流れ往く風が涼しくなってきたと感じる今日この頃、私は香霖堂にいた
「…ねぇ霖之助、さっきからドカンドカン鳴ってるけど何?」
「確か今日は自警団の駐屯地で花火大会があった気がするんだが…」
「えっ?花火?どこどこ?」
私は霖之助の言葉を聞き窓へ駆け寄る
「…見えないよ?霖之助」
「そりゃそうさ、無名の丘方面の駐屯地でやってるんだ、こっからじゃ見えないよ」
「な~んだ」
「…そうだ、ちょっと待ってろ」
そう言うと霖之助は店の奥に消えていった
数分後、霖之助は何かを持って奥から現れた
「…お待たせ」
「何それ?」
「ん?線香花火」
そう、おもちゃ花火の代表格、線香花火だった
「やる?」
笑顔で問いかける霖之助、答えは一つだけ
「うん!」
森は既に暗闇に包まれ、私と霖之助は店の外に出た
「…線香花火ってさ、何か最後にやるって感じしない?」
「まぁそうだな、でもこれしかないから最初から最後までこれだけだ」
そんな会話をしつつ火を付ける
「あっ着いたー」
「しけて無くて良かった」
端に着いた火は瞬く間に燃え移り先っぽに火の玉を作る
「………」
「………」
無言で和紙の紙縒を掴み、火の玉を見つめる
「「あっ」」
その瞬間、風が流れ私と霖之助の火の玉が同時に落ちた
「…ふふ」
「…ははは」
私と霖之助は顔を見合わせて静かに笑った
「まだ沢山あるよ、やるかい?」
「もちろん」
火を付け灯りがともる、か弱くも儚くも一瞬で消えようともその光りは暗闇の森でその存在を誇示していた
「線香花火ってさぁ、何でこう一本一本丁寧にやんなきゃ駄目なの?」
「なんでだろうね」
「…一気にやっちゃおうよ」
「乱暴だなぁ天子は」
そう言いつつ私は束をほぐしてゆく
「…羨ましいよね」
「何がだい?天子」
「線香花火に限らずさ、花火ってその一瞬一瞬で全てを出し尽くすじゃん、それって羨ましいよ」
「確かにそうだね、そうかもしれないね」
私の言葉に霖之助は微笑みながら言った
最後の一本が消え、霖之助は静かに口を開いた
「終わりだね、夏も」
「…うん」
火薬の臭いが、涼しい風に攫われ、私は夏の終わりを知り、秋の訪れを感じた
「…ねぇ霖之助、さっきからドカンドカン鳴ってるけど何?」
「確か今日は自警団の駐屯地で花火大会があった気がするんだが…」
「えっ?花火?どこどこ?」
私は霖之助の言葉を聞き窓へ駆け寄る
「…見えないよ?霖之助」
「そりゃそうさ、無名の丘方面の駐屯地でやってるんだ、こっからじゃ見えないよ」
「な~んだ」
「…そうだ、ちょっと待ってろ」
そう言うと霖之助は店の奥に消えていった
数分後、霖之助は何かを持って奥から現れた
「…お待たせ」
「何それ?」
「ん?線香花火」
そう、おもちゃ花火の代表格、線香花火だった
「やる?」
笑顔で問いかける霖之助、答えは一つだけ
「うん!」
森は既に暗闇に包まれ、私と霖之助は店の外に出た
「…線香花火ってさ、何か最後にやるって感じしない?」
「まぁそうだな、でもこれしかないから最初から最後までこれだけだ」
そんな会話をしつつ火を付ける
「あっ着いたー」
「しけて無くて良かった」
端に着いた火は瞬く間に燃え移り先っぽに火の玉を作る
「………」
「………」
無言で和紙の紙縒を掴み、火の玉を見つめる
「「あっ」」
その瞬間、風が流れ私と霖之助の火の玉が同時に落ちた
「…ふふ」
「…ははは」
私と霖之助は顔を見合わせて静かに笑った
「まだ沢山あるよ、やるかい?」
「もちろん」
火を付け灯りがともる、か弱くも儚くも一瞬で消えようともその光りは暗闇の森でその存在を誇示していた
「線香花火ってさぁ、何でこう一本一本丁寧にやんなきゃ駄目なの?」
「なんでだろうね」
「…一気にやっちゃおうよ」
「乱暴だなぁ天子は」
そう言いつつ私は束をほぐしてゆく
「…羨ましいよね」
「何がだい?天子」
「線香花火に限らずさ、花火ってその一瞬一瞬で全てを出し尽くすじゃん、それって羨ましいよ」
「確かにそうだね、そうかもしれないね」
私の言葉に霖之助は微笑みながら言った
最後の一本が消え、霖之助は静かに口を開いた
「終わりだね、夏も」
「…うん」
火薬の臭いが、涼しい風に攫われ、私は夏の終わりを知り、秋の訪れを感じた
時機外れとか夏終わってるとかそんな事はどうでもいいッッッ!
私はッ!天霖が見たかったんだ!
感謝する、投げ槍様ッッッッッ!!!!!
良い天霖でした!
羨ましいです、ホントに。
そういえば、最近、花火見てないなぁ…