Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

おそろいの

2010/08/29 16:46:02
最終更新
サイズ
6.3KB
ページ数
1

分類タグ


―魔法の森―





魔理沙はいつもの凛々とした笑みを浮かべながらマーガトロイド邸のドアをノックした。


「アリスー!遊びに来たぜー!」


ガチャという音と同時に静かに扉が開いた。


「……アリス?」


玄関にアリスの姿がない。
変わりに上海と蓬莱がドアを開けてくれたみたいだ。


おかしい。


魔理沙は違和感を感じていた。
アリスがいつも連れて歩いている相棒とも言える2体の人形がここにいる。
ということはアリスは外出中ではない。
いつもなら魔理沙が訪ねてくれば必ずアリスは笑顔で出迎えてくれるのだ。
それなのに今日は……


「上海。アリスはどうしたんだ?」
「シャンハーイ」
「そうか……。」


上海は横に首を振ってわからないといったポーズを取る。

上海は魔理沙を案内するようにリビングへと飛んでいく。
魔理沙の心に不安が募る。

わたし……嫌われちゃったのかな?
またアリスを傷つけるようなことしちゃったのかも……

魔理沙の表情が曇っていく。
嫌な予感ばかり膨らみ、いつの間にか目が潤んでいた。


「ゲンキナイナ?」
「オナカイタイノ?」
「……え、ああ。」


突然上海と蓬莱に声をかけられて間の抜けた声がでる。
そうこうしているとリビングの前までたどり着く。


「ゲンキダセヨー」
「マリサ ゲンキナイト アリスコマルー」


リビングのドアを開けるのを戸惑っている魔理沙を気遣って
上海と蓬莱が励まそうとする。


「悪い悪い。大丈夫だ。」


二人から励まされ少し気が楽になった魔理沙は
意を決してリビングのドアを開ける。

大丈夫。もしアリスに悪い事をしたなら謝ればいいんだ。
そうすればアイツならわかってくれる。

そう自分に言い聞かせる。

広いリビングのソファーの上でアリスは編み物をしていた。


「よ……よぉ、アリス。」


極力不安を押し隠して魔理沙は声をかける。
するとアリスは魔理沙の姿を見るなり、大きくため息をついた。


「ちょっと上海、蓬莱。魔理沙を通しちゃダメって言ったじゃない……。」


呆れたような口調でアリスは言う。







やっぱり……アリスは私のこと……







魔理沙はその場に立ち尽くし涙を必死で堪える。


「ナンデー?」
「ダッテ マリサ アソビニキタカラー」


2体の人形はアリスのもとに飛んでいき、
怒られた事に不満があると言わんばかりに主に抗議し始めた。


「だから今日は魔理沙に…………あれ?魔理沙どうしたの?」
「え゛っ……」


かすれた声で返事をする魔理沙。
アリスは異変を察してすぐに小さな客人へと駆け寄った。


「どうしたのよ?元気ないじゃない?何かあったの?」
「な……なんでも……ないぜ…………」


腰を下ろして自分より低い魔理沙の視線に合わせて表情を伺う。


「何でもないなら何で今にも泣きそうな顔してるの?。」


軽く頭を撫でて優しい声でアリスは問いかける。


「だっ……だって……う……」


その優しい声が魔理沙にはトドメだった。


「うっく……うええええええん!」


魔理沙の目からポロポロと大粒涙がこぼれだした。


「ちょっ……魔理沙!?」
「ひっく……うあああん!うああああん!!」
「ああもう。よしよし。」


突然目の前で泣き出した魔理沙に内心少し戸惑いながらも
傍目からは落ち着いた様子でアリスはそっと魔理沙を抱きしめる。


「うあああん!ありすっ…ありすぅ!!」
「安心して。私はここにいるから。」


幼子をあやすように抱きしめた魔理沙の背中を優しくポンポンとたたく。
魔理沙をからかってよく泣かせていたアリスはこういう事には割と慣れていた。
今回に関しては何があったかわからないが、今それを聞こうとしても、とても話になる状態じゃない。
今は魔理沙が落ち着くまで優しく抱きしめてあげるのが一番だということをアリスは知っていた。

しばらくして、魔理沙が落ち着きを取り戻してきた。
アリスはほんの少し魔理沙から体を離して魔理沙の顔を覗く。
瞳はまだ潤んでいて涙が零れ落ちそうになる。その雫をそっと手を添えてすくう。
泣き止んだばかりで、甘えるような表情の魔理沙。

おもわず「かわいい。」という言葉が口から出そうになるが、そんなことを言えば今度は魔理沙が怒りだすかもしれないので
そこはぐっと堪えるアリス。


「ぐすっ……ありすぅ……」


まだすんすんと鼻を鳴らしている魔理沙だが、なんとか話が出来る状態に戻ったようだ。


「なぁに?一体どうしたの?」
「ありす……わたしのこと……きらいになったのか?」
「は?」


予想外の質問にアリス自慢のブレインが停止する。


「ちょっと……ど……どうしてそういうことになるの!?」
「だって…………」


とりあえず事情を聞かないことにはアリスも何が何だかわからないという状態。
それに対して魔理沙は理由をいうのを少し躊躇っている様子。


「だって…………その……さ……」
「もう、はっきり言ってくれなきゃわからないわよ。」
「………………出迎えてくれなかった。」
「…………へ?」


魔理沙が俯いてぼそっと呟いた一言は確かにアリスにハッキリと伝わった。
しかしアリスにとってはどうにも腑に落ちない。


「え、っとそれだけ?」
「さっき居留守使おうとした……。」
「あぁ……」


その一言で漸くアリスはなるほど、と納得した。


「魔理沙。」


アリスは魔理沙のおでこに手を添えて


「う……ありす?…………きゃっ」


ぱちんと一撃デコピンをかました。


「えっ……えっ……!??」
「おばかさん」


何が起こったか未だに理解できてない魔理沙をもう一度、今度はぎゅっと抱きしめる。


「私がそんなに簡単に嫌いになるわけ無いでしょ?あなたのこと。」
「だって……ぅぅ…………」


ちょっと強すぎたか、と魔理沙のオデコをやさしく撫でるアリス。


「しょうがないわね。まだちょっと早いんだけど、見せてあげるわ。」
「?」


魔理沙の手を握って自分がたった今作業していた所へと連れて行く。
そこには


「これって?」
「あなたにあげるプレゼント。今完成したトコだったんだけどね。」


机の上に水色の可愛らしいケープ。
それは人形も魔法も一切使わずに仕上げた100%アリスの手作り品。


「……くれるのか?」
「勿論よ。本当は綺麗にラッピングして明日渡そうと思ったんだけどね。」
「そうか……。」
「ほら明日妖怪の山で宴会があるでしょ?最近冷え込んできたし、こういうのあったほうが暖かいでしょ?」
「うん。……アリス。」
「なに?魔理沙。」
「疑ったりして……ゴメンな。」
「……いいのよ別に。まぁさすがにビックリしたけどね。」


魔理沙はケープを手にとって眺める。


「かわいい。」
「ふふふありがと。付けてみる?」
「うん。」


さっきまで泣いていた少女は何処へ行ったのやら
魔理沙は嬉しそうにいつもの魔女服の上から首にケープを巻く。


「どうだ?」
「似合ってるわよ。」


魔理沙は鏡の前に立って自分の姿を見た。


「なんか……だな?」
「どうしたの?変だった?」
「ちがうぜ!そうじゃなくて……アレだ。」

鏡に映る自分の姿とアリスの姿を見て、魔理沙は頬を赤く染めた。


「あっ」
「だろ?」
「ふふふ……そうね。」


釣られてアリスも赤くなる。


「オソロイダー」
「バカップル バクハツシロー」


鏡に映る二人の姿を見て上海と蓬莱がはしゃぐように囃す。







「アリス、ありがとな。大事にするぜ。」
「……ううん、いいのよ。気に入ってくれて嬉しいわ。」


お互い見つめあう魔理沙とアリス。
夕日の差し込む部屋で二人は軽く口付けを交わした。
風神録と地霊殿の間くらい
ちょっと季節外れな内容ですが申し訳ないです。
相変わらずワンパターンなマリアリですが
もし楽しんで頂けたなら幸いです。

読んでくださった方。ありがとうございました。


ぺ・四潤様
ご指摘ありがとうございます。
そうですよね。なんでこの二人ちゅっちゅしてるんですかね(ぇ
それはさておき確かに違和感を感じるところがあるかもしれません。
表現力が足りなかったり話の構成が行き当たりばったりで一人歩きしてる点とか……
自分自身まだ足りない部分ばかりだと思います。そういった面も踏まえて今後の作品作りに繋げていけたらなと思います。こういう意見、すごくありがたいです。

今までの作品にコメントしてくれた方、返信できなくて申し訳なく思っています。
何分気の利いたこと返事なんて書けない性質なので……ですが励みになっています。かなり。
今後もちょくちょく作品を投下していきたいと思います。よろしければ生暖かく見守ってくれたら嬉しいなと。

改めて、読んでくださった方本当にありがとうございました。
swi
コメント



1.拡散ポンプ削除
にやにや。
2.ぺ・四潤削除
だんだん魔理沙の精神年齢が下がってきて最早親子そのものだww
でもちゅっちゅはするのね。何か違和感があったのでほのぼので終わらせたほうが良かったような気も。
3.名前が無い程度の能力削除
やはりこういうマリアリは安心感抜群だ!
4.奇声を発する程度の能力削除
これは良い!!!