・ちょっとキャラ崩壊起こしてると思われます。
・カオス成分ちょっと配合
・何か違った東方紅魔郷
それでも良いと言う男気溢れる方は20行ほど↓の本文へどうぞ。
嵐の日の紅魔館
ある日レミリアは思った。
日傘で外を歩けるのだから何かで日光をさえぎってしまえば何時でも外へ出かけれると。
本の虫である引き篭もりの親友に協力してもらい、準備は整った。
深夜紅い霧を出し、幻想郷を覆いつくす。朝になれば外は大騒ぎだろうが、忌々しい太陽の下を堂々と歩けるのだ。
そう期待してついにその日は来た!!
◆
[朝]
「どうしてこうなった」
朝、珍しく起きていたレミリアがまずカーテンを開け、外を見た。
外に広がっていた光景は、想像とは違うものだった。
空を覆いつくす黒。荒れ狂う木々。波が押し寄せる湖畔。窓を割るかの如く叩きつける大粒の雨。窓を壁を部屋を館を揺らす暴風。
台風だ。
紛れも無く台風だ。
とにかく台風だ。
何が何でも台風だ。
豪雨に雨の妖精が騒ぎ、暴風に風の妖精が踊る。楽しんでますよこいつら。まあ妖精だし。
時々吹き飛ばされ、木にぶつかって一回休み。哀れ。
まあ明日になればきっと同じように吹き飛ばされて同じようになる。エンドレス。まあ妖精だし、いつものことだ。
そんなことはどうでもいい。
こんなんじゃ霧を出しても全く無意味である。どうしてくれよう。
今日の昼に起きるために夜は早くに寝たというのに。
夜まで寝すごそうにも全く眠気が無い、どうしようもない。
◆
[図書館]
「昨日から興奮してドキドキワクワク、いつもなら夜起きるのに夜寝て朝に起きる、そんな慣れないことしたから7時間しか寝れなかった私の楽しみと睡眠時間を返せ!」
「愚痴なら鏡にでもしてて頂戴レミィ。朝っぱらから五月蝿いわ何しにきたのよ。」
「暇を潰しに来たのよ。」
「外でも散歩してきたら?」
「それができたら苦労しないわよ!殺す気か!?」
「まさか。」
本から一切目を逸らさずこの会話である。こいつ本当に友人なのかちょっと疑問に思い始めた今日この頃。
仕方なくその辺りから本を持ってきて読むことに。
だが集中力がそこまであるわけでもないレミリアは、本を読むのも飽きてくる。
なんとなく周囲を見ると、何故か近くの机で同じく本を読んでいる美鈴がいた。
「何で貴女がここにいるのかしら?門番はどうしたのよ。」
「あ、お嬢様。いや~、ちょっと今日は趣向を変えて内側から門番してみようかと思いましてね?」
「あらそれは斬新ね美鈴。今度私も趣向を変えて外で魔法の研究でもしてみようかしら。」
「パチェ?いきなりあんたがそんなことしたら、確実に日射病になるからやめなさい。それと美鈴。じゃあ外の門番はどうしたの?」
「雨風に強い妖精に任せてきましたから大丈夫です。」
なにが大丈夫なんだよと言いたくなったが、要するに門番サボったということである。
「お前門番なんだからちゃんと門の外に立ちなさいよ。」
「お嬢様はこんな風の中私に外に居ろとおっしゃるのですか。吹き飛んじゃいますよ。」
「気でもなんでも使って門番やりなさいよ。貴女そういうの得意でしょ?」
「だって面倒じゃないですか。」
なにこの門番。
「~だから無理」とかじゃなく、面倒という辺りが憎い。
できないとは言ってないから。むしろできるけどやってないという辺りが憎い。
やる気あるのか、不夜城レッドかますぞこの野郎と殺気を込めた視線を送るレミリアだが流される。
主人に対してこの対応のこの門番、大丈夫かこの館。
殺気なんて物ともしない〔気を操る程度の能力〕って厄介なものだ。
図書館は他の部屋と比べて防音効果とか、耐久性とか色々高性能である。パチュリーの魔術によってただでさえ高い性能がさらに高い。
だから雨の音もほとんどないし、風による振動も感じられない。全員が本を読んでいるのならば静寂のみが空間を支配する。
ぶっちゃけ、本に飽きたレミリアにしてみれば凄まじく暇である。
「咲夜ー!」
「いかがされましたかお嬢様。」
目の前にいきなり現れる咲夜。
普通は驚くが、この程度で驚いては吸血鬼を名乗れない。
「本にも飽きて暇だから紅茶でも持ってきて。」
「あ、私もお願いします。」
「なら咲夜私もついでにお願いね。」
「かしこまりました。ところで何で美鈴がここに?」
「雨宿りよ。」
「雨宿りなら仕方ないわね。」
「仕方なくねーよ!門番やれよ!仕事しろよ!お前も注意しろよ!」
言い終わる前に既に咲夜の姿は消え、咲夜の居た場所にはトランプが撒かれてる。瀟洒である。そしていつの間にかそのトランプも消える。
時を止めて片付けるくらいなら撒かなければいいのに。
完璧で瀟洒を名乗ってるのにちょっと天然。……それって本当に完璧なんだろうか?
◆
[図書館・ティータイム]
静かな空間で優雅なティータイム。
外では台風によって大荒れなのに、室内はまるで別世界である。
ちょっと埃っぽいのが難点ではあるが。
その優雅な一時も、突如両手を交差させつつ壁を突き破ってきた門番妖精によって破られる。
流石の図書館もちょっと揺れた。
壁を壊した犯人は華麗に受身をとり、勢いを殺さず回転を加えながら、様々な技を繰り出しつつ美鈴の前で美しく停止。
この妖精、メイド長ではないのにパーフェクトである。
あの壁どうするんだ、直しとけよ。というレミリアとパチュリーの視線を華麗に受け流し、報告する妖精。スルースキルは高い従者たちだ。
「美鈴さん、外で血の雨が降ってます!」
「それレミィが出した霧が雨に混ざっただけでしょう。別に気にしなくていいと思うわ。」
「あ、そうなんですか。じゃあ別に何でもありません、失礼します。」
そう言うなり、今度はバク転を連続で繰り出しつつ開けた穴を通って戻っていく。
スカートの中が一切見えない辺り、やはりパーフェクトである。
さらに壊れた壁を修復していくのを忘れない。その間僅か十数秒の早業。こいつ本当にただの妖精か?
ただ紅い霧で日光を遮ろうと思っただけなのに、結果は幻想郷中に血の雨(血じゃないけど)を降らすという、クレイジーなイベントを提供してしまったようだ。
まあ紅い霧も十分怪現象なんだが、血の雨となるととんでもない怪現象だ。
「じゃあ、幻想郷中大騒ぎかも知れないわね。」
「のんびり外見ている暇なんて無いと思うわよ?これだけ酷い嵐なんですもの。」
「異変だ異変だって騒いで退治屋とか来ないかな~。良い暇つぶしになると思うんだけど。」
「お嬢様、私の仕事増えるんでやめてくださいよ~。」
「あんた今仕事してないじゃない。サボってるじゃない。」
「あ、ばれました?」
「美鈴、サボりは良くないと思うわよ?」
「咲夜。貴女仕事は?」
「雨宿り中ですわ。」
「お前もサボリかよ。」
本当に大丈夫かこの館。
◆
[嵐が去った後]
血の雨が降るという怪現象があったのに、結局退治屋は来なかった。
あの雨と風の中、異変解決の依頼を出しにいくのは自殺行為だろう。
妖精達も騒いだが、ほとんどは珍しいこともあるもんだと騒いだだけだった。
妖怪達も珍しいことだと思ったが、別にどうにかしようとは思わなかった。
人間達は騒いだが、嵐の中、巫女に依頼をしにいくような勇者は居なかった。
結局だれも何もせず、嵐が去った後、何事も無かったように忘れられたのである。
後に紅霧異変と呼ばれた事件を解決した二人に、この日のことを聞くと。
○紅白の巫女
「あんな雨の中外に出たら風邪を引くじゃない。」
○白黒の魔法使い
「あんな嵐の中外に出たら風邪引くぜ。」
いい雰囲気です!
いやぁ、真っ当な意見すぎて何ともww