※注意!
この作品は深夜脳が暴走し、更に書いた本人も吃驚する様な急展開です。所謂「唯(ゆい)の暴走作品」です。
その様な物に不快感を感じる方は、今すぐ戻るをクリックする事をお勧めします。
許容出来る方のみお進み下さい。
……忠告はしましたからね?中傷の類は無しでお願いします。
◇◇◇
日増しに寒くなる霜月の中頃、僕はストーブのお蔭で冬とは思えない気温の店内にて本を読み耽っていた。
外に目を向ければ、風が散った紅葉を乗せ冬を知らせに飛んでいた。雪こそまだ見ていないが、幻想郷が白い冬の色に染まるのも時間の問題だろう。そんな日は酒と暖かい料理で温まるに限る。確か薩摩芋が残っていたか……人参と里芋と一緒に煮込むか……。
そんな事を考えながら本を読み進めていると、この寒い日に珍しく、扉の鈴が働いた。
「こんにちは~」
やって来たのは、着物に身を包み傍らに人魂を浮べた一人の女性。
その名を西行寺幽々子。冥界の屋敷「白玉楼」の主だ。
「ん~此処は暖かいわ~」
「寒いのは苦手だからね。……しかし、君が来るとは珍しいね。幽々子嬢」
「あら、意外だったかしら?」
「あぁ、正直言うとね。この寒さでは霊夢や魔理沙も来ないと踏んでいたんだが……まさか、君が来るとはね」
「幽霊は冷たいのよ? 寒さなんて関係無い……貴方も知っているでしょう?」
「眼前の御嬢様のお蔭でね」
「くすくす」
あの時は妖夢の所為で本当に寒かった。人生勉強に付きあわされたとは言え、寒いのが苦手な僕としてはたまったものではなかった。
「まぁ、その時の事が今日此処に来た理由でもあるのよね~」
「うん?」
本を閉じつつ首を傾げると、幽々子嬢が手を胸の辺りに持ってきているのが視界に入った。
手には、一本の酒瓶が握られていた。
「紫から貰ったのよ。外の美味しいお酒だからどう? って」
「……成程。酒を入手した経路は把握した。だが何故僕の所に?」
「ほら、以前妖夢の教育に付き合ってもらったでしょう?」
「教育……あぁ、人魂灯の一件かい」
「えぇ。で、これを貰った時に『あぁ、そう言えば貴方にお礼をしていなかった』って思って」
「随分と遅い御礼だね」
「くれるだけマシでしょう?」
「まぁ、そうだね」
返し、何となく笑みが零れた。
まぁ今日は元々酒で温まろうと思っていたし、それが外界の物を頂けるのなら思わぬ収穫だ。
「なら、君もどうだい?」
言って、杯を傾ける動作をする。
「あら、私はこれをお礼で持ってきたのよ? 一緒に飲んで良いのかしら?」
「君がくれるんだろう? なら、どう使おうが僕の勝手……という訳さ」
いい物を貰ったのだ。礼で頂いたとはいえ、相応に返すのが常識というものだろう。幻想郷にもそれくらいの常識はあるのだ。
「あら……ふふ、嬉しいわね。じゃあ、ご一緒させてもらおうかしら」
「まぁ、夜まで待ってもらう事になるが……その間に肴でも作るとしようか」
「そうね。暖かいものがいいわ~」
「承知いたしました、御嬢様」
わざとらしくそう言うと、彼女は口元を押さえてくすくすと笑った。同じ笑い方なのに、何故こうも紫とは違うのだろうか。
そんな考えを思考の隅に追いやり、僕は勝手場へと足を進めた。
***
月が昇り始める頃。僕は幽々子嬢と縁側に腰掛けていた。
傍らには、幽々子嬢が持ってきた外界の酒。そして簡易式の机に乗せた浅蜊の酒蒸し。野菜類は置いておいた。
「さて、月もいい具合に昇り始めた。そろそろ始めようか?」
「そうね~」
言って、彼女の杯に酒を注ぐ。
「はい、じゃあお返し」
そう言って、幽々子嬢も僕の杯に酒を注ぐ。
「じゃあ、お月様に乾杯」
「あぁ、乾杯」
返し、杯を上に上げる。
「んー美味しい。紫もいい物をくれたわ~」
「んっ……これは中々。飲みやすくていい」
「ホントね~……あ、この酒蒸しも美味しいわ」
見ると、幽々子嬢は肴の酒蒸しに手をつけていた。
「それはどうも……」
「お酒によく合うし、それを抜きにしても美味しいわ」
「……褒められると、流石に恥ずかしいものがあるね」
「事実なんだからいいじゃない……あ。ねぇ、死んだら白玉楼にいらっしゃいな。料理専門で住ませてあげるわよ?」
「死後の予定は無いからね。考えておくとするよ」
「ふふ、楽しみだわ」
そう呟き、幽々子嬢はまた酒を飲む。無くなったのを見計らい、注いでやる。
「あら、どうも」
じゃあお返しね、そう言って幽々子嬢は僕の杯に酒を注ぐ。
「どうも……」
礼を返し、杯を呷る。
「はぁ、美味しかった」
「ん?」
見ると、浅蜊の酒蒸しは綺麗に殻だけになっていた。結構な量を作ったつもりだったんだが……相手が彼女だと言う事を忘れていたな。
「気に入ってもらえて何よりだ」
「あ、貴方の分を忘れてたわね、御免なさい……」
「いや、構わないよ。酒は飲もうと思えば塩でも飲める、肴なんて幾らでもあるものさ」
「それでも……食べちゃった事は事実だし……」
「まぁ僕は幾つか摘もうと思ってた程度だから、気にしないでくれ。余り言われると作った側としてもいい気分じゃない」
「……そう、ね。御免なさい」
「あぁ。それに今宵は綺麗な月が浮かんでいるから、肴に困る事は無い」
「えぇ……それもそうね。今日はお月様が綺麗だわ」
「月見はいい。静かで、落ち着いていて、何より風情がある」
「そうね……落ち着いたのは、私も好きだわ」
「和歌を詠んだりもできるし、月を飲む事だって出来る」
こんな風にねと付け加え、杯の酒を表面に移った月ごと一気に呷る。喉を通り過ぎる月は、冷たく美味だった。
「あら……ふふ、洒落た事を言うわね。そういう人は好きよ」
「あぁ、僕も君の事は嫌いじゃない」
彼女は霊夢や魔理沙と違い、落ち着いた雰囲気の女性だ。騒がしいのが嫌いな僕としては、彼女達より幾分か相手がし易い。
そういう意味で言ったのだが。
「え……?」
……何故、彼女は頬を赤く染めているのだろう。酒が入っているにしても赤すぎだ。
「……どうしたんだい?」
「え、あ、い、いいえ、そう言う事を言われ慣れてないから、ちょっと焦っちゃったわ」
「?……そうかい。まぁ、少なくとも僕は君の事をそう思ってるよ」
「え、あ、ぅ……」
そう言うと、幽々子嬢は更に狼狽えてしまった。
「……?」
何故、彼女は赤面しているのだろうか。酒に弱いという訳ではない筈だ。宴会でも鯨飲馬食という言葉が相応しいぐらいに飲み食いしていた。
――なら、酒以外の何かが要因となるのだろうが……
その『酒以外の要因』の正体は、どれだけ考察を巡らせても結果は出なかった。
なんと言うか……いいなぁ。にやにや。
おかげで二度読むはめになったじゃないかどうしてくれる
あとこれは誤字ではないけど、和歌は「読む」より「詠む」の方がしっくりきません?
馳せる思ひ
紅に染め
呑みし心は
杯の月
幽々子様の乙女分補給完了しました隊長!
冬の寒気もこれで大丈夫!
何と言うか、こちらも有り難う御座いました
「あら、以外だったかしら?」
意外
温かい雰囲気、ありがとうございました!
お陰で2828分を存分に補給できました~。
なぜか2828が止まりません
それにしても良いお話しでした
返信ですよー!
>>拡散ポンプ 様
よかったですか!やったぁ……!
>>2 様
ぽかぽかして頂けて嬉しいです!
>>3 様
お酒の肴に、ですか。お酒はまだ飲める年じゃないんだよなぁ……
>>4 様
わわわ、すいません。深夜脳で書き上げた物だったんで予防線を張っただけなんです!
誤字の報告、有難う御座います!修正しました。
>>こじろー 様
わわ、素敵な歌ですね!
たったたた、隊長!? そんな偉い人じゃないですよ!
>>下上右左 様
いえいえ、こちらこそリクエスト有難う御座います、ですよ!
>>奇声を発する程度の能力 様
温まっちゃってください!
>>8 様
誤字報告感謝です! 修正しました。
>>けやっきー 様
暖かい雰囲気っていいですよね!
>>淡色 様
暴走してませんでしたか!? よかった……
>>投げ槍 様
お、温暖化!? そこまでですか!?
読んでくれた全ての方に感謝!
2828しますた
ゆゆ霖いいですよね!もっと増えろー!
読んでくれた全ての方に感謝!