Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

リボン……友達

2010/10/14 04:04:07
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私の名前はルーミア
闇を操る妖怪だ
最近はなんだか調子が良くて食べ物に困らない

「~♪」

何でか体がいつもより軽い
力も自分の予想より強い力が出てしまう
そこはチョット困ってるんだけどね

「おーい、ルーミアー」
「あっ、リグルちゃんだー」

彼女は蛍妖怪のリグルちゃん
男の子っぽいといつもからかわれてるけど
私には彼女が男の子には全然見えない

「どうしたの?」
「いや、見かけたから声をかけただけなんだけどね
 忙しかったかな?」
「そんなことないよ
 リグルちゃんだったらいつでも声掛けてくれてもいいよ」
「そっ、そう……ありがと」
「どういたしまして」
「あっ、ルーミア……リボンが解れ掛けてるよ?」

そう言って私の頭に手を伸ばすリグル

「あっ、駄目っ」
「えっ、なに? ………痛っ」

リグルちゃんの指が私のリボンに触れた瞬間に声をあげて私と距離をとる

「これは私の力を抑える封印で、並の妖怪じゃ触る事も出来ないの」
「…………」
「……どうかしたの?」
「うぅん、何でもないよ」

何かを考えているような素振りで答えるリグルちゃん
どうしたんだろう?

「あ、あのさ……用事を思い出したから今日は帰るね」
「あっ、ちょっと……」

私の制止も聞かずに飛んで行ってしまった
一体何だったんだろう……
まぁいいやチルノちゃんかミスチーちゃんでも探して一緒に遊ぼう





気になった私は次の日リグルの家に行ってみた

「留守なの?」

結果としてリグルは家に居なかった
でもその帰りにチルノにあった

「ねぇルーミア……何か変じゃない?」
「変って……何が?」
「何がって聞かれてもよく分からないけど……」
「なにそれ馬鹿じゃないの……」
「そ、そんな言い方する事無いじゃない」
「えっ……」

チルノは
不意に口をついて出た言葉に私自信が驚く
あんなこと言うつもりは無かった……友達を傷付ける様な事

「どうして?」

最近調子が良い事に関係があるんだろうか……






「あっチルノ……ルーミア見なかった?」
「……あんな奴知らない」
「何かあったの?」
「あたいの事馬鹿みたいって言ったの」
「…………ねぇチルノ」
「なに?」
「今日のルーミア変な所無かった?」
「…………何か雰囲気が全体的に違う気がしたけど……
 それを指摘したら馬鹿みたいって言われた」
「やっぱり……」
「ちょっと、なにがやっぱりなの?」
「ごめん、事情は今度説明するから」

そう言ってルーミアの家のある方に飛んでいくリグル

「…………何なのよ一体」





「ルーミア……居るんだろ、返事してよ」

リグルが私を訪ねて来た
……でも私は居留守を使った
またチルノみたいに傷付けるかもしれないからだ

「ルーミア……」
「…………」
「居ないの?」
「………………」
「また明日も来るね」





「ルーミア、来たよ」

予告通りリグルは私の家に来た
でも私はまた居留守を使った
前の日より違和感が強くなっているからだ……

「ルーミア、大事な話があるんだ……」

駄目……リグルまで失う訳には行かないから
大丈夫安心していつも通りの調子に戻ったらちゃんと事情を説明するから

「…………」
「…………」
ドンっ
「……っ……」

なに?何の音?

「ルーミア……ごめん、無理矢理にでも入らせてもらったよ」
「リ、リグルっ……」
「ルーミア、身体の調子はどう?」
「ど、どうって……何にも無いわよ」
「嘘ついてもバレバレだよ……鏡見てないの?」
「えっ、鏡?
「見てくればすぐに分かるよ」

そう言って部屋の奥の鏡を指さすリグル
私は嫌な予感がした……見たら何かが変わってしまうような……
でも、見ないといけない気がする

「……え?」

言葉が出てこなかった
鏡の中に映った姿は間違いなく私だった
……でも、決定的に違う部分があった…………

「成長してる?」

僅かながら成長しているのだ……

「リグル……これはどういう事」
「それはルーミアの封印が解けかけててそれが解ける前兆らしいんだ」
「解けたらどうなるの?」
「ルーミア本来の力が戻るらしいよ」
「本来の力?」
「そう、妖怪としてのルーミアの本来の力
 私みたいな弱い妖怪じゃ到底敵わないよ圧倒的な力だよ」
「本当にそんな力が私にあるの?」
「本当だよ……あの八雲紫が言ってたんだから」
「八雲……紫?」
「うん、この間ルーミアのリボンが解れてる時に嫌な予感がしたからね
 博麗神社に行って巫女に聞こうと思ったんだ……
 そしたら巫女が居なくて代わりに八雲紫が居たから聞いてきた」
「…………」
「よかったね、ルーミア」
「えっ?」
「だって、強くなりたかったんでしょ?
 強くなって巫女に仕返しするってチルノ達といつも言ってたじゃないか」
「それは……そうだけど……」
「一応……封印するためのリボンの代えは貰って来たんだ…………」
「…………」
「どうしたの? もっと嬉しそうにしたら?」
「う、うん」
「何か問題でもあるの?」
「どうしてリグルは……そんなに寂しそうな顔をしているの?」
「そっ、それは…………」
「どうしてなの?」
「なんでも、ない」
「……嘘が下手だね、リグルは……」
「どうして嘘って分かるのさ?」
「リグルの癖だよ……嘘吐く時触角がピンと立つんだよ」
「うっ、嘘っ?」
「うん、嘘だよ…………」
「…………」
「どうしてなの?」
「今みたいな事だよ」
「どういう事?」
「封印が解ける前のルーミアははっきり言って頭が良い方じゃない」
「…………うん」
「だから、今みたいなはったりも絶対に無かったし
 そもそも私を疑ったりなんてしなかった」
「……うん」
「つまり、封印が解けたらルーミアは今までのルーミアとは違う妖怪になっちゃううんだ」
「…………」
「私はそれが嫌だし、悲しい」
「で、でも……」
「それにルーミアが力をつけたら今までみたいに遊ぶこともできなくなる」
「え、な、何で?」
「私達が吸血鬼や亡霊の姫、月人と一緒に遊ぶことなんてできると思う?」
「それとこれとは話が違うよ」
「何も違わないよ……強くなれば価値観や考え方が変わる…… 
 つまり、私達に対する想いも変わるってことだよ」
「わ、私は変わらないよ何があってもリグル達の友達だよ」
「その呼び方……前はリグルちゃんって呼んでくれたよね?」
「えっ?」

そういえばそうだ……私は確かに皆をちゃん付けで呼んでいた……

「それに、チルノに対して言った言葉……前のルーミアなら絶対に言わなかったよね?」
「……………」
「今でも十分変わってるんだよ…………」

私がチルノに嫌われたのはこの解れ掛けのリボンのせいなの?
じゃあ、もう一度ちゃんと封印すれば
前みたいに仲良くできるの?

「ちゃんと封印できるの?」
「うん、八雲紫がちゃんと作ったんだから」
「じゃあ、頂戴……元に戻りたい」
「うん、勿論だよ」

私はリグルからリボンを受け取って自分の頭に結ぶ…………





「あれ?」
「……あっ、おはようルーミア」
「リグルちゃん……私どうかしたの?」
「うぅん、何も無いよ」
「…………うーん」
「そんな事より遊びにいこうよ」
「……うん」










「このリボンを結べば本当にルーミアは元に戻るんですか?」
「えぇ、そうよ」
「分かりました、ありがとうございます」
「あぁ、それと気を付けるべき事が一つあるわ」
「……何ですか?」
「それを着けたら封印が解けかけている時の記憶は無くなるわ」
「…………どうしてですか?」
「それは彼女が力を欲しないようにするためよ」
「何故力を求めちゃだめなんですか?」
「彼女が本気で力を求めたらそんな封印程度すぐに壊されてしまうからよ」
「……ルーミアは……そんなに強いんですか?」
「えぇ、本気を出せば私とも対等にやれる位の力があるわ」
「………………」
「信じられないみたいね」
「だって、今の彼女は私とほとんど変わらない力しかないんですよ?」
「彼女の能力は知ってるわよね?」
「闇を操る程度の能力……」
「そう、闇を言うのは人間の恐怖の根源…………」
「妖怪としての根源」
「そう……貴方はあの面子の中でもそこそこ賢いみたいね」
「…………」
「もうどうすれば良いか分かるわよね?」
「でも…………」
「さっきの言葉を訂正するわ……貴方もやっぱり馬鹿なのね」
「なっ」
「考えてもみなさい
 私と対等だとしてそんな危険な存在を他の奴等が放っておくと思う?」
「あっ……」
「分かったら急ぎなさい、手遅れにならないうちにね」
「はい」

私はルーミアを騙す事になったんだと思う……
でも、私はルーミアの事が好きだから危険な目に合わせたくなかったのだ……
これからもルーミアは私が守っていこうと思う
それだけを心に置いて今日も皆と遊ぶ
さて、今回の作品ですが
実は作者の先輩が本日誕生日という事でその先輩が好きなキャラ作ろうと思い作りました

誤字脱字指摘などありましたらよろしくお願いします
TEWI
[email protected]
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
>これはどういう事3:03 2010/10/14?


ルーミアは本気出したら一番強そう…
2.けやっきー削除
淡々と交わされ続ける会話に、前半はどこかしら恐怖も感じました。
結局、力を手に入れたルーミアがリグル達を…とかならなくてホント良かった!