射命丸 文へ。
お久しぶり。元気にしてた?
私は……まぁ、元気よ。
適当にお茶のんで、適当に異変解決して、適当に宴会開いて。
毎日その繰り返し。
貴女はどうなの? ちゃんとご飯食べてる?
また徹夜で新聞とか作ってるんじゃないでしょうね。
徹夜は健康の天敵なんだから、いい加減にしておきなさいよ。
ま、まぁ、疲れてるならマッサージしてあげないこともないけど……
もちろん有料だからね!
あぁいま笑ったでしょう! 分かるんだからね、あんたの表情くらい!
そのまぬけっつらを、たまには見せに来なさいな。
別に心配してるわけじゃないんだからね!
そこんとこ勘違いしないでよ? 私はただ、賽銭が……あぁもう違うわよ。
えぇ心配してるの!
あんたが此処に来なくなってもう三か月よ?
一体どこで何をしてるのよ……早く顔見せなさいよ。
寂しいんだから。あんたが居なくなってからずっと、心が寒いのよ。
だから、お願い。
この手紙を読んだなら、家へ来て。
そして抱きしめて。
ぎゅっと強く、強く。壊れそうなくらいに。
私を、あんたの体温で温めて。
返事待ってるから。ずっとずっと、待ち続けるから。
博霊 霊夢より
< 文と霊夢の仲が進展しているようです >
「という内容の手紙が届いたのですが」
「そりゃ届くわよ。紫に頼んだんだし」
夏の暑さが過ぎ去り、おいしい食べ物が山に実この季節。
お昼である現在も、神社の縁側に座っていると心地よい。
そんな秋空の中、穏やかな風にのって、射命丸 文は霊夢のもとへ訪れていた。
一通の手紙を持って。
三か月ぶりの再会だというのに、霊夢は特に驚いた様子もないようだった。
そう、今から三か月前、文との連絡が突如取れなくなった。
何かの異変かと、幻想教中を錯綜したが、結果は実らず。
霊夢の勘で、妖怪の山の天狗に話を聞くも、知らぬ存ぜぬ。
大天狗に蹴りを入れるも、荒い息をするだけで"話し合い"にもならない。
紫は何か知っていそうだったから、"激しい話し合い"をするも、帰ってきた答えは「今は待つ時よ。じっとね」と胡散臭い返答。
一か月ほど暴れまわり、泣いてすがる紫を鬼畜にも郵便配達員として、さらに二ヶ月の間こき使っていたのだ。
その様子を、紫は血の涙を流しながらこう語る。
『わたしのれいむが、鴉にとられたぁぁぁ』
ちなみにその場なぜか居た門番も、拳を血に染めながら語った。
『霊夢さんが……それで幸せなら、私は……やっぱりだめですーーー!!』
で、現在に戻ってくるのだが。
霊夢が文を視界にとらえ、やっと顔を合わせることができた。
のだが、久しぶり~の言葉もなく、最初に出た言葉が「ん? なんだ文か」というのは霊夢らしいというべきか。
文は手紙と霊夢の顔を見比べ、不思議そうな顔をしたが、霊夢だからということで苦笑いを浮かべるしかなかった。
それからはいつもの通り。
お茶を貰って、せんべいを齧って、文を膝枕して……
文の耳掃除をしながら、霊夢が突然思い出したかのように文へと語りかけたのが、文が訪れてから一刻ほどたった時だった。
「あんた、三か月も何所にいたのよ」
「実は、監禁されてまして」
「監禁!?」
衝撃の事実に霊夢は驚いた。
理由なんで精々「食べすぎで家出れなくて♪」とだと思っていたのだ。
本気でそう思っているあたり、さすが霊夢である。
「監禁って誰によ? 今すぐぶっとばしてくるから教えなさい」
「ん~……やめておいた方がいいと思いますよ?」
「なんでよ」
「だって、大天狗様ですし」
「よし殺す。ちょっとキャプテンにアンカー借りてくるから待ってなさい」
犯人はヤス、もとい大天狗らしい。
ついにあのエロじじぃ、部下にまで手を出し始めたのか。
ケツアンカーをたっぷりと食らわせてやるわ。
そんな意気込みが伝わったのか、文は慌てて、あやややしながら捲し立てた。
「霊夢さん違うんです! 悪いのは私なんです!」
「隠さなくてもいいのよ。あのじじぃ、いつかはヤると思ってたしね」
「そうじゃなくて、私が大天狗様の曾々々々々々孫さん(9歳)の裸の写真を撮りまくってたのがバレちゃって」
「なんだ。あんたが悪いんじゃない。このロリコン天狗」
「ウワーイ、レイムさんの視線がツメタヒー」
霊夢は割と本気の視線を、真下に落とした。
涙目で片言でしゃべっているのに、文の顔がどこか幸せそうなのは、3か月分の耳垢が取れたからだろうか。
今度は反対ね、と言う霊夢に誘われ、体ごと頭を反転させる。
さっきまで見えていた境内の変わりに、霊夢の服と柔らかい香りが、文の鼻孔をくすぐった。
「ところで霊夢さん」
「ん?」
「この手紙の内容なんですけど」
「すごいでしょ。とある手段で縦読みすると、"わたしのよめはほんめいりん"になるのよ」
「うそぉっ!?」
「嘘よ」
しれーっと言いのける楽園の巫女のふとももに顔をうずめつつ、文は唸るしかなった。
これでも千年以上生き続けている天狗である。
その天狗が、たった一人の小娘にしてやられているのだから、あまりいい気分ではないのだろう。
まして、飛んで跳ねて牢屋をぶち壊したくらいに、あの手紙は嬉しかったのだから。
文も本気で手紙の内容を信じていたわけではない。
むしろ嫌われているかもしれない。そう思っていたくらいだから。
でも、やっぱり嬉しかった。手紙た届いたというだけで。
心配してくれているという事実が、嬉しかったのだ。
だから、聞いておきたかった。
「どこまでが、嘘ですか?」
「縦読みかしら」
「じゃぁ、手紙の内容に関しては……」
「……」
一瞬、ほんの一瞬だけ、耳かきの手が止まった。
でも文にはそれで十分だった。
見えないけれど、霊夢は今真赤になっているだろうから。
伊達にずーっと霊夢を取材し続けてきた文ではない。
それはもう、空気だけで霊夢がどんな表情をしているか分かるくらいに、傍にいたのだ。
一緒に寝たこともあったし、お風呂だって。
だから、寂しかったのは、文も一緒だ。
三か月で空っぽになった、"霊夢分"を吸収する。
抱きしめてほしいのは文も一緒だ。
三か月で忘れそうになった、霊夢の香りを思い出す。
春でも夏でも秋でも冬でもある、不思議な香り。
やっと心が休まり、かつ耳かきの気持ちよさからか、いつしか文は眠りについていた。
迷子の少女が、母親の胸で眠るかのように穏やかに。
根雪の下で、動物たちが眠るかのように安らかに。
「文? 寝ちゃったか」
霊夢の呟きに、文は少し身を縮めただけで、起きる様子はない。
ただ、ぎゅっと握りしめた手は、霊夢のスカートをしっかりと掴んでいた。
その姿は、誰が見てもただの少女にしか見えないだろう。
霊夢は穏やかな視線を、真下に落とし、起こさないようにささやいた。
「おかえり、文」
そう言うと、霊夢は懐から一枚の黒い羽を取り出し、その羽にそっと口づけをした。
そして文が起きないように、大きな黒い翼にも、優しく唇を這わす。
一枚一枚、想いを吐息にこめて、そして今度は体全体で息を吸う。
文の香りを、胸一杯に吸い込むために。
その見た目とは裏腹に、柔らかく、空の香りがする文の羽。
霊夢もまた、"文分"を吸収していた。
手を羽の中に入れ、もそもそと動かす。
くすぐったいのか、文の口から小さく声が放たれる。
それでも、霊夢はやめなかった。
もっともっと、"文分"を吸収するために。
手を深く、羽の付け根を超えて服の中に入れる。
霊夢より大きく、柔らかな胸より深く。
小さなおへそを超え、きっと純白であろう下着の中にまで手を入れた。
その瞬間、文がビクッと震えた。
霊夢の進入を拒むかのように、足を閉じようとしてる。
しかし指のうごきだけで、文の内腿の力を分散さる霊夢に、文は指の進軍を止めることはできなかった。
五本の指が、それぞれ別の生き物のように文の白い肌の上を這う。
文は声を出さないように、真っ赤にそめた顔で必死に我慢をしている。
霊夢の指が、右へ左へ、なにかを探しているかのように動き回る。
なでるようにすると、文の体がきゅっと縮こまり、指を曲げると、ビクンっと跳ね上がる。
そしてある一点で、霊夢の指が止まった。
霊夢の口がニヤリをゆがみ、文の耳元で何かをささやいた。
何を言われたのか、そのささやきに文は顔を横に振る。
目をぎゅっと瞑って、最後の抵抗を試みているのだ。
しかし、指先に当たる感触。この感触を霊夢は逃さなかった。
その感触を確かめるかのように、霊夢は指を動かす。
そして人差し指と親指で、探しものを優しくつまみながら言った。
「見つけたわ」
「れ、霊夢さん……だめです。それは私の……」
「おさいせーーーん、げっちゅ!!」
「私のへそくりがーーーー!!」
相変わらず可愛い世界です
もっとたくさん書いてもいいんですよ?
大丈夫。残さず食べます
思わず霊夢の手紙の縦読みを確認しに戻ってしまったのは自分だけではあるまいて…。
同士よ!
とても良かったです!
よぉし、次は我の理想のあやれいむを書いてみますね
>2しゃま
僕は平気でうそをつく
このうそがうそでありますように
いや、嘘は嘘なんだけどね?
>奇声しゃま
実は縦読みじゃなく斜め読みをすると……
いや、嘘なんだけどね?
ニヤニヤさせてもらいました。
幸せです。