Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

お姉様なんて

2010/10/05 11:17:09
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キライ……

キライ……

オネエサマナンテ……

ダイキライ……



霧の湖の畔に建つ紅い館、紅魔館
ここの地下に私の暮らす部屋はある
ベットと、最低限の家具と、部屋の隅っこに壊れたおもちゃの山がある、そんなつまらない部屋だ
当然地下だから日光が入ることもない(もっとも私にとって日光は毒の様なものだから、別に構わないけど)
外の音は一切聞こえない、ただ響くのは私の声だけ
そんな暗い暗い部屋の中に、私は1人居た

ワタシは外に出たいと言った
アイツは外は危ないからダメだと言った

ワタシは新しいオモチャが欲しいと言った
アイツはすぐに壊してしまうから、古いオモチャで遊んでいなさいと言った

ワタシは自由にさせて欲しいと言った
アイツはアナタの力は危険だから、自由にするわけにはいかないと言った

ワタシのしようとすることは全部ダメ
アイツがいるからワタシは自由になれないんだ

だから
「今日で終わらせよう、お姉さま」

そう呟くと、吸血鬼の少女、フランドール・スカーレットは暗い地下室から抜け、アイツのところへと足を向けた
心にひめたキョウキとともに
その手にキョウキを持って



紅魔館の一室、紅魔館当主の部屋、つまりフランドール・スカーレットの姉、レミリア・スカーレットの部屋
そこで彼女は従者である、十六夜咲夜の淹れた紅茶を飲んでいた

コンコン―――
ドアを叩く音が部屋に響く

「誰かしら?」

カチャリ
ドアノブを捻り、ドアを開けた
「お姉さま!」
とびっきりの笑顔を浮かべながら、私は部屋に入っていった

でも
「・・・フラン、あなたには地下室から滅多に出ないようにと言っておいたはずよ」
ワタシの顔をみた途端、アイツはあきれたような顔をした
ひどいなー、こんなにかわいい妹の笑顔見れたのに、そんな反応なんて
それに、いったい何があって、どうして出てきたのかって出てきた理由を聞くよりも
出てくるなって言ってたのに、なんで出てきたんだ、だなんて
あーあ、もしかしたら気が変わるかもしれないって思ってたんだけどな

「それで、いったいどうしたのかし―――」
パリンッ
レミリアの言葉を遮る様に、彼女が手に持ったティーカップが音を立てて割れた
普通なら手に持ったティーカップが、なんの前触れもなく割れたら、いったいどうしたのか? なにか不吉なことの前触れなのか? など慌てるだろう
しかし彼女は落ち着いていた、なぜティーカップが割れたのかわかっているからだ

「なんのつもりかしら? フラン」
あわてる様子を見せず椅子に腰かけたまま、妹に問いかけるレミリア
問いかけられたフランの右手はなにかを潰したように、握り締められていた
そう、ティーカップが割れたのは、フランの力によるものだ
彼女の力はあらゆる物を破壊する能力
あらゆる物には、少しの力を加えるだけで壊れてしまう目があり、彼女はその目を自身の手の中に作ることができる
簡単に言えば、どんなものでもただ手を握るだけで、いっさい触れたりせずに破壊する事ができるのである

「お姉さまがいけないんだよ?」

姉の問いかけには答えず、そう言うと右手を姉へとむけるフラン
その直後、紅の弾幕が現れ全てがレミリアに向かって放たれた
テーブルが、床が弾幕により破壊され、爆煙がレミリアの居た一帯を包み込む
テーブルは粉々に砕かれ、床は大きくえぐられる、おそらく普通の人間だったらひとたまりもないだろう
しかし、爆煙の中に大きな黒い影が見えた
そう、普通のニンゲンならばひとたまりもない、しかし彼女は人間を超えた身体能力を持つ存在、吸血鬼である
彼女は背にある、身の丈ほどある漆黒の巨大な翼でその弾幕を防いでいた

「さすがお姉さま! こんな簡単に終わっちゃったらつまらないからね」
「いいかげんにしなさいフラン、お遊びはお終いよ」
まだそんなこと言ってる
ワタシは本気なのに、遊びでやってると思ってるんだ

早く本気をだしてよ、お姉様

フランはさっきよりも弾の数を増やし、再びソレを姉にむかって放った
さきほどよりも密度の濃い、紅の弾幕
しかし、それをなんなくかわすレミリア
その背後にナイフを構える1人の人間の姿がフランの目に入った

そういえば、咲夜も居たんだった
咲夜の能力は厄介だしなー、ジャマするって言うなら

再び魔力を右手に集め、ソレを今度は咲夜に向けようとするフラン

咲夜の事、別に嫌いじゃないけど
ジャマしようとしてるのがいけないんだよ?
死んじゃったら、ゴメンね

そして込めた魔力を、咲夜にむかって放とうとしたとき

「咲夜、下がっていなさい」
レミリアの声が響いた
どうやら、フランが咲夜を狙っていたことに気づいたようだ

「ですが、お嬢さま・・・」
「大丈夫、コレは私の問題だから」

アイツと咲夜がなにか話してる
まったく戦闘中だって言うのに、私に背をむけて話してるなんて
さすがに話し中に攻撃するのはなんかやだなー
むぅ、悪いのはお姉さまなのに、まるで私が悪役みたい

「わかりました、おいしい紅茶とお菓子を準備して待ってますわ」
「あぁ、よろしく、咲夜。あっ、それと―――」

最後になにか話して咲夜は消えていった
何を話してたかは良く聞こえなんだけど、紅茶とかお菓子とかって言ってたな
まったく、まだそんな余裕なんて

それじゃダメなんだよ、お願いだからお姉様……

「話は終わったかしら?お姉様」
そう言うと、私は返答をまたずに右手に込めた魔力をアイツに向かって放った



紅魔館の厨房の中、十六夜咲夜は主のためのお菓子を作る準備をしていた

まったく、妹様には苦労させられますわ
それにあのティーカップは今日新調したばっかりでしたのに
まぁ、愚痴をこぼしていてもしかたありませんわね
お嬢さまの為に、とびっきりのお菓子を用意しないと、それも2人分
やっぱり、妹様のこととなると甘くなりますわね、お嬢さまは

「あぁ、よろしく、咲夜。それと、あの子の分もお願いね」



部屋を埋め尽くさんばかりの弾幕がレミリアに襲いかかる
それを全てかわしていくレミリア
普通の人間であれば、避けることいや、かわそうと思うことすらできずに被弾するであろう速さで襲いかかる弾幕
しかし、人間とはケタ違いの身体能力を誇る吸血鬼である、レミリアにとっては、それをかわすことはそこまで難しいことではなかった

「やっぱりこんなじゃお姉さまに勝てないか、じゃあこれはどうかな?」

―禁忌「レーヴァテイン」―

突如フランの手に突如巨大な、炎の剣が現れた
フランの中の狂気が具現化したような紅蓮の炎を纏った大剣―レーヴァテイン―
人間ならば両手を使っても持つことはできないだろう、その紅蓮に染まる凶器を軽々片手で振るうフラン
炎の剣が一閃、レミリアがいた場所を焼き尽くす
その剣先をかわすレミリア
しかし先ほどまでのように、完璧にかわしたわけではなく、腕には炎の剣がかすめた跡が残っていた

「さすがお姉さま、かわされるなんて思わなんだよ」
そう言いながら、再びレーヴァテインを振るう

いくらお姉さまでも、これを食らえばただでは済まないはず
さぁ、どうする? お姉さま

再び自分に向けられる紅のキョウキ
それをすんでのところでかわすレミリア
しかし、剣をかわしても、剣の纏う炎に髪を、肌をやかれていく
すぐに回復するとはいえ、痛みはある
炎に焼かれる痛みに、若干顔をゆがめるレミリア

「どうしてこんなことをするのフラン!」
「お姉さまがいけないんだよ? お姉さまがいるから、私は暗い地下室で一人、自由に外に出ることもできない」
「それは、あなたを守るために」
「そうやって、あなたのため、あなたのためって、いい加減聞き飽きたよ、もっとちゃんとした言い訳考えたら?」

あえて小馬鹿にしたようにそう答えた
さすがのお姉さまでも、これは怒っちゃったかな
なにも言わず俯いてるお姉様
構えてないのに攻撃するのは悪い気がするなー
でも、さっきさんざん待っててあげたから、今度は待ってあげなくてもいいよね

そんな姉の様子を見ながら、再び振り上げた炎の剣をレミリアに向かって振り下ろすフラン


私は―――
何かをつぶやいたレミリア
そして何かを決意した、光に満ちた目で迫りくる紅蓮のキョウキを見据える

―神槍「スピア・ザ・グングニール」―

その瞬間、レミリアの手に燃え盛る炎のように紅い槍が握られる
フランのレーヴァテインと対になる、レミリアのスペルカード、グングニールである
そして、その紅の槍を炎の剣に向かって放つレミリア
グングニールとレーヴァテイン、二人のスペルカード同士が衝突し、激しい衝撃が巻き起こる
そして紅き槍と炎の剣は対消滅した
その衝撃に吹き飛ばされぬよう、レミリアは必死に足に力を込め踏ん張っていた

そこに

「まだだよ!」
フランの声が響いた

間髪いれずに弾幕を放つフラン
不意を突かれ、防御が間に合わずに今度は完全に被弾してしまうレミリア
だが体の痛みをこらえすぐに立ち上がり、体勢を立て直しフランを見つめる

なんで・・・

再び襲いかかる弾幕
それをレミリア今まで同様、ただかわしていく
しかし、体力を消耗し、被弾したばかりの体である
さきほどまでのように完璧にはかわせず、翼で防ぎながら、なんとか耐えているといった感じだ

なんで・・・どうして・・・

弾幕を防ぎきり、フランのいた場所に目を向けるレミリア
しかし、そこにフランはいなかった

目くらまし?!

そう、弾幕を放つと同時に、フランは移動していたのである
そして

シュッ―――
風を切る音が聞こえ、振り返るレミリア

その首筋にフランの爪が突き立てられた
まだ触れているだけにもかかわらず、その鋭い爪は肌を傷つけ、レミリアの白い首筋に血が1滴、筋を描くように流れていった
絶体絶命という状況、しかしなぜかレミリアは一切動こうとはしない

なんで・・・どうして・・・どうしてなの・・・

最初から感じていた疑問
それが私のなかで大きくなっていく

なんで・・・

どうして・・・

こらえきれず、私はそれを口にしてしまった

「どうして、お姉さまは私に攻撃しようとしてこないの・・・」

そう、最初からレミリアは一切フランに対して攻撃しようとはしてこなかった
ただフランの弾幕をよけ、防いでいただけ
唯一攻撃したのも、フランに対してではなく、フランの持つレーヴァテインに対してのみであった

「あなたは私の大切なたった一人の妹なのよ、あなたを攻撃するなんてことはできないわ」
「でも、そうしなきゃお姉さまは死んじゃうかもしれないんだよ、なのに、なんで!」

私の手は依然としてお姉様の首筋に突き立てられている
あと少し力を入れれば簡単にお姉様の首を貫ける
いくら吸血鬼とはいえただでは済まないだろう
もしかしたら死ぬかもしれない
なのに・・・なんで・・・

「あなたが本当にそう望んでいるなら、私はあなたに殺されたってかまわないわ。あなたのことが大好きだから」
「なんで?お姉様の言いつけを守らなんで、お姉さまにひどいことして・・・なのに、なんで・・・なんでこんな私のこと嫌いになってくれないの」
「私はあなたのすべてを受け入れるわ。どんなあなただって、私の大好きなフランに変わりないんだから」

いつのまにか私の眼には涙がたまっていた
そしてそれはどんどん溢れてくる
それはお姉さまにひどいことして、悲しんでるからだろうか
それはお姉さまに大好きって言われて、嬉しいからだろうか
そして涙と一緒に隠しておきたかった気持ちも一緒にあふれてくる

「嫌い、嫌い、大っ嫌い、お姉様なんて・・・お姉様なんて・・・」

溢れだした涙がほほを伝っていく
本当の気持ちをしゃべってしまいそうで、気持ちとは反対のことを言って自分をごまかした
でも、その気持ちは私の中でどんどん大きくなる
言ってしまったらきっと我慢できなくなる

だけど

「お姉様なんて・・・お姉様なんて・・・大好き・・・」

言ってしまった
隠しておきたかった、本当の気持ち
本当はお姉様のこと、大好きだった

だからこそ―――

「本当はわかってる、お姉さまが本当に私のためを思って言ってくれてるって・・・外に出さないのも、今の私が外に出たら本当に危険だからだって・・・私のこと、大切に思ってくれてるって・・・」

その一言で、私のなかからまるで決壊したダムから一気に水が流れ出すように
ずっと思っていた
ずっと隠していた
私の気持ちが溢れだしていく、私の口からそれらが溢れだすのを私は止めることができなかった

「でも、私を見てなきゃいけないから、お姉様も自由に外に出たりもできない、私と一緒にいるせいで、お姉様まで奇異な目で見られる・・・私のせいで・・・大好きなお姉さまにまで迷惑かけてる・・・」

立っていられなくなって、その場に力なく座り込んでしまう

お姉さまは私のこと大切に思ってくれてる
なのに、そのせいでお姉様にまで不自由な生活をさせてしまっている
それが私には耐えられなかった
だからいっそ、お姉さまに嫌われたかった
そうすれば、私のことなんて気にしなければ、お姉さまはもっと自由に暮らせるのだから

ギュッ―――
泣いていた私を、温かい感触が包んでいった
ふと気付くと、お姉さまが私をそっと抱きしめていた

「バカね、そんなこと、1度も思ったことはないわ。私は世界の中で1番あなたのことを大切に思っている。あなたのことを1番愛してる」
「・・・あったかい」

ずっと昔、よくこうして抱きしめてもらってたっけな
あったかくて、やさしくて、でも、とっても強くて、安心できて
お姉様の体温が
お姉様のにおいが
お姉様の感触が
お姉様のすべてが、わたしをやさしく包んでいる、そんな風に感じてた

心のどこかでは分かっていたのかもしれない
お姉さまが私のことを嫌いになるなんてこと、絶対にないんだろうって
そうじゃなければ何百年も私と一緒に居てくれるはずがない
お姉さまがずっと一緒に居てくれたからこそ、ワタシはワタシで居られたんだ
この暖かな体温が、ずっと私を救ってくれていたんだ
このやさしい両手が、ずっと私を守ってくれていたんだ

ギューッ―――
私もお姉様を抱きしめる
お姉様をもっと感じられるように、強く、強く

そして、今度はちゃんとお姉様の眼を見て
ずっと、ずっと伝えたかった言葉を

「お姉様、大好き」



―数日後―

「今日のおやつはフランの大好物のイチゴのショートケーキよ」
「ホント? ありがとうお姉様!」

紅魔館の一室
レミリア・スカーレットの部屋で、仲良くおやつを食べている2人の吸血鬼の姿があった

おそろいのティーカップで一緒に紅茶を飲み
2人そろって、一緒におやつを食べる
そんな光景が、あの日から見られるようになった

あの後、レミリアに迷惑をかけないよう、外のことをちゃんと知りたいとフランはレミリアに頼んだ

以前のように暗い地下室に1人で閉じこもっている時間は減り、館の中を散歩したり、日傘を借りて中庭を散策したりするようになった

そして、少しずつ外のことを知っていくだろう
いつかは、大好きな姉と一緒にいろいろな所に出かけるのを夢見ながら

「あー! お姉様、私の残しておいた最後の1個食べちゃった」
「あら? てっかりフランはもうお腹いっぱいで残してると思ったのよ」
「私がショートケーキ大好きだって、お姉様知ってるでしょ!あとでゆっくり食べようと思って残しておいたのにー」
「でも十分食べたでしょ? 大好きなお姉さまにケーキを1切れ譲るくらいいいじゃない」
「それとこれとは別! それに、それを言うならむしろ大好きなフランのためにケーキを1切れくれるべきでしょ!」
「それとこれが別だって言うなら、こっちもそれとこれは別よ」
「むぅー、お姉様フランとケーキどっちが大事なの?」
「うーん、フランとケーキか・・・」
「って悩むなー! うぅ、お姉さまなんて、大っ嫌い!」
はじめまして、SSをちゃんと書くのは初めてなので、つたない文章になってると思いますが読んでもらえたらうれしいです

レミリアとフランが普通に笑いあって、普通に喧嘩して、そんな風に楽しそうにしてるのが大好きです
そんな普通で、当たり前なことがとっても大切でかけがえのないものだと思います

文章の表現でここがおかしいとか、ここをこうした方がいいといった指摘あったらジャンジャン言ってください、今後SSかいてくのの参考にします。また誤字、脱字等の指摘もお待ちしています
イトハ コウ
コメント



1.菊花さつき削除
フランもレミリアもお互いの事を一番に考えてるというのがよく伝わってきました。
咲夜さんもレミリアの普段からの考えを理解している良い従者です。
で、フランとケーキで悩むならフランをケーキにすればいいと思います。
2.奇声を発する程度の能力削除
とっても良かったです!
やっぱこの姉妹は良いね。
3.名前が無い程度の能力削除
良かったです。
4.けやっきー削除
姉妹、いいですねぇ。
仲の良さがありありと浮かんできました。

>突如フランの手に突如巨大な、炎の剣が現れた
突如は、一か所で大丈夫だと思います。