。
もう、心臓は落ち着いていた。
博麗神社で行われた宴会の後、珍しく酔っ払ってしまった彼女を送り届けるために、私は彼女を抱きかかえて飛んでいた。
魔法の森の前に着き、ここからは歩きだと思い彼女を自分の腕から下した。
「アリス、歩ける?」
「んー…えへへ」
顔を赤く染めながら、にこにこと笑う。
少しふらふらとしながらも、彼女は立つ事は出来た。
付き合ってから早半月。
私達は、何もしていなかった。
抱き合う事も、キスも、手を繋ぐ事さえも。
お互いに奥手なわけではない。
機会がなかった。
ただそれだけだ。
そもそも、逢う時間さえもとれなかった。
やる事があって。
忙しくて。
寝る時間を作るのが精一杯で。
私も、アリスも。
無理をしてでも逢いたいというタイプではないから。
機会さえあれば、とっくに寝ていただろう。
心の準備が…などと言う年でもキャラでもない。
私も、アリスも。
そもそも好き合っているのが分かっているのだから遠回しに手順を踏むのは面倒臭い。
衝動のままに相手を求めたかった。
しかしこの半月、機会がなかった。
「もう、大丈夫?」
「大丈夫よ、酔ってないもの」
酔っ払いはいつも酔っていないと言う。
つまり今アリスは完璧に酔っ払っているのだ。
面倒とは思わない。
好きな人の違う一面を見れるのは嬉しいし、なんだか可愛いし。
「顔真っ赤にしちゃって何言ってるの。肩、掴まって」
アリスが掴まりやすいように隣に立ち、少し膝を曲げる。
だがアリスが私の肩に掴まる事はなかった。
「これで充分」
笑顔は絶やさないまま、彼女は私の手をとった。
繋いだ指先の、余りの冷たさに驚いた。
「咲夜?どうしたの?」
変わらず、アリスは可愛い笑顔を向けてくる。
目をとろんとさせて、少し舌ったらずで。
心の動揺を、悟られてはいけないと思った。
「いいえ、行きましょう」
アリスと手を繋ぎ魔法の森の中を歩く。
歩きづらい森の中。
アリスの案内でひたすらに歩く。
私は動揺をしていた。
アリスと付き合うという事をどういう事か理解していなかったのではないか。
ただこれだけの事でこんなにも動揺するなんて覚悟が足りなかったのではないか。
でも、それでも。
彼女の事が好きで。
どうしようもなく好きで。
愛しくて、欲しくて、求めて、応えられた。
感じる温度。
私と彼女が絶対的に違うという証明。
アリスの家に着いた。
「送ってくれて、ありがとね」
「まさか送らせといて帰れなんて言わないわよね?」
「やだ、送り狼?赤ずきんちゃん食べられちゃうっ」
酔いの上での甘い軽口。
心臓の鼓動は鳴り止まない。
これからの事に早鐘を打っているのではない。
今までの事で怯えているのだ。
「待ってね、鍵開けるから」
離される彼女の指先。
そこで私は気が付いた。
アリスの指に、私の体温が移っていた。
私の温度に、近付いていた。
私達は違うものかもしれない。
けれど、希望が見えた。
「咲夜?早く入って」
アリスの呼びかけに私は歩を進める。
色々なこれからの事を胸に抱き家の中に入る。
もう、心臓は落ち着いていた。
体温とか些細なことで気付かされる種族の壁……あるある
切ないけど乗り越えていってくれ!
咲夜さんは既に結構妖怪よりなんじゃないかなって気がしたw