Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

大ちゃんのはなし

2010/08/31 16:15:05
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注意

途中で全く別の話になります。
オムニバスと言っても過言では無い。



OK?

 ↓


























それは私が、いつものように紅魔館に本を頂き……もとい、拝借……………本を借りに行った時の話だ。

だだっ広い湖をとばしていると、悪戯好きの妖精たちが弾幕を飛ばしてくる。
大抵はただの雑魚だけど、ここには面倒くさいのが2つほど、いる。
それがチルノと、もうひとりの緑のやつ――名前が無いから、どう呼んで良いか分からんけど、チルノは大ちゃんと呼んでたっけ――だ。
面倒くさいと言うのは、他の妖精に比べてちょっとは弾幕が撃てるという話で、滅多に無いけどLunaticな気分のあいつらに出くわすと、さすがの私でも骨が折れる。
けど幸いなことに、その日の弾幕はいつもと同じくらいだったから、私は余裕しゃくしゃくで妖精どもを蹴散らしていったんだ。

それで、緑の、ええと、大ちゃんに出くわしたんだ。
あいつは弾幕を撃つ合間に、姿を消して場所を移動する。
運が悪けりゃ単純な弾幕でもてこずるんだが、私には経験と勘でどこに出るのかが大体分かるようになっていた。
それで、ちょっと悪戯してやろうと思ったんだ。

私はやつの姿が消えたのを見て、次現れるだろう場所の目の前に動いたんだ。

どんぴしゃり、やつはそこに現れたんだけどな――

「え?わ、うわああああ!」

そこに現れたのは文字通り、「大」妖精だったんだ。知ってたか?私は知らなかったんだ。








   §    §    §   

     大ちゃんのはなし

   §    §    §   







「だって!こいつこんなにデカいと思ってなかったんだぜ!」

大妖精にピチューンされるというまさかの屈辱を味わった魔理沙は湖の畔でむくれていた。
木陰に座り込んでいる彼女に向かって立っていたのは、湖にいるふたりの妖精――チルノと、名無しの大妖精――だ。

「まりさって大ちゃんのこと知らなかったの?」
チルノが驚いたような顔で魔理沙に質問をする。
魔理沙は、
「そうだな。というか、お前と話しててこいつを見た覚えがないぞ。」
と答えた。
「あーそっかー……大ちゃん、はずかしがりやだからなー」
と、チルノは納得したようだった。

「ええと、その、すいません……」
大妖精はもじもじしながら、小さい声でそれだけ言った。
チルノの言うとおり、大妖精は人見知りが激しいようで、今も俯いてずっともじもじしている。
「いや、いいんだぜ?被弾したのは間違いないし、完全に私のミスだぜ。」
魔理沙は、もう回復したのか、ひょいと立ち上がって言った。

「……まあ強いて言うなら、」
すると、魔理沙は大妖精の頭に手を伸ばし、
「どうしてお前はそんなに背が高いんだちくしょおおおおおおおおおおお」
「みゃぁ!痛い!痛いです!」
全力で大妖精の頭をわしわし押さえつけた。




大妖精の身長は、妖精というにはあまりに大きく、人間である魔理沙とほぼ同じ背丈であった。


厳密に測ると、魔理沙の方がほんの少し低かった。




「ちくしょー!その身長私に寄越すんだぜ!」
魔理沙は完全にむくれている。漫画なら半べそだ。
頭わしわしから解放された大妖精は、
「ま、魔理沙さん人間なんだから、まだ伸びるんじゃないんですか?」
とフォローしようとしたが、それがまた地雷だった。

「うるさい!最近成長が止まってきたんだよおおおお!」
切実な叫びだった。
大妖精は返す言葉がなくなった。

「ぅぅぅ…ちくしょう。なんだい、妖精なのに。妖精のくせにー!」


――魔理沙は飛んで帰ってしまった。
どうしたらいいかなんてさっぱり分からず、困り果てておろおろしてる大妖精に、チルノが
「大ちゃん大ちゃん、気にしすぎちゃだめだよ?」
と言った。
「そんなこと言っても…」
と、まだ戸惑いっぱなしの大妖精に、もう、マジメなんだからーとチルノは苦笑いして、

「まりさはね、ゆうかとかめーりんとか、あと、けーねとか、背の高いやつの話するときには大体言うんだ。『まったく、あいつの身長を分けてほしいぜ』、ってね。」
と言った。チルノがやった魔理沙の真似が存外に可笑しかったので、それでようやく大妖精は笑顔になった。

















   ◆   ◆   ◆   

















「そういえば大妖精は、その名前を厭だと思ったことは無いのか?」
きっかけは、些細な疑問からだった。

子供達の相手をしていると、非常に気苦労も多い。
特に幼い子供には善悪の判断がまだ付いていない。それゆえに、平気でむごいことをしたりするのだ。
例えば、捕まえたトンボの足をむしってみたり
例えば、髪の色が少し茶色いだけで仲間はずれにしたり
例えば、里外れの墓地で遊んだり
それをしつけるのもまあ私の仕事のうちなのだが、それは今どうでもいい。

私が気になったのは、「大妖精」という通り名、「大ちゃん」という渾名だった。
見ての通り、大妖精は妖精だが規格外に背丈が大きい。十五、六の人間の女の子が丁度同じくらいだろう。
さて、仲間の中で格段に背が大きいと、周りの者やはりそれをダシにしたがるものだ。特に子供にはその気が多いが、それは大人でも人間以外でも、あまり変わらない気はする。
それだから大概の、というより、背丈の高い女性のほぼ十割の人間は、身長の話題に対して少なからず敏感になる。
ましてや、彼女の場合、通り名からして『大』妖精なのだ。それで彼女は辛くないのだろうかとも考えてしまう。

そんな疑問を、彼女が他の知り合い――チルノや、ルーミアやリグル――と一緒に寺小屋に来た時に、彼女に訊いてみたのだった。



「名前――ですか。」
私が質問をした途端、彼女が少し不安げな表情をしたのは決しておかしな話ではない。
私はフォローに入る。
「そう。いやなに、人間の女の子は背が大きいとそれをあれやこれや回りの奴に言われたりするからな。お前はどうなのかと思って」
そう言うと彼女は、ああ、といって安心したような顔つきになり
「それは、私も厭でしたよ。他の皆はリサやニーナやエリーみたいな、かわいい名前で呼び合っていたのに、私だけいつも『のっぽ』で…………」
と話してくれた。明るく話すその姿が、逆に痛々しい。

「ああ、いや、すまん。そんなつもりじゃ…」
と私は話を止めようとした。そんな暗い話、彼女もしたく無いだろう。
すると彼女は
「いいんですよ。今の『大妖精』『大ちゃん』って呼び名は気に入ってるんです。チルノちゃんが考えてくれたんですよ?」
と言った。

「チルノが?」
「はい。私が名無しだからって、名前を考えてくれるっていうんです。そしたら5秒くらいですぐに『大妖精の大ちゃん!』って。」
彼女らしいといえば彼女らしいが、どう見ても安直にすぎた。
「それでよかったのか?」
「チルノちゃんがあまりに盛大に宣言したもんだから、もういいや、って思ってしまったんです。だから今はもう何も悩んでたりとかしませんよ?本当に。」
そういって彼女は話を終わらせた。丁度、子供達と遊んでいたチルノが「大ちゃーん!」と大きな声で彼女を呼んだので、大妖精は元気に走っていった。




辛い経験を乗り越えた分だけ人は強くなるものだが、妖精も同じようだった。



「いや、彼女は『大妖精』だからな」



或いは、それはただの偶然の産物ではないのかもしれない。
その身体も、心も。
いかがでしたでしょうか。
普段言われるネタとしては、身体のとある一部分が大ちゃんな大妖精がありますが、今回は身長が大きい女の子ということで書きました。

身長が大きい女の子って絶対言われてるんですよね。「私に身長よこせ」って。
部活の後輩にそんな人がいるんですが(高2で170cmオーバー)案の定ネタにされてました。

そんな予定調和。
読んでいただいてありがとうございました。
喇叭吹きは休日
http://www.twitter.com/merliborn
コメント



1.ケトゥアン削除
大ちゃんねぇ。
名前考えたことあったよ。
大(まさる)とか(殴
2.名前が無い程度の能力削除
てっきり時オカの大妖せ……

ん?誰かなこんな時間に…
3.名前が無い程度の能力削除
大ちゃんの名前が『大輔』ってネタなら書いたことがあるよ
ところで、タグ含め
×『魔理紗』
○『魔理沙』
直した方がいい
4.名前が無い程度の能力削除
そうか、大ちゃんはでかいのか……
でも胸もでかいt(ry

名前はあるけど絶対に教えられないよ、というネタならたまに見かけるなぁ
5.奇声を発する程度の能力削除
でかい大ちゃんも良い!
身長が大きい人って良いよね
6.けやっきー削除
魔理沙よりおっきい大ちゃん…
なんか想像がつかないw