Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

掴んだ指はよりつよく

2010/11/28 08:19:23
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ふわぁ、と思わず大きな欠伸がでてしまった。
夜。それは本来吸血鬼である私の得意とする時間だが、今日は朝からずっと本を読んでいたためにかなり眠い。
今朝フランが自室で読んでいた物だが、彼女にしては珍しくそれは漫画本だった。
興味を持ち、横に置かれていた一巻だけ軽く読んだのだが、これがかなり面白い。
とりあえずフランの読み終わった分だけ借り、残りは読んだら貸してちょうだいと頼み私は部屋へ戻った。
それからひたすら読み続け、現在に至る。

「お嬢様、はしたないですよ」

我が自慢のメイド長である咲夜が優しくも凛とした声で注意を促してくる。
対して私の返事は、うー、という目元を擦りながらの情けないものだった。
本を読むために座っていた椅子から立ち上がり、眠るためにてくてくとベッドへ向かう。
咲夜に手伝ってもらいながら寝巻きへ着替え、暖かい布団へダイブする。

「あー、こんにゃくはすごいのねぇ」

毛布と枕の位置を微調整しながら私は呟いた。

「こんにゃく……ですか?」

「ええ、あの柔軟さはどんな攻撃も軽やかに避けることをかのうとするのよー」

咲夜の頭に「?」マークが浮かんでいるのが見える。が、特にそれ以上は聞いてはこなかった。
読んでいた本の内容を思わず口に出しただけなのだと察したのだろう。
私としてもこんにゃくについて追求されても困る。
それに優秀な彼女をいつまでも引き止めておくのも悪い。あとは眠るだけの私と違い、これからまだ仕事があるのだ。たぶん。

「おやすみなさい……」

それだけ言うと、私の意識は夢の世界へと旅立っていった。










深夜。仕事が一段落したので自室に戻り少し休もうとしたところ、お嬢様の部屋から物音が聞こえた。
こんな時間に起きたのだろうか。私は部屋のドアをノックした。もしも寝ていた場合その眠りを妨げぬ程度の小さな、しかし確実に聞こえる様に。
再度の物音。それを聞いた私は時を止め、失礼します、と言いながらドアを開けた。

荒らされているということは無かったが、一つだけおかしなものが目に入った。
明らかに誰かいますよという様に毛布が丸く盛り上がっていたのだ。そしてその端から何かがはみ出している。
そのまま部屋を出てもいいかと思ったが、念のために近づき確認する。
すると、小さな翼が可愛らしくピョコピョコと動いていた。
私は噴き出さぬよう努力しながら逆側に回り込む。
お嬢様の様子をみてみると毛布が少しはだけていて寒そうだ。
予備の毛布を持って来ようかと思ったところで、寝顔の横で小さな手が、これまた小さく開いているのを発見した。
なんとなく人差し指を置いてみると、きゅっと掴まれてしまった。ゆっくり引き抜こうとしたが中々抜けない。
それどころかより強く握られる。再び引き抜こうとすると、お嬢様は嫌そうな顔でうめいた。
どうしたものかと考えながら周りを見回していると、部屋の逆側にある椅子と机が目に入った。
時を止め、少し名残惜しいが指を抜いて椅子へ向かう。
椅子を持ち上げたところで、机の上のものに気づき思わず笑みがこぼれる。机の上に積まれていた本が増えていたのだ。
私は静かに椅子を運び、ベッドの横で座った。
再び手の中に指を戻したところで、時を動かす。
今日は休めないわね、と思いながら明日やるべきことを頭の中で反芻する。
しばらくすると私にも睡魔が襲い掛かってきてしまった。休まないと決めていたが身体は正直なようで、こくりこくりと舟をこいでしまう。

我が自慢の主の幸せそうな寝顔と静かに上下している盛り上がった毛布のおかげで、明日も仕事を頑張れそうだと、意識を手放しながら私は思った。










ふわぁ、と思わず大きな欠伸がでてしまった。
朝。それは本来吸血鬼である私のもっとも苦手とする時間だが、昨日は夜もふけぬ内に眠ったので気分がいい。
寝ぼけ頭で天井を見ながら今日は残りの巻を読破しようなどと考えていたら、ふと自分の右手が何かを握っていることに気がついた。
右側に視線をやると、我が自慢のメイド長が右腕を枕にしながら幸せそうに眠っていた。
どういう状況なのだろう。なぜ私は咲夜の左手の人差し指を握っているのだろうか。
とりあえずこのまま握っておこう。もう一つ気がついたことがあったのだ。
左腕のあたりの毛布がやけにモコモコしている。
身体を少しずらし、できた隙間から中を覗くと我が愛しの妹が猫のように身体を小さくし、私の小指を遠慮しがちに掴んだまま眠っている。
一旦指を抜きそのままフランの手のひらを握ると、一層幸せそうな寝顔になった。

そんな二人を見て、たまには家族サービスでもしてみよう。
柄にも無くそんなことを私は思った。
初投稿です。
誤字脱字文章おかしくね?等ありましたらご指摘お願いします。

人前で眠るということや繋いだ指や手の意味を想像していただけたら嬉しいです。

あと私事ですが、そろそろ部屋に暖房が欲しい。
あーみてぃっじ
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ふわふわしてて、かわいくて、ほんわか・・・ッ!最高!
この時期、暖房ないとやばいですよね。特に夜。
・・・こんにゃく・・・だと?
2.奇声を発する程度の能力削除
とっても和みました!
3.名前が無い程度の能力削除
おぜうが読んでたのはあしたのジョーかw
2828したw
4.名前が無い程度の能力削除
かわいいなあ
かわいいなあ
5.あーみてぃっじ削除
>>1さん
手がかじかんでだんだん感覚がわからなくなってくることもしばしば・・・。ガクガクブルブル

>>2さん
和んでいただけるとは嬉しいですー。ありがとうございます

>>3さん
ま、まさかこんにゃくで元ネタがばれるとは!

>>4さん
もふもふっ
もふもふっ