同じ人間なのにこの差はなんだ。
あれか?年齢的な問題なのか?
やっぱりそうなのか?
「なにブツブツ言ってるのよ魔理沙」
「のわっ!?」
「女の子がそんな悲鳴あげるんじゃないわよ」
「びっくりすんだろうが咲夜!」
相変わらず私より頭一つ分高い位置にある顔を睨みつける。
見下されてる気分で良い気はしない。
でもこれが現実だ。
「どうしたの?」
「べっつにぃ?」
「…そう。あ、パチュリー様から伝言」
「なんだよ?」
「『今すぐ本を返せ』ですって。今度は何冊持ってったのよ」
む…。
もうバレたか。
あと3日は大丈夫だと思ったんだけど。
「ちゃんと返すぜ?」
「今すぐって言ったと思うんだけど?」
「それはあれか? 今すぐ死ねってことか?」
「そんなこと言ってないでしょう。本をおとなしく返せばいいだけよ」
「あと3日くらいいいだろ~?」
「それはパチュリー様に聞いてちょうだい」
「……ケチ」
「そんなこと言うのはこの口かしら?」
「いふぁい! ふぁくぁ~!」(訳:痛い! さくや~!)
咲夜につままれた頬が痛い。
てか、やっぱ私より背高いよな。
「……魔理沙?」
「なんだ? 本ならしょうがないから返すけど」
「あ、うん。それならいいんだけど…」
「どした? なんか言いたそうだな?」
「どちらかと言うと…、貴方の方がなにか言いたいんじゃないかしら?」
「…はっ?」
「ごめんなさい。勘違いならいいんだけど」
鋭いやつ。
ってオイ!
なに私の顔覗き込んできてるんだよ!
いや、私がちょっと俯き気味になってるから悪いのかもしれないけど覗き込むな!
それじゃ完全に私の方が背が低いみたいな感じじゃないか!
そんなのはダメだ…、なんとかしないと!
「ちょっと? なに黙り込んでるのよ?」
「べ、べつになんでもないぜ! それより立ってるの疲れた、飛んでていいか?」
よし、これで咲夜より上に浮かんでれば私の方が高くなる。
さっそく箒で…!
「そんなのダメよ」
「え?」
咲夜が思い切り私の腕を引っ張った。
おかげでバランスを崩した私は咲夜に抱きとめられるというなんとも恥ずかしい状態になってしまった。
「ちょ、咲夜! なにするんだよ!」
「貴方が私より上に行こうとするなんて、そんなのはダメよ」
「はあ?」
とうとう頭にウジでも湧いたか。
それは私のセリフだっつーの!
「おい、咲夜?」
「魔理沙はそのままでいいの。私より背が高い魔理沙なんて魔理沙じゃないわ」
「私の可能性を否定するな!」
「女の子は背が低い方が可愛いのよ」
「じゃああれだな。咲夜は可愛くない」
「その舌切り落としてあげましょうか?」
「…悪かった。咲夜はすげぇ可愛いぜ」
「ふふっ。ありがと」
とりあえずいろいろ話を聞いてみた。
咲夜の言い分はこうだ。
自分よりも大きくなられたら立場がなくなる…、らしい。
意味わからん。
「とにかく。魔理沙はそのままでいいの」
「お前に見下されてる気分で私は嫌だ」
「そんなこと言わないで? これも私のためと思いなさい」
「なんでお前のためなんだよ?」
「え、あ~…、なんでもないわ、ごめんなさい」
「なんかもうどうでもよくなってきたぜ」
「じゃあ背のことは諦めてくれるのかしら?」
いや、諦めたつもりはさらさらないんだけど…。
まあいっか。
今はまだ仕方ないと思えばそれでいい。
私はまだまだ成長するんだから、焦ることはないだろう。
「魔理沙」
「ん~?」
「私より背を高くしてどうしたいの?」
「どうって…、」
どうしたいって、そんなの決まってるじゃないか。
「咲夜をお姫様だっこしてやるよ」
「えっ?」
「それに咲夜より背が高くなればキスしやすいし」
「んなっ!?」
「夢見る乙女だからなっ! 私は必ず実現させてみせるぜ!」
「……ま、期待しないで待ってるわ」
「嘘つくなって」
「はいはい」
「照れるなよ~」
「その目を抉り取ってあげましょうか?」
「結構です!」
さて、早く咲夜より大きくなりたいな。
例えば最後のほうの咲夜さんのセリフが照れ隠しなのだとしたら、是非心情の描写も欲しい。
私は自分勝手に、「深く考えていない魔理沙とちょっとドキッとした咲夜さん」の話だと解釈しましたが、そのギャップを表す心情描写などがあるととても面白くなりそうです。
見当違いなことを言っていたらすみません。