私はある少女に恋をした。
それは本当に突然の出来事で、ただ頭の中では毎日のように彼女のことを考えるようになっていた。
最初は彼女とはそこまで親しいというわけでもなかったが、心惹かれてしまっていた。
いつの間にか彼女を目で追うようになってしまい、最終的には好きになっていた。
自分でも「そんなまさか…」と思ったが、日に日に増すこの想いを止めることが出来なくなっていた。
一人の時間はいつも彼女のことを想い、彼女を見かけると心臓がドクドクと鳴りやまないくらい激しく動き出す。
そんなことを繰り返しながら、私は今日まで過ごしてきた。
正直苦しい。
この気持ちを早く伝えて楽になりたいと思う。
でも、これでもし嫌われでもしたら…?
きっと私は立ち直れそうにない。
片思いは時間が経つにつれて苦しくなっていくものだ。
時々想うのだ、好きにならなければよかったと。
でもそれはただの逃げだ。
仕方がない、好きになってしまったんだから。
友に相談しようにも、なかなかその一歩さえ踏み出せない。
恥ずかしいのだ。
今まで私が誰かを好きになるなどなかったから。
いろいろなことを考えた。
少し本人に聞いてみよう、…と。
「あの、ちょっといいですか…?」
「なぁに?」
嗚呼、その声も好きだ。
その凛として澄み切った心地よい声が私の脳内に染み渡る。
私に向けられて言われたその一言でさえ、心臓が暴走し始める。
「今、大丈夫ですか?」
「平気よ。どうせすることないし」
「そう、ですか…」
「で、何か用かしら?」
キリっとした目つき。
整った顔つきに、なんとも言えないくらいに背筋がびくっとした。
かなり緊張しているのが分かる。
背中に嫌な汗をかいてしょうがない。
「えっとですね、大事な話があるというか、なんというか…」
「大事な話?」
「はい。あの、単刀直入に聞きますけど、私のことどう思ってますか?」
「アンタのこと?」
「正直に言ってください」
「そうねぇ……。ま、嫌いじゃないわ」
嫌いじゃないとはどういう意味だろうか?
少し曖昧だけど、嫌われてはいないようだからよかった。
「なんでそんなこと聞くの?」
「へッ!? いや、なんでも、ないです…」
「…? なんか面白いわね、アンタ」
「面白い、ですか?」
「ええ。話してるとコロコロ表情が変わっていくんだもの」
「ッ!?」
う…、そんなに変わってたのか私。
恥ずかしい。
「ふふっ。また変わった」
「からかわないでくださいよ…」
「そんなつもりないんだけど」
「……。」
「そうやってるアンタ、結構好きよ」
「えッ!?」
今の言葉の真意は分からなかった。
でも、ほんの少しだけ頬を染めながら言う彼女に私はきっとまた一つ表情を変えたんだろうな、と思った。
「ほーら、また変わったわよ。文」
「…霊夢さんが変なこと言うからです」
「別に私は素直な気持ちを正直に言ったまでだけど?」
「…そうですか」
どしどし投稿を願うぜ