Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

片思い→両想い

2010/09/28 13:19:52
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この物語は「片思い→←片思い」の続編となっております。
でも、以下の相関図だけ理解してもらえたら大丈夫です。



咲夜 ―― I Love you ―→ 霖之助 ←― 恋心?―― 神綺 ―― 溺愛 ―→アリス
咲夜 ←― 好きだと自覚 ―― 霖之助 ―― 恋心 ―→ 神綺 ←― 母親 ――アリス


< 片思い→両想い >



「I Love You」


目をつむればリフレインされる、愛の告白。

言われた方も、言った方も、すべてが変わる魔法の言葉。

恋とは魔法のようなものとは、誰の言葉だっただろうか。

想いを馳せる乙女。

想いの迷路へと転がりこむ男。

今、二人の物語が始まる。








ぜ?






「まてこら」

「いやん♪ こーりんに侵されちゃうのぜ♪」

「むしろ領地を侵されているのは、僕の方なんだけどね」

「私の物は私の物。こーりんの物は私の物だぜ」

「それは遠まわしの告白と認識していいのかい?」

「実は私、女の子にしか興味がもてないんだ」

「それは告白じゃなくて、カミングアウトだ」

「嘘だけどな」


ナレーションっぽく冒頭の言葉を言い放ったのは、僕の妹分の魔理沙だ。

日に日に成長していく姿に、少なからず寂しさを感じている……暇もなく、

毎日のように僕の店へ押し掛けては、わいのわいのと騒いでいく。

まったく、いい迷惑だ。


「だけど不思議と悪い感じはしないんだよな?」

「勝手に人の心を読むな」

「口に出してたぜ」

「う……またか」

「嘘だけどな」

「……」


カンラカンラと笑う魔理沙。

ここ数日、同じようなことをずっと繰り返している。

やっぱり女の子は、人の恋の話が大好きなのだろうか。

僕は笑い事じゃないくらいに、困っているというのに。



――I Love you



脳内に再生される言葉。

やけに滑らかに動く口元が印象に残っている。

思い出すだけで、心臓が早鐘を鳴らしだすのを自覚する。

別に告白されたのが初めてだったというわけではない。

ただ、"想い人"から告白されたのが初めてだっただけだ。


「はぁ……」

「こーりん、いい事を教えてやるぜ」

「溜息の数だけ、幸せが逃げていく。だろう? 昨日も聞いたよ……はぁ」

「む……何をそんなになやんでるんだ? 咲夜が人間だからか?」


そうではない。

人外と人間のラブロマンスなんて、この幻想郷では日常茶飯事だ。

このまえも、人里の「豚田 出武男」と妖精が結婚していたし。

そんな話はいい。

問題はそこではないのだから。


「咲夜の気持ち、考えてやれよ」

「……分かってるさ」

「だぁぁぁぁ!!」


はっきりとしない僕の態度がイラついたのか、魔理沙は大きな声をあげながら僕の胸倉を掴んだ。

無意識のうちに目線をそらそうとした僕を、真正面から睨んでくる。

顔が近く、吐息がかかる距離、というか叫んでいる魔理沙の唾液が顔にかかってる。

どうやら本気で怒らせてしまったようだ。

声が近いせいか、やたらと頭に響く。


「咲夜の何がだめなんだよ!」

「な、何をそんなに怒っているんだ魔理沙?」

「うっさい! いいから質問に答えろ!」


ごつんと、おでことおでこがぶつかった。

猛禽類のような目つきが、数センチ先にある。

その目には、話を逸らしても、目を逸らしても殺すと書いてある。

仕方がない。ちゃんと話をしないといけない状況みたいだ。

僕は魔理沙を視線をはじき返すかのように、意思を込めて言った。


「好きな人がいるんだ」


寝耳に水をさされたら、こんな顔をするのだろう。

目をまんまるにして、息をするのも忘れ、口が半開きで、肩を微妙に震わせている。

そして5秒ほど固まったと思ったら、そのまんまの姿勢で女の子がしたらいけないような顔で声を放った。


「はぁぁ!?」

「そんなに意外かい?」

「意外というか……初耳だぜ?」

「それはそうだろう。咲夜以外には言ってないからね」

「咲夜に言ったのか!?」


僕の一言一言に、ころころを表情が変わる魔理沙。

今はこんな顔をしている 

○ ○ !?
 △ 

よろよろと後ずさり、腰かけるというよりも、腰が落ちたといった感じに、ぼさっと椅子に座った。


「……いつ言ったんだよ」

「告白される前日、だな」

「前日!? もぅ、お前らなんなんだよ、馬鹿じゃねーのか。それも極め付きの」


魔理沙の言うことももっともだ。

馬鹿、なのだろう。

でも魔理沙。

恋というのは、馬鹿にならないとできないものなんだよ。

と、恋色の魔法使いに説法をしようとしたら、口を開く間もなく魔理沙が割り込んできた。


「で、こーりんの好きな人は誰なんだぜ?」

「……魔理沙、いいかい? 恋というのは馬鹿にならないと……」

「誰、なんだぜ?」


そこには恋の話にときめく、ただの少女がいた。

むしろ三角関係(咲夜と彼女は友達ではないけど)という恋のトライアングルに、わくわくしているだけかもしれない。

そして僕は、質問に答えるしか道は残っていないようだ。

僕はまた幸せを一個逃しつつ、魔理沙の質問に答えた。


「魔理沙も知っている人物だ」

「まさか霊夢か!?」

「ちがうよ。ほら、魔法の森に住んでいて……」

「アリスか! あ、あいつは容姿は淡麗だけど性格悪いし、根暗だしおっぱいも実は入れてるし厚底靴だし」


なんかすごいことを聞いた気がするけど、聞かなかったことにしよう。

そろそろ答えを言わないと、変な噂が立ってしまいそうだ。

答えを言っても噂になるかもしれないが。


「アリスじゃないよ。でも近い」

「なんだよーじゃぁ誰なんだよー」

「アリスと深い関係にある人さ」

「深い、関係……まさか、でも……冗談だよな?」


戸惑いながら上目づかいで、魔理沙は聞いた。

小さな声で、手を脚の間でぎゅっと握りしめながら。

それはそうだろう。

まさか親友の母親を好きと言われたら、僕だって冗談と思う。

けれどそうじゃない。

僕は本気で……


「好きなんだ。冗談でもなんでもなく」

「!!」


顔を真っ赤に染めた少女は、小さく「そうか」とだけ言った。

そして帽子を深くかぶりなおしながら、ゆっくりと立ち上がり、僕に背を向けた。

やはりショックが大きかったか。

さすがにこの状況では、咲夜の事も同じくらい好きになってしまった、だなんて言えない。

沈黙が場を支配する。

僕はこの沈黙を打破する方法をしらない。

恥ずかしながら、魔理沙の言葉を待つしかないのだ。

それは蔑む言葉か、それとも励ましの言葉か。

彼女の方を見ながら僕はただ、待つしかな「マスタァァァスパーーー……」


「まてまてまてまて!! どうしていきなりマスタースパークを!?」

「う、うっさい! 私もどうしたらいいのか分からないんだよ!」


涙目になりながら、ミニ八卦炉をこちらに向けている魔理沙。

臨界限界まで圧縮された恋色の魔法。

それが、あたりに光をまき散らしながら、暴力的かつまっすぐに発射されてしまった。



真上に。



「こーりんのバカやろうーーーーーーーー!!」


ばかやろうーばかやろうーろうろうろう……


天井に開いた大穴から、エコーを残しつつ魔理沙は飛び出していく。

ずいぶんと開放的になったお店に一人残された僕は、頬をぽりぽりと掻いて、さらに幸せを一つ逃しつつつぶやいた。


「今日は閉店だな」










◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 




次の日。

僕は店内で新聞を読んでいた。

もちろん天井はすでに直してある。

どうして直したのかって?

実はあのあと神綺がきて、手伝ってもらったんだ。

神綺も仕事で疲れていただろうに、すまないことをした。

今は僕の布団で、ぐっすりとお休み中だ。

言っておくが、一緒に寝たりはしていないぞ。

こほん、話がそれたね。

さて、今日の新聞には面白い記事がのっているのだ。

その内容は……



――【白黒の魔法使いがメイドに!!】

―― 紅魔館に一人のメイドが雇われた。

――彼女は霧雨 魔理沙。魔法の森に住む普通の魔法使いである。

――メイド長である咲夜さんに訊ねたところ

――「昨夜いきなりやってきて指を突き付け、私をライバルとか言いだしたのよ。

――だから、家事も出来ないのにライバルだなんて笑わせるわねって言い返したのですわ。

――魔理沙ったら悔しそうな顔をして、そんな顔を見せられたら私は快感を感じ……こほん。

――泣きながら修行させろと言うので、しばらくメイドとして雇うことにしましたの」

――この出来事に紅魔館の当主であるレミリア・スカーレットさんは、こう語っている。

――「食べ物に毒を混ぜる奴が増えた……」

――レミリアさんは取材後、きのこがぁと言いながら内股で、"お花を摘み"に走って行きました。






まさか魔理沙がメイドとはね。

ここまで読んで、僕は少し嬉しかった。

これで少しでも家庭的になってくれれば、お店の被害が減るかもと期待していたのだ。

だけど続きを読んだ僕は、お店の被害よりも大きなダメージを受けることとなる。

そこには、こう書いてあった。





――さらに本人に事情を訊ねたところ

――「家事くらいできないと、お嫁にいけないからな」

――と意味深な事を話しており……




「ふぅ……」


あぁ、また幸せが逃げていく。

というよりも、マイナスになっているのだろうな。

最近はずっとてんやわんやしている気がする。

というか、どうして……


「どうしてこうなったんだ」



頭を抱え、イスに全体重を乗せる。

やたら頭痛がひどい。

神綺に膝枕の続きをしてもらったら、治るだろうか。

もしくは咲夜の膝枕か。

それとも……


カウンターに乗せた新聞が、ずるりと落ちた。

落ちた新聞から、先ほど見ていたページが開かれる。

そこには、にこやかな魔理沙の写真と一緒に、大きな文字が書かれていた。




「待ってろこーりん。すぐに咲夜よりいい女になってやるぜ!」
友人から借りたフルメタの小説を雨で濡らしてしまったこじろーです。

魔理沙は所謂攻略対象外。でもプラスディスクで攻略できるようになるタイプのキャラです。

ネタバレ:次回、メインヒロインが出ます。
糖分セルフ補給できるレベルまでいきたいです。だばー

それではまた将来にお会いいたしましょう。またにてぃ~♪
こじろー
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
魔理沙の顔にやられたww

誤字
意外が以外になっておりますよー。
2.奇声を発する程度の能力削除
魔理沙の顔がインパクト強すぎるww
3.名も無き脇役削除
そうか、次にメインヒロイン来るか……
どうやら、次のこじろー氏の作品見るまで死ぬ事はできないみたいだな
4.こじろー削除
>1しゃま
魔理沙フェイスが脳内に再生された人は勝ち組w

>奇声しゃま
簡易的で目立つAAが使えるのが、
横書きSSのいいところですよね!

>脇役しゃまぁぁぁぁぁ
この私めに、どうか、どうか糖分をふんだんに含んだ霖之助と神綺のSSを!

神綺などうしてこんなに霖之助とお似合いなのでしょう?
5.けやっきー削除
いちいち魔理沙の反応が可愛くて仕方ないww
乙女だなぁw

>ころころを表情が変わる魔理沙。
ころころと、ですか?