お姉ちゃんが、ぼんやり書類の山の中腹で居眠り。
船は漕がれていく。
第三の目も、どこかうつらうつらと夢見心地。
可愛い。
今日も、面倒で仕方ない書類の処理に追われて、結局お昼寝しちゃうお姉ちゃん。
ごめんね。
今、お姉ちゃんがどんな気持ちで眠ってるかもわからないの。
どれほど、疲れているのかも知り得ないの。
そして、お姉ちゃんがも私の心中なんて知らないの。
互いにわからずやに仕舞い、わからずや姉妹。
だけれども、伝わってほしい言葉、否、感情はあるわけで。
言えは、しないけど。
無意識の中を忍び足で歩む。
別にそうする必要はないのだけれど、昔の名残、生きる者の本能に従ってみる。
くるくるとした、くせっ毛の後頭部の見える背後に回る。
後ろ手に握っていた、柔らかな花柄のブランケットを、ふわり、肩から背を隠すようにしてかける。
すると、もぞっ、と動くもんだからびくり、身体が一瞬強張る。
「こいし…。」
小さな寝言は、鼓膜を小さく、心を大きく震わし、揺さぶる。
そうやって、お姉ちゃんは私を呼んで、何一つ伝えずに終わる。
未だ寝足りなさそう寝顔を横目に、部屋を出るとする。
一つ、言葉を置き去りにして。
「起きたらいっぱい話そうね。」
次の時こそ。
「お姉ちゃん。」
言って、みせるの。
開いたままになった窓からは、地霊のどこからか流れてきた熱風がわずか、吹き込んだ。
その風は、まだ眠るさとりの頬をほんの少し焦がすように過ぎ去っていった。
船は漕がれていく。
第三の目も、どこかうつらうつらと夢見心地。
可愛い。
今日も、面倒で仕方ない書類の処理に追われて、結局お昼寝しちゃうお姉ちゃん。
ごめんね。
今、お姉ちゃんがどんな気持ちで眠ってるかもわからないの。
どれほど、疲れているのかも知り得ないの。
そして、お姉ちゃんがも私の心中なんて知らないの。
互いにわからずやに仕舞い、わからずや姉妹。
だけれども、伝わってほしい言葉、否、感情はあるわけで。
言えは、しないけど。
無意識の中を忍び足で歩む。
別にそうする必要はないのだけれど、昔の名残、生きる者の本能に従ってみる。
くるくるとした、くせっ毛の後頭部の見える背後に回る。
後ろ手に握っていた、柔らかな花柄のブランケットを、ふわり、肩から背を隠すようにしてかける。
すると、もぞっ、と動くもんだからびくり、身体が一瞬強張る。
「こいし…。」
小さな寝言は、鼓膜を小さく、心を大きく震わし、揺さぶる。
そうやって、お姉ちゃんは私を呼んで、何一つ伝えずに終わる。
未だ寝足りなさそう寝顔を横目に、部屋を出るとする。
一つ、言葉を置き去りにして。
「起きたらいっぱい話そうね。」
次の時こそ。
「お姉ちゃん。」
言って、みせるの。
開いたままになった窓からは、地霊のどこからか流れてきた熱風がわずか、吹き込んだ。
その風は、まだ眠るさとりの頬をほんの少し焦がすように過ぎ去っていった。