Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

未来派女子高生

2010/09/25 17:41:59
最終更新
サイズ
6.46KB
ページ数
1

分類タグ


※一部、前作「未来派魔法使い」「未来派新聞記者」の設定を引き継いでいます。
 しかし、引き継いでいるのは

 ・アリスが超能力者を目指す。
 ・射命丸が念写の習得を目指す。

 という点のみです。
 その他の引き継ぎ設定は何もありません。





















「…帰りませんよ」
「帰りなさいよ」

今日の天気は、もう晴天のかけらもない曇り空。
どんより、どんよりとしていて、どうにも蒸し暑い。
そんな中、アリスさんのお宅にお邪魔中。





「おぉ、合ってたんですか?」
「これは違うわ。私の表情から予測しただけじゃない」
「むむぅ…」

常日頃から、考えていた。
私は奇跡を起こすことができる、ミラクルな女の子。
その奇跡をもってすれば、出来ないことなんて、ないんじゃないかと。
…手始めに、読心術。






「でもでも。やっぱり、私にはそういう才能があると思うんですよ」
「…」
「あ。今、何この娘自惚れてるの? って思いましたね!」
「えぇ」

やっぱり。
アリスさんは超能力を得ようと特訓してるって聞いたけど、所詮こんなものか。
ここ最近訓練を始めた、私にすら読まれるなんて。
…まぁ、私が凄すぎるっていうのもあるんだろうけど。ミラクルだし。






「でも、これも違うわ。これはあなたの読心術の成果じゃなくて、私のテレパシーよ」
「いいえ。聞くところによると、アリスさんはまだ何も習得出来てないらしいじゃないですか」
「今出来たのよ。今さっき」

まったく、素直に教えを請えば、教えてやらないこともないのに。
アリスさんったら、ひねくれ者なんだから。

…さて、アリスさんを越えた私は、さらなる境地を目指さなきゃいけない。





「私、他にも行くところがあるんです」
「知ってるわ。地霊殿でしょ?」
「…何で分かったんですか」
「超能力」

むむぅ。なかなかやる。
まぁ、読心術の話題だったし、さとりさんが浮かぶのも当然か。





「…引きとめるなら、今のうちですよ」
「…」
「あ。今、さっさと行きなさいよ。って思いましたね!」
「分かってるなら、さっさと行きなさい」

私に先を越されること、悔しくないのだろうか。
待って、私も一緒に行く。とか言ったら、考えてあげないこともないのに。
可愛げのないアリスさんは、嫌いです。




















「…」
「こんにちは」
「…」
「えぇ、私がさとり、古明地さとりですが」

古臭い地下を通り、この古臭い館に到着。
相変わらず、時代を先取りしている私には似合わない場所。
涼しいだけ、まだマシかな。





「…」
「はい。知っての通り、私にはあなたの考えが読めますが…何か」
「…」
「ほぅ、あなたにも同じ能力が?」

それにしても、趣味の悪い服を着ている。
外見と実年齢は違うだろうに、わざわざ外見に合わせた服を着ちゃって。
恥ずかしくないのだろうか。そんな、幼稚園児みたいな服。





「さっきから考えが失礼ですね。用件があるなら、早く済ませてください」
「…」
「そんなことですか。終わったらさっさと帰ってくださいね」

今日、わざわざこんな所まで来たのは、勿論理由がある。
さとりさんには、もともと心を読む能力が備わっているらしい。
そして、私もこの度めでたく、その能力を習得した。イェーイ。
つまり、心を読める二人が今、相対しているのだ。
そこに言葉はいらない。
…つまり。





「…」
「……」
「…」
「………」
「…話が、通じませんね」

言葉の無い会話が…あれ?
何で、なんで通じないのだろうか。
あれか、ちょっと話題が難しすぎたのかも。
守矢神社の歴史なんて、興味ないか。





「そういう問題じゃないでしょう。そもそも、普通の人間が私と同じ能力なんて、実におこがましい」
「普通じゃないですよ! 私、ミラクルなんですから!」
「じゃぁ、さっきの会話、再現してみせましょうか?」
「え?」

いや、それは、ちょっと。
この場に二人しかいないけど、どうにも恥ずかしい。





『あなたは、外の世界から来たらしいですね』
『アリスさんについて、どう思います? まぁ、容姿は可愛らしいですけど。私の次に』
『…好きな食べ物は、何ですか?』
『さとりさんもそう思います? ちょっと、意地はりすぎですよね。まぁ、そこが可愛いんですけど。私の次に』
『…話が、通じませんね』

…見事。
さすが、本物は違う。よっ、さとり様!





「今更、そんな適当な褒め言葉をもらったって、嬉しくありません」
「むむぅ…」
「何より。あなた守矢神社の歴史なんて、一言も語ってないじゃないですか」

だって、知らないんだもん。
うちの神社の歴史なんて、知っててもどうにもならないし。
そんなことより。私は奇跡を起こせなかったのか、ミラクルなのに。





「とにかく。用事は終わったでしょう、帰ってください」
「いや、その、まだ」
「帰りなさい」

…ちょっと、ご機嫌斜めな様子。
なんか、私自身も興ざめしちゃったし。
ここは素直に帰ることにしよう。





「…引きとめるなら、今のうちですよ」
「心にも無いことを」

分かってらっしゃる。




















地上。
やっぱり、人間は日の光を浴びなきゃダメだ。
憂鬱な気分も、こういう些細なことで癒されることが多い。
さっきは曇ってたハズなのに、夕陽がとても綺麗。




「あ、どうもどうも。早苗さんじゃないですか」
「…あぁ、どうも」
「どうしたんです? 夕陽をバックに物思いですか?」
「…まぁ、そんなとこですかね」

出会ってしまったのは、ちょっと面倒な鴉天狗、射命丸さん。
今は誰とも会わず、ただ一人で景色を楽しんでいたいのに。





「聞いてくださいよ。実はですね、最近、念写に凝ってまして」
「へぇ」
「この前、魔理沙さんのおかげで、何とか出来たんですよ」
「良かったじゃないですか」

半ば聞き流す形で受け答える。
魔理沙さんって、そんなこと出来たんだ。





「でも、どうにも続かなくて。出来たのは、魔理沙さんを写した一回だけなんです」
「へぇ…」
「その後に椛を写そうとしてみたんですけど、それがもうサッパリで」
「…椛さんのポーズが、ダメだったんじゃないですか?」
「やっぱり! やっぱり、そう思いますか!」

え、どういうこと。
成功するかどうかって、被写体のポーズにかかってるんだったっけ。
適当に言ったつもりの冗談が、彼女と同じ考えだったみたい。
…お。今、心を無意識のうちに読めたんじゃ?





「いやね、そう椛に言ったんですけど、ごまかされちゃって」
「…いや! 諦めちゃいけません、一度は出来たんでしょう!」
「え、はい。そうですけど…」
「なら、必ず出来ます! 一度あることは二度あるのです!」

そう。
私だって、一度どころか、二度もアリスさんの心を読めたんだ。
そして、今だって射命丸さんの心を無意識のうちに読んでいた。
つまり。やっぱり私は出来るってこと。絶対できる。
だって、ミラクルですから。





「…早苗さん、ありがとうございます!」
「どういたしまして!」
「出来る気がしてきました、まだまだこれからですよね!」
「そうですよ! 始めたばっかりじゃないですか!」

空元気だったけど、元気は元気。
そして、私の元気は感染する。
その元気は人から人へと感染していき、いつかは奇跡を起こす。





「成功を収めるためには、まずは守矢神社にお参りですよ!」
「そ、そうですね! すぐに行きます!」
「あ、お供え物も忘れずに!」
「えっと…松茸でいいですか?」
「十分です! ほら、早く行きましょう!」

信者も増えたことだし、きっと私のミラクルはこれから。
まだまだ、読心術を諦めるのには早い。
さぁ、奇跡を起こしてみせよう。
読んでくださって、ありがとうございました。

最近は、えらく寒い日々が続いています。
でも、こういう天気って、朝の空気が爽やかでいいですよね。
朝風呂の後の散歩なんて、世界が輝いて見えます。
そして、風邪をひきました。





追記
>唯さん
私も常識に囚われてない早苗さんが大好きです。
というよりは、暴走している様子が好きなのかもしれません。

ありがとうございます。回復しました。





>名無しさん
いえいえ、早苗さんと愉快な仲間達です。
広く浅い関係を有しているのです。





>拡散ポンプさん
斜め前…おぉ、ありがとうございます。
イメージとピッタリで、何か嬉しいです。
苦労人、椛はまんざらでもないようです。





>奇声を発する程度の能力さん
私自身も、未来派になれるよう努力しています。
未来派ワールド、もとい不思議ワールドを創り出せているようで嬉しいです。

回復しました、ありがとうございます。





>升さん
止まらないからこその可愛らしさです。
神奈子様を読心…そのアイデアはなかったです。今度使おうかなぁ。

そう、そうです!
雪の日の空気は格別ですよね!
雪が積もったままで、晴れた空だともう最高です。
風邪、回復しました。ありがとうございます。
けやっきー
コメント



1.削除
早苗さんがいい感じに暴走してますねぇ……
常識に囚われない早苗さん好きの自分としては非常に美味しいお話でした!

>あとがき
しっかりと休んでたくさん寝てください。お大事に。
2.名無し削除
これはサナアリ・・・なのか?
3.拡散ポンプ削除
相も変わらず、みんなして斜め前に突進する様子がとても面白かったです。
椛さん、もう少しだけ付き合ってあげて。

あとがきに惚れた。
4.奇声を発する程度の能力削除
相変わらずの不思議ワールドww
お大事に。
5.削除
この早苗は止まりそうにないですね
神奈子を読心すると「神の御告げを聞いた」とか言って走り出すんだ。普段会話してんじゃんよ

雪が降ると朝の空気が格別に美味しいですよね。風邪、早く治ることを祈ります。