Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

素直に

2010/09/21 04:26:51
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「あぁ…どうにかなっちゃいそう…」

姫海棠はたては、眠れない毎日を過ごしていた。

「どうしちゃったんだろ…私…」

そう呟きながら、一つの写真を手に取った。
その写真には、射命丸文が写っていた。

「あのバカ…アイツのせいで寝られないじゃない…」

はたては、その写真をぎゅっと抱きしめた。
無論、折れないように気を使いながら

「本当にバカなんだから…」

――眠れない
心のどこかで、いつも文のことが気になっていて、眠れないのだ。
本人には自覚は無い。だが、はたてはある感情を抱いてしまったのだ。

「…なんで気づかないのかしら…私の、気持ち……」

――そう、はたては好きになってしまった。
ライバルである文を…

「あー、もう…むしゃくしゃするわね!!文のバカ!!」

だが、憎めない
口ではこう言っているが、本当は好きだから――

「ふぅ…気晴らしに少し外に出ようかしら……ついでにネタがあればラッキーだし…」

そう言って、はたては、心のもやもやを払拭するかのように、全速力で幻想郷を飛びまわった。








「ん~、少し休憩しようかしら」

博麗神社の鳥居の上で休憩することにした。

普段は家に篭って念写しているから、疲れるのも無理はなかった。
全速力で飛んだから尚更だろう。

「星が綺麗ねぇ…」

まるではたての心とは正反対なくらい、明るく、はっきりと輝いていた。

「私の心も、あの星みたいに輝けたらなぁ…」

それは叶わないだろうなぁ…と思いながら、曇りも無く輝く星たちを見ていた。






「ん……あれ?寝てたのかな?…」

少しの間、眠っていたらしい。
疲れが溜まっていたのだろう。

「それにしても変な夢ね…文と話すだけの夢って…」

自分の気持ちに素直になれない――
自分の中の気持ちに気づいてはいるけど…

「星は…まだ輝いてる…か……そろそろ帰ろうかな…」

はたては、立ち上がって、宵闇に漆黒の翼を広げて飛び立った。
――夜空に輝く星を見ながら…





「…っと、到着到着ー」

全速力で飛んで、疲れているはずだったのに、体は軽かった。
行く前よりも、疲れが飛んでいる感覚だった。

「とりあえず寝ようかな…眠くなってきちゃった…」

ベットに横になるやいなや、すぐに眠りについた。
この時の夢も、文と会話している夢だった。




「ちょっとー!!はたてー!!居るでしょう!!」

少し太陽が西に傾き始めた時間に、ドアを叩く音と、愛しい人の声で、はたては目を覚ました。

「んー…って文!?」

「そうよ、貴女が言ったんでしょう?一緒にネタを探そうって」

…すっかり忘れてたはたてだった。

「あああ!!!そうだった!!ごご、ゴメン、文!!今から準備するからちょっと待ってて!!」

「仕方ないですね…早くしてくださいよ?」

「わ、わかってるわよっ!!」

はたては、パニックに陥っていた。
慌てているだけではなく、いきなり文が来たから。
心の準備ができていなかったのだろう。

「えっと…携帯携帯…あれ!?」

ポケットに入っている携帯すらわからなくなる始末である。

「はたてー、いつまでかかるのかしらー?」

「あぅ…も、もうすぐよ!!」

とりあえず、最小限のものだけ持って、はたてはドアを開けた。
そこには文が立っていた。
当然のことだが、はたてにはそれがとても嬉しく感じられた。

「おはよう、はたて」

満面の笑顔だった。
写真に撮って、永遠に取って置きたいくらいの、眩しいほどの笑顔だった。

「あ…その……おはよう…」

はたては、その顔を、まともに見ることはできなかった。

「あら?元気ないのかしら?」

「文のせいでねっ!!」

心にも無い悪口がついつい出てしまう。
いつになっても変わらない
素直になれない

「あらあら、他人のせいにするのはいただけないわね」

「う…うるさいっ!!早く行くわよ!!バカ文!!」

「バカとは失礼ですね…まぁ、いいでしょう。行きましょうか。」

こんなとき、素直になれたら…
はたては素直になれない自分を呪った。




その後、二人は、ネタを探しに幻想郷中を飛び回った…が、ネタは見つからなかった。
それでも、はたては満足だった。
大好きな文と過ごせたから――

「う~ん…ネタは見つかりませんでしたねぇ…」

日も完全に沈み、辺りは闇に包まれていた。
唯一、照らしてくれるのは、月と、輝く星たちだった。

「そうね~、でも、楽しかったからいいじゃない。」

実際、はたては大満足だった。
ネタなんかよりも大事なことだから。

「…貴女、それでいいのかしら?」

「……え?」

はたては膠着した。

「貴女は、ネタが見つからなくても良かったのかって聞いてるんです。」

「うん。別に楽しかったからね~」

当然、本心である。
楽しめただけで満足だった。

「貴女、新聞ちゃんと書く気あるのかしら?」

文からは予想外の言葉が返ってきた。

「当たり前じゃない。」

「なら、ネタが見つからなかったのに満足ってどういうことなんですか?理解できませんよ」

「そ、それは…」

今日のネタ探しは、あくまで仕事
ネタが見つからなければ意味なんか無いものだと思ってたなんて…
そう思うと、はたては悲しくなってきた。

「貴女はもう少し仕事に真剣になったほうがいいですよ。今日だってほとんど私についてきてただけじゃないですか。もっと積極的に……」

「……文は…私より仕事が大事なんだね……」

はたてにしては珍しく、感情の篭った口調だった。
だが、文は…

「当然です。貴女は仮にも私のライバルなんですから。頑張ってもらわないと……」

「……バカ…文のバカぁっ!!もう知らないっ!!」

「ちょ、ちょっと!!待ちなさい!!」

はたては飛び立った。
その漆黒の翼は、哀愁を帯びていたようにも見えた。






「グスン……バカ…文のバカぁ……」

はたては、神社の鳥居の上で泣いていた。
――私はこんなにも好きなのに…
文は…私よりも仕事なんだ…

そう思うと、涙が止まらなかった。
次から次へと、滝のように流れ落ちていった。

――ふと、空を見上げた。

「何でだろ…悲しいのに…昨日よりも光って見える……」

無論、涙のせいだ。
だが、その光景は、形容する言葉が見つからないほど美しかった。

「綺麗……」

すっかり見とれてしまっていた。
昼間に見た、文の笑顔も、これくらい…いや、これ以上に輝いていた。

「涙は止まらないのに…綺麗だよ……悲しいのに…綺麗なんだよ……ねぇ、文…なんでだろ……」

「星が貴女を癒してくれているんですよ…きっと……」

…嘘だ。
そんな筈は無い
ここに文がいるはずは無いんだ。

はたては恐る恐る横を見た。
そこには、文が居た。
宵闇に隠れて、表情は見えない

…怒っているんだろうなぁ…と、思いながら、不機嫌そうに話しかけた。

「何よ…文は仕事してればいいじゃない…」

「はたて……あの…ごめんなさい……仕事なんかより貴女のほうが大事に決まってるじゃない。」

そう聞くと、はたては、嬉しさで暴れだしそうだったが、ぐっと堪えて、不機嫌な振りをした。

「何でここがわかったのよ…」

それがわからなかった。
神社の鳥居の上に居るなんて普通は考えないだろう

「貴女、昨日もここに来てたじゃないですか。だから、ここかと思ったんですよ」

「そう……って、なんでここに来たこと知ってるの!?」

「ちょっと言いにくいんですが…貴女が急に家を出たので気になって後を追ったんですよ」

私のことを?気になって?

「何でよ?家を見張ってたの?」

「そんなところでしょうかね…すみません……」

なんでわざわざ見張ってたのだろう
なんで気になったのだろう
はたてには全くわからなかった

「あぁ、それと、貴女が昨日やってたこと、全てカメラに収めてありますよ?」

「…え?……じゃあ、家の中のも?」

「当然です。ずっと気づいてましたよ、貴女の気持ち……でも、素直になれませんでした…結果、貴女を悲しませてしまいました……すいません…」

あぁ…そうだったんだ…お互いに素直になれなかっただけなんだ…

「謝らなくていいのよ…言いたいことがあるんだけど…言っていい?」

今、私の心に曇りなんか無い――

「えぇ、どうぞ」

今なら、素直に言える――

「文…大好き……」

そのとき、月明りが二人を照らした。
目は赤いが、二人とも満面の笑顔だった。
夜空に輝く星たちにも負けないくらい、眩しい笑顔だった。

「…私もです…はたて…」

鳥居の上で、二人は抱き合った。
そのとき、柔らかな風が、二人を包みこんだ。
その風は、二人を祝福しているようにも感じた。


――今は、昨日ほど星は眩しく見えない。
それは、二人が輝いているから…星が、癒しを与えてくれたから…

「そろそろ、帰りましょうか」

「うん、もちろん一緒にね?」

「ふふふ、当たり前じゃないですか。それじゃいきましょうか。」

「うん!!」


二つの漆黒の翼は、迷いも無く、ただ真っ直ぐと、美しく羽ばたいていた――
それはまるで、流れ星の如く、光輝いていた。
なんか星って悲しいときほど明るく見える気がしたので書いてみました

題名と関係ないのは仕様です


最後まで読んでくれた方々、ありがとうございます。

未熟なので、アドバイスをいただけると幸いです。
とらんぷ
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
あやはたもっと流行れー。
2.けやっきー削除
こう、純情なはたてもいいなぁ。
夜空を見上げると、星よりも月に目がいってしまいます。
でも、どちらも綺麗ですよねぇ…
3.奇声を発する程度の能力削除
あやはた良いよ!あやはた!
4.名前が無い程度の能力削除
あやはた最高!!
さっくり読めるいい短編でした。
アドバイスをいうならば、序盤でいきなり好きだ、ではなくて、どの辺が気になるとか一緒にいてドキドキしたりするシーンなどを冒頭にもっていくと、よりすんなりと話に入れるかもしれません。
うん、でもグッジョブ!ごちそうさまでした!
5.名前が無い程度の能力削除
あやはた流行ればいいよ