姉妹の中で、私は末っ子。
私には、五人のお姉ちゃんがいる。
みんながみんな個性的で一緒にいれば、退屈なんてしないし寂しくない。
独りで暮らしていると、ふと会いたくなる時がある。
そんな時は里帰り。みんなの顔を思い浮かべながら。
もちろん、ママの顔も。
ルイズ姉さんは私達姉妹の次女。
旅行と言うより旅が好きでしょっちゅう出掛けている。
糸目でやんわりとしていて、とっても優しい。
トレードマークは帽子。なんだかお洒落。
そんなルイズ姉さんが、私の家に遊びに来た。
「わ~、お人形がいっぱいね」
ルイズ姉さんは並べられた人形を見て楽しそうにしている。
「ルイズ姉さん、持ってかないでよ?」
「え~……少しくらい良いじゃない……。いや、でも……」
ルイズ姉さんはあごに手をあてて、普段から細い目をさらに細めた。
「この子達はみんなアリスが作ったのよね?」
「?……うん」
「ということはこの子達はみんな姉妹……。私が持って行ったら姉妹が引き裂かれて暮らす事に……。ごめんね、みんな……」
ルイズ姉さんはその場に座って両手で顔を覆う。
「……相変わらずよね」
旅人なのが関係しているか分からないが、ルイズ姉さんは思想がかなりロマンチックだ。
現在のように人形や他にも植物などの気持ちになったり、何か考えていると思ったら急に笑ったりする。(後者はママにも言える事だが、ルイズ姉さんとママだと明らかに考えているもののジャンルが違う)
「ねぇアリス、この子達に名前はあるの?」
ルイズ姉さんが顔を上げて言う。
目の端に涙を浮かべていた。
あ、泣いてたんだ。
「え、えぇ、この子は上海」
私はルイズ姉さんの前にある上海を操り、ルイズ姉さんの膝の上に座らせる。
「シャンハーイ」
「あら、可愛い。……他の子にも全部?」
ルイズ姉さんは膝の上の上海を撫でながら問い掛けてくる。
「うん、あるけど……どうかしたの?」
「あるならいいの。人形と言ったってその子達は貴方の娘のようなものよ。……大事にしてあげなさいね」
「……もちろんよ」
「そう」と目を細めるルイズ姉さん。
やっぱり優しい。
良い姉さんだ。
「ところでアリス」
「何?」
「好きな人とか出来た?」
むせた。
盛大にむせた。
「なっ!急に何よ!何がしたいの!?」
「何って恋話しましょ?、コ・イ・バ・ナ☆」
そう言ってルイズ姉さんはウィンクする。
なんかアクションが若干古臭いのは気のせいだろうか?
「ね、アリスは好きな人出来た?出来た?」
上海を抱き抱えて、ルイズ姉さんはずいずい詰め寄ってくる。
椅子に座っていた私は、下がろうとしてひっくり返ってしまった。
「あいたっ!」
「ねぇねぇ、どうなの、アリス?」
上に覆いかぶさってきたルイズ姉さんの顔が近づいてくる。
「え……その……えっと……」
「早く言わないと、私がアリスを貰っちゃうわよ?」
ルイズ姉さんの顔はもう目の前だ。
「ち、ちょっと……」
「早く早く」
「あ………………うん……気になってる人は……いるかな……?」
「どんな子?」
相変わらずルイズ姉さんは近いままだ。
「……ちょっとわがままで、貸した本をなかなか返してくれないんだけど……人一倍努力家で、可愛い所もあって、優しいの」
あぁ、何を真面目に言っているんだ私は。
恥ずかしい。穴があったら入りたい。無かったら自分で掘ってでも入りたい。
「ベタ惚れね、お姉ちゃん嫉妬しちゃうわ」
ほんのりした笑顔でそんな事を言われる。
「そっ……そういうルイズ姉さんこそ誰か好きな人いるの!?」
ルイズ姉さんは懐かしむような、悲しいような、何とも言えない顔をした。
「……旅先で恋をした事もあるわ。けどね、その人やその周りの人には自分達の世界があるの。私はその人達にとってはただの部外者。部外者の介入によってその人世界を壊す訳にはいかないわよ」
「そっか……」
こればっかりはルイズ姉さんの独自の恋愛観だ、口出しは出来ない。
しかしまぁ、口出し出来ない分、自分から恋話と振っておいて一方的に聞き出された気分だ。
「それで、アリスはその子とどうなの?」
まだ終わってなかった。
「も、もう私の事はいいでしょ!?」
「よくないわよ。たまの姉妹二人きりなんだから良いじゃない」
「それとこれとは……」
「それで、その子とはどこまでいったの?手繋いだ?キスした?それとも……夜の嗜み?」
ルイズ姉さんは少しも恥ずかしそうにせず、さらっと口にする。
「なっ!ちょっ!る、ルイズ姉さん!?」
「あ、何?焦るって事は嗜んでるの?夜に二人で、甘い言葉を囁きながら?」
「止めて!もう止めて!」
「心地好い温もりを感じながら、アリスは彼女の頬にそっと口づけをする。彼女は目を細めて、そっとアリスを抱きしめる。この時間が永遠に続けばいい……。アリスは叶わないと分かってもそう願わずにはいられなかった。それだけ、彼女の存在がアリスにとって大きなものなのだ。窓から差し込む月の光が、幸せそうに微笑むアリスの顔を照らすのだった……」
「いやあぁああぁぁ!恥ずかしいから!ルイズ姉さん、許して!」
「しかし、この幸せも長くは続かなかった……」
「せめてハッピーエンドで終わらせてよ!!!」
分かっていたけどね
ルイズ姉さんもあのママの娘なんだ
私には、五人のお姉ちゃんがいる。
みんながみんな個性的で一緒にいれば、退屈なんてしないし寂しくない。
独りで暮らしていると、ふと会いたくなる時がある。
そんな時は里帰り。みんなの顔を思い浮かべながら。
もちろん、ママの顔も。
ルイズ姉さんは私達姉妹の次女。
旅行と言うより旅が好きでしょっちゅう出掛けている。
糸目でやんわりとしていて、とっても優しい。
トレードマークは帽子。なんだかお洒落。
そんなルイズ姉さんが、私の家に遊びに来た。
「わ~、お人形がいっぱいね」
ルイズ姉さんは並べられた人形を見て楽しそうにしている。
「ルイズ姉さん、持ってかないでよ?」
「え~……少しくらい良いじゃない……。いや、でも……」
ルイズ姉さんはあごに手をあてて、普段から細い目をさらに細めた。
「この子達はみんなアリスが作ったのよね?」
「?……うん」
「ということはこの子達はみんな姉妹……。私が持って行ったら姉妹が引き裂かれて暮らす事に……。ごめんね、みんな……」
ルイズ姉さんはその場に座って両手で顔を覆う。
「……相変わらずよね」
旅人なのが関係しているか分からないが、ルイズ姉さんは思想がかなりロマンチックだ。
現在のように人形や他にも植物などの気持ちになったり、何か考えていると思ったら急に笑ったりする。(後者はママにも言える事だが、ルイズ姉さんとママだと明らかに考えているもののジャンルが違う)
「ねぇアリス、この子達に名前はあるの?」
ルイズ姉さんが顔を上げて言う。
目の端に涙を浮かべていた。
あ、泣いてたんだ。
「え、えぇ、この子は上海」
私はルイズ姉さんの前にある上海を操り、ルイズ姉さんの膝の上に座らせる。
「シャンハーイ」
「あら、可愛い。……他の子にも全部?」
ルイズ姉さんは膝の上の上海を撫でながら問い掛けてくる。
「うん、あるけど……どうかしたの?」
「あるならいいの。人形と言ったってその子達は貴方の娘のようなものよ。……大事にしてあげなさいね」
「……もちろんよ」
「そう」と目を細めるルイズ姉さん。
やっぱり優しい。
良い姉さんだ。
「ところでアリス」
「何?」
「好きな人とか出来た?」
むせた。
盛大にむせた。
「なっ!急に何よ!何がしたいの!?」
「何って恋話しましょ?、コ・イ・バ・ナ☆」
そう言ってルイズ姉さんはウィンクする。
なんかアクションが若干古臭いのは気のせいだろうか?
「ね、アリスは好きな人出来た?出来た?」
上海を抱き抱えて、ルイズ姉さんはずいずい詰め寄ってくる。
椅子に座っていた私は、下がろうとしてひっくり返ってしまった。
「あいたっ!」
「ねぇねぇ、どうなの、アリス?」
上に覆いかぶさってきたルイズ姉さんの顔が近づいてくる。
「え……その……えっと……」
「早く言わないと、私がアリスを貰っちゃうわよ?」
ルイズ姉さんの顔はもう目の前だ。
「ち、ちょっと……」
「早く早く」
「あ………………うん……気になってる人は……いるかな……?」
「どんな子?」
相変わらずルイズ姉さんは近いままだ。
「……ちょっとわがままで、貸した本をなかなか返してくれないんだけど……人一倍努力家で、可愛い所もあって、優しいの」
あぁ、何を真面目に言っているんだ私は。
恥ずかしい。穴があったら入りたい。無かったら自分で掘ってでも入りたい。
「ベタ惚れね、お姉ちゃん嫉妬しちゃうわ」
ほんのりした笑顔でそんな事を言われる。
「そっ……そういうルイズ姉さんこそ誰か好きな人いるの!?」
ルイズ姉さんは懐かしむような、悲しいような、何とも言えない顔をした。
「……旅先で恋をした事もあるわ。けどね、その人やその周りの人には自分達の世界があるの。私はその人達にとってはただの部外者。部外者の介入によってその人世界を壊す訳にはいかないわよ」
「そっか……」
こればっかりはルイズ姉さんの独自の恋愛観だ、口出しは出来ない。
しかしまぁ、口出し出来ない分、自分から恋話と振っておいて一方的に聞き出された気分だ。
「それで、アリスはその子とどうなの?」
まだ終わってなかった。
「も、もう私の事はいいでしょ!?」
「よくないわよ。たまの姉妹二人きりなんだから良いじゃない」
「それとこれとは……」
「それで、その子とはどこまでいったの?手繋いだ?キスした?それとも……夜の嗜み?」
ルイズ姉さんは少しも恥ずかしそうにせず、さらっと口にする。
「なっ!ちょっ!る、ルイズ姉さん!?」
「あ、何?焦るって事は嗜んでるの?夜に二人で、甘い言葉を囁きながら?」
「止めて!もう止めて!」
「心地好い温もりを感じながら、アリスは彼女の頬にそっと口づけをする。彼女は目を細めて、そっとアリスを抱きしめる。この時間が永遠に続けばいい……。アリスは叶わないと分かってもそう願わずにはいられなかった。それだけ、彼女の存在がアリスにとって大きなものなのだ。窓から差し込む月の光が、幸せそうに微笑むアリスの顔を照らすのだった……」
「いやあぁああぁぁ!恥ずかしいから!ルイズ姉さん、許して!」
「しかし、この幸せも長くは続かなかった……」
「せめてハッピーエンドで終わらせてよ!!!」
分かっていたけどね
ルイズ姉さんもあのママの娘なんだ
このシリーズ秀逸すぎw
って言うかルイズ姉さん、アリスの相手が女性と普通に思ってるんですがwww
驚いた時に見開く目も大好きです
このシリーズも大好きです
そして、それよりもこのルイズ姉さんのキャラが好きです。