「はあ、無茶するんじゃありませんでしたね」
月明かりが差し込む時分の部屋の中で
紅美鈴は自嘲気味にそう呟くと
ボロボロになった自分の服を片手で脱ぎ捨てた
服を脱ぎ捨ててあらわになった自分の姿を鏡で見ながら美鈴が呟く
「痛っ~!?……あ~、皆にかっこつけないで、救護室行けばよかったかな?」
月明かり程度の光でも鏡に映った
自分の半裸の体についた傷跡が生々しい程にわかった
今夜は珍しく紅魔館の門の前に敵襲があったのだ
とは言え、退魔師やヴァンパイヤハンターでなく
弾幕と言う定義もわからない低級妖魔なのであったが
馬鹿だけど本能のまま戦うので変に力がある事が多いのだ
それでも、そんな者相手に美鈴が遅れを取る事も無いのだが
新人の門番を庇って下級妖魔の噛みつきをまともに受けたのだ
「でもまあ、皆無事でしたからよしとしますか」
そのおかげで、門番隊全員に怪我人が出る事は無かったので
美鈴はそれでいいかな?と頭の中で考えると
鏡の前に立ち、怪我の箇所を見つめ始める
「頬と左手と両足の擦過傷はまあ良いとして……」
擦り傷程度なら美鈴にとっては傷には入らない
それよりも問題は別にあった
「あ~……この怪我はちょっと骨が折れるかな?」
露になっている美鈴の豊かな胸から御腹の方にかけての大きな噛み傷
硬気孔で全身を鋼鉄のようにした美鈴に下級妖魔が噛み付いたのだが
性質が悪い事に硬気孔で硬化した美鈴の体の中でその牙が折れてしまったのだ
「……さて、荒療治といきますか」
美鈴が覚悟を決めて鏡の前に立つと
「ふぅ……」
静かに呼吸を静かに整え、己の体の傷にゆっくりと手を当て
折れた歯がある怪我の部分で手を止めると
「くっ……っ~……」
その怪我に対して自分の指を深く突き入れる
無論、痛くないはずが無い
美鈴の額からも、少量の脂汗が流れるが
「……毒を持ってなかった事が幸運でしたね」
そのまま体の中に埋まっている牙を指で掴むと
少量の血と共に牙を摘出する
(そういえば、昔もこうやって鏃とかを無理やり抜いてましたっけ)
そんな事を繰り返しながら昔の事を思い出す
退魔師や妖怪退治を主とする奴らに弓矢で射抜かれた時もあったし
他の妖怪の策略にはまって鋭い凶器で貫かれた時もあった
「幻想郷に来てからは……くっ……あんまり……痛~……こんな事あんまりありませんでしたっけ……」
気がつけば、床に少しの血溜まりと抜ききった牙が落ちていた
(……これで終わりかな?)
美鈴が怪我の様子を鏡で確認すると
急に足元がふらつくのがわかった
「……ちょっと血を流しすぎたかな?」
このままベッドの上で倒れると血がついて
掃除をする咲夜さんに叱られるかな?と思い
そのまま、地面にばったりと倒れようとした時だった
「はい、キャッチ」
何者かが倒れる自分を前から止めてくれた
美鈴が驚きながらその人物を見て更に驚いた
「全く紅魔館の門番ともあろう者が情けないわね」
「御嬢様?」
目の前に居たのは主であるレミリアの姿であった
驚く美鈴に肩を貸したまま近くにあった椅子に座らせる
「何で此処に?」
「珍しく美鈴の血の匂いが強かったから、その辺に居た門番に問い詰めたんだ」
そう言ってレミリアが持ってきたのは包帯等の入った救急箱であった
「大方、部下に心配させまいと救護室に行かないで自分の部屋で治療すると思ってたら、大当たりだったようだな」
「あはは、面目ありません」
美鈴がレミリアにそう笑いかける間に
レミリアが少々不器用ながらも美鈴の体に包帯を巻いていく
「……随分と久しぶりですね、御嬢様に包帯巻いてもらうの」
「幻想郷に来てからは色々と治療の手段もあるからな……これでよし」
レミリアが包帯を巻き終えると、美鈴の背中をバシンと叩く
その一撃に美鈴が声にならない声を出すのを見て
レミリアが少し満足した表情になると
「ほら、今回の怪我の特別功労賞だ」
「おっとっと?」
救急箱の中から何かを取り出して美鈴に投げつける
美鈴が慌ててそれを手にとって驚く
「葉巻じゃないですか」
「ああ、魔法の森の御店で前に見つけて買った物だが、お前にやる」
幻想郷の中ではきちんと整った形のタバコは珍しい
だが、それ以上に大切な事は
「昔吸ってただろう?こんな風に無理やり治療した後で」
「覚えてたんですね、昔の事」
レミリアが昔の事を覚えていた事であった
「早速一本吸って良いですか?」
「臭いから嫌なんだが……まあいい、許す」
レミリアから許可を得て、早速葉巻に火をつけて一服する
久しぶりのタバコに美鈴が少しむせるが
その内、ホッとした様子で葉巻を吸い始める
「はぁ~……幻想郷に来てから再び吸えるとは思ってませんでしたよ」
「ああ、嫌なにおいだが……今は少し懐かしいかな」
ベッドの上に座りながら葉巻を吸う美鈴と
傍の椅子の上でその美鈴を見つめるレミリア
「しかし、怪我してるのにそんなの吸っていいのか?」
「タバコは血管を縮めますから、止血の意味で吸ってたんですけどね」
そう言いながら、美鈴が静かに葉巻を吸い終えると
近くに置いてあったお皿を灰皿代わりにして
まだ余っていた葉巻をそっとテーブルの上に置いた
「ご馳走様でした」
「ん?もう良いのか?」
不思議そうな顔をするレミリアに美鈴が口元だけニヤケさせると
「流石に久しぶりに吸うと少々きつかったもので」
そう伝えたうえで上着をそっと羽織ると
「では、勝手で申し訳ありませんがそろそろ倒れます」
ベッドの上に美鈴が豪快に倒れこむ
「ZZZ」
そして、やはり疲れていたのだろう
即座に深い眠りに入り込んだ
その様子を見たレミリアがやれやれと言った様子でため息をついた
「やれやれ、今襲われたらどうするんだ?」
レミリアがそう呟くと倒れた美鈴に布団をかぶせた
そして、部屋から出て行こうとした所で少し考えると
「ふむ、そうだな」
レミリアが再び美鈴のベッドの傍に向かうと
そっと美鈴の布団の中にもぐりこんで
「感謝しろよ?今夜は私が守ってやろう」
暖かいその体をそっと抱きしめた
月明かりが差し込む時分の部屋の中で
紅美鈴は自嘲気味にそう呟くと
ボロボロになった自分の服を片手で脱ぎ捨てた
服を脱ぎ捨ててあらわになった自分の姿を鏡で見ながら美鈴が呟く
「痛っ~!?……あ~、皆にかっこつけないで、救護室行けばよかったかな?」
月明かり程度の光でも鏡に映った
自分の半裸の体についた傷跡が生々しい程にわかった
今夜は珍しく紅魔館の門の前に敵襲があったのだ
とは言え、退魔師やヴァンパイヤハンターでなく
弾幕と言う定義もわからない低級妖魔なのであったが
馬鹿だけど本能のまま戦うので変に力がある事が多いのだ
それでも、そんな者相手に美鈴が遅れを取る事も無いのだが
新人の門番を庇って下級妖魔の噛みつきをまともに受けたのだ
「でもまあ、皆無事でしたからよしとしますか」
そのおかげで、門番隊全員に怪我人が出る事は無かったので
美鈴はそれでいいかな?と頭の中で考えると
鏡の前に立ち、怪我の箇所を見つめ始める
「頬と左手と両足の擦過傷はまあ良いとして……」
擦り傷程度なら美鈴にとっては傷には入らない
それよりも問題は別にあった
「あ~……この怪我はちょっと骨が折れるかな?」
露になっている美鈴の豊かな胸から御腹の方にかけての大きな噛み傷
硬気孔で全身を鋼鉄のようにした美鈴に下級妖魔が噛み付いたのだが
性質が悪い事に硬気孔で硬化した美鈴の体の中でその牙が折れてしまったのだ
「……さて、荒療治といきますか」
美鈴が覚悟を決めて鏡の前に立つと
「ふぅ……」
静かに呼吸を静かに整え、己の体の傷にゆっくりと手を当て
折れた歯がある怪我の部分で手を止めると
「くっ……っ~……」
その怪我に対して自分の指を深く突き入れる
無論、痛くないはずが無い
美鈴の額からも、少量の脂汗が流れるが
「……毒を持ってなかった事が幸運でしたね」
そのまま体の中に埋まっている牙を指で掴むと
少量の血と共に牙を摘出する
(そういえば、昔もこうやって鏃とかを無理やり抜いてましたっけ)
そんな事を繰り返しながら昔の事を思い出す
退魔師や妖怪退治を主とする奴らに弓矢で射抜かれた時もあったし
他の妖怪の策略にはまって鋭い凶器で貫かれた時もあった
「幻想郷に来てからは……くっ……あんまり……痛~……こんな事あんまりありませんでしたっけ……」
気がつけば、床に少しの血溜まりと抜ききった牙が落ちていた
(……これで終わりかな?)
美鈴が怪我の様子を鏡で確認すると
急に足元がふらつくのがわかった
「……ちょっと血を流しすぎたかな?」
このままベッドの上で倒れると血がついて
掃除をする咲夜さんに叱られるかな?と思い
そのまま、地面にばったりと倒れようとした時だった
「はい、キャッチ」
何者かが倒れる自分を前から止めてくれた
美鈴が驚きながらその人物を見て更に驚いた
「全く紅魔館の門番ともあろう者が情けないわね」
「御嬢様?」
目の前に居たのは主であるレミリアの姿であった
驚く美鈴に肩を貸したまま近くにあった椅子に座らせる
「何で此処に?」
「珍しく美鈴の血の匂いが強かったから、その辺に居た門番に問い詰めたんだ」
そう言ってレミリアが持ってきたのは包帯等の入った救急箱であった
「大方、部下に心配させまいと救護室に行かないで自分の部屋で治療すると思ってたら、大当たりだったようだな」
「あはは、面目ありません」
美鈴がレミリアにそう笑いかける間に
レミリアが少々不器用ながらも美鈴の体に包帯を巻いていく
「……随分と久しぶりですね、御嬢様に包帯巻いてもらうの」
「幻想郷に来てからは色々と治療の手段もあるからな……これでよし」
レミリアが包帯を巻き終えると、美鈴の背中をバシンと叩く
その一撃に美鈴が声にならない声を出すのを見て
レミリアが少し満足した表情になると
「ほら、今回の怪我の特別功労賞だ」
「おっとっと?」
救急箱の中から何かを取り出して美鈴に投げつける
美鈴が慌ててそれを手にとって驚く
「葉巻じゃないですか」
「ああ、魔法の森の御店で前に見つけて買った物だが、お前にやる」
幻想郷の中ではきちんと整った形のタバコは珍しい
だが、それ以上に大切な事は
「昔吸ってただろう?こんな風に無理やり治療した後で」
「覚えてたんですね、昔の事」
レミリアが昔の事を覚えていた事であった
「早速一本吸って良いですか?」
「臭いから嫌なんだが……まあいい、許す」
レミリアから許可を得て、早速葉巻に火をつけて一服する
久しぶりのタバコに美鈴が少しむせるが
その内、ホッとした様子で葉巻を吸い始める
「はぁ~……幻想郷に来てから再び吸えるとは思ってませんでしたよ」
「ああ、嫌なにおいだが……今は少し懐かしいかな」
ベッドの上に座りながら葉巻を吸う美鈴と
傍の椅子の上でその美鈴を見つめるレミリア
「しかし、怪我してるのにそんなの吸っていいのか?」
「タバコは血管を縮めますから、止血の意味で吸ってたんですけどね」
そう言いながら、美鈴が静かに葉巻を吸い終えると
近くに置いてあったお皿を灰皿代わりにして
まだ余っていた葉巻をそっとテーブルの上に置いた
「ご馳走様でした」
「ん?もう良いのか?」
不思議そうな顔をするレミリアに美鈴が口元だけニヤケさせると
「流石に久しぶりに吸うと少々きつかったもので」
そう伝えたうえで上着をそっと羽織ると
「では、勝手で申し訳ありませんがそろそろ倒れます」
ベッドの上に美鈴が豪快に倒れこむ
「ZZZ」
そして、やはり疲れていたのだろう
即座に深い眠りに入り込んだ
その様子を見たレミリアがやれやれと言った様子でため息をついた
「やれやれ、今襲われたらどうするんだ?」
レミリアがそう呟くと倒れた美鈴に布団をかぶせた
そして、部屋から出て行こうとした所で少し考えると
「ふむ、そうだな」
レミリアが再び美鈴のベッドの傍に向かうと
そっと美鈴の布団の中にもぐりこんで
「感謝しろよ?今夜は私が守ってやろう」
暖かいその体をそっと抱きしめた
これなんて世紀末w
渇いた血だまりってやっぱり咲夜さんが掃除するのかな
半裸で待ってます。
内容が全く頭に入ってこない。
そして期待してます
続きを期待しないでっていうのはフリだよね。wktk
続きに期待します。