Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

平穏とはなんぞや

2010/10/03 12:20:02
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―――博麗神社・境内


 暖かな陽気のは博麗神社の境内。
 バカの沸いてくる季節がきたと楽園の巫女こと博麗霊夢がそんな事を何となしに思いながら掃き掃除をしていた。
 ふと、霊夢は箒を動かす手を止め、視線を空へと向けた。

「バカがくる」

 ⑨ではない。どーしようも無いやつが、どーしようも無く面倒くさいことを持ち込んできたというニュアンスである。
 霊夢の見る先に居るのは、箒にまたがり、白と黒の割烹着にも見えなくもない服を着た霧雨魔理沙である。

「⑨呼ばわりは酷いぜ。折角、面白い事誘いに来たって言うのによ」
「却下。大人しくパチュリーかアリスで遊ぶか巻き込むかしなさい」

 霊夢は、それだけを言うと、魔理沙には背を向け話を聞く気は無いという意思表示もこめつつ無言で境内の掃き掃除を再開し始めた。

「せめて話を聞いて欲しかったぜ。それと、わたしに隙はないぜ」

 そんな霊夢の態度に魔理沙は動じることなく、自分の話を始めた。

「常日頃から異変解決に励むあたし達だが、」
「励むのは私。魔理沙はただの横槍の野次馬ね」

 霊夢の厳しいツッコミが入るが聞き耳を持たない魔理沙。

「たまには、異変を起こす立場になって見ようと、そう思ったわけよ!」
「本末転倒ね」
「視点を変えると、見えてくるものが変わるもんだぜ? 霊夢も一緒にやろうぜ」
「私は変えたくないわ」

 馬耳東風ね。
 平行線だぜ。

 と霊夢と魔理沙がつぶやき、互いに視線を絡ませあう。

「じゃーしかたないぜ」
「異変の前に異変解決。毎回こうなら楽でいいわ」


―――博麗神社・上空


 博麗神社の上空、二人は距離をとり、手に数枚のカードを持ち対峙していた。

「わたしのスペルカードは全部で5枚だぜ」
「そう、じゃぁー私も5枚でいくわ」
「よし、わたしが先攻をもらうぜ」

 言うが早いか、魔理沙が一枚目のスペカを掲げ、宣言した。

「恋符『マスタースパーク』」

 掲げられスペルカードが光り、宙に浮き、魔理沙は懐から取り出したミニ八卦炉を霊夢に向けた。

「やっぱ開幕マスパはお約束だぜ」

 魔理沙の持つミニ八卦炉からは放たれるのは、直径5mはあるだろう極太のレーザービーム。

「あんたの決まりごと押し付けられても迷惑」

 霊夢はそれをいとも簡単によけ、裾に付いた埃をはたいていた。

「えへへへ……。残念。外れちまったぜ」

 言葉とは裏腹に、残念さのかけらも見えない魔理沙は、光を失ったマスタースパークのスペカを帽子の中に仕舞い、箒に乗り一気に距離をとる。
 無論、マジックミサイル、ストームレーザーなどといった弾幕を忘れずに張る。

「さすが霊夢。貧乏が高じて得た当たり判定の小ささは伊達じゃないぜ」
「失礼ね! 私のこれは資質よ資質。生まれ持った才能。別に貧乏でお腹いっぱいご飯を食べれないとか、一週間サツマイモ一個で生活とかしているわけじゃないわ。これは私の性質よ」
「なんだか言い訳くさいぜ」

 魔理沙の言葉に、反論を残しつつも、無難に弾幕をよけていく霊夢。あまり大きく避けようとせず、小さい体を生かした、小回りを中心とした回避である。
 回避するばかりが霊夢ではない。
 裾から幾枚もの護符を取り出し、魔理沙へと打ち出す。護符は、箒を使い素早く逃げる魔理沙をホーミングするかのように飛んでいく。
 魔理沙は、自分を追尾する護符を確認すると、アクロバティックな軌道で護符を翻弄する。だが、霊夢も何も考えていないわけではない。手に持った大麻を振り、そこから放たれる退魔針を護符へと気をとられている魔理沙へとためらい無く放つのである。
 退魔針に気づいた魔理沙は、すかさず箒の先を90度直角に上へと向け、上空へ緊急回避していく。そのままキリモミしながら、ホーミングアミュレットと退魔針を回避していく。
 魔理沙は、ゆったりとマイペースに追ってくる霊夢を見て、自分への嘲笑を交えながら笑った。

「おい霊夢。私はどんどんパワーを上げていくぜ。そんなペースで付いてこれるのか?」

 箒の速度を上げ、それこそ縦横無尽に飛び回り。霊夢とすれ違いざまに放つマジックミサイルやストームレーザーの弾数、本数は徐々に増えていく。
 四方八方から攻め立てる魔理沙の弾幕にたいして、霊夢は眉一つ動かすことなく、最小動作のみで避けていく。
 霊夢の目はしっかり魔理沙の姿をとらえていたが、ふとした瞬間、魔理沙が視界から消えたのだ。
 そう……

「背後とったぜ。霊夢。恋心『ダブルスパーク』」

 ミニ八卦炉をもう一つ取り出し、先ほど放ったマスタースパークを2本放つ。
 放たれた2本の極太レーザーは、輝く帯を残しながら振り向こうとする霊夢の背に隙間無く向かっていった。

「く……夢符『二重結界』」

 ダブルスパークが霊夢に当たる、その瞬間、霊夢はとっさに取り出した一枚のスペカを発動させた。
 二重に張られた見えない斥力の壁。不可視の結界によってぎりぎりのところでダブルスパークの進行を受け止める。
 鮮やかな閃光を撒き散らしながら、数秒せめぎ合う2種類の力は、パリィィィーンという甲高い音をたて砕け散る。
 二人はそれぞれ光を失ったカードを拾うと帽子、袖のなかへとそれぞれを仕舞いこむ。

「やっとスペカを使わせてやったぜ」
「2枚で1枚じゃ効率悪いとおもうわよ」
「そうでもないと思うぜ。魔符『スターダストレヴァリエ』」
「ふ~ん。そう。夢符『封魔陣』」

 双方同時にスペルカードの宣言をする。
 袖から大量の呪符、相手を束縛する呪いの掛かった符を、霊力によってとめることなく次々と放出する霊夢のスペルカード。霊力によってその動きを制御された符は均一に動き、その動きは符によって紋を描き、陣となっていく。
 一方魔理沙のスペルカードは、展開した魔方陣から大量かつ色鮮やかな星の形をした魔力の弾を放出していく。これもまた、何人たりとも自分へと敵を近寄らせない、そんな密度で放ち。さながら結界のようにも見える弾幕である。
 高密度の陣、結界を形成するかのような2種類の弾幕は、双方の互いの符と魔弾にぶつかり合い。打ち消しあっていく。結果、一歩も引く事のない弾幕のせめぎ合い出来上がった。

「霊夢。符に使う紙がもったいないぜ?」
「あんた一人躾けるぐらい何でもないわよ。それこそあんたも、魔力の無駄使いなんじゃいの」
「ふっ。魔法の森はわたしの倉庫だぜっ?」
「私の符も再生紙よ」

 この程度の挑発であきらめるやつじゃない。
 二人は、互いに相手の事を、そう理解していた。

 スペルカードブレイク。
 
 ほぼ同時に二人のスペカはその力を失い、甲高いガラスの割れるような音を立て、光を失う。それを確認するやいなや二人は一気に行動する

 魔理沙は落ちていくスペカには目もくべず上空へと一気に駆け上がり、霊夢はスペカをさっと仕舞うと懐から陰陽玉とスペカを用意する。

「最大、最高、最強、出力でいくぜ」

 魔理沙が片手に握るミニ八卦炉は、その宣言が間違い出ない事を示すかのように小刻みに震え、口からは押さえきれない魔力が光となってもれ始めていた。

「宝玉、使ってあげるんだから喜びなさい」

 霊夢も、手に握る陰陽玉へ霊力を送る。その霊力は可視可能な渦となって陰陽玉へと吸い込まれていく。

 そして、同時にスペルカード宣言。

「星符『ドラゴンメテオ』」
「宝符『陰陽宝玉』」
「開海『モーゼの奇跡』」

 魔理沙のミニ八卦炉から極太の巨大なレーザーが放たれるその瞬間。
 霊夢の陰陽玉から霊力が開放され、巨大な陰陽玉のような爆発が発生するその直前。
 突如、出現した海を表す弾幕が二人の間に現れ、一気に割れる。
 その割れる海の弾幕に霊夢、魔理沙は抵抗するまもなく飲み込まれていくのだった。

「ちょっ! な、なによ」
「ぶっ!まっ!なっ!」

 抗うすべなくピチュッた霊夢と魔理沙の間には、緑の流れるような長い髪をもった霊夢とまた違うされどよく似た巫女服を着る一人の少女がいい格好でポーズを決めるていた。

「ちょっと早苗!!」
「早苗なにするんだぜっ!!」

 二人は同時にすごい剣幕で現れた少女。東風谷早苗に詰め寄ったが、当の本人は二人を気にする風もなく。

「霊夢さん! 魔理沙さん! 異変です! 妖怪退治です! さぁいきましょう!!」
「はぁ?ちょっとお前なにをいってるんだ?」
「そうよ。今の幻想郷は至って平穏よ」
「その平穏が異変なんです! 幻想郷は常に異変が起きていないといけないんです!」
「はあぁっ!? おんたその認識おかしいわよ!!」
「あながち間違いじゃないぜ。その話」
「ちょっと魔理沙!?」

 早苗のぶっ飛んだ幻想郷認識に驚愕を隠せない霊夢に、苦笑いながらもしっかりとうなずく魔理沙。
 いそぎ魔理沙の顔を見る霊夢に魔理沙は方をすくませる。

「だけどよー早苗。時には落ち着いた日もないと、疲れるぜ?」
「そんな事はありません。幻想郷は常に狂気と狂喜と驚喜に満ちているんです。いつもが新鮮フェスティバルなのです!」
「わからんでもないけどよぉー」
「理解を示すなバカ! 早苗、あんたの認識と幻想郷の常識はかけ離れてるわよ!」
「常識は捨てました! 幻想郷において常識は紙くず同然。それが常識! ではいきますよ?魔理沙さん。霊夢さん。いざ異変解決へ。いざ行かん妖怪退治へ」
「つまるところ、あんたのしたい事ってそれよね? 妖怪退治よね!?」
「まっいいんじゃね? 退屈してたところだしさ」
「それもそうね。 ……っでどこで異変が起きてるの?」

 霊夢陥落。要は掃除をサボれるそんなところである。魔理沙にいたっては退屈しのぎのイベントが起きた程度の認識である。

「私たちのいくところに異変があるんです」
「行き当たりばったりって事だな」
「それが主人公補正です!」
「鳴り物入りの新米がなにを言う……」

 こうして3人の少女は今日も幻想郷の空を舞う。
 耳を澄ませば聞こえてくるだろう、少女たちの楽しげに遊ぶ笑え声が。
 今日も幻想郷は、普段通り平和で平穏なのであった。
どうもはじめまして、悪戯の心得です。
初投稿です。

弾幕ごっこのあるSSを目指して生きたいと思います。
でも、弾幕表現は難しい。
だからがんばっていけたらがんばって行きたいと思うので、どうかなにぞと生暖かい目で応援ください。

10/4…誤字修正しました。報告感謝です。

>エクシアさん。まさにその通り!行く先々で問題を起こすに違い有りません。

>けやっきーさん。私の予想では普段動かない人がしぶしぶ解決するような気がします。

>奇声を発する程度の能力さん。まぁ結局のところなぞのままなんですけどね。

>名前が無い程度の能力さん。ナーズリンかわいいですね。あんな子に懐かれたいですね
悪戯の心得
コメント



1.エクシア削除
ちょうどいい感じに暴走している早苗さんが良い味だしてますねw

ただ、このままのノリでいくと自ら異変を作り出しそうで怖い…。
2.けやっきー削除
早苗さんのさりげない参戦にふいを打たれましたw
霊夢達が異変起こしたら、誰が解決するんだろう…

>背後とたったぜ。
とったぜ、ですか?
3.奇声を発する程度の能力削除
早苗さんwww
>霊夢達が異変起こしたら、誰が解決するんだろう…
永遠の謎だ…
4.名前が無い程度の能力削除
この早苗さんはもう駄目だwww
>霊夢達が異変起こしたら、誰が解決するんだろう…
そろそろナズーリンが自機になってもいいと思うんだ