姉妹の中で、私は末っ子。
私には、五人のお姉ちゃんがいる。
みんながみんな個性的で一緒にいれば、退屈なんてしないし寂しくない。
独りで暮らしていると、ふと会いたくなる時がある。
そんな時は里帰り。みんなの顔を思い浮かべながら。
もちろん、ママの顔も。
夢子姉さんは私達姉妹の長女。
パンデモニウムのメイドでいつも冷静。
ママのお世話から家事までたくさんの事をやっている。
魔界のナンバー2と言われる程の実力も持ち合わせていて、とっても強くて頼りになる。
そんな夢子姉さんの部屋に私はいた。
「アリス、何でまた私の部屋に?」
「だって夢子姉さんの部屋って入った事無かったんだもの。ちょっと興味が……」
「何にも無くてがっかりしたでしょ?」
夢子姉さんは苦笑する。
確かに夢子姉さんの部屋は白い壁紙にベッドとクローゼット、そして今私達が座っている椅子と丸いテーブルだけしか無く、余計なものは一切無い。
「……シンプルよね」
「気を使わなくても良いわよ。自覚してるから」
「だったらもう少し華やかにしてみたら?」
せめて壁紙くらいはもう少し明るくしてみたら良いのに。
「生憎だけど、なかなか時間がとれないからね。それにあんまり部屋にいないし」
「そっか、ずっとママのお世話だものね」
「別にそれが嫌って訳じゃないわよ。むしろ私はこの仕事を誇りに思ってるもの」
夢子姉さんはにっこり笑うと、立ち上がった。
「紅茶でも持って来るわ。せっかく休憩を頂いたんだし」
「休憩を私との話に使わせちゃってごめんね」
「あら、アリスと過ごせるなら満足よ。ちょっと待ってて」
夢子姉さんが部屋から出ていく。
私は室内に一人残される。
それにしても、本当に何も無いわね。
ベッドの下を覗き込んでみる。
えっちな本どころか、埃一つ落ちていない。
お次はクローゼット。
姉妹なんだからある程度のプライバシーは免除されるよね!と自分の中で結論を出して開ける。
中には赤いメイド服がずらっと並んでいた。
その中には青や紫といった珍しい色のメイド服もある。
手に取ってみるとタグが付いていて、『ユキ』やら『神綺様』などと書かれている。
そして『アリス』と書かれたタグが付いたメイド服も見つけた。
私が小さい頃に着ていた服を彷彿とさせる空色のそれを恐る恐る体に重ねてみる。
あぁ~……何故かぴったりだ……。
「アリス、戻ったわ」
お盆を持って戻ってきた夢子姉さんと目が合う。
「………………」
「………………」
重苦しい沈黙。
「…………似合う?」
精一杯の一言だった。
「まさか夢子姉さんがメイド服マニアだったとはね……」
「ち、違うわよ!ただメイド服収集癖と他の人達に着せてみたいという思いがあるだけよ!」
「マニアより上級者じゃない、それ……」
顔を真っ赤にしながら手をばたばた動かしている夢子姉さん。
なんか可愛い。
ママが夢子姉さんをからかって楽しそうにしている理由が分かった気がする。
「あの……神綺様達には黙っててくれる?」
「……どうしよっかなぁ~」
ちょっと意地悪してみたくなってきた。
「お願い、ね?アリス?」
「う~ん……そ~ね~……」
考えるふりをして、夢子姉さんの顔をチラッと見る。
ひやひやそわそわしているその姿は普段のクールな姿とのギャップもあり、とても可愛い。
あ、涙目になってきた。そろそろ可哀想だからやめてあげようかな?
「なんて、冗談よ。大丈夫、黙っててあげるから」
「あ、ありがとう。…………ところでアリス」
夢子姉さんの目がきらっと光った気がした。
「な、何?」
嫌な予感がする。
「これ、着てみない?」
そう言って夢子姉さんは先ほどの『アリス』と書かれたタグが付けられたメイド服を広げる。
「いや、遠慮して……」
「そう言わないで、アリスのために特注したんだから」
「やっぱり私用に……と言うか何で今の私にサイズぴったりなの!?」
「そのぐらい簡単よ。あ、そういえばアリスの人形達の分もあるわよ。
そう言って小さなメイド服を机に並べる。
「やだ、夢子姉さん怖い……」
「アリス、着てみて。きっと似合うわ」
「ちょ……じりじり近付いてこないで……」
意地悪なんてするんじゃなかった。
「捕まえた」
「あ、ちょ……怖い、夢子姉さん目が怖い」
「大丈夫よ。すぐに済むから……」
「夢子姉さんよだれ……あ、いや、きゃぁあぁあぁぁぁぁ!!!!!」
忘れていた
夢子姉さんもあのママの娘なんだ
私には、五人のお姉ちゃんがいる。
みんながみんな個性的で一緒にいれば、退屈なんてしないし寂しくない。
独りで暮らしていると、ふと会いたくなる時がある。
そんな時は里帰り。みんなの顔を思い浮かべながら。
もちろん、ママの顔も。
夢子姉さんは私達姉妹の長女。
パンデモニウムのメイドでいつも冷静。
ママのお世話から家事までたくさんの事をやっている。
魔界のナンバー2と言われる程の実力も持ち合わせていて、とっても強くて頼りになる。
そんな夢子姉さんの部屋に私はいた。
「アリス、何でまた私の部屋に?」
「だって夢子姉さんの部屋って入った事無かったんだもの。ちょっと興味が……」
「何にも無くてがっかりしたでしょ?」
夢子姉さんは苦笑する。
確かに夢子姉さんの部屋は白い壁紙にベッドとクローゼット、そして今私達が座っている椅子と丸いテーブルだけしか無く、余計なものは一切無い。
「……シンプルよね」
「気を使わなくても良いわよ。自覚してるから」
「だったらもう少し華やかにしてみたら?」
せめて壁紙くらいはもう少し明るくしてみたら良いのに。
「生憎だけど、なかなか時間がとれないからね。それにあんまり部屋にいないし」
「そっか、ずっとママのお世話だものね」
「別にそれが嫌って訳じゃないわよ。むしろ私はこの仕事を誇りに思ってるもの」
夢子姉さんはにっこり笑うと、立ち上がった。
「紅茶でも持って来るわ。せっかく休憩を頂いたんだし」
「休憩を私との話に使わせちゃってごめんね」
「あら、アリスと過ごせるなら満足よ。ちょっと待ってて」
夢子姉さんが部屋から出ていく。
私は室内に一人残される。
それにしても、本当に何も無いわね。
ベッドの下を覗き込んでみる。
えっちな本どころか、埃一つ落ちていない。
お次はクローゼット。
姉妹なんだからある程度のプライバシーは免除されるよね!と自分の中で結論を出して開ける。
中には赤いメイド服がずらっと並んでいた。
その中には青や紫といった珍しい色のメイド服もある。
手に取ってみるとタグが付いていて、『ユキ』やら『神綺様』などと書かれている。
そして『アリス』と書かれたタグが付いたメイド服も見つけた。
私が小さい頃に着ていた服を彷彿とさせる空色のそれを恐る恐る体に重ねてみる。
あぁ~……何故かぴったりだ……。
「アリス、戻ったわ」
お盆を持って戻ってきた夢子姉さんと目が合う。
「………………」
「………………」
重苦しい沈黙。
「…………似合う?」
精一杯の一言だった。
「まさか夢子姉さんがメイド服マニアだったとはね……」
「ち、違うわよ!ただメイド服収集癖と他の人達に着せてみたいという思いがあるだけよ!」
「マニアより上級者じゃない、それ……」
顔を真っ赤にしながら手をばたばた動かしている夢子姉さん。
なんか可愛い。
ママが夢子姉さんをからかって楽しそうにしている理由が分かった気がする。
「あの……神綺様達には黙っててくれる?」
「……どうしよっかなぁ~」
ちょっと意地悪してみたくなってきた。
「お願い、ね?アリス?」
「う~ん……そ~ね~……」
考えるふりをして、夢子姉さんの顔をチラッと見る。
ひやひやそわそわしているその姿は普段のクールな姿とのギャップもあり、とても可愛い。
あ、涙目になってきた。そろそろ可哀想だからやめてあげようかな?
「なんて、冗談よ。大丈夫、黙っててあげるから」
「あ、ありがとう。…………ところでアリス」
夢子姉さんの目がきらっと光った気がした。
「な、何?」
嫌な予感がする。
「これ、着てみない?」
そう言って夢子姉さんは先ほどの『アリス』と書かれたタグが付けられたメイド服を広げる。
「いや、遠慮して……」
「そう言わないで、アリスのために特注したんだから」
「やっぱり私用に……と言うか何で今の私にサイズぴったりなの!?」
「そのぐらい簡単よ。あ、そういえばアリスの人形達の分もあるわよ。
そう言って小さなメイド服を机に並べる。
「やだ、夢子姉さん怖い……」
「アリス、着てみて。きっと似合うわ」
「ちょ……じりじり近付いてこないで……」
意地悪なんてするんじゃなかった。
「捕まえた」
「あ、ちょ……怖い、夢子姉さん目が怖い」
「大丈夫よ。すぐに済むから……」
「夢子姉さんよだれ……あ、いや、きゃぁあぁあぁぁぁぁ!!!!!」
忘れていた
夢子姉さんもあのママの娘なんだ
むしろGJ。
この夢子姉さんなら幻月姉さんとうまい酒が飲めそうだ。
パンデモニウム総メイド化……
まさにメイドインヘヴン!
タイトル的な意味で他の姉妹たちとの絡みも期待していいですか!?
アリスちゃんたら、そういうお年頃か!