※PC以外の環境では、若干文章が崩れる恐れがあります。
「ロン!!」の声と共に、思わず机へと崩れ落ちた。
私こと博麗霊夢は、ひどく麻雀が弱い。弱いったら弱い。悔しいから認めたくは無いのだけど、事実は事実なのだから仕方がない。
というか、私くらい麻雀が弱い者は、幻想郷中探してもいないのではないだろうか。そんなことを思ってしまうくらい、私は弱い。
どのぐらい弱いかと言えば、一度チルノを交えて神社で遊んだときに、大差をつけられて惨敗したことがあるほどだ。
一緒に打っていた紫曰く「あんな見え見えの清一に振り込むのが悪いのよ」とのことだが、私もそう思う。
チルノの河に索子ばかり十枚も捨てられている中、何も考えずに、平気で三枚も四枚も萬子を切っていくなんて。
何であんな、地雷原を裸足で駆け抜けるような行為をしてしまったのか、自分で自分が分からない。
あいつの高笑いと「れーむに勝つなんて、あたいったらさいきょーね!」という言葉が、今も深く心に突き刺さっている。
あの時はもう、生涯の涙を使い果たしたのではないかという程泣いた。
自慢じゃないが、勘は鋭い方だと思う。
今までにいくつもの異変を解決できたのも、そのおかげだと思うし。
それに、自慢じゃないが、運もいい方だと自負している。
人里福引大会で、見事一等の『来年の新聞一年間分無料購読券』を引き当てて、文に延髄斬りを決めたのも、つい最近の話だ。
「なのに、何で私、麻雀になるとまったく勝てないんだと思う?」
「何でって、そりゃ、弱いからだろ」
遊びに来ていた魔理沙の返答を聞くや否や、殴った。どうやら不意を突かれたらしく、1メートルほど吹っ飛んだ。
「人が気にしてること、そうはっきりと言わないでよ!」
「お前、だからって、普通いきなり右ストレートで殴りかかるか!?」
「本当は地獄突きにしようと思ったんだけど」
「怖っ!」
怖いものか。私のナイーブな精神はそれ以上に傷ついたんだ。
「お前なんか嫌いだー!」と泣きながら去っていく魔理沙。
そんな魔理沙を見送りながら、私は縁側に腰掛けて、ため息を一つもらす。
勝てない。とにかく、あらゆる異変の首謀者とやりあって、その度勝利を収めてきた私なのに、こと最近始めた麻雀だけは勝てないのだ。
もちろんお金を賭けたりしているわけではないから、勝てなくたって別に損はしていない。私自身、そんな方法でお金を稼ぎたいなんて思っていないし。
だけど、やっぱり勝てなければ悔しいものだ。未だに、最下位の私をニヤニヤと笑いながら見つめてくる、紫や幽香や魔理沙の顔が、頭から離れない。
……ついでだったし、さっきもう一発魔理沙を殴っておけば良かったかなあ。
「とりあえず、自分の打ち筋でも見て反省するかあ……」
文が「何か記事になるかも」と取っていた牌譜を眺めながら、私は一人、先日の勝負を思い出す。
大きなチャンスもあったけど、結局上がれたのは安い手だけ。一位は紫、二位に幽香、三位が魔理沙で、私はぶっちぎりの最下位だった。
まったく、何が悪いというのだろうか。
ああ、自分で言うのも何だけど、運も勘もあって、どうしてこう勝てないのかなあ。
(そりゃ、勝てないはずですよ……)
物陰から、霊夢の様子を窺う一つの影が、ぼそりとこぼす。
その正体は、たまたま、神社へとお燐を迎えにやってきていたさとりだった。
結局、お燐は別の場所へ移動したのか見つからなかったものの、先程の霊夢と魔理沙のやり取りに興味を示したさとり。
彼女は、心を読む事で、何故霊夢が勝てないかを分析する事にした。
(……これはひどい)
霊夢の打ち筋を見て、さとりは内心で思わず呟く。
(まずは麻雀教本を読み返す所から始めるべきですね……)
彼女の覗いた対局は、こういったものであった。
―――――――――――――
東一局 霊夢の親
配牌
一九①⑨一九東南西北白発中 ツモ 北
萬萬 索索
(む、これは「九種九牌」というやつね。手が作りにくいし、こんなのはさっさと流すに限るわ)
―――――――――――――
東四局
九順目
二三四二三四二三四③③③④ ツモ ④
萬萬萬萬萬萬萬萬萬
「ツモ!メンタン!」
「……イヤね、霊夢ったら。イーぺーコーを忘れてないかしら」
「あれ?本当だ。親切に教えてくれて、ありがとう紫!うーん、②か⑤ツモればピンフもついたのに、安めになっちゃったわね。まあいいわ、早く点棒出しなさい!……って、何みんな、負けてんのに笑ってるのよ?」
―――――――――――――
南三局
十二順目
一一一二三四五六七八九九九 ツモ 一
萬萬萬萬萬萬萬萬萬萬萬萬萬 萬
「カン!」
―――――――――――――
「うう……何でこう、勝てないのかしら。やっぱり、運や勘だけに頼るんじゃなくて、実力つけるために努力しろってことなのかなあ……」
(……まあ、そうですよね。というか、実力以前に役覚えろって話ですが。この人、自分が20万点くらい損してるの、本気で気付いてないんでしょうか……)
麻雀を知る者ならば誰でも分かる通り、この勝負、本来なら霊夢の圧勝である。むしろ、東一局の配牌が終わった時点で、既に勝負はついているのだ。
あれだろうか。最後のは「これ上がったら私は死ぬんじゃないか」というのを持ち前の勘で見抜き、敢えて暗槓したのだろうか。カンだけに。
(というか、この人は本当、恐ろしいほど運がありますねえ……)
天和、国士無双、四暗刻単騎、そして九連宝燈。一度の対局で、これだけの役満を一人の人間が揃えること等、普通は考えられない。
無論、揃えた所で、きっちりと上がりの申告しなければ、何の意味も無いわけだが。もはや勿体無いという次元は超越している。
(さて、この事教えてあげるべきでしょうか。でも、そうすると今度は、あまりに霊夢さんが強くなりすぎてしまって、私が何か逆恨みされるような……)
おそらく、この事実を霊夢に伝えれば、彼女の悩みは解消され、さとりも感謝されるであろう。それは非常に嬉しい事だ。
だが、彼女をカモにしている紫や幽香や魔理沙はどうか。いきなり雀神クラスへと変貌を遂げた霊夢にボコボコにされた結果、アドバイスしたさとりを恨むような事態へでも発展したらコトである。
(ああ、面倒なことになりました。このまま彼女を無視して帰るのも良心が痛みますし、かと言って下手なアドバイスは、身を滅ぼす結果になりかねませんし)
「うーん、やっぱり東4局よ。あそこの場面は、フリテン覚悟でも④ツモ切ってピンフ付けにいかなきゃ……」
的外れな事を呟きつつ、牌譜を眺めてため息をつく霊夢を見ながら、さとりは頭を抱えるのだった。
なんか胸がモヤモヤしてきたなんでだろう…?
悩んでるさとりんの姿、妄想余裕でした。
この幻想郷には鬼しかいないw
余談ですが、私の携帯電話だと、こう表示されます。
↓
一九①⑨一九東南西
北白発中 ツモ 北
萬萬 索索
読み手の環境を選ぶ場合は冒頭に一言入れておくと親切ですよっと
最近、麻雀を学んだがどれも現実的には無理!と言いたくなる役ばかり。
しかし、霊夢なら天和も楽にいけるんじゃないかなぁ^^;
役覚えていればの話だが・・・。
モヤモヤするぅ!
頼む、誰か教えてやってくれ!
まあさとり様が言わんでも、その内美鈴やら星やらがさらっと言っちまいそうではあるが。
何か早苗やら霖乃助やらが空気読まずに言ってしまって鬼巫女化する霊夢を幻視した。紫とか幽香はともかく、魔理沙は命が危ないw
ルール覚えようよ霊夢w
紫さまヒドス。周りも教えてあげてくださいwww
この霊夢なら日本国を任せてもいい。役を覚えたら、だけど。
わかります