※このお話は「慧音と妹紅がドーナツ食べるだけの話」の後書きからの続きとなっております、先にそちらを読んで頂ければ分かりやすくなると思います
秋晴れの気持ちの良い昼下がり、僕はいつものように店内で読書にふけっていた
残り少ない頁を捲った瞬間、店の扉が勢いよく開き、客を招き入れた
「…邪魔するぞ、店主」
「既に中に入っているじゃないか、慧音」
寺子屋の教師、上白沢慧音だった
「と言うわけで台所借りるぞ、店主」
「ん?どうしてだい?」
「昨日約束したろう、ドーナツ作るって」
「あぁ思い出した、そう言えば昨日そんなこと言っていたね、台所は奥だよ」
「ありがとう、使わせて貰うぞ」
そう言って慧音は奥へと消えていき、僕は残り数頁となった本を捲り始めた
本を読み終えたと同時に台所から慧音が僕を呼んだ
「すまない霖之助、そこに紙袋があるだろう、それを持ってきてくれないか」
「どこだ?」
「えっと、多分カウンターの左にあるはずだ」
「これかい?茶色の…」
茶色の包みを持ち上げ問いかける
「あぁそれだ、持って来てくれ」
頼まれた品を持って僕は台所へと入った
「慧音、持ってきた…」
台所に入ったところで僕の思考はフリーズがかかった
「……………」
「どうした?霖之助」
そう、目の前の慧音がメイド服を着ていたのだ
「似合ってますか?ご主人様」
スカートの両端をつまんで笑顔で質問する慧音に僕は言った
「…歳を考えろ」
「お前が喜ぶかと思ったのに…」
頬を膨らませる慧音に僕はさらに質問を投げかけた
「第一メイド服なんてどこで」
「紅魔館だ、あそこのメイド長から貰った」
予想通り過ぎて泣けた僕がいた
「似合ってるか?」
またもや同じ質問を繰り返す慧音に僕は正直に言った
「…似合ってるよ」
「ありがとう、旨いの作るからな」
そして僕は台所から追い出されカウンターで本を読み耽っていた
時々聞こえてくる騒がしくも心踊る音に耳を傾けつつ本を読んでいた
メイド服の衝撃から数十分経った頃、僕は奥の間から慧音に呼ばれた
「…出来たぞ霖之助」
「分かった、お茶でも淹れよう」
「あぁもう淹れてある」
「…準備が良いな」
そう言って僕らは奥の間へと上がった
「…さぁ食べてくれ」
「ありがたく頂くよ」
僕はそう言って食べ始めた
因みに今回慧音が作ってくれたのはベルリーナーと呼ばれる独逸のドーナツ、本来ならばジャムなどが入っているはずなのだが…
「…何で唐辛子が入ってるんだ」
手を付けた一個目から大当たりとは慧音の言葉
「いや、まぁ何というかお約束?」
「ドーナツは甘いお菓子と聞いていたんだが」
「ベルリーナーは中にいろんなのを入れる悪戯があるんだ、本場に従ってみた」
「…まさか全部変な物が入ってるなんて事は無いよな?」
「当たり前だろ、当たりはそれ一個だけだ、食べてみろ」
慧音の言うとおり他の物は全部まともだった、苺ジャムなどの果物系が多くを占めていた
食べ終えた僕は台所で後かたづけをしている慧音に問いかけた
「…そう言えば今日は雨が降ると聞いたが」
「あぁそうだだから早めに帰らねば」
洗い物が済んだ慧音はメイド服を脱ぎ素早く元の服装へと戻った
「じゃ、また来るからな」
それが、慧音の別れ際の言葉だった
「やれやれ」
僕は慧音を見送り店内へと戻り、ある物を目にした
「…忘れていったか」
それは慧音のメイド服だった
「…まったく」
そう言った瞬間、外で雨音がした
「降ってきたか」
僕はそれだけ言うとメイド服を綺麗に畳んだ
雨音を聞きながら読書をしていると店の呼び鈴が鳴った
「…邪魔するぞ、店主」
慧音だった
「どうしたんだい?」
「濡れた」
「見れば分かるよ、はいタオル」
「ん、ありがとう」
見れば慧音はずぶ濡れだった
「着替えは…無いよな」
そう問いかけた僕に慧音はきょとん顔で返してきた
「着替え?あるじゃないか」
「は?」
「メイド服があるじゃないか」
慧音はカウンターに置いてあった包みを持ち上げると奥へと入っていった
「雨が上がるまでは、服が乾くまではお前のメイドでいさせてくれ」
それが慧音の言葉だった
「…仕方ないね」
僕はそう言って頁を捲るだけだった
メイド服の慧音……ヤバイ。目覚めそう。
>「…」の部分は何が入ったんでしょう、私にも分かりません
なら、続くんですよね?(期待してる目)
後、設定引き継いでるなら冒頭に注意書きぐらいはあったほうがいいと思います。
個人的に甘い慧霖、ご馳走様でした!
見たいなぁ、見たいなぁ。