『いらっしゃいこいしっ! さ、入って入って』
『わっ。そ、そんなに押さなくても大丈夫だよフラン、きゃあっ』
『あ、猫っ! これもこいしのペット? 可愛いー』
『その子はお姉ちゃんのだよ。お燐、っていうの。気付いたら帽子の上に乗ってた』
『普通気付くよね? それ。ふふ、こいしは間抜けだねー』
『お燐はとっても軽いから気付かないのが普通なの。ほら、持ってみなさい』
『わっ、ホントだ。すっごい軽い…毛もツヤツヤで、触ってて気持ちいいねこの子』
『お姉ちゃんのお気に入りだからね。毛繕いとか、いっぱいしてもらってるんだよ。私もあの子たちにしてあげなくちゃ』
『あ、それ私もしたい!』
『じゃあ、また今度連れてくるから一緒にしよっか?』
『うん。忘れちゃダメだからね』
―――――
『おー、今日はお土産がたくさんある。これ何?』
『クッキーだよ。お姉ちゃんの手作り。とっても美味しいから、家からちょっと持って来ちゃった』
『へー、クッキーかぁ…ふふっ、咲夜のとどっちが美味しいかしら?』
『そうだね…咲夜さんのクッキーの方が美味しいかな? 私はお姉ちゃんのクッキーの方が好きだけど』
『ふーん、そうなんだぁ……じゃ、貰うね。お姉さんのクッキー』
『…そうだっ、私、紅茶淹れてあげるよ。この前お姉ちゃんから教えてもらったんだー』
『そうなんだ。じゃあ、早速淹れて貰おうかしら。咲夜ー? ティーセットとメイド服持ってきてー』
『…え。な、なんでメイド服?』
『だって、紅茶を淹れるといえばメイドの役目でしょ? それに、服汚しちゃうといけないし』
『そんなの聞いたことないし、服汚すほど下手じゃないよ! …ぜ、絶対に着ないからね』
『ふふ、そんなこと言うなら、絶対に着させてあげる。あ、咲夜。それ貸して、服の方ね』
『な、なにするつも…きゃあっ!? ふ、フランっ?! ちょ、やめっ』
『こいしが力で私に勝てるわけないよねー? さあさあ、フランお姉さんが脱がしてあげるから大人しくしなさい』
『だ、ダメだってばフラ…ひゃっ、や、やめ、きゃあっ! ど、どこ触ってるのフラ、ゃあっ!』
『こいし私よりも胸おっきいんだねー。ちょっと嫉妬しちゃうかも。白いキャミソールも可愛いし…ふふ、パンツはどんなのかなぁ?』
『っ!? ま、待ってフランっ。分かった、着る、自分で着るから離してっ!』
『はーい。もう、最初からそう言えばよかったのに』
『だ、誰も好き好んでこんな服着たくないよっ…理由意味分かんないし』
『まあまあ。じゃ、早く着替えて? 今すぐね』
『…えと、ここで着替えるんだよね?』
『そだよ。いちいち上でなんて面倒だし、認めないよ?』
『じゃあ早く出てってよ』
『ここは私の家で部屋です。そんなこと言う権限こいしにはありません』
『…じゃあ、部屋の外で着てくるから待っ』
『外は寒いから、そんなことも認めません。今すぐここで着替えて?』
『そ、そんなの絶対やだよっ! フラン見てるじゃんっ!』
『じゃあ後ろ向いといてあーげる。それでも嫌って言うなら…私が着せちゃうよ?』
『……ぜ、絶対見ちゃダメだからね?』
『分かってますよー。さ、早く早くっ』
『うぅ、あんなこと言うんじゃなかった……お燐も見ちゃダメだよ…?』
―――――
『…パンツも白なんだね』
『っ!? ふ、フランっ!? お、お燐もなんで見てるのーーっ!!??』
―――――
『可愛い…こいし、めちゃくちゃ似合ってるね…』
『うぅ、恥ずかしいよこんな格好…スカート短いし…足スースーする……』
『うちのメイドはそれで普通ですっ。じゃ、準備も出来たことだし、早速お願いね』
『はぁ…はいはい、分かりましたよーお嬢様』
『…こいしからそう呼ばれるのって、なんか良いかも』
『く、クッキーでも食べて待っててねフラン』
『はーい』
『味、変じゃない?』
『ううん、そんなことない。とっても美味しい…』
『ふふ、ありがと。お世辞でも嬉しいよ?』
『そんなんじゃないよっ! その、なんて言うか…さっきこいしが言ってたことと一緒なの』
『? 私が言ってたこと?』
『クッキーのこと。こいしはお姉さんが作った方が好きって言ったよね? それと同じなの。味は咲夜が淹れた方が良いけど…私はこの紅茶の方が、好き』
『…はは、なんか照れ臭いや……メイド服はやだけど、そんなので良かったらいつでも淹れてあげるよ』
『じゃあ私も、次こいしが来るまでに淹れ方覚えて、淹れてあげるね』
『ふふ、その時はフランもこの服着てくれるの?』
『っ……こいしの、ため、なら…って、な、なにニヤニヤしてるのよっ!? もうっ、こいしも早く食べて飲みなさいっ!』
『はーい。…フランのメイド服姿、楽しみにしとくねっ?』
『………ばか』
―――――
『――時…もうそんな時間かぁ』
『…帰るの?』
『うん、そろそろ晩ご飯だから。…お菓子いっぱい食べたから、あんまりお腹すいてないんだけどね』
『…それなら、まだ帰らなくても大丈夫じゃないの?』
『うーん、そうなんだけど…なんか、お姉ちゃんが待ってる気がするんだ。…私とお燐を待って、ご飯食べてなかったら可哀想だし』
『じゃあ、お燐にだけ帰ってもらえばいいじゃん。お姉さんこの子の考えてること分かるんでしょ? こいしが帰って来ないってことも分かるから、ご飯も食べてくれるよ』
『それもそうなんだけど………やっぱ、今日はもう帰るね。来るときお姉ちゃん寝てたから、声かけてないんだ。心配させちゃうといけないし。…また、近いうち遊びに来るよ』
『………』
『着替えるから、そこの私の服取って?』
『…え、えと、フランさん?』
『…なによ』
『いや、なによ、じゃなくて、早く服渡してほしいんだけど……』
『……やだ』
『はぇ?』
『帰りたいなら勝手に帰ればいいじゃん。お姉さん待ってるんでしょ』
『お、怒ってるのフラン? てか、こんな格好で帰れるわけないでしょ? 早く服返してよ』
『…なによ、服服服服。自分の服じゃないと家にも帰れないの? …ふんっ、そんなんだからいつまでもキャミソールなのよ。こいしのぺたんこ。白パンツ。シスコン』
『な、なんで服返してって言っただけでそこまで言われなくちゃいけないのっ!? あとフランには言われたくないよ!』
『う、うるさいっ! 早くお姉さんとこ行ってあげなさいよっ! …待ってるんでしょ……ばかこいし』
『…! ふ、フラン? な、泣いてるの……?』
『うっさい…泣いてなんか、ないっ……』
『泣いてるじゃんっ!? どうしたのフランっ!?』
『うぅぅ、こっち見るなぁ…ばかこいしぃ……』
『ふ、フラン……』
『早く、おねえさんとこ…』
『帰ってあげなさいよぉ……』
『っ!! ふぁ!? んな、なぁっ!?』
『お燐…お姉ちゃんに、今日は帰らないって言っておいてくれる?』
『へっ? こ、こいしっ!? て、てててかなにしてるのっ!?』
『? 抱きしめてるんだよ? フランがおかしくて…可愛いくて』
『ぅなっ!?』
『だって、私に帰ってほしくなくてあんなことしたんでしょ? おかしいよ。素直にそう言えばいいのに』
『う…』
『でも、それが出来ないから泣いちゃって。…ふふ、可愛い』
『あぅ…』
『寂しがり屋のフランのために、今日はこいしお姉さんがずっと一緒にいてあげるねー?』
『…寝るときも、だよ…?』
『…え』
―――――
『ね、ねぇフラン。冬なのになんでパジャマキャミソールなの? 肩とか脚とか出てるから、寒いんだけど…それにこれ、恥ずかしいし……』
『大丈夫だよ。ベッドに入ればあったくなるから。それにこいし、とっても可愛いよ?』
『ぅ…そ、そんなこと言われても、恥ずかしいよ…だってこれ、ちょっとパンツ見えて……』
『もう、ホントこいしは恥ずかしがり屋だね。一緒にお風呂入ったときもきゃあきゃあ言ってたし』
『あ、あれはフランがヘンなことするからでしょっ!?』
『ヘンなことなんてしてないもーん』
『したよ…む、胸触ってきたり、私のタオルとったり、ヘンなとこ見ようとしたり…フランって、スイッチ入ると急にスケベさんになるよね……』
『!? すっ、スケ』
『私だからまだしもっ、他の娘にこんなことすると嫌われちゃうよ…?』
『…しにしか』
『えっ?』
『こいしにしかそんなことしないよっ!!?』
『………あ』
『それってどうゆう……』
『ち、違うのっ! そ、そういうことじゃっ…ない、こともなくて……えと、だから、その…』
『…』
『こ、こいし、もう寝よ? ほら、さっきお風呂入ったし、こんな時間だから眠たいでしょ?』
『…ね、寝るだけ、だよね……?』
『ね、ねねね寝るだけだよっ!!??』
―――――
『………』
『………』
『………』
『………』
『ぅゃっ! ふ、フランっ?』
『…ちょっと寒いから、寝れなくて…それに、こうした方がこいしもあったかいでしょ…? ……いや? 』
『い、いやじゃないけど……抱きつくなら、えと、前からにしてほしい、かも……』
『…ホント? じゃあ、こっち向いて?』
『…やっぱり、後ろか』
『ダメ。今さっき前からって言ったもん』
『そ、そうだけどっ…考えてみたら、そっちのが、その……きゃっ! ふ、フラっ……』
『こいし、あったかい…いい匂いする……』
『いい匂いなんてしないよ…ふふっ、や、やめて、く、くすぐったい……』
『髪さらさらだね…首も、白くてきれい…ホントに、いい匂い……』
『ぁっ…ふ、フランくっつきすぎだってっ…こんなんじゃ寝れないから、ちょっと離れ…ひぁあっ!?』
『ふふ、ヘンな声…もっと舐めちゃおう…』
『ひっ!? ゃぁあっ…! や、やめっ…ひあぁっ! ふ、フラっ』
『ひあぁ、って、こいし、可愛い…くび、弱いんだぁ……』
『だめ…ほ、ホントに、ゃっ、そ、そこは、んぁっ、だめぇぇ……!』
『…ごめん、こいし。もう、我慢できないかも……』
『ふぇぇ…? ふらん…?』
『大丈夫…ちょっとだけ、ちょっとだけだから……』
『な、なに、いって』
『痛いのは、最初だけ、入ったときだけだから…あとは、とっても気持ちいいから……』
『え、な、なにする…い、いたい。力入れすぎだよフラっ』
『だからっ』
『暴れないでね…?』
『…えっ? いッ…!?』
『ふあぁあぁっっ!!』
―――――
『――――んっ、はぁ、あぁ…ありがとね、こいしぃ…とっても、美味しかったよぉ……?』
『…どうしたのぉ? こいしぃ…なんで、黙ってるのぉ…?』
『…ふふ、そんなに気持ちよかったんだね…ホントに、気絶しちゃってる……』
『……大好きだよ、こいし』
『――――…ふふ、えへへ……』
ニヤニヤが止まりません。
文章に関して。会話文だけの構成が逆に良い味を出していたと
そしてお燐、よくやった。
あとがきの続きも待ってます。
まさかこんな形で現れるとは…
お燐読んでるさとりさんはもっとスケベですけど
この会話の応酬が心地よかったです。特に後書き。
テンション上がっちゃうフランも可愛かったです