昨日から藍さまがうちに来ている。
コタツから首だけ出して庭を眺めていたら玄関から私を呼ぶ声がしたんだ。橙、橙って。精一杯まじめな硬い声を作っているんだけど、表面だけなのが丸わかり。ウヌボレみたいだけど、私に会いたくて会いたくて仕方がないって感じだった。
玄関に顔を出して、子供みたいにうずうずしてた藍さまに会った。とっても、はしゃいでた。久しぶりに会えてうれしかったのは私もだけど、ビックリした。
何とか落ち着かせて茶の間に来てもらう。お茶を出してお話した。予告なしに藍さまがやってくることなんて今までなかったから。
今年の紫さまは色々と疲れたみたいで、いつもよりも一ヶ月も早く冬眠の準備を始めたらしい。無理もないことだ。今年の幻想郷は人口増加が激しかったもの。いつもの年よりも結界の帳尻あわせで大忙しだったんだと思う。
冬眠が始まって紫さまがどこかに隠れてしまい、急に暇になったみたい。結界の定期検査までは時間があるからと、迷い家に押しかけてきたのだ。
もちろん、一緒にすごす事が出来るのはうれしい。紫さまのお世話が忙しくてあまり構ってもらえないし。こういう時こそ家族、いや主従水入らずで過ごすのも大切。うん、大切なんだ。大切なんだけど。
昨日の夜のことを思い出すとちょっと頭が痛い。藍さまはとっても優秀なひと。それは間違いない。だけども、紫さまのお仕事を手伝うための力はいっぱいで、それ以外はからっきしダメなんだ。
昨日は晩御飯の仕度で大騒ぎ。私一人でやったほうが絶対早かった。神社に紫さまがよく出かける理由がわかった気がする。油揚げ料理以外は出来ないんだもん。
「ほーら、一号、三号、こっちにおいで」
コタツに足を入れ寝そべったわが主が、猫たちに声をかけている。その子達の名前は一号でも三号でもないよ。やっぱりなんでも得意な数字にしちゃうんだね。
猫たちに手を伸ばす。だけどちょっとだけ足りない。もう一回声をかけてみても猫たちは当たり前のように無視して火鉢の前で丸まっている。つやつやの綺麗な手が畳の上でばたばたした。
猫を構うのに飽きたのか、まただらーんと動かなくなった。
今の藍さまは普段の立派な服を脱いでしまっていて、ほとんど肌着だけ。お尻から生えたきんきらの尻尾がダリアかタンポポみたいに広がっている。その花びらが体を覆っているから寒くないんだろう。
「ちょっとお湯を沸かしてきますね」
「それくらい私がやるから。橙はここにいなさい」
「藍さま。そんな格好じゃ寒いですよ。それに、ここは私のうちなんですから」
「うーん、そうだな。火には気を付けるんだよ」
少し不満そうな声で返事された。立ち上がりかけた体をまた畳に横たえる。やっぱりいつもの様に仕事がしたいのかもしれない。でも、うちに来てくれた時くらいはのんびりしてもらわないと。
うつぶせのままボーっとした顔の藍さま。暇そうに目をすぼめだす。完全に目を閉じたのを見てから私は立ち上がった。
上から見ると背中に咲いたお花につぶされちゃったみたいに、ぐでっとしている。綺麗な毛並みも耳も垂れ下がってやる気が抜け落ちたみたいだ。今の様子は誰にも見せられないなあ。しっかり者のイメージが台無しになってしまう。私の前でのんびりしてくれるのはうれしいけれども。信じてもらってるって事だし。
障子を開けて廊下に出る。冷たい木の床にただよう冷気。あったかい空気が部屋の中から逃げていきそうで慌てて閉める。明るい茶の間から切り離されてしまい思わず身震いした。
ぺたぺたと廊下を歩く。掃除をサボっていた床はほこりで鈍く輝いている。はだしの指先に冬の空気がしみる。靴下を履いてくればよかった。コタツが暑くて脱いじゃったんだ。
誰もいない台所も、食料が詰まった倉庫も通り過ぎて、勝手口から外にでる。何も邪魔するものがなくなって冷たい北風がびゅうびゅう吹き出した。廊下の冷たさなんか比べ物にならない。
はあっと両手に息を吹きかける。白いもやが目の前に広がった。両手を揉みあわせ、肩をすくませて走る。はっ、はっ、っと定期的に視界がくもる。びちゃびちゃした地面を蹴飛ばしてたきぎ小屋まで急いだ。
水を含んだみぞれが降り続けている。朝から、ずっと。走る私の服や顔にもべったり張り付く。気持ち悪い。早く雪になればいいのに。
山の冬は暗い。色鮮やかな秋はとっくの昔に吹き飛ばされて、木々に葉っぱは残っていない。真っ黒な裸の木々に暗い空。みぞれは地面をぐちゃぐちゃにする。早く雪になればいいのに。そうすれば、白と黒でバランスが取れる。気分もいくらか明るくなるはず。
「うぅー、冷たい」
たきぎ小屋に飛び込んだ。二段の棚にふとももくらいの太さの丸太がずらっと積まれている。切り口の年輪が目玉の群れのように見えて、身がすくむ。はあっとため息をついた。もう一度同じような息を両手にはきかける。外を走ったわずかな時間のうちに、指がかじかんでしまっている。
お湯を沸かすなんて嘘。本当はマキが欲しいんだ。本格的に寒くなるのはもうちょっと先だと、マキ割りをサボっていた。急にやってきた藍さまのために使ってしまって、もうほとんど残っていない。
心配させたくなかった。こんな日にマキ割りをするなんて言ったら絶対に大騒ぎになる。
小屋の隅に置かれたかごをのぞく。炭はまだ半分位詰まっている。コタツや、火鉢用の炭は足りると思う。問題はマキだけかな。ご飯やお風呂のための。
釘にかかったナタを手にした。うすぐらい小屋の中でもこいつだけは目を光らせて起きている。食い千切られないようにしっかりと右手で握りこんだ。
丸太を一本取り出して土間に置く。本当は外でやるべきなんだけど、みぞれまみれの泥まみれにはなりたくない。
右手を振り下ろす。間抜けな音を立てて二つに割れた。片方をもう一度立てて四分の一にしてしまう。
はぁー。息が白い。まだこれからだっていうのに。藍さまのために。もっと、もっと。昨日の夜に約束したんだ。藍さまは、いつもの紫さまみたいにしてくださいって。私がお世話するので好きなだけのんびりしてくださいって。たまにしか会えないんだから、主のために何かしてあげたいじゃない。寒い思いをしてほしくないじゃない。
もう片方も割って空のかごの中に放り込む。からんと軽い音がした。
新しい丸太を引き抜く。自由な左手だけで抜いたので少し重かった。ささくれだった木肌がトゲを立たせる。痛い。冷えきって神経ばかりが敏感になっている。
刺さったトゲを歯で抜き取って傷口をなめる。ひび割れた肌がしみた。
ぱかりと割ってかごに放り投げる。二十本ばかり繰り返したかな。今日の分は、これだけあれば十分なはず。
体を動かしていたはずなのに寒い。土間にうずくまる空気が、はだしの足や両手にしみこむ。がたがたと体の震えがとまらない。
「はぁー。はぁー。ふう」
揉み合わせる手のひらに何度も息を吹きかける。全然温かくならない。さっきから指先がしびれっぱなしだ。痛くてかゆくて、じんじんじんじんする。早く戻ろう。
ナタを引っ掛ける。炭のかごをマキのに乗っけて持ち上げた。これは、なかなか重い。
体で押すようにして小屋の外に出た。またみぞれが襲ってくる。覆いかぶさるように抱きかかえて炭を守る。
寒い。寒い。荷物のせいでのろのろとしか進めない。凍えた指にかごの取っ手が痛い。取っ手に、指を引きちぎられてしまいそうだ。ちくしょう。痛い、痛いよ。
何で私は力が無いんだ。何で私は要領が悪いんだ。何で私は、私は、ああ。
両手をシモヤケだらけにして、体中にみぞれが引っ付いて、みっともなく震えて。
藍さまが来てくれたのに。本当に、本当に、めったにないお泊りなのに。何で、こんな無様な、情けない式なんだよ。
しびれていた指先が燃えるように熱くなってきた。見てわかるくらいに赤くなって、醜く膨れている。関節のしわに沿ってひびが入り、血がにじみ出す。風になでられて我慢できないような痛みになった。
泣きそうになりながら何とか勝手口までたどり着いた。かごを下ろしてうずくまる。荒い息が暗い土間に響く。
のろのろと体を起こして服についた水気を落とす。髪もぬぐった。そのまま台所に向かおうとして足がもつれる。体が冷えきってもう何も出来ない。火にあたらないと。
一度茶の間に戻ろう。体を温めてからご飯を作ろう。藍さまも遅くて心配しているかも。ちょっとだけ、休憩を。
お盆にみかんを乗せて茶の間に戻った。障子を開けるとさっきと同じかっこうの藍さまがいた。右手だけ火鉢に伸ばして動かない。
一度声をかけたけど反応がない。みかんをコタツの上に乗せて、また声をかけようとした時に気がついた。寝ちゃっているんだ。すぅすぅと小さく寝息がする。
気持ちよさそうだけど、コタツで寝るのはよくない。風邪を引いてしまう。
「藍さま、藍さま、起きてください」
「ん、んー。ああ、橙。待ちくたびれて寝てしまったよ」
「すみません。みかん持ってきたので食べませんか?」
「ありがとう。橙は本当に気がきく子だね」
にっこり笑って、私の頭をなでてくれた。傷一つない綺麗な手だ。恥ずかしくなって私は両手をコタツ布団の中に隠した。急に温められて肌がひりひりする。
向かい合うようにコタツに入ってみかんの皮をむく。指の肉がこわばってしまって上手くむけない。
私がもたもたしているうちに藍さまがみかんをむいてしまった。白い筋も綺麗に外して口の中に放り込む。
主がニコニコしながら食べている。橙の持ってきてくれたオレンジはおいしいね、なんてつまんない洒落まで言い出した。やっぱりちょっとズレている。あいまいに笑いながら膝の上でみかんをいじり続けた。
一つ目を食べ終えた藍さまが、二つ目を取り出してすぐにむいてしまった。それも食べ終わり、私に目を向けた。まだむけないのか、だったらやってやろう、と口にしながら私の手をとる。
あっという間のこと。部屋の温度でぼうっとしていて反応できなかった。隠していた私の手が見られてしまう。
「橙? この手はどうしたんだ?」
「……なんでもないです。大丈夫ですよ」
「大丈夫なわけないだろう。腫れているじゃないか」
「だから! 大丈夫なんです! ちょっとシモヤケになっただけですから」
「シモヤケに? 橙、そんな寒いところに長時間いたのかい? どうして?」
「……」
「まあ、いい。お前はここで休んでいなさい。今日は私が」
「大丈夫なんです! 大丈夫なんですから! 藍さまがここにいてください!」
立ち上がった藍さまに追いすがる。尻尾の束にむしゃぶりついて引きとめた。
やっぱり、藍さまはわかっていない。私がどんな気持ちでいるのか。紫さまのお仕事を何でもこなしてしまう優秀なひとだから、私の事なんてわかりっこない。
私は式で、つまり従者。だから藍さまのために働かなくちゃいけないんだ。働きたいんだ。働けるのがうれしいんだ。
めったに一緒にいられないんだから全部やってあげたい。お世話したい。ご飯とか、お風呂の準備とか、なんだって。
ちょっとくらいシモヤケになったってどうって事ないのに。
それなのに藍さまは私の事を子供扱いする。自分でやってしまおうとして、私を見てくれない。
もうちょっとだったのに。上手くいっていたのに。シモヤケがばれなければ最後まで従者でいられたのに。やりとげられたのに。
優秀なひとにはわからないんだ。毎日いっぱい仕事をしていても、つるつるの手をしている優秀な藍さまにはわからないんだ。私みたいな情けない式の気持ちなんか。
「私は、式なんです。藍さまの、式なんです。私に仕事をさせてください。従者でいさせてください。私が何かなったとしても、どうだっていいじゃないですか!」
夢中で叫んでいた。他にも、口から飛び出していたみたいだ。たまっていた気持ちとか、悪口とか、色々。
それからどうなったのか覚えていない。気がつくと自分の布団の中で丸まっていた。ご飯はちゃんと作ったのかどうかすら、記憶からすっぽり抜けていた。
隣にあるはずのもう一組の布団のほうを見る事は出来なかった。申し訳なさで心が満杯で首が動かない。
声が漏れないように、頭から掛け布団をかぶって泣いた。
障子から入る朝の日差しで目が覚めた。
そのまま目だけ開けてぼんやりと天井を眺めている。頭が少しずつ起きてきて、昨日の事を思い出した。
慌てて布団を蹴り飛ばす。横を見ると藍さまの布団は綺麗にたたまれていた。
口がわなわな震えだす。朝の冷気のせいだけじゃない。藍さまはもう行ってしまったのかも。私に愛想をつかして帰ってしまったのかも。どうしよう。
寝巻きのままで走り出す。廊下はとても寒かったけど、着替えなんてしている暇はないんだ。
茶の間をのぞき、台所や押入れの中まで見て回る。どこにもいない。寝起きの猫たちに怪訝な視線を向けられただけだ。
やっぱりもういないんだ。そう思って外に探しに行こうと玄関に向かう。
玄関で藍さまと鉢合わせした。
大きな袋を抱えている。私を見てなんだかばつの悪そうな顔をした。
「橙。もう起きていたのかい」
「はい。……昨日はすみませんでした」
「あー、うん。その事なんだが。ここは寒い。立ち話よりもコタツに入りながら話そう」
自分の家のはずなのにこれじゃ逆じゃない。お邪魔します、とでも言ってしまいそう。
茶の間に入ってコタツに足を入れる。炭が切れていて冷たいままだ。それでも玄関よりはずっといい。ちょっとひんやりとした布地が気持ちよかった。
無言で向かい合う。昨日の事が頭に浮かんで口が動かない。藍さまもちょっとうつむいて喋ってくれない。
シモヤケがうずく。コタツの中でこすり合わせる。むず痒さが消えてくれない。
どさどさという音がした。顔を上げるとコタツの上に物が散らばっている。藍さまが抱えていた袋の中身?
毛糸の帽子に耳あて。靴下にマフラーにパンツもある。毛糸尽くしの下に隠れるように、真っ赤な毛糸のミトンがあった。
「私もな、最初は紫様に迷惑ばかりかけていたんだ。何度も失敗して、何度も助けてもらった」
「え、っと」
「式が使えるようになった時に、心に決めた事がある。式が困っていたら、紫様のように助けてやろうって」
「……」
「どこかで加減を間違えてしまったのかな。私だって紫様の役に立てなくて悔しい思いをしていたというのに。お前の役目まで奪ってしまったら何にもならない」
「藍さま。私は」
「里の服屋を叩き起こして買ってきた。使うといい」
やっぱり、藍さまはわかってない。ミトンじゃ物を持てないよ。外の仕事なんて出来ないもの。
ズレている。途方もないほど賢く強いわが主は、私みたいなちっぽけなものの悩みなんかわからない。だからミトンなんか買ってくる。色も真っ赤で子供っぽい。
それでもうれしかった。上手く言葉に出来ないけど、うれしい。無力な子供じゃなくて、式として見てくれているのだもの。
「ありがとうございます。とってもうれしいです」
毛糸を胸に抱きしめた。やわらかくていい香りがする。くすぐったい、冬の香りだ。
わたしの作った朝ごはんを食べて、藍さまは行ってしまう。今日から、結界の検査や補修を始めるんだって。
難しそうなお札や機械を持って玄関から出て行く。名残惜しそうに、何度もこっちを振り返ってくる。
「藍さま?」
「いや、やっぱり、なあ。橙。あまり無理するんじゃないぞ。お前は、ゆっくりゆっくり学んでいけばいいんだから」
「あはは。大丈夫ですよ。こんな良い物もらったんですから」
両手にはめたミトンを見せつけるように手を振った。それを見てやっと安心してくれたみたいだ。後ろを向いて空に飛んでいく。
見えなくなるまでずっと手を振っていた。
ふう、と一つ息を吐く。さあ、今日からお仕事頑張ろう。結界の見回りが終われば、またお泊りしてくれるんだから。
下駄をつっかけて外に出た。空は相変わらず真っ黒な雲でいっぱい。冷たい空っ風がびゅうびゅう吹いている。
昨日までと変わらない暗い冬のはずなのに、なんとなく綺麗に見えた。もうすぐ雪が降るのかもしれない。びしょびしょのみぞれじゃなくて、しんしん積もる雪が。
そのままぐるっと勝手口のほうに向かい、たきぎ小屋を目指す。今日はマキ割りをしよう。早めにやっておかないと。いつ藍さまが来てくれてもいいように。藍さまに寒い思いはしてほしくないから。
明日は、お掃除。廊下がほこりっぽかった。終わったら乾物を水で戻そう。時間をかけて戻さないとおいしくならないんだよね。それから、それから……。
ああ、一つ大事な事を忘れていた。
両手のミトンを外してポケットにしまう。外の風が手を冷やす。治りきっていないシモヤケがむずむずする。
ミトンは、使わない。使えない。やわらかい毛糸なんて使っていたらすぐに穴が開いてしまう。次に藍さまはやってくることには手袋の形をしていないだろう。
それじゃダメなんだ。私は式なんだから。主に安心してもらうのが大切なんだ。私が寒くたっていい。贈り物が役に立たなくてもいい。使っていた、と嘘をついてもいい。私は、式なんだから。
なんだかいい気分になって、軽やかに走りながら空を見上げた。相変わらずの曇り空だ。薄くなった雲の隙間から太陽がのぞいている。太陽の色まで吹き飛ばされていて、白く輝いていた。
ミトンの入っているポケットのボタンをした。なくさないように。いつでも近くにあるように。そして、藍さまが来たら両手にはめて迎えられるように。
私の主はとっても優秀で、ちょっと世間知らずでズレている。そして私はその式。まだ未熟だから主人のお手伝いは出来ない。それはずっと変わっていない。でも、いいんだ。
ポケット越しにミトンに触れる。温かな赤が本当に熱を持っているように感じた。ほのかなぬくもりが服を越えて伝わってくる。
今までよりも一段と強い風が吹き抜けた。土ぼこりや落ち葉が舞い、ふわふわした空気もかき消されてしまう。思わず首がすくむ。
はぁっと息を吹きかけて、シモヤケだらけの手を揉み合わせた。
文章のタッチから水彩画のように柔らかくて、温かさがにじみ出るような雰囲気が素晴らしいですね
一文一文に想いがぎゅっと詰まってて、ふわっと広がっていい余韻が残りました。とても面白かったです
とてもきれいな言葉たち、その連なりが織りなす風景と心情の遷移がとても美しく、
背伸びしたいけれどどこか等身大な登場人物にいつの間にか自分を投影させていました。
私事なのですが丁度愛猫の命日でした。
訳あって予定してた花を買いに行くことが出来なくなってしまい途方に暮れてました。
大変僭越ながら『真っ赤なお手手の式神少女』を印刷し供えさせて頂きました。
人間の言葉がたまにわかる子でした。きっと素敵なお話に喜んでいると思います。
私もいつか誰かの橙さんになれればと思いました。素敵なお話ありがとうございました。
思いやりの嘘のいらない関係になって、懐かしい記憶として。
そんな未来を想像しました。
とても素敵な雰囲気でした。