Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ジジィと孫の夏模様

2010/09/01 15:50:58
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※注意※
妖夢の精神年齢と肉体年齢が一緒に下がってしまいました、つまりは幼夢です
















白くたなびく入道雲、青空に染み入る蝉の声、そして鳴り響く風鈴の涼しげな音、嗚呼日本の原風景がここにある…

「おじーさま、にわの水まきおわりました」

麦わら帽子を被った愛する孫娘、妖夢が元気の良い声で言ってくる、耳に心地よい

「おおそうか、じゃこっちゃ来い、お茶と羊羹があるからの」

私はそう言って孫娘を招き寄せ、羊羹を頬張る
思えばこんな事になったのは一ヶ月前、私がやっと元の体に戻ったと思ったら今度は妖夢が幼くなってしまった、このことを紫殿に聞いたところ
『私が知るわけ無いでしょ、それより妖夢可愛いわね、ハァハァ、抱っこさせてくれないかしら』と言ってきたので本気で斬り捨てようとしたのは内緒である

「あら、美味しそうな物を食べてるわね、妖夢」

「あっ、ゆゆこさま」

「おや、読書はどう為されました?」

「ん~ちょっと休憩、私も食べて良いかしら?」

「どうぞ」

そう言って私は幽々子様のために座布団を用意した

「ありがとう」

三人並んで縁側に座り空を眺める、ふと隣を見れば静かにお茶を啜る幽々子様に笑顔で羊羹を頬張る妖夢、さながら親子のようだ、そう思っていたとき、妖夢からおなじみとなった質問が来た

「ところでおじいさま、おけいこはいつになったら付けてくれるのですか?」

「妖夢、今のお前の体格を考えろ、まともに刀が持てぬではないか、もすこし大きくなってからにせい」

「…はい」

とまぁこんな具合のやりとりを一ヶ月ほど前からやっている、すぐに戻れば良いのだが

「…おじいさま」

「お、なんじゃ?」

「ようかんがなくなってしまいました、すみません」

気付けば盆の上には空になった皿があった

「…まぁ良い、年寄りは余り糖分をとらんほうが良い」

そう言いつつ茶を啜る私、実は食べたかったんだけどガマンするよ、大人だから

「そうよ~妖夢、妖忌はおじぃちゃんだから」

幽々子様の言葉を聞いて少し経ったあと、妖夢は私を見つめて言った

「ゆゆこさまはたべてもいいのですか?」

分かっていた、そう、今の妖夢があの量を食べきれるはずがない、食べたのは幽々子様なのだと

「…………」

「…………」

暫しの気まずい沈黙、空気が痛い
沈黙を打ち破ったのは引きつった笑みを浮かべた幽々子様だった

「わ、私は良いのよ~、妖夢、ね妖忌?」

外面では笑顔だがその下の表情が私には見て取れた、すなわち『コロスゾ ハナシ アワセロ』である、合わせざるを得ない

「そ、そうじゃよ妖夢、幽々子様はお若いからの」

妖夢が上目遣いでこちらを見てくる、視線が痛い

「ほんと、ですか?」

嗚呼神よ、この世界におわす八百万の神よ、私は初めて貴方に祈る罪深き者です、どうか純真無垢な幼女に嘘を吹き込む私の罪を…お許し下さい

「…ほんと…じゃよ」

私は血の涙を流す直前だと思う、いや割とマジで
想像の中で私は両手の平で天を仰いでいた、プラトーンのポーズと言えば分かりやすいかの
そんな時だった、救世主が現れたのは

「はぁ~い、遊びに来たわよぉ、妖夢ちゃ~ん」

そう、スキマ妖怪の八雲紫である

「あっ、ゆかりさま!」

先程の上目遣いを消し去り来客に飛び込んでゆく妖夢、やっと普通の世界に戻れた
目を向ければ静かな表情で茶を啜る幽々子様、そして遠い所からやってきた親戚のように振る舞う紫殿、そして紫殿の膝の上で無垢に笑う妖夢、うん微笑ましい、やっとこっちに戻って来れた

「そうだ、幽々子、妖夢、今日の夜人里でお祭りがあるのよ、花火だって打ち上げるらしいわ、行く?」

「ほんとですか?」

「えぇ本当よ」

紫殿の言葉を聞き顔を輝かせる妖夢、次第に顔をこちら側に向け一言、呟いた

「いってみたいです、おじいさま」

そりゃあ瞳をうるうるさせて上目遣いで言われたら…

「うむ、たまには良いじゃろ、今日の夜でしたな、紫殿」

…承諾するしかないでしょ、ねぇ

「えぇそうよ、みんなで来てね」

「はい!ゆかりさま!」

そう言って『はなび、はなび~』とはしゃぎ出す妖夢

「じゃあ夜にまた会いましょ、皆さん」

そう言い残しスキマへと消える紫殿

「おまつりたのしみですね!おじいさま、ゆゆこさま」

「そうね」

「そうじゃな」

屈託のない笑顔でそう言った妖夢に私と幽々子様はそう返す
まぁ何というか、もういっそこのままで良いかもしれない、そう思う今日この頃だった
夕暮れ、妖夢はもう待ちきれないのか既に浴衣を着て庭へ出ていた
「おじいさま、にあってますか?」
「似合っとるぞ、妖夢」
満面の笑みで浴衣姿を披露する妖夢、今日は良き日かな
「お待たせ、行きましょうか」
振り向くとそこには浴衣に身を包んだ幽々子様が居た
「はい」
夕暮れの中、私たち三人は人里へ歩を進めた



祭が終わったあと、妖夢ははしゃぎすぎて疲れたのか、妖忌におんぶされ眠っていた
「…楽しかったみたいね、お祭り」
「えぇ、この子が心から楽しそうにしているのを久しぶりに見ましたよ、幽々子様」
私は妖忌の背中で寝息を立てている妖夢の頭を優しく撫でた
「この子、さっきから笑ってるけど、どんな夢見てのかしらね、妖忌」
「さぁ、それは本人しか分かりますまい」
「…そうね」
私は妖夢の髪を揺らす涼しい風を受けて、夏の終わりを感じた

どうも、趣味と言うだけで妖夢に『おじいさま』と呼ばせた投げ槍です
誤字脱字など有りましたらご指摘下さい
投げ槍
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
幼夢可愛いよ!幼夢!!
2.名無し削除
おい何これ、可愛すぎるんだが

ババア自重
3.削除
可愛いが一つだけ。
何故祭りを飛ばした?
わたあめ食べて頬を緩ませる幼夢とか金魚すくいに夢中になって袖が濡れてる幼夢とかお面買ってもらって被って「ひっさつ!おーかせんせん!」とかやる幼夢の描写はどうしたというのだ投げ槍さんッッッッッ!!!!!
4.けやっきー削除
>ハァハァ、抱っこさせてくれないかしら
自重しろと言いたいけど、恐らく私も同じことを思うだろう今日この頃です。