Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

魔理沙いじり

2010/10/21 20:52:01
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「魔理沙嫌い」
「ふぇっ!?」

 まず表明しておこう。
 アリスは魔理沙が好きである。好き過ぎると言ってもいい。だが、それを表に出すことはしない。アリスは自他共に認めるクールな都会派なので。それに、冷たく振る舞った時の魔理沙の反応が面白いからだ。
 実際は後者が大きな要因だった。
 魔理沙は明らかに動揺し、冷や汗をかいている。目は泳ぎ、涙が溜まっていた。

「はっ……はは……き、奇遇だなぁ。じ、実は私も……アリスの事が……き、きら……きら……い」

 一方的に嫌いと言われるとプライドが傷付くのだろう。精一杯の虚勢を張る魔理沙。声が震えていた。
 本当は魔理沙もアリスの事を誰より好いているのだ。

「冗談よ」
「えっ!? あっ……だ、だと思ったぜ? ……ま、まぁ……私は別に好きでも嫌いでも構わないけどな!」

 嘘つき。アリスはほくそ笑んだ。
 魔理沙のプライドがアリスに甘えるという事を拒否しているのだ。それ故に、言葉も自然とアリスを突き放すような口調になる。

「私も好きでも嫌いでも構わないわ」
「えっ……あ……そう……なんだ……」

 ……どうしてそんな事言うんだよ、と顔に出ている。
 考えがすぐ表情に表れるのが魔理沙の癖であった。

「…………ぐすん」

 魔理沙は半ベソをかいている。

「冗談よ」
「! ……は、ははっ、だと思ったよ。アリスは私にべったりだもんなぁ! ったくもう、しょうがない奴だよ、お前は」

 パッと顔を輝かせた魔理沙。
 アリスはこうして魔理沙をからかって楽しんでいるのだ。





□ □ □

 ある日。

「月が歪なの。協力して」

 上からの物言いに魔理沙は少しムッとした。お前は何様なんだ、と。
 思った事を口にするのは魔理沙の本質。

「お前は何様なんだ」
「魔界神様?」
「の娘だろうが……」
「嫌なら霊夢の所行くけど」
「えっ」

 魔理沙は素直に驚いた。

「アリス、霊夢と知り合いだったか?」
「知り合いも何も。旧知の仲よ」
「初耳だぜ?」
「言ってないもの」
「何で言ってくれないんだよ」
「必要ないと判断したからよ」

 この言葉に魔理沙は苛立ちを覚えた。
 日頃からアリスより上の立場であると自負する魔理沙。今の発言はそれに反していた。

「お前は私の何なんだ」
「恋人様?」
「えっ!? ア、アリスがそう言うなら私は…………って『様』はなんだ。『様』は」

 別に付き合っているという訳ではないが、よく二人で出掛けたり何かと一緒に居る事が多い。そろそろ仲を進展させたいと考えていた魔理沙。少しドキッとした自分が恨めしい。
 恋人は対等な立場に在るべきだろう。『様』はあってはならない。魔理沙はそう思う。

「で、協力してくれるの? くれないの?」
「しょうがないな。協力してやるよ」

 霊夢の所に行かれたら堪らない。霊夢にアリスを盗られてしまうような気がして、魔理沙は慌てて答えた。
 ……やや上から目線で。それはアリスの上に立ちたいという考えから生じた行動だった。

 永い夜の始まりだ。











 ゆっくりながらも時は流れる。虫やらチキンやら半獣やらを退けながら勘を頼りに進んで行けば、いつの間にやら見渡す限りの竹林。
 こっちの方が速い、とか力を温存できる、とか口を使ってアリスを誤魔化し、箒に二人乗りする事に成功した魔理沙は少し浮かれていた。

「と、ところでさ。あー」
「何よ? 歯切れ悪いわね。あんたの割には」
「霊夢の事なんだが」
「霊夢がどうしたのよ?」

 アリスが親しげに霊夢と言うのを聞いて、複雑な気持ちに魔理沙はなる。

「いや、アリスにとって霊夢は何なのかなーと」
「……焼き餅?」
「ち、違うっ! そもそも何で私が焼き餅焼かなきゃならないんだ!?」
「心配しなくても霊夢は盗らないわよ」
「え……あ……そう……」

 焼き餅している相手を間違えて思われているようだ。それは同時に自分の事は何にも想われていない事でもあり、魔理沙は深い悲しみに包まれる。何も言えない自分が恨めしかった。

「…………ぐすん」
「(あ、落ち込んでる落ち込んでる。可愛いなぁ)」

 勿論、落ち込むと判っている上でアリスは「霊夢は盗らない」と言っているので性質が悪い。

 涙に滲む視界の中、風を切って進むと、歪な月を背に見覚えのある紅白が目に入った。

「噂をすれば……」
「影がさす!」

 返答したのは博麗霊夢。
 今、二つの意味で最も会いたくない人物が現れた。魔理沙の額には汗が滲む。

「何だ、何時までも夜が明けないからおかしいと思ったら、魔理沙の仕業ね」
「おい、誤解だ。悪いのはこいつ一人だぜ」
「何よ。あんたも同罪でしょ?」
「こんな事して一体何を企んでるのよ」
「あれだな、ほら。霊夢、なんと言うか」
「歯切れが悪いわね。いつもみたいに言えばいいじゃない。邪魔だ、そこをどけ! ってね」
「馬鹿! こいつを怒らせると不味いぜ」

 アリスはその言葉に違和を覚えた。いつも、慎重になれ、とか大人しくしろ、とか注意するアリスだが、深層では馬鹿みたいに真っ直ぐで、力押しで突っ走る魔理沙が気に入っているのだ。
 だから、魔理沙の弱気な発言は頂けない。本来は弱い所を包み込めるような良い女であるアリスだが、少し、魔理沙を焚きつけてみる事にした。

「ここで霊夢倒したら惚れる」
「うおおぉぉぉぉぉぉ!! やるっきゃないだろおぉぉぉぉぉぉ!!」

 思っていた以上の効果だった。
 最初からアクセル全開、ファイナルスパークだ。







□ □ □

 魔砲の光が消えた後、あるのは焼け野原。竹林など露知れず、霊夢の姿も見えない。

 息を切らし、魔理沙はアリスに返り見て不敵な笑みを見せる。

「……ど、どーだ。……わ、私がちょっと本気を出せば霊夢なんて刹那だぜ……」
「また調子に乗って」

 だが、ちょっと頼りないその笑みは何故かアリスを安心させる。

「……で、さっきの話なんだが……その……わ、私にその……ほ、ほ、惚れ……」

 いつもいつも冷たい態度で魔理沙をあしらっていたアリス。だが、この時だけはそうではなかった。
 魔理沙はアリスの為に素直になったのだ。アリスの為に全力を尽くしたのだ。魔理沙とてそれには勇気がいるだろう。
 アリスはそれに向き合わなければならない。

(私も素直にならないと)

 アリスも決意を固めた。
 アリスは魔理沙の瞳を見据えたまま、ゆっくりと口を開く。

「魔理沙好き」
「! ははっ、しょ、しょうがない奴だなぁ、アリスは。……ま、まぁ、わ……私も……その……」

「……冗談よ」
「…………ぐすん」
「冗談よ」
「だ、だよな! ったく、アリスは私にべったりで本当に困ったもんだ!」
「冗談よ」
「…………ぐすん」
「あー楽しい」

 アリスは、アリスであった。







 
アリマリはどちらか一方が素直になれば仲が進展すると思います。
魔理沙可愛い。

霊夢はなんか無事でした。

追記
>奇声を発する程度の能力 様
早急に修正しようとしたらパソコンフリーズしましたw
訂正ありがとうございます。
再開発
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
>魔理紗
魔理沙

マリアリひゃっほい!アリスも素直じゃないなー
2.ぺ・四潤削除
打たれ弱い魔理沙可愛いなー。
コロコロ表情変わる魔理沙可愛いなー。
うん、魔理沙可愛い。
3.名前が無い程度の能力削除
霊夢ェ…
4.名前が無い程度の能力削除
可愛いぜ!
5.名前が無い程度の能力削除
霊夢は犠牲になったのだ…
6.名前が無い程度の能力削除
マリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリーデヴェルチ
7.名前が無い程度の能力削除
人の心弄びし少女
8.名前が無い程度の能力削除
やだ素敵……///
9.名前が無い程度の能力削除
これは惚れるw
素敵でした。
10.名前が無い程度の能力削除
まずい、魔理沙が可愛すぎて惚れそうだ(笑
11.名前が無い程度の能力削除
二人とも可愛すぎる
12.名前が無い程度の能力削除
魔理沙の隣にはアリスが、アリスの隣には魔理沙が居て欲しいね
13.名前が無い程度の能力削除
意地悪お姉さん気質なアリス大好きです