Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

言の葉の誓い 後編

2010/09/09 17:28:20
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地震発生から数十分前、永遠亭




「ナズーリン、まだ天子さんは見つからないのですか?」

「ああ、すまない御主人。まるで結界か何かに阻まれているかのように天子の方向や流れを探知できないんだ。部下にも捜させてるけど…」

「駄目だ、幻想郷中飛び回ったけど天子いないぜ」

「天子…」

「大丈夫よ、チルノ」

そう言うがさすがにあの手紙は無いだろうと思い永琳は溜息を隠せない。



『チルノへ

ゴメン、ありがとう。さようなら。

重要な決戦の日の前日くらいチルノと一緒に居たかったけどそれは無理みたい。

チルノを確実に救う方法を見つけたけど、それを行うには今から準備しないと間に合わないの。

その方法は人柱。

前回の様に強制的に止めるのではなく自分を支点に力場や陣を構成し地震を相殺させる。

今回はこの方法で行くつもりだけど、地震の規模を軽く見積もっても確実に体に相当負担がいくと思う。下手したら死ぬ。

いままでチルノと一緒にいて楽しかった。

一緒に弾幕ごっこをしたりかくれんぼをしたり、あと一緒に湖で泳いだり。

それにあの時、チルノが紫のほぼ本気の弾幕を弾き飛ばしたのはびっくりした。強くなったんだよね。

チルノはいい子だしさ、チルノはもう一人ぼっちじゃない、大切な友達に囲まれている。

それなのに地震なんかのせいでチルノやチルノの友達が死んじゃうなんて私は耐えられない。

でも、大丈夫。私はチルノ達が無事なら悔いはないから。

自分勝手だけどごめんね。



チルノ



好き、大好き、愛してる。



じゃあね。天子より』



「…天子の馬鹿…」

「チルノ?」

「天子は馬鹿だよ。自分が思ってるより愛されてるのに気付かないで一人で勝手に突っ走って…」

「………」

「天子の馬鹿…」




―――だってあたいはいつだって天子が好きだよ、大好きだよ…ずっとずっと前から天子をあいしてるよ…。だから…




「もう一度会いたい…いやずっと一緒に!あたいはいつだって天子の傍にいたいよ!!」

チルノは外に向かって叫ぶ、その時――

「――――!!来た!!!現位置より北北東!!距離は約105km!!!」

「よし!霊夢!!瞬間転位を!!」

「ちょっと待ってて!向こうに座標をセットするのに時間がかかる!!」

「分かった!!」

「あら、お出かけ?それなら私も行くわ」

「ん?…お前が出てくるのは珍しいな」

そこには輝夜が立っていた。

「あら、私だって役には立つわよ?」

「…分かった」

「ふふ、ありがとう。それと…星さん?」

「あ、はい」

「ちょっと着いてきてくれるかしら?」

「?分かりました」

「出来たわ!!」

「待って、あたいもつれてって」

「チルノ?」

「足手まといって分かってる。でも天子の所に行きたい」

「…分かった、行くぞ!!!」


こうしてチルノを含めた5人は永遠亭を出発した。



霧の湖、西側




「ここよ」

「ここは…」

辺りは先の地震で景色が変わっていたがあの時、チルノと初めて会った場所だった。

「地震発生予定場所は幻想郷の中心部の東側だから大体此処で会ってるわ」

「…うん」

「…天子」

そっと紫に抱きしめられる。

「大丈夫、私は貴方を死なせはしません。それに貴方を待ってる人が沢山います」

「……」

「貴方はチルノに出会ってから明るくなった。強くなった。それに優しくなった。もう例えば天人達にだって貴方を嫌う者もいないでしょう」

「………」

「もちろん私だって待っています。…それに、一番貴方が帰ってくる事を望んでいる者がいます」

「紫…」

「これから貴方が発動させる術式は私が居ては邪魔になるでしょうから出て行きますが…あなたなら大丈夫」

「…うん」

「…そろそろ時間ね」

「あ…」

紫が私から離れる。

「それじゃあ、天下無敵の幸運を」

「…ありがとう、お母さん」

紫は驚いた顔をしたが笑って言ってくれた。

「頑張って、愛しの娘」

そう言って紫は去った。





























『いい?天子』

『何?』

『貴方は確か人柱に結界術を加えて地震を打ち消すって言ってたわよね』

『うん…それが?』

『結界は元々秩序を維持するために区域を限ることを指すのよ』

『うん』

『確かに貴方は要石を使えるしいい考えだとは思うけど…』

『けど?』

『結界は局所的に世界を切り取ると言ってもいいわ、だけど今回の地震だと貴方は補助があっても耐えきれないと思うわ。私でもきついもの』

『………』

『天子』

『?』

『もっと人を頼りなさい、誰しも一人で生きていけないわ』

『うん』

『貴方は何でも一人でやろうとする、全部を抱え込もうとする』

『うん』

『いつもじゃなくてもいいわ。たまに誰かを信じなさい、たまに誰かを愛しなさい』

『分かった』

『宜しい。それじゃ術を教えるわ』

『お願いします』

『そんな感じで他の人にもね』

『…うん』





























「…紅き霧よ、春の雪よ」

天子が非想の剣を突き刺し詠唱を始めると周りの何十もの要石と御柱に刻まれた術式が光り始めた。


―――『あたいは天子の事が好きだよ。また明日遊ぼ?』


「鬼の鎖よ、永き夜よ、六十年の死妖花よ」

天子の周りに陣が広く大きく展開されていく。


―――こんな時まで私はこんな何気ない言葉で動いてる。


「緋色の霧よ、風と空と大地よ、核の炎よ、空飛ぶ船よ」

その術式は幻想郷中に広がり光を放つ。


―――もし何もかもが上手くいって幻想郷が今までの形で残っていたら――


「思い無き巨人よ、騒がしき月よ」

幻想郷にて起き、起こされた異変が、様々な者たちの思いが天子に集まり七色の光に変わり空高く昇る。


―――その時は、私と一緒に遊んでくれますか?


「今、我に巨なる力を貸したまえ。人々を、思い人を守る力を」

そして声高らかに宣言する。






      「幻想郷の緋想天」






空から虹色の光が降り天子の周りを、幻想郷を聖域とする。

そして――――

「着いたぞ!!」

「天子は!?」

「あら、綺麗ね。特にあそこ」

輝夜が指を指す先には天子が居た。

「天子!!!!」



「チルノ!!!?」



―――時は来た、地震発生。



「うわあああああああああああああ!!!!」

「チルノ!!!クッ…術式収縮開始!!」

天子は前回の様に焦らず術式をコントロールし地震のエネルギーごと術式の範囲を収縮させようとするが地震の規模大きく上手くコントロール出来ない。

「早く…早くしなさいよ!!」

(せめてチルノさえ術式の外に出せれば…!!)


次の瞬間―――


「!!!!!?」


―――収縮が完了していた。


「ハァ、ハァ、ハァ…天子?」

(一体誰が…まさか!!輝夜さんの能力!?)

そう、輝夜の能力で収縮にかかる時間を須臾にすることによって消し飛ばしたのだ。



しかし地震が止まったわけではない、現に今も天子の周りでは地震の強大過ぎる桃色のエネルギーが天子を襲おうとしている。




「…天子?」

「…チルノ」

「お別れなんて嫌だよ!!ずっと天子のそばに居たいよ!!!」

「チルノ…」

「天子…大好きだよ…だから「チルノ」…天子!?」



         ありがとう



(ごめん紫、この性格治りそうにないや)



「天子!!!?」



「相殺…開始!!!」


虹色の光が一層強く輝き桃色の光を打ち消していく。

そして何とか地震のエネルギーを打ち消すことに成功した。


――――しかし



「!!?うあ!!うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」



「なんだ!?何が起きた!!?」

「いけません!天子さんの生のエネルギーが尽きかけています!!このままでは!!!」




「天子!!やだ…嫌だよ!!!!」




―――チ、ル…ノ…ごめんね…


―――天子!!!
はい、華彩です。

後篇ですね。まだ一個続きます。次で最終回です。

チルノの日ですね。

最近下上さんとの会話でポニョは金魚ではないことが判明しました。
華彩神護ofぷにふに戦車:ころねーす
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コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
続き待ってましたー!!!!
これからどうなるかマジで楽しみです!

>ポニョは金魚ではないことが判明しました
え?
2.削除
ヒャッハー!続きだぁ!待ってたぜぇぇぇぇぇぇぇえぇぇっゴホッゴホッ!ゥエッホゴホッ!カハァ!

>最近下上さんとの会話でポニョは金魚ではないことが判明しました。
なん……だと……?
3.けやっきー削除
>耐えきないと思うわ。
耐えきれない、ですか?

>ポニョは金魚ではないことが判明しました。
んん?
4.名前が無い程度の能力削除
あなたのネーミングセンスすごいですね。
現役中学生ですか?
5.華彩神護.K削除
今更ながらコメ返し

奇声を発する程度の能力 様
唯 様
けやっきー 様

え?

誤字を訂正しました。

4 様
どういう意味で言っているのか測りかねますが…、違います。
物語の展開的にいわゆる中二病と言われるものに近くなってしまったのかもしれませんけど…。
こういう事をする=中学生とは思わない方がいいです。
ちなみに意識してやっているので本来は私は普通です。
純粋に褒めている場合はありがとうございました。