Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

~幻想少女物語~二日ともたない二日酔い

2010/10/22 17:35:09
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< ~幻想少女物語~二日ともたない二日酔い >


「れ"い"む"~あ"た"ま"い"た"い"わ"~」

「飲みすぎよ紫」


宴会が行われた翌日。隙間妖怪は蒼白な顔で布団につっぷしていた。

博麗神社に来客用の布団が常備されているはずもなく、霊夢の布団を乗っ取る形だった。

もちろんそうなると、霊夢は布団で寝れていない。

普通なら、いや、いつものレイムなら不機嫌極まりないはずなのだが、どうやら違うようだ。


「はい水。ゆっくり飲むのよ」

「霊夢が……優しい? もしかしてこれは夢なのかしら」

「そんな事言う奴には、お水やらない」

「ごめんなさい霊夢。いえ霊夢様。謝るから~その透明で輝いている聖なる水を一杯私にくださいな」

「ふん……ほら、持てる?」

「えぇ。本当に助かるわ。ありがとう」


霊夢の手からコップを受取り、ゆっくりと水を飲み干していく。

コク、コクと喉が動くたび、紫は生きていることを実感した。

ふぅ、とコップの中身が全て無くなってから一息つく。

喉から食道を通り、胃の粘膜に至るまで熱くなっているのが分かる。

紫の肝臓を確実に縛り上げている酒気は、さらなる援護を受け、今まさに荒縄から注連縄へと進化して……


「ちょっと霊夢! これお酒じゃない!」

「いやー二日酔いには迎え酒がいいかと思って」

「確かに一時的にはましになるけど……あ"あ"あ"ダメー胃がひっくりかえるぅうう!」

「そんなに叫んで大丈夫なの?」

「二日酔いに効く、一番いい薬を頼むわ……」


悲しいかな、更なるアルコールを摂取した紫からはいつもの威厳はどこにも存在していなかった。

二日酔いという時点で、威厳も何も無いとは思うけれど。

そもそも如何にして妖怪の大賢者が二日酔いになったのか。

それには深い訳があった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 




















◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



「回想なんて無理。考えただけで吐き気がするもの」

「背中さすってあげようか?」

「やめてー本当に吐いちゃう」

「むしろ吐きなさい。楽になるわよ?」


なんという魅力的な提案だろうか。

洗面器がないから、隙間にでも出すべきかもしれない。


「あとお花を摘むともっと楽になるわよ。できれば大」

「大とか乙女が言わないの。でも……」


それはあまりにも魅力的すぎる。

でもさすがにソレを隙間に出すということは、"幻想郷のアイドル"をやめるということだ。

それだけは避けなければならない。

紫の脳内で「永遠の17歳とかかなぐり捨ててしまえ」と悪魔がささやいているが、

そんな思考は隙間へ投げ捨てるべきだ。

だが一刻の猶予も、紫には無い。

ならば恥ずかしいが、出すものは出すしかないだろう。

紫は腐った思考で考えに考え抜いた。

そのとき、一筋の光が紫の脳裏をかすめた。

霊夢の肩を借りて、厠に向かえばいいのではないか?

むしろ何故こんな簡単なことに気がつかなかったのだろう。

紫はさっそく霊夢に頼むことにした。


「ということで、ちょっと手伝ってもらえるかしら?」

「いいわよ。困った時はお互い様だしね」


なんだか含みのある言い方だが、四の五の言っていられない。

紫は最後の力を振り絞り、霊夢の肩に腕を回す。

しかし足に力が入らないのか、全体重を霊夢に預けた瞬間に崩れ落ちてしまった。

異変解決のスペシャリストである霊夢といえど、体は少女。

大人ひとりを抱えるのには、さすがに無理があるようだ。


「あいったたた。紫……重い」

「失礼ね。これでも体重は(そこまでよ!)kgよ」


ちょっと衝撃的内容があったので伏せさせていただく。

コメントで「/heavy」と打ったら見えるとか見えないとか。

たぶん見えないけど。

むしろ見せられないけど。だって18歳未満禁止だし。

失礼。話が脱線してしまった。

さて、紫を支えることに失敗した霊夢は、紫に押し倒されている状態にあった。

紫は霊夢の下腹部に馬乗りになり、右手が霊夢の左手首を抑え、左手は霊夢の胸を押さえている。

サラシを巻いたそこは思った以上に、ふよんとした。

絶好調ならば楽しむこともできただろうに。

敏感な無名の丘を触られ、恥ずかしそうにする霊夢をからかって遊んでいただろうに。

紫には、非常に残念ながらそんな余裕はなかった。

二日酔いで人間に頼っているという事実は紫にとって、否、妖怪にとっては精神的なダメージが大きいらしい。

自己の崩壊。それは妖怪にとって最も避けなければならない事柄。

力を失った妖怪が辿るのはたった一つなのだから。

でももう遅い。

崩れ落ちていく紫。

もう……唯一できることは霊夢へ、最愛の人へ最後の挨拶をすることだけだった。


「霊夢」

「何? え、待って。嫌な予感しかしないのだけど」

「ごめんなさい。私にはもう、隙間を開ける力も残ってないの」

「う、うん」

「ごめんなさい。ごめんなさい」


涙が紫の頬を伝い落ちる。

その滴は、わずかに震える霊夢の口元へと誘われながら姿を消す。

紫の腕が限界であることを表しかけたころ、霊夢はようやく気がついた。

紫が言いたいことの真理を。


「霊夢。私は貴方のこと好きだったわ」

「私もよ紫。だからもうしゃべらないで。口を開いてはだめ」

「もう遅いわ。能力が使えない私はただの妖怪だもの。何もかも遅すぎたのよ」

「そんなことないわ。まだ間に合うから、だからっ!」

「……ごめんなさい。そして……さようなら」

「紫……やめて……ゆかりいいいい!!」


涙しぼやける視界の中で、紫は笑って最後の時を迎えた……






















「きゃーーーーーーーー!!」







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



かぽーん。


ここは博麗神社の風呂場。

楽園の巫女のタオル一枚という姿が見れる唯一の場所である。

そんな素敵な場所で、紫は霊夢の体を洗っていた。

ボーダーブレイクを起こした紫は先ほどよりも顔色がいいように見受けられる。

体内の物を全て出したことと、ぬるま湯による治療で、すっかり二日酔いは直ったようだ。

だが未だに悲しげな雰囲気なのは、ナイススメルを漂わす霊夢への想いか。


「……臭いってなかなか取れないのね」

「はうっ。ごめんなさい」

「あーいや、そういう意味で言ったんじゃなくて……でもこんなに落ち込む紫を見るのは始めてかも」

「あら、私だって女の子ですわ。泣いたり落ち込んだりもしますわよ」


霊夢をばんざーいさせて脇腹をタオルでこする。

慣れているからか、信頼しているからか。霊夢は完全に紫に己の体を任せていた。

こそばくもなく、痛くもない絶妙な力加減で体全体を洗っていく。

それこそ桃色が息吹く、敏感なところでもだ。

なんだか親子みたいね、と霊夢が笑う。

それに答えるように、紫は霊夢の頭を撫でながら、肯定の意を返した。


「霊夢」

「うん?」

「迷惑、かけちゃったわね」

「気にしてないわ」


紫の謝罪に即答する。

その言い方には笑いすら含んでいて、紫を戸惑わせた。


「どうして? 普通なら怒っても……」

「ねぇ紫。覚えてるかしら。私が5歳のころ、風邪で寝込んだことあったじゃない」

「そういえばそんな事もあったわね」

「その時は……今とまったく逆だったのよね。私が紫にぶっかけて」


昔を懐かしむように霊夢は語った。

看病してくれた紫に、おもいっきりかけたこと。

そのせいで泣きじゃくったこと。

それでも、ずっとそばにいてくれて嬉しかったこと。

その日の晩は一緒に寝てくれたこと。


「ありがとう、紫」

「あ……」


霊夢は紫の泡だらけの手を、両手で包みこんだ。

ずっと見守ってくれた妖怪へ、感謝の言葉と一緒に。

二人の間にあるのは恋心でも友情でもない。

きっと家族の絆だから。


「ありがとう霊夢……」

「いえいえ、困ったときはお互い様、でしょ?」


それは昔、紫が言った言葉。

霊夢との約束だ。



『ゆかりぃ、ごめんね。ごめんね』

『霊夢、こんな言葉を知っているかしら。困った時はお互い様よ?』

『こまぁ?』

『つらいとき、悲しい時は助け合いましょうって意味よ』

『おたがいしゃま!』

『霊夢は私が困ったとき、助けれくれるかしら?』

『うん! ゆかりは私がたすける~!』

『ふふ。ありがとう霊夢。約束よ?』

『やくそくーゆびきりげんまん~♪』



「そう……そうだったわね」

「それじゃ思い出したところで、今度は私の番よ」


ずっと握っていた紫の手から、霊夢はタオルを奪い取った。

適当に桶に入っていたお湯をかぶり、そのまま紫の背後へと回る。

しつこく体に残っている白い泡が、霊夢の動きに合わせてふわりと舞い踊る。

それは二人の体を舞台に踊る、ダンスパーティのように。

お湯の流れる音をバックミュージックに白が飛ぶ。

二人だけの穏やかな空気が、ゆっくりと流れていく。


「紫ー万歳して」

「はい、ばんざーい」


霊夢に促されるままに両手を上げる。

するっと脇の下から、細い腕が通りぬけ、そのまま胸を洗われる。

こそばかったのか、紫は身を捩り小さく声を上げた。


「あん♪ 霊夢のえっち」

「ふむ。ところで紫?」

「なぁに?」

「顔面で吐しゃ物を受け止めるって、どういう気分だと思う?」


心なしか、魅惑の谷間を通るタオルの勢いが強い。

むしろ痛いくらいに。


「え、えぇっと……私たち、家族みたいなものよね?」

「そーよ。大切な家族。でも、これとそれとは話がべ・つ♪」


パサリと紫のふとももに何かが落ちた。

それは先ほどまで霊夢と紫の肌の上を滑っていたタオル。

そして今、霊夢の泡だらけの手は、がっちりとソレを掴んでいた。

少女達がうらやむそれは、「ボ」と「ム」と呼ばれる二つの爆弾。

にっこりとほほ笑んだ娘は、その手を力いっぱい握りしめた。




「むそーふーいん♪」






その晩、胸を抱えて泣く母を娘が笑いながら慰めてる写真が鴉天狗の新聞にのるのだが、それはまた別の話。
人生でリバースはまだ二回のこじろーです。
二日酔いやばいよ二日酔い。あれはつらい。二度となりたくないね。
でもお酒は好き。スクリュードライバーとか大好き。
みんなはどんなお酒が好きかな?

アレが生々しすぎたようなので修正しました。
申し訳なかったです。
こじろー
コメント



1.拡散ポンプ削除
リバースの瞬間の描写だけは伏せて欲しかった。
その他は面白かったです。
霊夢さん、自業自得なのでは?
お酒は、強くないやつをちびちびと。
2.奇声を発する程度の能力削除
リバースの所は流石に…
お酒は今の所飲む気は無いなぁ。
3.名前が無い程度の能力削除
誤字かな? 最後の
胸を抱えて無く→胸を抱えて泣く かな?

酒は日本酒の菊水辛口が好きです(笑
4.名前が無い程度の能力削除
軽いトラウマになる気がする…
けどいい家族な二人でした。
5.名前が無い程度の能力削除
感動的に見えるけど、内容がそれに合わないほどの物ですね。
まあ、一度や二度はあるものでしょう。
6.名前が無い程度の能力削除
×博麗神社 → ○博麗神社

酒は飲んでも呑まれるなって良く言うしね
しかし紫様、スキマで後処理する方法を言い出さなかった辺り、霊夢に構ってもらう為にもしや…?w
7.名前が無い程度の能力削除
↑誤字報告ミス
×博霊神社 → ○博麗神社
8.こじろー削除
>拡散ポンプしゃま
リバース描写で不愉快にさせてしまい、申し訳ありませんでした。
おさけは飲んでも飲まれるな~ですよね。

>奇声しゃま
うぅ……次からは気をつけます。申し訳ありませんでした。

>3しゃま
誤字情報感謝です!
辛口もいいなぁ。ゆっくりと飲みかわしたいですね♪

>4しゃま
けーね先生にお願いスルノヨ!
ゆかりは母親かなぁ、それともお姉ちゃんかなぁ~

>5しゃま
話の組み方、方向性、持って行き方など、力が及ばすでした。
もっと精進していきますので、これからも叱咤激励よろしくお願い致します。

>6&7しゃま
誤字情報感謝です!
お酒を飲むと誰かに甘えたくなるんですよねー
それでもやっぱり二日酔いはやだーーーーー
9.名前が無い程度の能力削除
こんなにきれいなとしゃぶつをぼくはみたことがない