Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

単純

2010/11/20 22:53:47
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 今、私は空を全速力で駆けている。たぶん幻想卿最速のスピードで。
 
 別にすごい面白いネタがあるわけじゃないし、誰かに追われている訳でもない。
 
 じゃあ何故かって?
 
 答えは簡単。
 
 「よっ…と。」
 
 目的地に到着。 
 翼と腕を空に向かって大きく伸ばします。長旅には良くききますね。 
 
 「あら、また来たの?」
 
 境内の中から響く声。
 どうやらお掃除中だったみたいです。
 「もう少し素直に迎えて欲しいわねぇ」
 「十分素直だと思うけど?」
 「その時点で素直じゃないと思うけど?」
 「……何が言いたいの」

 待ってました。その言葉。
 いつもながら願っていることを言ってくれる期待通りの人です。
  
 「そりゃもちろん!愛して――」
 
 コーン、と気持ちいいぐらいの音が神社に響きます。 
 ああ、額が痛い。
 後、箒の先が足に当たって足も痛い。
 「馬鹿な事言ってるぐらいだったら掃除を手伝いなさい。」
 「本音なんですけどねぇ…」
 …やっぱり素直じゃない。
 「なんか言った?」
 「…いいえ?」
 勘が鋭いんですよね、この巫女さん。
 いや、それだけが取り柄…?
 「……文?」
 「ええ。私は何も思ってませんよ。」
 本当に恐ろしいほどの勘ですよね………。
 
 「ふぅ…」
 掃除を終え(というか私が風で落ち葉を飛ばしたんだけど)、現在は縁側でお茶中。
 「平和よねぇ…」 
 「あ、文の言葉遣いが記者モードじゃなくなった。」
 「まあね。霊夢の前だし。」 
 それはどういう意味だ、と頬をつままれる。
 「あら意外と柔らかいのね」
 「ふぁへへふふぁふぁひおー」
 「残念。なんて言ってるかわからないわ」
 そういって彼女は幸せそうに笑う。
 つられて私も頬を引っ張られながら笑った。 
 
 
 最初に彼女を見た時は、それはもう驚いた。

 
 ただの人間が妖怪の山に一人で乗り込んできたから。

 しかも女で、子供。わざわざ死にに来たとしか思えなかった。
 私は彼女との戦いを嘗めてかかった。
 だから、彼女よりも長く生きているはずの私は圧倒的に負けた。  

 後悔した。侮ったことに。

 地に這い蹲る天狗。なんて無様なんだ。 
 ザッ、と土を蹴る音が上から聞こえる。 
 笑いたければ笑うがいい。そう覚悟していた。 
 でも、かかった言葉は予想外なものだった。

 「大丈夫?」

 彼女はさっき戦ったばかりの敵に手を差し伸べていた。

 ―あぁ、なんて美しい。 
 
 見惚れてしまった。その美しさに。その凛とした姿に。
 しばらくの間私はその姿を忘れられないでいた。



 
 「……単純よね、昔の私」
 「今更何を言ってるの?ていうか今もじゃない」
 
 さらっと酷いことを言ってくれるなこの巫女は。
 まあ、否定はできないが。
 
 「…いまいち納得できないわ」
 「しなさいよ、自分で」
 「だからできないの。認めたら駄目になる気がする」 
 「何よそれ」

 ずずっ、と少し温くなったお茶を啜る。
 回想に浸っていたりいなかったりしてただけなのに、喉が渇いていた事に気付いた。
 
 「平和よねぇ……」
 「それを何回言うのかしら?」
 「何回でも。霊夢が隣にいるかぎり言い続けるわ」
 「そりゃどうも」
 
 少しぐらい照れてくれてもいいのに。
 彼女の無愛想さは今に始まったことではないが、何故か今日はそれが気に入らない。
 「…ねぇ霊夢?」
 「なによ?」
 
 「霊夢は私の事好き?」
 
 「普通」 
  
 ああ、凹むなぁ・・・
 「もう死んだ方がましかなぁ…。そうよね…」 
 「一気に平和が消え去るすばらしい思考力ね」
 霊夢は当然の事を言ったようにお茶をすする。
 「でも…」 
 俯いたままの私の耳がピクンと少し動く。
  
 「普通な特別、って感じかしらね」
  
 顔を上げると少し頬を朱に染めた巫女がこちらを見ていた。

 ―ああ、やっぱり。
 
 そんな矛盾だらけの言葉だけで、そんないつもの日常だけでも。 

 あなたがいるならばそれでいいと思える私は

 やっぱり今も単純だ。
 
 お久しぶりです。
 初めて挑戦、あやれいむでしたが、いかがでしたでしょうか?
 相変わらず駄文から変化なしですがお気に召していただけたらなぁ 
 と思います。
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 
LAW
http://donotriarubutlike2.blog58.fc2.com/page-1.html
コメント



1.削除
>幻想卿
幻想郷

どっちもかわいいなぁ、にやにや。
2.オオガイ削除
和やかで切ない、好みです。