蓮根だった。
メリーが目を覚ますと、隣にパジャマを着た巨大な蓮根が転がっていた。
蓮根は、まるですやすやと寝息を立てるようにして、からだ? をゆったりと上下させている。
メリーは目を疑った。目を擦って、もう一度まじまじとそれを見た。
蓮根だった。
まごうことなき蓮根だった。
メリーはため息混じりに布団を取っ払った。
とことこと洗面所へ歩いていき、もう冬だと言うのに冷たい水を出して、顔にぶっかけた。髪が濡れるのも構わなかった。
きっと自分が寝ぼけているだけ。
そう、そうに違いないのだ。
そう願いながら、部屋に戻る。
部屋の中心には、やっぱり蓮根が転がっていた。
メリーは目頭を押さえて、天を仰いだ。
無機質な蛍光灯が、あった。
「んぅ……うぅん」
蓮根が呻いた。
蓮根がゆっくりと身体? を起こす。
蓮根が伸びをした。
茶色っぽい肌色のボディに命の輝きが宿る。
そして欠伸をするように震えた。
蓮根が声を出す。
「……メリー、おあよぅ……ふぁ」
声は、良く知った友人である宇佐見蓮子の声そのものだった。
しかしそれは蓮根だ。
「おはよう」
「うんー……」
寝ぼけたように蓮根は立ち上がると、洗面所へ向かう。
じゃー、ばしゃばしゃばしゃ、じゃー。顔を洗っているのだろう。メリーは動けなかった。
冷たい水で引き締まった蓮根は、きっとシャキシャキしたいい歯応えなのだろう。
メリーは若干美味しそうだ、と思った。
蓮根が戻ってくると、メリーは早速切り出した。
「……れん、こ?」
「は?」
「蓮子よね」
「当たり前じゃない」
何言ってるの、と言った風に蓮根は嘆息した。
メリーは泣きたくなった。
蓮根はパジャマのボタンをゆっくりと外し、身体をくねらせてパジャマを脱いだ。
茶色がかった色の肌が見える。
でも蓮根だけど。
身体をかがめる。
穴の開いた面が見えた。
卑猥に開いたそれは、確かに蓮根だった。
「メリー……」
蓮根は潤んだ声で言う。
「私を食べて……」
メリーは落ちていた蓮根で蓮根をぶん殴った。
◆
「――――」
嫌な夢を見た気がした。
メリーは隣で眠る宇佐見蓮子の姿を確認してほっと胸を撫で下ろした。
次に、部屋に充満する蓮根のにおいに顔をしかめた。
そうだ、昨晩蓮子がやってきて、世界の蓮根料理を振舞ってくれたんだ。
彼女は稀代の蓮根フェチだからだろう。
蓮子の作る料理は素晴らしかった。
さすが蓮根マスター。
蓮根ばっかり食べたから、あんな夢を見たのだろう。
そうに決まっている。
「んぅ……うぅん」
と蓮子が呻いて、起き上がって、伸びをした。
布団がぱさりと落ちた。
全裸だった。
昨夜は激しすぎたんじゃry
を思い出さずにはいられない。
きっと昨晩蓮根とかを食べすぎたせいですね。