こんにちは。
紅魔館のメイド長を務めている、十六夜咲夜よ。
「あの、メイド長? 一体誰とお話になられてるんですか…?」
「とりあえず貴方たちじゃないから仕事に戻りなさい」
「はい…」
妖精メイドたちに話しかけられたけど、続きを話しましょう。
最近、我が主が門番に首ったけで私としては毎日楽しい日々を過ごしているわ。
とても喜ばしいことなんだけど、門番の方に少し問題があるのよねぇ。
「…今、お嬢様に呼ばれた」
主のお呼びが掛かれば、メイドはそれに従うだけ、なんだけど。
最近はというと…
「あ、遅いわよ咲夜! 美鈴起きちゃったじゃない!」
「あの、…何をしていらっしゃるのですか?」
「見て分からない? 美鈴を見てたのよ」
「カメラ構えて何言ってるんですか!」
なんかもう逝くとこまで逝っちゃってるよ…。
私、いいのかな?
こんな姿を見てまでもまだこの方に仕える気あるのかな?
いえ、大丈夫よ十六夜咲夜!
今はまだ夢を見ているだけ、こんなの数秒と経たずに覚めてしまうわ。
「うひょー! 美鈴の太もも!」
「メイド秘技『殺人ドール』!!」
「いぎにゃーーーッ!!?」
「止めてください。私のお嬢様像を壊さないでください」
「うぅ…。主に手を上げるとは…使用人のくせに生意気よ!」
「では、今日の昼食はピーマンオンリーということでよろしいですね? 嬉しいですわ、お嬢様」
「ま、待って! それだけは勘弁してちょうだい!」
実は結構好き嫌いが多いのよね、お嬢様。
料理する身としては困っていたところだから、嬉しいわ。
「早速準備してきますので、そのカメラとフィルムをお貸しください」
「それは…!」
「あら。妹様のおもちゃにされるか、私が預かるか。ご理解いただけると幸いです」
「……どうかフランにだけは渡さないでください」
「ふふっ。さすがはお嬢様。賢明な判断ですわ」
さて、これはとりあえずお嬢様の目の届かないところに隠しておきましょうか。
本当に、うちのお嬢様には困ったものだわ。
「あ、ところでお嬢様?」
「…なによ?」
「美鈴、さっきからこちらの様子を窺っているようですが?」
「へっ!?」
「さすがは美鈴。気を操るのはお手の物というわけですね」
「う、あ…」
「それでは、私はこれで失礼しますね」
「え、待って咲夜!」
「私はいつでもお嬢様を応援してますから」
「ニヤニヤしながら行くなーッ!!」
相変わらず弄ると可愛いのよね、お嬢様って。
もう少し素直になられると、今より絶対進展すると思うんだけど。
いつになったらくっつくんだろう。
「あ、なんか今無性にピーマン料理作りたくなってきた」
この後、お嬢様が泣きながら私に謝って来たのは美鈴には秘密にしておきましょう。
いいぞもっとやってください