Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

香霖堂に春が来た

2010/09/30 04:03:20
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ちょっとした作業を終えて、窓から外を覗くと、今日はいい天気だった。
 透き通る様な空には所々に雲が浮いていて、何もない青空よりかは赴きを持って僕を迎えてくれる。
 僕こと森近霖之助は、そんな外を見上げながらう~んと伸びをした。
「ん?」
 と、そこで気付く。
 魔法の森へと差し掛かる場所にある一本の桜。その桜が咲いているのだ。
「狂い咲か」
 季節にして、今は桜が咲く様な時期ではない。まさしく桜が狂ったとしか思えない現象だ。果たして、彼女が咲いた原因は何だろうか。そう思って、桜を見た時に、珍しい妖精を見かけた。
「リリーじゃないか」
 リリー・ホワイト。別名を春告精と呼ばれる彼女が、桜の根元で眠っていた。春以外に彼女の姿は見る事が出来ない。いったい何処で何をしているのか、謎になっていたのだが……
「こんな所で寝ぼけているとはね……」
 どうやら、狂い咲の原因はリリーの仕業の様だ。僕は香霖堂から出ると、桜の根元へと近づいた。リリーは桜の根を枕にしてす~す~と可愛らしく寝息をたてている。側には、お酒の一升瓶。
「……どこかで宴会でもあったのかな」
 恐らく、泥酔して今が春だと勘違いしたのだろう。この一本の桜だけを咲かせて満足したのか眠ってしまったらしい。幻想郷中を春にしてしまわなかっただけマシだろうか。そうなると、レティとチルノが異変解決へと乗り出す事になってしまう。
「もっとも、春じゃないリリーが異変の主犯なので、大した事件にはなるまい」
 そんな事を呟きながら、僕は彼女の肩を揺らす。妖精が風邪を引くのかどうかは知らないが、さすがにこのまま寝させ続ける訳にはいくまい。
「ん~……あれ、ここどこ?」
「ここは香霖堂の裏さ。春の妖精はうろつく場所でも、寝ている場所でもないよ」
 僕がそう告げると、リリーは目をパチクリとさせてから、驚き飛び上がった。まぁ、妖精だから人間や妖怪にはあまり近づかない。チルノや博麗神社近くの妖精達ぐらいだろう。
「おい、まだ酒が残ってるぞ」
 と、逃げる様にして飛んでいくリリーに声をかけるが、彼女はその言葉に応える事なく、そのまま行ってしまった。
 やれやれ、と僕は酒瓶を拾い上げる。まだ中身が半分程残っており、いったいリリーは何処からこれを手に入れてきたのか、それなりの謎が残る。
「ふむ……春以外に姿を現さないリリー・ホワイトがお酒を手に入れる方法か」
 まさか人間の里で買った訳ではあるまい。
 僕はポンと酒瓶の蓋をあけると、その答えに気付いた。
「なるほど、自分で作った訳か」
 お酒は日本酒などの類ではなく、梅酒だった。これなら、簡単に作る事が出来る。
「せっかくだ……今日は花見をして過ごすのも、悪くはない」
 僕はさっそくとばかりに、お猪口と乾物を香霖堂から持ち出し、狂い咲いた桜の前にゴザを敷いて、座る。
 お猪口にリリー特製の梅酒を注ぎ、桜の花に乾杯してから、口へと運んだ。甘さの中にほんの少しの酸味を感じる。
「うむ、美味い」
 ほんの少しの肌寒さを感じるが、それも酒の御力で感じなくなるだろう。
「春を独り占めするというのも、悪くはないかな」
 ふと、長い間、春が来なかった様な錯覚に陥る。はて、何だっただろうか、と思い出そうとするが、何も出てこない。春が来なかったあの異変を思い出すのだが、それとは違う感じがした。
 まぁ、どうでいいか。
 僕はかぶりを振って、疑問を頭から追い出す。

 香霖堂に春が来た。
 季節外れの春だけれど、僕はこれを歓迎する。
 
東方香霖堂発売おめでとーございます~♪
霖之助書きとして、これほど嬉しい事はないっす。
いやぁ、春が来たね~♪
あっはっは☆
久我拓人
http://j-unit.hp.infoseek.co.jp/
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
春だー!春がやって来たよー!!
2.名前が無い程度の能力削除
ふはははははあぁ!!
我が世の春が来たァァ!!
まさにお酒が美味しく飲めそうな話じゃあないか。
めでたいめでたいww

おつかれさまリリー、ごめんね秋姉妹……
3.名前が無い程度の能力削除
春ですよー!
4.名前が無い程度の能力削除
永い冬の時代を乗り越え、ついに雪融けの季節!

祝 東方香霖堂発売!! ばんざ~い!!×3
5.名前が無い程度の能力削除
長い冬だったな……
6.けやっきー削除
春だ、春だよ!
季節外れの桜もめでたくて仕方ない!