Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

地獄式交換日記物語

2010/11/16 16:54:46
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1

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 今日も今日とて地獄で死体運び。
 死体を運ぶのは趣味でもあり、いろんな死体を見て、その生き様・死に様を想像するのが楽しい。
 死体は灼熱地獄の燃料になるんだけど、あんまり綺麗な死体だと燃やすのがちょっと惜しいと思うくらいだ。でも放っておくと腐るからね。腐った死体はいけない。あれはいかん。ああいうのはあたいの趣味じゃないんだよね~。
 え?動く死体?そんなもん邪道さ。動かないからこそ死体なんだ。それが死体の美学なのさ。第一動いたらそれは死体じゃない。死んだように見えてても、動いていればそれは生き物さね。


 まあそんなあたいだけど、もう一つ趣味があるのさ。

 あたいは毎日日記をつけてるんだけどね。お空もあたいの真似して日記つけてる。
 日記をつけ始めたのは、さとり様が日記を書いているからさ。あたいもそれを真似したんだ。


 なぜ唐突に日記の話題にしたかというと、他人の日記を見るのがあたいのもう一つの趣味なのさっ!
 他人のプライベートを覗いている、いけないことをしているっていう感じと、見つかったらどうしようってスリルがまたいいんだなこれが。さらに普段は口に出さないあんなことも書かれていたり…と、未知のものに対する知識欲ってやつだよ。
 勿論ばれたらかなり厄介なことになるからね。読んだ後の証拠隠滅はしっかりとするさ。


 さとり様はなんというか、丸っこい可愛い字を書くんだよね。内容は、私達ペットやこいし様に関することが多い。自分のことについてはほとんど書いてないってのが、なんだかあの方らしいけどね。

 んで、お空のほうは何故かやたらと達筆だ。というか大学ノートに墨汁と筆で書くか普通。あいつの考えてることはよくわからん。しかも無意味に字の大きさが揃っている上に、罫線から一切はみ出ていないし読みやすい字。ほんと無駄なところで器用だよ。
 でも内容は1行か2行程度。『何があったか忘れた。』の一言で終わってる日すらある。
 たまーに長い日記書いたかと思えば、これまたわけのわからない話が多い。いやそれが面白いんだけどさ。


 こいし様は……そもそも日記つけてるのかどうかすら怪しい。地霊殿で寝ることもそんなに多くないからね。帰ってきたと思ったら、いつの間にかまた出かけてるし。
 まあ自由な方だからねぇ。もしこいし様の日記があったら一度見てみたいものだ。


 まあ、今日は日記書いてそろそろ寝るとしようかね。





◆1週間後・お燐の日記より抜粋



 今日衝撃的なことがあった。掃除をしにこいし様の部屋に入ったら、机の上に日記が置いてあったのだ!
 周囲を確認し、指紋を付けないために手袋をする。こいし様の気配はさっぱりわからないからね。ドアを閉めて、ドアが空いたら直ぐにわかるように、正面に座って日記を開く。

 こいし様の字は結構細かい。なんだろう、全部天狗の新聞の字みたいに細かく、きっちり書かれてる。言ってしまえば、そう、個性が感じられない。いやある意味個性なのかな。

 しかも1ページ目の日付を見ると、書き始めたのは以前私が日記に『こいし様の日記があったら見てみたい』と書いた日の次ではないか。なんという偶然。
 そして3ページ目は黒く塗りつぶされてた。そして次のページは炙り出しと書かれてた。なんだこの日記。人に読ませる気ないだろう。まあでも読めるページの内容はなかなかだ。外でみた景色とか、人里の様子とか。さとり様と一緒に行ってみたいのかな。なんだか姉を想う気持ちが見え隠れしている気がしたね。
 心を閉ざしているとはいえ、家族の絆ってものはちゃんと繋がっているんだねぇ。




 さて、今日の日記はこれくらいで寝るとしよう。




◆さらに1週間後、お燐の日記。


 またまた衝撃的なことが。
 お空の日記に『お燐の日記に、私の書く日記はわけがわからないと書かれてた』とか書いてあった。
 なんてこったい。他人の日記を見ていたあたいも、日記を見られていたとは……。
 しかし、一体いつ見たんだろう……。アイツがあたいのように隠密行動ができるようには思えないし……。
 まあいい、見られないように、引き出しの奥に入れておけばいいのだ。アイツならば、見つからなければ早々に諦めるはずだ。仮に探したとしても、二重底になっているなんて気付かないだろう。
 よし、寝よう。



 日記発見記念。二重底程度で隠せると思った?






◆次の日、お燐の日記


 なんだこの最後の文は。あたいはこんなの書いた覚えないぞ。
 お空なのか!?いや、あいつがそんな……二重底に気付くはずがない。
 ならば隠し場所を変えよう。ベッドの下……なんかエロ本の隠し場所みたいだからダメか。
 箪笥の裏もなんだかな……。仕方ない。鍵をかけよう。最初からそうすればよかったんだ。

 そういえばお空には日記読んでいることばれてるみたいだけど、今まで通り部屋の机に放置されてるな。読みたければ読めということか……?
 さとり様は本棚に巧みに隠しているから、探すのに時間がかかって最近なかなか見れない。違う本のカバーをつけたり、ダブってる本をくり貫いてその中に入れたり。エロ本を隠す思春期の男子か。

 よし、昨日の日記のやつの真相はいずれ暴くとして、今日はこれで寝よう。






◆数日後、お燐の日記


 昨日のお空の日記を見ていたらどうやら『こいし様が日記を見ていて、それを聞く』という形で日記を間接的に見ているようだ。
 ということはあれか。突然日記を書き始めたのはあたいの日記見たからか!
 偶然ではないんじゃないかとは思っていたんだけどね。
 ……まさかあの書き込みこいし様か……?よし、今度確かめよう。












◇数日後


 たまたま廊下を歩いていると、帰ってきたこいしと遭遇し、お燐は直接聞いて確かめることにした。

「こいし様」
「ただいまー。どうしたのお燐?」
「いや、えーっと、なんと言いますか。あたいの日記とか読んでるらしいですよね?」
「うん。読んでるよー。いいじゃんお燐もやってたし、結構面白いよ?」

 言い返すことが出来ない。
 お燐自身、他人の日記を読んでいたことは少なくとも、こいし、お空にはばれているわけだし、言い訳なんざ出来るわけがない。だがそれよりも気になることがある。

「……まさか面白いからって、勝手に人の日記に書き込んだりしてないですよね?」
「したかもしれないしー、しなかったかもしれなーい。」

 曖昧な返答。こいしの場合、感情が分かり辛い為、本当なのかそうでないのか、判別がつかない。だから聞くことにした。

「日記見ているなら知っているかもしれませんが、この前あたいの日記に書いた覚えの無い文があったんですけど、あれまさかこいし様ですか?」
「私は書いてないよー。お姉ちゃんは書いてたけど。勝ち誇った顔で。」

 衝撃の真相。人の心だけではなく人の日記すら読むとは。さとり妖怪、恐るべし。プラベートなんて皆無である。
 他人の日記を読むなんてなんという主人だ、許せん。これは抗議の必要がありそうだと判断したお燐は、さとりの部屋へと向かった。
 それを面白そうだと、こっそりとこいしも後を追うのだった。






 さとりの部屋
 そう書かれた扉を蹴破るかの如く、勢い良く開ける。

「さとり様っ!」
「あら、どうしたのお燐?」

 理由などわかってるはずなのにシラを切る気満々だ。なかなかワルである。

「さとり様、人の日記を読むのは百歩譲って……もやっぱり読まないでください。じゃなくて、勝手に人の日記に書き込むのはやめてください!」
「……あなたの日記も私の物?」

 なんで疑問系なんだよ、なんだよその理論、ジャイアニズム万歳とか言いたいことが色々浮かぶ。というか、浮かんだ時点で既にさとりはその思考を読んでいるため、何も言わずとも勝手に向こうが返答する。なんというか、怒り甲斐が無い。
 だが、ここでふと気付いた。

「…そういや、なんだかんだで全員互いの日記見ているってことですかね?」
「言われてみればそうですね。」

 お燐はさとり、お空、こいしの日記を見ており、こいしもまた、3人のものを見ている。さらにはさとりまでもお燐の日記を見ていることから、お空の日記も見ている可能性は十分ある。
 全くもってプライベート欠片も存在しない館である。
 クリーンでオープンな運営、地霊殿。

「結局全員見てるなら、いっそ個別にしないでまとめて4人で交換日記、とかしちゃったらどうですかね?」
「ふむ、なかなか面白い意見ですね。」
「いいじゃんいいじゃん、面白そう!」
「決定ですね。」


 なんとなく出した意見はあっさりと決定した。

「じゃあ早速今日から始めましょうか。」

 無駄なところで無駄に対応が早い主人だ。














 お燐へ
 お使いに行ってきてくれない?ペンのインクがなくなりそうなのよ。 さとり



 さとり様へ
 わかりました。ただいま行ってきます。 お燐



 お姉ちゃんへ
 ねえ今日暇?暇だったらたまには皆で地上行ってみない? こいし


 こいしへ
 今日は忙しいのでまた今度、考えて見ますよ。 さとり


 お姉ちゃんへ
 お姉ちゃんったらそればっかり!ほんとは外出たくないだけとかじゃないでしょうね!? こいし

 こいしへ
 い、いえ?けけけ決してそんあことは、、ありません……よ? さとい


 こいし様へ
 うにゅー?なんの話? 空

 お空へ
 お姉ちゃんが仕事を言い訳に、外に出たくないって言うんだよ?我侭だよね、困ったお姉ちゃんだよね、好き嫌いはよくないよね?そうだよねお空。 こいし

 さとり様へ
 好き嫌いはだめですよさとり様!ちゃんと栄養を考えて食べないとダメなのです! お空

 お空へ
 いやそういうことじゃ、ってか食べ物の話じゃないんだけどなー。 こいし

 さとり様へ
 ただいまー。インク買ってきましたよ。 お燐

 お燐へ
 おかえりー。 お空 こいし さとり
 ご苦労様でした さとり



「…………何やってんだお前ら?」

 暇つぶしを求めて地底に来た魔理沙の目の前には、なにやらノートとペンを渡しあって何かをやっている地霊殿の住人。
 さとりがノートに何かを書くと、こちらに見えるように広げた。


 魔理沙へ
 あらいらっしゃい。暇つぶしに?ここに来ても何かあるとは思えませんが。
 あと、見ての通り、交換日記をしているのですよ。 さとり


「……いや、見ての通りって、どう見てもそれは交換日記とは言わんだろ。」

 発言を受けて不思議そうな顔をしながらこちらを見ている。本気で理解してないようだ。

「お前ら……。それはただの筆談だよ。なんで目の前にいる人間にいちいち日記に文字を書かないといけないんだよ。目の前にいるんだから普通に話せば早いだろうが。そもそも日常会話交わしている時点で、それは『交換』であっても『日記』じゃないだろ。」





「「「「……あ。」」」」






 今日も地底は平和です。
この作品は、御覧のテンション、ノリと勢い、いつもの低クオリティで御送り致しました。
どうも、合計7度目まして、生芋こんにゃくです。

未だに作品の投稿ボタンをガクブルしながら押しているチキンでございます。
ただクリックするだけなのに、なかなか慣れないものですね、あの感覚は。
修学旅行や学校行事直前の、忘れ物が無いかチェックしている時の不安感にも似た感覚です。



ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
11/18 コメントありがとうございます。お礼を兼ねてレスを。

>奇声を発する程度の能力様
「さとい」に関しては意図的な誤字です。慌てて走り書きした結果「り」が「い」になってしまったという感じで。わかりづらくてごめんなさい。

>一人目の名無し様
誤字報告ありがとうございます。修正致しました。

>二人目の名無し様
まあ元々さとりが居る時点でプライバシーもあったもんじゃないですけどねw

>三人目の名無し様
ありがとうございます。
作品を読んで楽しんでいただけたのならば、書いた者としてこれほど嬉しいことはありません。

>四人目の名無し様
ほのぼの平和な雰囲気っていいですよね。
やはり投稿は緊張するものですよね。お互い頑張りましょう。
生芋こんにゃく
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
>い、いえ?けけけ決してそんあことは、、ありません……よ? さとい
さとり 一瞬本気で誰かと思ったww
何かツイッターみたいww
2.名前が無い程度の能力削除
筆談になってることに誰か気づけwww
日記のやりとりを想像するとシュールすぎるw

誤字報告です

>お燐自信
3.名前が無い程度の能力削除
さすが地霊殿
プライバシーが無くても実に平和だwww
4.名前が無い程度の能力削除
いいなこれwww
5.名前が無い程度の能力削除
ほのぼのしてて大好きだなぁ。こういうの。
>未だに作品の投稿ボタンを~  
 自分もです。お互いがんばりましょう。
6.名前が無い程度の能力削除
日記を通して、キャラクターたちの個性がすごく伝わってきて面白かったです。
得にこいしの日記はなかなか斬新で、思わずくすりとさせられましたw
端から見たらなんともマヌケなオチも、可愛いらしくて良かったです。
7.名前が無い程度の能力削除
ぜひともお空の日記が見たいのだが……!!
鳥頭なのに達筆だなんてギャップ萌えですね。