こんにちは、またまた十六夜咲夜です。
今回は美鈴のところにお昼を届けに来たんだけど、なんというかかなり後ろから痛い視線が…。
そんなに嫌ならお嬢様もここまで来たらいいのに。
「わぁ! 咲夜さん、これ食べてもいいんですか?」
「ええ。貴方の為に作ったんだから、食べていいに決まってるじゃない」
「いつもいつもありがとうございます。それじゃ、いただきます!」
「そう思ってるなら仕事も頑張ってほしいものね」
「んぐっ!? あはは…、すみません」
「今はいいわ。ちゃんと噛んで食べるのよ?」
「ふぁーい!」
美鈴は本当に美味しそうに食べてくれるから、作り手としてもとても嬉しい。
それに代わって、お嬢様ときたら…。
もう少し美鈴を見習ってほしいわね。
それにしても、今だに後ろから恐ろしいくらいの視線が、いやこれもう殺気に近いんですけど…。
「あの、咲夜さん」
「あら? どうかした?」
「その…、さっきからお嬢様どうかしたんですかね? ずっとこちらを見ている気がするんですけど」
「いつものお嬢様の気まぐれというやつじゃないかしら? 気にしなくてもいいわよ」
「でも、気まぐれであそこまで殺気を放つものですか…?」
「美鈴が気にしなければいいだけの話だから。今はご飯食べることに集中してなさい」
「…咲夜さんがそう言うなら」
とりあえず、あのお嬢様をどうにかしなくちゃいけないわね。
でもどうしようかしら?
「…ねぇ、美鈴?」
「はい?」
「ちょっと目を閉じていてくれるかしら?」
「? 分かりました。こうですか?」
「そうそう。そのままでいてね」
「はーい」
時を止めてお嬢様のいる場所まで向かった。
固まっているお嬢様を見ているとまたなんとも情けなく感じた。
さて、能力を解除してお嬢様に一言言いましょうか。
カチッ
「あんのクソ駄メイド! 私の美鈴と何してんのよ~ッ!!!」
「…あのクソ駄メイドです。お呼びでしょうかお嬢様?」
「うひゃあ!!? サクヤジャナイドウカシタノカシラ?」
「どうかしてるのはお嬢様の方ですね。いつまでここにいるつもりですか?」
「いや、だって…」
「はぁ~。これだからヘタレ吸血鬼と言われるんですよ?」
「うぐっ…!」
主でありながらも従者に言われたい放題のこのお嬢様。
一体いつになったら昔のカッコイイお嬢様は戻ってくるのかしら?
まぁ、今のままでも毎日は楽しいからいいのだけれど。
「…咲夜」
「はい?」
「明日は、美鈴も一緒にお茶をしよう。もちろんフランとパチェも一緒よ」
「…ふふっ」
「な、なによ!?」
「いえ。ようやく動き出しましたか」
「…悪かったわね」
「では、とびっきりの茶葉を用意しておきますね」
「当たり前でしょ」
頬を赤く染めている。
だから応援してるんですよ、お嬢様?
いつも頑張ってくださいと言っている私の気持ち、ちゃんと分かっていますか?
今のお嬢様を見てると、まるで自分は母親になった気分になる。
本当に頑張ってほしいから。
「あ、お嬢様?」
「なに?」
「美鈴を待たせていますので、私はこれで」
「…うん」
「明日のこと、美鈴には話しておきますか?」
「え? あ、いや、秘密にしておいてちょうだい」
「かしこまりました。では、失礼しますね」
「だからニヤニヤしながら行くなって言ってるでしょーッ!!」
私、ここでメイド出来て本当によかったわ。
続き待ってます!
ヘタレおぜう様はかわいいw